ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第271話『邪魔なコンパスの連中を、消すだけだ!!』

 指令室のオルフェから出された命令を受けて、待機していたファウンデーション王国のモビルスーツ部隊が動き始めた。

 試作型のブラックナイトスコードのデータをシュラが取得する事で、本部の開発も進み、現在は正式版として採用された機体である。

 それぞれに特徴はあるが……部隊全体として共有されている物は『フェムテク装甲』と呼ばれる新世代の装甲技術である。

 

 かつて地球連合のモビルスーツが世に放たれると同時に始まったフェイズシフト装甲技術は実体弾を防ぐ物であるが、彼らが採用しているフェムテク装甲はビーム攻撃を防ぐ為の物である。

 しかも、フェイズシフト装甲とは違い、展開されている状態でも電力は消費されず、しかもモビルスーツが所持できるレベルのビームであれば受けた衝撃によるダメージも受けないという物であった。

 実体弾についてもある程度の防御力がある為、事実上フェイズシフト装甲の上をいく、新世代の装甲となったのである。

 

 この装甲を持って、ブラックナイトスコードは完成し、騎士の様な姿のモビルスーツは戦場へ向けて駆けて行った。

 

 本来であれば、アスランとシン・レイの戦いに介入し、全てを終わらせるだけであったが、ブラックナイトスコードの一機は予定されていたプログラムを起動させ、ユーラシア連邦の軍事境界線近くに配備されていた核ミサイル装備車に侵入し、衝撃を受けた場合、核ミサイルを発射する様にシステムを設定する。

 そして、それが終わってから仲間へとアコードの技能を使って思念でシステム変更完了を告げ、仲間は用意していたプログラムを起動させた。

 

 そのプログラムとは、ユーラシア連邦の上部に配置されていた、かつて大西洋連邦のムルタ・アズラエルが作らせた衛星兵器『メメントモリ』である。

 メメントモリは大気圏外から超高エネルギーのビーム砲を核ミサイルを装備した車へと落とし、そのままユーラシア連邦の軍隊を焼き払っていく。

 

 突如として自軍部隊が攻撃されている事に、ユーラシア連邦の部隊はファウンデーション王国の司令部へと向かった上官へと連絡をしようとするが、通信は何かに妨害され、繋げる事が出来なかったのであった。

 これにより、核ミサイルは燃え滾る半壊した車の中で静かにカウントダウンされ、0となってからファウンデーション王国へ向けて放たれる事になったのである。

 しかも、ファウンデーション王国の者達は軍事境界線を気にする事なく戦う事が出来る様になった。

 

「全ては作戦通りだな」

『あぁ。核ミサイルも、時刻になったら発射される。これで、セナ様を消そうとする連中を作り上げる事が可能だ』

『後は……!』

『邪魔なコンパスの連中を、消すだけだ!!』

 

 ブラックナイトスコードは四機でアスラン達に奇襲を仕掛け、混乱するシンやレイにも攻撃を仕掛ける。

 そのあまりにも急な登場にシンは動揺するが、すぐに気持ちを取り戻して、冷静に対応しようとした。

 だが、いくら冷静に対応しようとしたところで、武器はアスランとの戦闘で半分以上が失われているし、急襲された立場としては、向こうの方が立ち位置として有利であった。

 

 

「くそっ! なんだよ! こいつ等! 本部! 本部!! 聞こえるか!? くそっ! 返事がない!」

『シン! 無事か!?』

「あぁ。けど! このままじゃあ!」

 

 シンはレイと通信を行いながら、四方を囲んで攻撃を仕掛けて来た四機に対応しようとする。

 しかし、ビームサーベルによる攻撃で翼や背中、腕など、順番に斬られてしまった。

 

「なんだっていうんだ! お前たちは!」

 

 それでもフリーダムの加速で戦場から上に飛びあがって、MA-BBF75 400mm超高インパルス砲「シュトゥルムスヴァーハー」をブラックナイトスコードの一機に向かって放った。

 だが、狙われたブラックナイトスコードはビーム砲を受けながら真っすぐにシンの元へと突進して、所持していたビームサーベルを深く肩口に突き刺すのだった。

 

『キャハハハ! 無駄だよ! 無駄!』

「っ、お、まえは……!」

『あの戦いで私達は絶望したから、今度はお前の番! 落ちなよ! シン・アスカ!!』

 

『シン!!』

 

 レイからの通信もそのままに、シンは落ちていくフリーダムの中で自分に向かってビームライフルを構えるブラックナイトスコードを見やった。

 しかし、森の中に落ちてゆくフリーダムが撃たれる様な事はなく、横合いからビームカッターが内蔵されたシールドが飛んできた為、リデラードは咄嗟に回避行動を取って、そちらの方を見やる。

 真紅と純白のギャンシュトロームが真っすぐに自分たちの方へと飛んでくる光景を。

 

 

「よくも、シンを!!」

『ルナ! 数じゃ向こうの方が上だよ。それに、ビームだって効かないみたい!』

「アグネスっ!」

『冷静になって! キラさんだって、どんな時も冷静だったでしょ! 私だって、私だって、出来る!』

 

 ルナマリアは通信の向こうで、汗をダラダラと流しながらもジッと真剣な表情で戦場を見やるアグネスを見やった。

 その姿に、落ち着きを取り戻して、呼吸をしてから気持ちを整える。

 

