猛攻を続けるリボンズ・アルマークは、キラの駆るストライクフリーダムを追い詰めながら、連れて来た子供達と連携をする。
戦闘訓練を積んできたであろう子供達は並のパイロットよりも遥かに優れていて、正確にキラを狙って狙撃するのだった。
「くっ! こんな!」
『多数に仕掛けられるのは卑怯かい? 罵ってくれて構わない! 構わないとも! 敗者の戯言は愉快だからね!』
「誰が! どれだけの敵が来ようと!!」
キラはストライクフリーダムに搭載されたドラグーンシステムを開放する。
ヴォワチュール・リュミエールを展開して、光の翼を生み出しながら周囲に居る者達へとビームを放った。
だが、彼らもスーパーコーディネーターであるため、既にドラグーンシステムには対応しており、それらの攻撃を防ぐか、避け、決定打にはならないのだった。
そして、一瞬であるが、ドラグーンシステムを展開する為に動きを止めたストライクフリーダムにリボンズは急接近してビームサーベルを振り下ろした。
『そんな攻撃は効かないよ! キラ・ユラ・アスハ!!』
「だとしても!」
『やらない理由にはならない。かい!? 君らしい言葉だ。しかし、この状況ではそんな言葉も虚ろだな!』
「くっ!」
『君に僕の力を教えてやろう! ファング!!』
リボンズがキラを強く弾き飛ばしてから、自機よりドラグーンシステムによく似た赤い自動攻撃装置を発射する。
キラはそれから放たれるビームを交わしながらそれを撃ち抜こうとするのだが。
ドラグーンシステムによく似たファングと呼ばれる武装は、かつてレイがレジェンドにて使っていた兵器と同じ様にビームサーベルを展開しながらキラに突撃してきたのである。
咄嗟にそれをかわすが、翼の一部を破壊されてしまい、体勢を崩してしまう。
その隙にリボンズはさらに追撃を行うようにビームライフルや、自機の武装を放ちつつ、ビームサーベルを振り上げて突撃してくるが。
キラはそれらによって傷つきながらも必死にリボンズのビームサーベルを受け止めていた。
『ハハハ! 一方的に追い詰められるのはどんな気分だ! キラ・ユラ・アスハ! 所詮は偽りの救世主! 追い詰められれば何も出来ん! 一人では何も出来ん! やれ! お前たち!』
リボンズの言葉に、周囲にいた子供達の攻撃はより苛烈になってゆく。
ビームライフルが幾多も向けられ、四方からビームサーベルを持った者達が突撃してくる。
いくら戦闘経験が豊富なキラであっても、これらの攻撃を捌き続ける事は難しかった。
しかし、それでもキラはこの戦いが続く限りは負ける意志など示すつもりはないのだ。
戦うつもりでいる。
例え、ここで命を落とす事になろうとも。
敗北宣言だけはするつもりが無かった。
そして。
キラがリボンズ達と戦闘を行っている頃。
ラクス達はアルテミスを脱出し、ミレニアムに帰投していた。
「艦長! 放送を! メイリンさん!」
「はい。キャバリアーアイフリッド内で既に準備は完了しています!」
『こちらも準備は終わっています。総裁!』
「ありがとうございます。では……!」
ラクスはミレニアムの艦長であるコノエと、ズゴックと共に潜入調査を行っていたキャバリアーアイフリッドの担当であるメイリンの言葉に頷いて、コホンと軽く咳払いをしてから語り始めた。
ファウンデーション王国がやっていた様に。
全世界へ向けて。
「皆さん。
「現在、
「
「ですが、ここで一つ。ハッキリと宣言しておきます」
「
「キラも、平和への意志を変わらずに持ちながら、今も戦っています」
ラクスはキラから託された映像や、キラが今戦っている所。
それに、かつてキラがファウンデーション王国の艦隊へと特攻を仕掛けた映像などを世界に公開する。
あの時の戦いは、ファウンデーション王国より世界に公開されなかった映像だが、ラクスはファウンデーション王国内部に囚われていたミーアが取得した映像をこうして世界に向けて流しているのだ。
ラクスが捕まっているという事実をファウンデーション王国に与え、さらには居場所を発信し続けながら必要な情報を収集する。
この間にもラクスは自由に行動する事が出来たため、デュランダル元議長が囚われている場所へと向かい、デスティニーとレジェンドを開放したり。
メンデルへと向かい、キラ達と作戦を共有したりとしていた。
全てはこの時の為に。
だから、ファウンデーション王国の行動は全て予測通りであり問題は無いのだが。
