ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第51話『PHASE-6『消えるガンダム1』』

 無事ZAFTからの追撃を逃れ、地球軍ユーラシアの軍事要塞アルテミスへと逃れたアークエンジェルは、アルテミスの指示に従い、艦を要塞の中へと移動させた。

 

 軍事要塞アルテミス。

 それは、辺境の小惑星に作られた基地ながら、その傘と呼ばれる、光波防御帯に守られ、未だ、難攻不落の拠点である。

 

 そして、アルテミスの中に入る事で、マリュー達は地球連合軍という組織が一枚岩ではないという事を実感するのだった。

 

「少佐殿! これは!?」

「お静かに願いたい。艦長殿」

 

 そう。

 アークエンジェルの臨検官としてやってきた男たちは、自動小銃で武装した者達をアークエンジェルの艦内に招き入れ、その小銃をアークエンジェルのクルー達に向けたのだ。

 

「ビダルフ少佐! これはどういうことか説明していただきたい! 我々は……」

「保安措置として艦のコントロールと火器管制を封鎖させていただくだけですよ」

「封鎖?……し、しかし、こんなやり方」

「貴艦には船籍登録もなく、無論、我が軍の識別コードもない。状況などから判断して入港は許可しましたが、残念ながら、まだ友軍と認められたわけではありませんのでね」

「しかし……!」

「軍事施設です。このくらいのことは、ご理解いただきたいが?」

「……」

 

「では、士官の方々は私と同行願いましょうか。事情をお伺いします」

 

 そして、ブリッジより大尉であるマリューと少尉であるナタル。格納庫より大尉であるフラガがアルテミス内部へと連行される事となった。

 残されたクルーは食堂に集められ、そのまま入り口を武装した兵に塞がれ、そこから動く事が出来なくなる。

 

 事前にフラガから地球連合軍の軍服ではなく、ヘリオポリスで着ていた私服に着替える様に言われていたキラ、セナ、オルフェは民間人の中に紛れる事が出来たが、トール達はブリッジクルーであった為、軍服を纏ったままであり、軍人としてやや雑な扱いで食堂へと連行されてしまうのだった。

 無論、トール達は平均的なオーブ国民である為、キラ達が傷つかなかった事に喜びを感じていたが、キラ達は自分たちのせいでトール達が傷付いてしまったと気持ちを下げる。

 

 

 そんな流れで完全に制圧されてしまったアークエンジェルであるが、アルテミスの指令室ではジェラード・ガルシア少将が策謀を巡らせていた。

 

「大西洋連邦。極秘の軍事計画か……よもやあんなものが転がり込んでこようとはな」

「ヘリオポリスが噛んでるという噂、本当だったようですね」

「しかも天使様が見守って下さっている様だしな。是非我らもその恩恵に預かりたいものだ」

「えぇ。まったくです」

「ふむ。連中にはゆっくりと滞在していただくことにしよう。そのまま天使様は……」

 

『失礼します。不明艦より、士官3名を連れて参りました』

「入れ」

 

 そして密談をしていたガルシアと副官は、部下の報告を聞き、壁に映していたアークエンジェルとストライクやセイバーの映像を消して、扉の方に向き直った。

 それから入って来たマリュー達の事情を聞き、ID等の確認を行うのだった。

 

 

「ふむ。マリュー・ラミアス大尉、ムウ・ラ・フラガ大尉、ナタル・バジルール少尉か……。なるほど、君達のIDは確かに、大西洋連邦のもののようだな」

「お手間を取らせて、申し訳ありません」

「いや、なに……。輝かしき君の名は、私も耳にしているよ。エンディミオンの鷹殿。グリマルディ戦線には、私も参加していた」

「おや、ではビラード准将の部隊に?」

「そうだ。戦局では敗退したが、ジンを5機落とした君の活躍には、我々も随分励まされたものだ」

「ありがとうございます」

 

「しかし、その君が、あんな艦と共に現れるとはな」

「特務でありますので、残念ながら、子細を申し上げることはできませんが」

「なるほどな。だがすぐに補給をというのは難しい。それはご理解いただきたいがね」

「我々は一刻も早く、月の本部に向かわなければならないのです。まだ、ZAFTにも追われておりますので……」

「ZAFT? それほどの脅威かね? 君たちには大いなる天使の加護があるのだろう?」

「……何の事を仰っているのか」

 

「先ほどの戦闘はこちらでもモニターしていた。メビウス・ゼロの他に見慣れない機動兵器が二機、いただろう? モビルスーツという名前の」

「……」

「是非、我らにもご紹介いただきたいがね。地球の救世主殿を」

「残念ながら、我々からお伝え出来る事は何もありません」

「ふむ。まぁ、話せぬという事であれば仕方ない。後は我らで直接お話させて頂くとしよう」

「司令! オーブを刺激する様な行動はお控えください!」

「ふ、ふふ。そう興奮しなくても。無茶はせんさ。ただ、姫君の加護を我らも得たいだけだからな」

 

