ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第238話『PHASE-48『新世界へ2』』

 全ての始まりは哨戒部隊の通信からだった。

 

 密かにレクイエムを再建しているダイダロス基地の周辺で、敵対勢力の接近を見張っていた部隊が突如として消息を立ったのだ。

 その事実に、急ぎ哨戒部隊を該当宙域へと派遣。直後届けられた通信にダイダロス基地を防衛していた者達は青ざめながら言葉を無くしていた。

 

『フリーダムです! その後方にエターナル!』

 

 その通信は、その言葉を最後にして切れてしまったが、ダイダロス基地の者達は報告を聞いて、無駄と知りつつも一応迎撃の為の部隊を展開した。

 そして、メサイアへと急ぎ救援要請をしたのだが……おそらく全ては遅かった。

 

 ミーティアを装備したストライクフリーダムにより前面に展開した部隊は壊滅。

 何とか先行したフリーダムを叩こうとフリーダムの後方に部隊を展開しようとしたが、フリーダムの後方には同じくミーティアを装備したジャスティスとエターナルがいた為、どうにもならなかった。

 

 囮として月の反対側に置いていた部隊も。

 超大型のゲシュマイディヒ・パンツァーを装備した廃棄コロニーも。

 全て無視して、いきなりダイダロス基地を叩くとは……。既にレクイエムが完全に修復されているという事を察知していたとしか思えない行動であった。

 

 しかし、驚き迷い、戸惑っている間にもキラ達は防衛網を突破し、ありったけの火力をレクイエムの発射口に叩きつけた。

 

「う、うわぁあああ!! ま、マズい!」

「大丈夫だ! レクイエムには陽電子リフレクターが……!」

「司令! レクイエム直上にモビルアーマー! いや……モビルスーツ!!」

「なに!? なんだ!?」

 

 

 キラが突破口を開き、アスランとエターナルで意識を引いている間に、ミラージュコロイドコートという一定時間だけミラージュコロイドと同じ効果を得られる使い捨ての装備を付けたデスティニーが、大型の追加装備を付けたままレクイエムの直上にて機体を静止させていた。

 

『シン・アスカ。ゼウスシルエットは未完成の装備です。二発目はない。どうか慎重に』

「はい! 分かりました!!」

 

 シンはモニターに映ったハインラインの小言に頷いて、背中に背負っていたレールガンの砲身前方部分を持ち、レールガンの先端に取り付け……レクイエムに向けて……その一撃を放った!

 

「こんなモンを! いつまでも!!」

 

 シンが放った一撃は、容易く陽電子リフレクターを貫通し、レクイエム内部に深く突き刺さるとその内部で大爆発を起こし、レクイエムに修復不能なダメージを与えた。

 ダイダロス基地の防衛をしていた者も、基地の司令官たちも、あまりにも早い電撃作戦に何もする事が出来ず、デスティニーをそのまま逃がしてしまうのだった。

 

『シン君! 大丈夫!?』

「はい! 俺は大丈夫です! でも、デスティニーのエネルギーが全部無くなっちゃって!」

『分かった! じゃあそのまま予定通りガーティ・ルーに向かって、メサイアへ!』

「了解しました!」

 

 キラはシンが逃げる為の道を作るべく、ミーティアの最大火力をデスティニーの正面に向かって放ち、ミサイルでシンに近づこうとする敵を全て撃ち落とすのだった。

 

 そして、シンはダイダロス基地の援軍として進んでいた部隊を足止めしていたガーティ・ルーと合流する為に宇宙を駆け。

 キラとアスランもまたエターナルと共に混乱する戦場から姿を消したのだった。

 

 

 そして、レクイエムが撃たれたという報告はすぐさまデュランダルとセナの元へと届けられた。

 

「流石だね。キラは。オーブへと意識を向けさせてから、少数精鋭でレクイエムを破壊……か」

「このくらいは当然でしょう」

「ここまでは君の想定通り。という所かな? セナ」

「はい。大量破壊兵器など、これからの世界には必要ありませんから」

「では?」

「はい。私はホープで地球へ。議長はこのままメサイアでダイダロス基地へと向かって下さい」

「私は囮という事だね?」

「申し訳ございません。そういうことになります。ですが、お姉ちゃんはデュランダル議長を傷つける事はないと思いますので」

「それは……分からないな」

「そうですか?」

「あぁ。彼女は君の事になると苛烈でね。一回か、二回は殴られる覚悟をしておくよ」

「……もし危険そうなら、議長は脱出を」

「いや。そういうワケにはいかないだろう? 私が囮とならねば、君の計画は失敗する可能性が高い。彼女たちは強いからね」

「……はい」

 

「だから、私の事は心配せず、君は君の為すべき事をしたまえ」

「分かりました! では申し訳ございません。私は行きます」

「あぁ」

 

 メサイアの指令室から出ていくセナを見送って、デュランダルはため息と共に彼女の出て行った通路を見やった。

 

「セナだけであれば、あるいは……いや、考えても無駄な事か」

 

 デュランダルは呟きながら、部下の一人を呼び出す。

 

「お呼びでしょうか! 議長」

「忙しい所すまない。一つ伝言を頼まれてくれるか?」

「伝言……ですか?」

「あぁ。オーブの姫君へ。希望が地球へ向かった、と」

 

 

 ダイダロス基地襲撃から半日後。

 月面ダイダロス基地周辺に移動した宇宙機動要塞メサイアにはミネルバを始めとしたZAFTの部隊が集まり、そんな彼らを止める様に地球連合とオーブ連合軍の艦隊も現れる。

 この艦隊を集めたのはオーブ艦隊旗艦『クサナギ』に乗艦しているオーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハであり。

