ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第43話『PHASE-2『その名はガンダム1』』

 プラントを離れ、ヘリオポリスへと向かう『ナスカ級高速戦闘艦:ヴェサリウス』の艦橋で仮面の男、ラウ・ル・クルーゼは本国より渡された資料を見ながら一人呟いた。

 

「ふむ」

「どうかなさいましたか? 隊長」

「いや。やはり奇妙だなと思ってな」

「奇妙、でありますか」

「あぁ。連合はモビルスーツを開発したワケだが……コレをどの様に運用するのか、と思ってな」

「運用……?」

「三機のモビルスーツを開発したとて、ヘリオポリスへ置いたままでは何の役にも立たんだろう?」

「つまり、G兵器を運ぶための母艦もヘリオポリスで建造されていると?」

「そう考えるのが自然だろう。しかし、そうなると、何故オーブから流れてきた情報には母艦の情報が無いと思う?」

「……まさか、隠されていた?」

 

 クルーゼの言葉にアデスはハッとした顔になり、答える。

 その言葉にクルーゼは軽く笑みを作りながら頷いた。

 

「おそらくはな。そして、母艦が隠されていた以上、別の何かが隠されている可能性も高い。というワケだ」

「それは、確かにそうでありますが……であれば本国へ増援を要請しますか?」

「まさか。一応ヘリオポリスは中立だ。派手な戦争は出来んだろう? ただし、作戦の調整は必要だと私は思うのだ」

「そうですね。私も同意見です」

「では、ヘリオポリスの図面を出してくれ。母艦の位置を特定する」

「ハッ!」

 

 それからクルーゼたちは作戦を組みなおし、潜入するアスランたちにまずは母艦の破壊を命じた。

 そして、モビルスーツが3機だけでない可能性も伝え、状況を確認しながら、作戦を進める様にと。

 

 

 C.E.(コズミック・イラ)71年1月25日

 

 クルーゼが作戦を再調整してから数日。

 クルーゼ隊はヘリオポリスへと接近し、先行してアスラン達潜入部隊を送ってから、ヴェサリウスと『ローラシア級MS搭載艦:ガモフ』をヘリオポリスへと接近させた。

 それと同時にモビルスーツ、ジンを全機出撃させる。

 

 しかし、そんなZAFTの動きに呼応する様に、ヘリオポリスから偽装した地球連合軍の艦艇がモビルアーマー:メビウスと、地球連合軍が一部のパイロット用に少数生産した特殊機であるモビルアーマー『メビウス・ゼロ』を出撃させた。

 メビウス・ゼロには『ガンバレル』と呼ばれる4基の有線式遠隔誘導兵器が備わっており、ジンですら侮ってはいけない相手である。

 そう。メビウス・ゼロに乗っているのは地球連合軍のエースパイロットなのだ。

 

『出てきたな。作戦通り、オロールとマシューはヘリオポリスへ先行しろ。ここは俺とカナードで相手をする!』

『『了解!』』

『じゃ、まずは俺から行くぜ!』

『おい! バカ! 隊長の言葉を忘れたのか!? 無茶すんなって言ってただろ!』

 

 ヴェサリウスを発進し、モビルアーマーを発見したカナードはラウから預けられたジンカスタムを一気に加速させ、白い流星を宇宙に描き出す。

 そのあまりの加速に、メビウス・ゼロのパイロットである『ムウ・ラ・フラガ』は舌打ちをしながら、部下たちに状況を素早く伝えた。

 

『チッ! コイツ! カスタム機だ! ゲイル! ルーク! 無茶をするな! 突っ込んでも天使の加護は貰えんぞ!』

『フラガ大尉! もう一機! オレンジのジンが!』

『もう一機居るのかよ! くそっ! どうなってんだよ! 情報が筒抜けじゃねぇか!』

 

 ムウは現状に文句を言いながらも、『ガンバレル』を展開し、カナード、ミゲルのジンを囲いながら攻撃を仕掛けるが、ZAFT軍モビルスーツの中でも特に機動性が高い二機には攻撃が当たらす、全てかわされてしまう。

 そして、互いに攻撃の当たらない中、それでも懸命に戦闘を続け、遂には母艦と僚機であるメビウス二機も失ってしまうのだった。

 

『うわぁぁああ!! 助け、天使様……!』

『ゲイル!! クソっ! 艦も落ちちまったし! もう限界か!』

 

 ムウは舌打ちをしながらも、ひとまず生き残る為にヘリオポリスの中へと飛び込んでいった。

 そんなメビウス・ゼロを追いかけようと、カナードは機体を加速させようとしたが、ヴェサリウスから通信が入る。

 

『カナードは一度母艦に戻れ。ミゲルは内部へ侵攻! 思っていたよりも連合軍の抵抗が激しいようだ』

『了解』

『おい! なんで俺は戻れなんだよ! 俺も行くぞ!』

『無茶を言うな! その機体は損耗が激しいんだ。整備しなければ爆発するぞ!』

『でも、ラウは!』

『お前は隊長よりも腕利きだとでもいうつもりか!? 良いから大人しく戻れ。整備が終わればまたすぐに出られる』

『チッ! 分かったよ! でも、ミゲルだけで大丈夫なのか? 増援は』

『問題ない』

『私が出るからな』

『ラウが出るのか!』

『あぁ、どうやらいささか煩いハエが飛んでいる様だからな。アデス。外は任せた』

『ハッ! ご武運を』

『あぁ。ラウ・ル・クルーゼだ。シグー、出撃するぞ!』

 

 帰投するカナードと入れ替わる様にして飛び出した『ZGMF-515:シグー』と呼ばれる機体は、ジンの正式な上位機種であり、機体のスペックを全体的にバランスよく向上させた機体である。

