ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

279 / 289
第274話『まぁ、すべては予測は出来た事だ』

 無事。とは言い難いが……ミレニアムはオーブ連合首長国へと帰還した。

 海中を進みながら、コッソリと入港した為、外から……大気圏外からミレニアムを観測する事は出来ないだろう。

 まぁ、向こうはオーブを常に監視しているだろうから、入港は悟られているかもしれないが。

 

『無事だったか。心配したぞ』

「何とか。という所ですが、荒れ狂う海を泳いできた影響は大きくて、ですな。艦体は損傷が多い為、修復を願いたい物です」

『了解した。機体も酷い状態と聞く。一緒に整備して貰ってくれ』

「はい。助かります」

 

 ミレニアムの艦長であるコノエは、通信でオーブ連合首長国代表首長であるカガリ・ユラ・アスハと対話をしながら必要な事項を連絡していった。

 そして、これからの話を話す前に、ミレニアム、モビルスーツ部隊の管理を任されている責任者のアルバート・ハインラインが彼らの会話に口を挟んだ。

 

「代表」

『で……あー。なんだ? ハインライン大尉』

「核動力の機体を、モビルスーツ部隊へと配備する必要を感じます」

『核動力? それは、それだけの事態が発生している。という事か?』

「はい。モビルスーツ部隊の隊長であるアスラン・ザラの話では、敵のエース機は全て核動力であり、彼らが出撃させた機体の他にも機体は多くある可能性があると」

『なるほど……それは厄介だな。ふむ……アスラン・ザラを呼んでくれ』

「既に待機しております。代表」

『なに?』

「皆を中へ」

 

 コノエの言葉を合図としてブリッジへの扉が開かれ、モビルスーツ部隊の面々が中に入って来た。

 そして、モニターに映るカガリを見やる。

 

『なるほど。これは既定路線か。アルバート・ハインライン』

「えぇ。代表ならば、彼らの意見を伺うと思い、呼んでおりました」

『助かる。では問おう。貴君らは核動力の機体を操る覚悟はあるか? この世に核動力の機体はそれなりにある。だが、コンパスの面々がそれを使用するという事は、キラと同じ、そのエネルギーを平和の為に使うという意志を世界に示すという事だ。私利私欲の為に使う事は許さん』

「あぁ」

「分かってます。代表。けれど、従来のモビルスーツじゃ太刀打ちできない」

「ファウンデーションをこのまま放置したら、連中の好きな平和になっちゃう。セナちゃんの理想を利用してさ。私はそれが嫌なの」

「よろしくお願いいたします。代表。このまま負けて終わる事は出来ません」

 

 カガリの問いに、アスラン、ルナマリア、アグネス、レイと応え……カガリはふぅと息を吐き出してから笑う。

 まるでその答えを待っていたかの様に。

 

『まぁ、すべては予測は出来た事だ』

「カガリ?」

『アスランに与えたセイバーはプラントと連合、オーブの技術の粋をかき集めた機体。フリーダムとジャスティスも同様だ。それに、ギャンに関してはプラントの自機主力モビルスーツをエース様にカスタマイズした機体。容易く敗北する面々ではない。というのに、ほぼ全滅と聞いた。貴君らの腕を考えても、敵が核動力の機体を複数動かしていた事は間違いない』

「……」

『だからな。既に各地へと話を向けて、用意していたのだよ。核動力の機体を』

「え」

 

 カガリが答えを示すと同時にモニターの一部に格納庫の機体を映す。

 フェイズシフト装甲が採用されている為、灰色の機体ではあるが、かつて彼らが使っていた機体を。

 

「これは……! インフィニティジャスティスか!」

「デスティニーにレジェンドもある。これはプラントの研究所に封印されていた筈では?」

『あぁ。君達の敗北を聞いてから、プラントにすぐさま連絡を取ってね。ある男がこれらを手配してくれたらしい。幽閉されている癖に、無茶をする。「私の息子が、そんなに容易く負けるものか」だそうだ。この機体なら、勝てるか? レイ』

「……ギル。ありがとうございます。勝ちます! レジェンドならば、勝てます!」

『そうか。それは良かった。向こうにもそう伝えておこう』

 

 カガリはどこか満足げな顔を浮かべて残る二人にも目をやる。

 

「インパルスに、デスティニー。どうする? アグネス?」

「インパルスも核動力に換装されてるんでしょ? なら、ルナが乗れば良いじゃない」

「まぁ、アグネスが良いのなら良いけどさ。アグネスはデスティニーに乗るの?」

「まさか。私にはギャンがあるわ。私のギャンは修理すればすぐに動かせるしね。ま、その過程で核動力にはして欲しいけど。出来るの? 代表さん」

『あぁ。こちらとしては構わないが……その話だとルナマリアはインパルスに乗るのか?』

「はい。慣れている機体なので」

『そうか。では……デスティニーは』

 

「「「ミレニアムに搭載してください」」」

『う、ぉ。声を揃えて来たな。しかし、パイロットが居ないんだろ?』

「居ますよ。とっておきのパイロットが」

「シンがこのまま消えるとは思えません。必ずここに戻ってきます」

「あの山猿以外に、デスティニーを動かせる奴なんか居ませんよ」

 

 信頼をそのまま口にした様なルナマリアとレイとアグネスの言葉に、カガリは了承を返して、全ての機体を整備してミレニアムへと運ぶと約束した。

 そして、これにて会議は終了となり、彼らは各々にやるべき事に向けて動き始める。

 