キラが彼らを討つ事で終わらせようとした戦闘は、リボンズがガンダムでキラに争いを仕掛けた為、狂ってしまっていた。
「
「セナ様の理想が優しく、柔らかく、心地よいのは分かります。彼女はそれだけのヒト」
「ですが、そんな彼女に責を負わせて、世界を背負わせて、皆さんはそれで良いのですか!?」
「
「責任を、あの小さな少女に押し付けるべきではない」
「この言葉は酷く冷たく、苛烈に聞こえるでしょう」
「しかし、この世界に居る
「セナ様の語る優しく、穏やかな世界に身を委ねてはいけません」
「あなたの人生は、あなた自身が決めるべきモノなのですから」
「生きる責任は、自分で負うべきです」
「それが、生きる人間という物です」
ラクスは世界に向けて言葉を放ってから、通信を切ってすぐにブリッジにいるハインラインへと通信を繋げた。
「
『ありがとうございます。総裁』
「ですが、戦後を迎える為には、戦いに勝たねばなりません。今のままではキラは勝てない。プラウドディフェンダーは動かせますか?」
『マニュアルでのドッキングは可能です。しかし、それをする為にはストライクフリーダムとプラウドディフェンダーが近づく必要があります。彼女の帰還は』
ハインラインの言葉に、ラクスはキラの戦闘を映したモニターを見やった。
複数の機体から受ける攻撃によって傷ついてゆく攻撃。
そして、ファングによって削られてゆく体。
リボンズのビームサーベルを受ける事で、切り裂かれる装甲。
限界という言葉がこれほど似あう状況も無かった。
「キラは戻れません。
「はっ!? ラクスが、戦場へ!?」
「えぇ。その方が早い。ハインラインさん。マニュアルドッキングの準備をお願いします」
『っ! 了解しました』
「駄目だ! 戦場へ向かうなんて、危険すぎる! 総裁であるのならば、ここで指揮を! プラウドディフェンダーは別の物が!」
アレックスは言葉と共にラクスの肩を掴んで、動きを止めようとしたが、傍に立っていた二コルがアレックスの腕を捕まえる。
そんな二コルの行動に、アレックスは驚きながら二コルの方を見やった。
「行かせてあげましょう。今、誰よりもキラさんを心配しているのはラクス様なんです」
「しかし……!」
「例え、どれだけ危険だとしても、命を懸けてでも、叶えたい願いを持つ人は居るんです。アレックスさんも、それは知っているでしょう?」
アレックスはキラとの思い出を蘇らせながら、クッと小さく声を漏らした。
そして、そんなアレックスの後ろにいた男たちは決意を口にする。
「出撃するのなら、俺が護衛してやろう」
「シュラさん……!」
「私も行く。イングリットも頷く筈だ。愛を奴に見せつけてやるんだろう? ラクス・クライン」
「えぇ。かつての戦いと同じ様に。
「了解した。では、私も行こう。アレックス。嫌だろうが、アスランの護衛に向かってくれ。奴一人では対応できない程に、シヴァは強い」
「……お前たちでは」
「駄目だ。私達は、やるべき事がある」
オルフェは短くアレックスに告げてから、急ぎ自分の機体へと向かう。
そして、シュラも二コルも。
「二コル……!」
「申し訳ないですけど。僕もやる事があるんです。先ほどイザークとディアッカから通信が入りました。彼らの戦場に参加します。世界は自由でよいと願う。平和のプラントの代表として」
「……そうか」
アレックスはずっと友として立っていた二コルに断られ、二コルと共にメイリン達も出撃するのを見送ってから、ギュッと握りしめていた拳を振り払って、自分の機体へと向かう。
『ラクス・クライン、行きます!』
そして、ラクスのすぐ後に出撃するべく覚悟を決めるのだった。
「……もういい加減。奴と向き合うべきか」
『ズゴック発進位置へ……どうぞ!』
「アレックス・ディノ! ズゴック!出る!!」
アレックスは強く決意を口にしながら艦の外へと飛び出した。
そして。
ラクスの行った世界放送は思わぬ者達にも届いて、動くべき方向を示す。
「今の放送! ジゼルさん! ラクス様! ミレニアムに戻って来たんすよ!」
「そうみたいね……! なら、私達もミレニアムに」
「えぇ! 俺も何かモビルスーツを借りて、戦場に向かわないと! レイ! ルナ! アグネス! 待ってろよ!」
シンは戦場から少し離れた場所よりミレニアムに向かってシャトルを加速させる。
ミレニアムにはシンが帰還しようとしていると告げて、急いで自分のするべき事を求めて機体を走らせるのだった。