 この場においては、アグネスよりもルナマリアの方が実戦経験は多いのだ。

 冷静になるべきなのはルナマリアであったが、それをアグネスに教わる事となり、ルナマリアは自省しながら言葉を連ねる。

 

「数は向こうの方が上、逃げるにしても、敵の目を欺く必要があるわ」

『そうね。私と、ルナと、レイ……って、アスランは?』

「え? そういえば、アスランは」

 

 ルナマリアは疑問に思いながらも、ブラックナイトスコードが襲い掛かって来たため、それどころではなくすぐに対応を始める。

 そして、戦いの中、アスランの事、逃げる為に必要な事を考えていくのだった。

 

 

 ルナマリア達がブラックナイトスコードを相手に、回避を重ねながら戦闘を行っている頃、アスランは自身を操っていた認識阻害から逃れ、一機のモビルスーツと戦闘を行っていた。

 そのモビルスーツの名前はブラックナイトスコードシヴァ。

 ファウンデーション王国にて、最も強いと言われている男である。

 

『無様だな! アスラン・ザラ!』

「何を!」

『救援もなく、たった一人で、この俺の相手をしなくてはいけないとは!』

「その程度の、腕で!」

 

 アスランは突如として始まったシュラとの戦いでも、何ら怯む事なく順調に交戦を重ねてゆく。

 先ほどまでの戦闘とは違い、明確に命を狙ってくる攻撃にアスランは神経をより尖らせてゆきながら対処を行った。

 

「ふんっ! 口だけか」

『なに!?』

 

 アスランが地面に降り立って後退した瞬間、背後から複数の爆発が起こり、背後のスラスターが吹き飛んだ。

 ミサイルがセイバーに着弾する事で起こった爆発に、アスランは驚愕の表情を浮かべながら前のめりに倒れた。

 そして、背後に現れた正面のモビルスーツと同じ機体に、驚きを示す。

 

「おなじ、機体……!?」

『今から死にゆくお前には意味のない情報だが、教えてやろう! 使えぬ兵隊を増やす事よりも、最強たる俺を増やす方が良いと、そう判断した結果だ』

『ここで滅べ、アスラン・ザラ』

 

 二機のブラックナイトスコードシヴァに挟まれ、アスランはもはや助からないと覚悟を決め、ミレニアムへと通信を繋げようとした。

 しかし、ミレニアムへと向かう通信は全て妨害されており、どうする事も出来ないのであった。

 

「これまでか……!」

『まだ、諦めるな!』

「っ!? なに、なんだ!?」

 

 地面にうつ伏せで倒れたセイバーへとブラックナイトスコードシヴァのVIG-E3/M 近接対装甲刀「ディス・パテール」が振り下ろされようとしていたが、それは空中で何かに阻まれた様に止まってしまう。

 それに、何が起きたのかともう一機のブラックナイトスコードシヴァが攻撃を仕掛けると、何もない空間が揺らいで一つのモビルスーツが姿を現した。

 真紅の装甲で身を固めた、潜入・諜報作戦用モビルスーツ……ズゴックである。

 そして、正面のシヴァは防がれたと、後方のシヴァが地面に倒れ伏すアスランに攻撃を仕掛けようとするが、それは正面から放たれたビームライフルと、複数の3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」によって動きを止めてしまった。

 

 攻撃を仕掛ける事で機体を覆っていたミラージュコロイドが解除され、漆黒の機体が世界に姿を見せる。

 

「お、お前たちは……」

『どうやら、ビームは効かないようですね。アレックスさん』

『その様だな。しかし、フェイズシフト装甲を持たない以上、実弾における攻撃はある程度有効だ!』

 

 漆黒の機体、ブリッツのパイロットである若草色の髪を持つ青年二コルは、どこか余裕を持たせたような顔で、真紅の装甲を纏うズゴックに乗るアレックス・ディノへと言葉を向けた。

 アレックスは二コルに応えつつ、両手に持った爪を絡めながらシヴァへと攻撃を仕掛けてゆき、ビームサーベルだけでその攻撃をさばき切れなくなったシュラはコックピットを鋭い爪で貫かれ、爆発する。

 

 その爆発にもう一人のシュラは驚き声を上げようとするが、ズゴックばかりを見ていたシュラは目の前まで迫ったブリッツに対応する事が出来ず、そのままコックピットを中心としてビームサーベルで機体を両断されてしまう。

 

『制圧完了。こちら問題なしです』

『分かった。では急ぎ脱出しよう』

「まて、お前たちは、何だ。何なんだ」

『俺たちの話は後だ。アスラン・ザラ。貴様とここで問答する様な時間はない』

「なに……?」

『核攻撃が迫っているのです。ユーラシア連邦より発射された核ミサイルが、現在こちらの戦場に向かっています。急ぎ離脱しなくては』

「っ! シン達は!」

『既に救援が向かっています。そちらは任せて下さい。今は脱出を』

「……! 分かった!」

 

 アスランは二コルの言葉に強く頷いて、傷ついた機体から外へと脱出した。

 そして、セイバーに手を差し伸べてくれているブリッツの手に乗って、そのままコックピットの中へと飛び込む。

 

 無事アスランを収容した事で、ブリッツとズゴックはすぐに戦場を離れ、近くにある海辺へと飛び込むのだった。

 それから十数秒もしないウチに、アスラン達が居た近くで核ミサイルが着弾し、地形の形を変えるほどの衝撃が起こった。

 ブリッツは荒れ狂う海の中を進み、戦場から遠くへと突き進んでゆくのだった。

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