 

 ミレニアムがオーブへと到着してから二日後。

 遂に、軌道上より通信が地上の各国へともたらされた。

 それは、カガリたちにとって既定路線であり、そのための準備も既に行っている。

 

『私はファウンデーション王国宰相。オルフェ・ラム・タオだ』

『この様な放送をする事となり、私自身驚いている』

『だが、皆に事実を伝える必要があった為、こうして通信を繋げた』

『まずは事実から伝えよう。我々は、世界を支配するつもりだ』

 

「なに? デスティニープランの強制ではないのか?」

 

『この様に言えば、我らを悪と断じる者達が居るだろう。私はそれで構わない。何故なら、私は《彼女》の願いを叶える為ならば、悪で構わないからだ』

 

 オルフェは淡々と声明を告げながら自分が乗っている戦艦の様子を世界に映す。

 内部構成は見せないが、親衛隊ブラックナイトスコードの面々と、艦長席に座っている女王であるアウラ・マハ・ハイバル。そして……。

 

「なっ!? なん、だと……!?」

「カガリ! これは!」

「ユウナ。すぐに映像を解析させろ! この映像は、本物なのか!?」

「あ、あぁ。任せてくれ!!」

 

 カガリと共に見ていたユウナは急いで会議室より出て行って、映像の解析を始めた。

 そして、遺されたカガリは戦々恐々とした顔のまま、ニッコリと微笑む少女を見やる。

 酷く見慣れた妹……セナ・ユラ・アスハの顔を。

 

『今、手に取る様に分かる。世界が混迷に包まれている事が。彼女は本物なのか。この映像は本物なのか。とね。だが、ハッキリと言おう! 彼女、セナ・ユラ・アスハは本物だ! 諸君らのよく知る彼女そのものである!』

 

 オルフェの言葉に、世界が歓声を上げた。

 ずっと待ちわびていた人が帰還したという事実に、絶望の中に居た者達は喜びの声を上げ、オルフェの言葉に集中する。

 彼がセナを立てて進むのであれば、かつての戦いでセナを生かす為にデスティニープランを否定してしまった者達は戦う覚悟があるとでも言う様な顔で。

 

「これは……マズいことになった」

「キラ・ユラ・アスハの居場所は」

「っ! それは」

「もはや一刻の猶予もない。かつてはキラとセナの戦いであったから世界が割れたのだ。セナしかいないのであれば、我らに勝ち目など無い!!」

 

 ギナが叫ぶ言葉に、カガリは顔を青ざめさせながらすぐに宇宙に居るラクスへと連絡を送る。

 向こうの居場所も距離も分からない為、一方的なメッセージ送信とはなるが、それでも映像を見て欲しいと伝えた。

 

『では、改めてもう一度言おう。我々は支配者である。世界を支配する。悪として』

『だが、セナ様が我らと共にあるからと言って、貴君らが納得する事はないだろう。セナ様に自由をと叫ぶ筈だ』

『そう。私はそれも理解している。だから……我らはあくまでシステムの守護者として立つつもりだ』

『何のシステムなのか。等と問われる事は無いだろうが、あえて言おう! ここで! 世界を絶望から救い出し、人類を新たなる世界へと導く!』

『これこそが繰り返される悲劇を止める唯一の方法! 人類存亡をかけた、最後の防衛策! デスティニープラン!!』

『私はセナ様の下、ここに導入実行を宣言する!!』

 

 オルフェは高らかに、デスティニープランの導入を宣言し、それに、世界中の人々が沸き上がった。

 声を上げ、喜びを示した。

 

 待ちに待った時が来たのだと。

 この時をずっと待っていたのだと。

 歓喜に体を震わせて、持っていた物を振り上げ、セナの名を呼ぶ。

 

 導入の可否など聞く必要はない。

 何故なら、政府関係者を除き、民衆はデスティニープランを求めていたからだ。

 デスティニープランを導入して世界を平和にしたいと願う小さな少女の帰還を待ちわびていたからだ。

 

 それが良いのか悪いのか。

 彼らは思考しない。

 何故なら、セナがそれだけの実績を世界に積み上げてきたからだ。

 

 己の理想ばかりを押し付ける者達から、世界を護るために戦い続けて来たからだ。

 たった二人で。

 可憐な少女が己を傷つけながらも、世界の為にと戦ってきたからだ。

 その実績がある限り、セナの目指す先には素晴らしい世界があると、彼らは信じて疑わないのだ。

 

 そう。

 これこそがファウンデーション王国の目指した目的。

 コンパスを壊滅させ、ラクスを奪い、声を潰す。

 同時に、アスランやシンを倒す事で、セナに対抗しようとする者達を世界から無くす事が彼らの目的。

 

 だから、彼らの行動は限りなく、間違いなく、用意された道を正しく真っすぐに進んでいた。

 そう。

 この瞬間までは……。

 

『ザザ……何度、花が散っても。いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ、きっと』

『来たか……!』

 

『デスティニープランは人の未来を奪うものだ。希望を世界から奪ってしまう。だから……自由の為に、僕は戦うよ』

『キラ・ユラ・アスハ!』

 

 蒼と白のパイロットスーツを着て、ストライクフリーダムのコックピットに乗りながら、キラは真っすぐにモニターを見ながら喋る。

 その言葉に、世界はセナが帰って来た時と同じ様に、揺れるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。