 地球連合軍艦隊旗艦アガメムノン級宇宙母艦『ドゥーリットル』に乗艦している地球連合軍最高司令部統合作戦室所属ウィリアム・サザーランドと国防産業連合理事ムルタ・アズラエルであった。

 

 かつての大戦を思わせる様な部隊の布陣に、どちらの勢力の人間達もゴクリと唾を飲み込み、情勢の行く末を見守っていた。

 

 そんな中、オーブ連合首長国代表首長であるカガリ・ユラ・アスハの声が戦場に響く。

 

『私は、オーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハ。我々は世界の秩序を安定させる為、貴国が所有する無用な大量破壊兵器を破壊する為に集結した。貴国がその大量破壊兵器を廃棄するのならば、こちらに戦闘を行う意志はない』

 

 少し前。

 オーブへと行われた最後通告が、今度は逆の形で為される。

 それはまるで、世界に存在する正義がZAFTからオーブへと渡されたかの様だ。

 

 しかし……。

 カガリの声に応える様に、まるで歌声の様な声がメサイアから戦場に響いた。

 

(わたくし)はラクス・クラインですわ。(わたくし)たちは、無用な大量破壊兵器の保持などしておりません。メサイアの全てはセナ様をお守りする為に存在しております。アーモリーワンにて、セナ様が奪われたあの日より、(わたくし)たちは例え、忌まわしき兵器を使用しようとも、世界の希望を護るために……!』

 

『その方の姿に惑わされないでください』

 

『っ!? あ、あなたは……!』

 

(わたくし)はラクス・クラインです』

 

『バカな!? 生きて……!』

 

 戦場に居る全てのモビルスーツへと映し出された女性は……クサナギでカガリの隣に立つ女性は。

 確かに、前大戦の際……三隻同盟と共に戦っていた女性……ラクス・クラインであった。

 

 しかし、メサイアに居る女性もまったく同じ姿をしており、戦場はにわかに混乱してゆく。

 

『み、皆さま! 落ち着いてください。(わたくし)は暗殺などから身を守る為、影武者として……』

『それってさ』

「なっ!」

『私の事だよね?』

『お前は!? ミーア・キャンベル!!?』

『そういうコト。会いたかったよ。ラクス様のニセモノさん』

 

 メサイアから流れている映像に、もう一人ラクスとそっくりの女性が現れ、その女性が持っていた銃でラクスのクローンの肩を撃ち抜く。

 その凶行に思わず何人かが声を上げたが、ミーアは何も気にせず言葉を続けた。

 

『月面都市コペルニクスで。私は、アンタを釣り上げたんだよ。偽物』

『わ、私を……騙した? 影武者ごときが……?』

『そ。旧人類だってバカにしてた無知な女に騙された気分はいかが? 私は最高だけどね』

『くっ……!』

 

『この戦場に居る! 全ての人に伝えます! 私はミーア・キャンベル。ラクス様を守る為に、影武者として活動していた女! そして、この女は! ラクス様の名を! 声を! 姿を奪い! キラ様やセナ様を自らの思うままに操ろうとした! ラクス様のクローンなの!』

 

 ざわざわと、戦場に動揺が広がってゆく。

 それは真実なのか。

 クローンだと? いや、まさか。

 しかし、現実として、同じ顔の人間が三人いるじゃないか! と彼らは口々に言い合う。

 

 そして、生まれた不信感はそのままプラント最高評議会議長であり、クローンのラクス・クラインを常に、傍に置いていたギルバート・デュランダルへと向けられる。

 このままでは反乱や、暴動が起こってしまう可能性がある。

 

 そう思われた。

 

 だが、それは肩を撃たれ、俯いたままであった女性が突如として笑い始めた事で変わる。

 

『アハハハハ! 本当に、愚か! 愚かだわ! 旧人類!』

『何を笑ってる!』

『ミーア・キャンベル。そして、私の正体で動揺している者達、愚かにも私達へ銃口を向けている者共。すべてに告げる!』

 

 肩を押さえ、指の隙間から血を流しながら、女性は口元を吊り上げながら嗤う。

 愚かな者たちへ、現実を教える様に。

 

『まもなく! セナ様はデスティニープランを実行される!! そして!! それは、ここではない!!』

『なっ!?』

 

 笑ながら全ての者へ見せつける様に映し出した映像には、ホープに乗ったセナが『青い地球』を前にして瞳を閉じている姿が映っていた。

 

『さぁ、好きなだけ殺し合うが良い! ここでいくら戦おうが、セナ様は地球だ! どうあってもここからでは!』

『それは、どうでしょうか?』

『なに!?』

(わたくし)のキラが、どうしてここに居ないのか。その理由を察する事は出来ませんか?』

『ま、まさか……! あり得ない! バカな! だって、セナ様の行動は、誰にも……っ!? いやっ! まさか!』

 

『察しが良いね。ラクス・クライン。いや……ラクス嬢の偽物と言った方が良いかな』

『裏切ったのか!? ギルバート・デュランダル!!』

 

『あぁ。そうだ。全てはこの時の為に。私は動いて来たのだ。君達を仕留める。この瞬間の、為に』

 

 デュランダルはメサイアの指令室から、驚愕に叫ぶラクスへと、そう言葉を向けるのだった。

 

 

 そして。

 地球軌道上で静かに心を落ち着かせていたセナは、接近するアラートに瞳を開いた。

 

「来ましたか」

 

 モニターに映るのは、ミーティアを装備したストライクフリーダム。

 

「役者は揃いましたね。では、始めましょうか。人類最後の……! 防衛策を」

『セナ……! 君を! 止める!!』

 

「デスティニープラン!! 発動します!!」

 

 ホープは、セナの声に応えてカメラアイを光らせ……両手を広げて虹色の光を放つのだった。

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