 しかし、その分扱いは難しく、量産におけるコストも高い為、現在は隊長クラスにのみ与えられている物であった。

 

 そして、それは開戦当初より戦果を挙げ続けているクルーゼにも当然配備されており、クルーゼはパイロットスーツも着ないまま隊長服でシグーを操り、コロニー内へと消えていったメビウス・ゼロを追っていった。

 

『さて。まさかあの男まで居るとは思わなかったが……このコロニーに何がいるやら』

 

 クルーゼは独り言を呟きながらコロニー内へ突入し、周囲を索敵しながら進んでゆく。

 宇宙艦を受け入れるドッグから内部へと進み、迷路の様に複雑に入り組んだ資源採掘エリアを奥へ向かっていたクルーゼは頭に煌めく様な直感を受けて、機体を急制動させた。

 瞬間、シグーが進んでいた場所にオレンジ色のレールガンが通過し、それがメビウス・ゼロによる攻撃だとクルーゼは一瞬で理解する。

 

『やはり、お前か! ムウ・ラ・フラガ!』

『チッ! やっぱりお前かよ! ラウ・ル・クルーゼ!』

 

 二人は通信を繋がずとも、意識を共有し合い、互いを罵り合った。

 今日、ここに来るまでの積み重ねられた因縁を、示す様に。

 

『私がお前を感じる様に……お前も私を感じるか! 不幸な宿縁だな……ムウ・ラ・フラガ!』

『クルーゼの奴まで出てくるとはな! この分じゃ! まだ戦争を終わらせたくない奴がいるみたいだな! キラ! セナ! お前らの理想はまだ遠そうだぜ!』

『む? なんだ? この感覚は、酷く懐かしい……いや、しかし、ここに彼女たちが居る筈が』

 

 クルーゼはムウから感じていた直感に、懐かしいノイズが混じるのを感じた。

 それはまるで、コロニーの中に懐かしい妹たちの気配を感じる様で。

 強くそれを探ろうとするが、既に多くの犠牲者が出ているヘリオポリスでは、死者の念が宇宙に混じってしまい、上手く探す事が出来ない。

 

『コイツだけでも! ここで落とさなけりゃな! 偉そうな事言えないぜ!』

『いや、だが。あり得る筈がない。オーブが彼女たちを切り捨てる理由など無い。あの子達は、オーブ本国で平穏に過ごしている筈だ。平和な世界で……』

『うぉぉおお!!』

『チィ!』

 

 クルーゼが一瞬、戦闘から思考を外した瞬間、それを読んでいたかの様にメビウス・ゼロは『ガンバレル』でシグーの肩を狙撃する。

 ギリギリで反応したクルーゼが少し機体をずらした事で肩の装甲に弾かれたが、もう少し反応が遅れていたらシグーの左肩は破壊されていただろう。

 クルーゼはひとまず目の前の男を落とさなくてはと意識を集中させた。

 

『まったく! お前はいつでも邪魔だな! ムウ・ラ・フラガ! もっともお前にも私がご同様かな!?』

 

 先ほどまでの動きと変わり、ムウへ意識を戻したクルーゼはシグーを操り、メビウス・ゼロのガンバレルを一つ、また一つと破壊してゆく。

 そして、全てを破壊し終えてから本体へと銃口を向けた。

 

『この辺で消えてくれると嬉しいんだがね……! ムウ!』

『チッ! な、なんだ!? これは!』

『コロニーの内部へと入ってしまったか……!』

 

 メビウス・ゼロへと銃口を向けた瞬間、二人が居た戦場は眩いばかりの閃光に包まれて、シグーと全てのガンバレルを破壊されたメビウス・ゼロはヘリオポリスのコロニー内へと飛び込んでいった。

 その一瞬の環境変化に、クルーゼは攻撃を中断し、その隙にメビウス・ゼロは一気に加速して、ヘリオポリスのコロニー深部へと逃げてゆくのだった。

 

 しかし、クルーゼはメビウス・ゼロを追う事よりも、作戦を優先させ、地上の様子をモニターに移した。

 ミサイルによる激しい攻撃で、モルゲンレーテを中心とした多くの場所から火の手と黒煙が上がっており、凄惨な状況である。

 

『どうやらイザーク達は成功した様だな。問題は』

 

 そんな戦場の中で、空のトラックを三台発見したクルーゼはそれがイザーク達の戦果だと理解し、それからさらに上へと視線を向け、二機の白いモビルスーツへと視線を向けた。

 やや離れた場所に居る二機のモビルスーツはそれぞれZAFTのモビルスーツ、ジンと交戦しており、奪取に失敗したのだとクルーゼは即座に理解する。

 

『しかし、やはり3機以外にもモビルスーツは隠されていた。では、ここまでの展開は既に何者かの手のひらの上というワケか。厄介だな』

 

 クルーゼは己が描く未来に向けて、何をするべきか思考しながら、地上の戦闘を観察する。

 連合のモビルスーツは『フェイズシフト装甲』と呼ばれる装甲を展開している様で、実弾兵器は意味がない様であった。

 最初にオロールとマシューのジンが機能を停止し、ミゲルのジンが高機動戦闘を仕掛けるが、白と青のモビルスーツが未来でも見えているかの様にミゲルが移動する先へ移動して、ミゲルのジンを蹴りつけた。

 

 戦い慣れている。

 クルーゼは二機の戦いを見ながら白と青のモビルスーツを脅威と感じた。

 そして、ミゲルのジンが片腕を失い、オロールとマシューを回収しながらコロニーの外へ向かった事で、クルーゼもヴェサリウスへと帰還するのだった。

 

 どうやら作戦を立て直す必要がありそうだと考えながら。

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