 

 それからマリュー達は貴賓室へと案内され監禁されてしまう。

 そして、ガルシアは部下を連れて、アークエンジェルのクルーを集めているというアークエンジェルの食堂へと向かうのだった。

 

「この艦に積んであるモビルスーツのパイロットと技術者は、どこだね?」

「パイロットと技術者だ! この中に居るだろ!」

 

 副官の怒鳴りつける様な声に、ヘリオポリスの避難民たちが怯えた様な顔を見せ、その横暴な態度にキラが椅子から立ち上がろうとした。

 しかし、そんなキラの肩を強くフレイが掴み、椅子に押さえつける。

 

「フレイ……!」

「静かにしなさい。アンタは目立つんだから」

 

 そして、セナの肩はオルフェが押さえつけ、二人の前にはヘリオポリスの避難民たちが集まり、壁を作ってガルシア達から見えない様にした。

 そんな平均的なオーブ国民の動きに、キラは申し訳なさと焦りを感じてしまう。

 

「何故我々に聞くんです?」

「なにぃ?」

「艦長達が言わなかったからですか? それとも聞けなかったからですか?」

「なるほど。そうか! 君達は大西洋連邦でも、極秘の軍事計画に選ばれた、優秀な兵士諸君だったな」

「……ストライクとセイバーをどうしようってんです」

「別にどうもしやしないさ。ただ、せっかく公式発表より先に見せていただける機会に恵まれたんだ。それで? パイロットは?」

「フラガ大尉ですよ。お聞きになりたいことがあるなら、大尉にどうぞ」

「先ほどの戦闘はこちらでもモニターしていた。ガンバレル付きのゼロ式を扱えるのは、あの男だけだということぐらい、私でも知っているよ。それにモビルスーツは2機いただろう? まさか一人で二機のモビルスーツを動かせる。等という事もあるまい」

 

 ガルシアはあざける様な笑みを浮かべてから、壁の隅に集まる不自然な一団を見つけた。

 マリュー達の話で、ヘリオポリスの避難民を収容していたという頃を思い出したガルシアは、『天使』を呼び寄せる事にした。

 

「ふむ。では仕方ない。パイロットについては諦める事にしようか。しかし、そうなったら次はスパイの調査をしなくてはいけないな」

「……スパイ?」

「そう。この艦にはヘリオポリスの避難民が居るのだろう? だが、その中にコーディネーターのスパイが居ないとも限らん。一人一人。隅々までしっかりと調査しなくてはいかんだろう?」

 

 ガルシアはニヤニヤと不快な笑みを浮かべながら避難民の一人である幼い少女に手を伸ばそうとした。

 しかし、その手が届くよりも前に、一人の少女が避難民の中から声を上げる。

 

「待って下さい!」

「……セナ」

「大丈夫です。お姉ちゃんの事をお願いします」

 

 セナはオルフェにキラの事を託し、セナを見つめる多くの視線を受けながらガルシアの前に移動し、ガルシアが手を伸ばした少女の前に立つ。

 

「私が、ストライクセイバーのパイロットです」

「ほぅ。はじめまして。ですかな。セナ・ユラ・アスハ姫様」

「……私の名前を知っていたのですね」

「えぇ。無論ですよ。地球に住まう者で、セナ姫様とキラ姫様のお二人を知らぬ者はおりませんよ。かの『エイプリル・フール・クライシス』から地球を守った英雄。地球の救世主」

 

 ガルシアは言葉こそ丁寧であるが、明らかに不遜な態度でセナを見下ろしていた。

 しかし、そんなガルシアにもセナは、無表情で言葉を向ける。

 

「それで。私に何か御用でしょうか」

「えぇ、無論。色々とお願いしたい事がありますとも」

「お願い、ですか」

「我らにも、大西洋連邦と同じ様に力を授けて頂きたいですな。コーディネーターと戦う為の力を」

「残念ですが。私は彼らにその様な力を託した事はありません」

 

 セナの言葉にガルシアはハッと鼻を鳴らし、笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「何を仰るかと思えば! モビルスーツは兵器ではないですか! それに『ニュートロン・ジャマー・キャンセラー』だって核兵器を再び使用できる様にする物だ! それは敵を殲滅する為の力でしょう!」

「違います。私たちは平和を導くために」

「兵器が平和を作る事など出来ませんよ! 出来るのは敵を殺す事だけだ。そのくらい姫様にもお分かりでしょう?」

「……」

「まさか知らなかった等と言う事は無いでしょう! 姫様の手は既に血に汚れているんですよ! 我らと同じ様にね! ならば、もう同じ事でしょう。続く兵器を何機増やした所で……!」

 

 ガルシアの言葉に、ヘリオポリスの避難民達を含めた食堂の面々が強い怒りに包まれてゆく中、大きな振動がアークエンジェルと、アルテミス全体を襲った。

 

「な、なんだ!? 何が起きている!」

「これは……!」

「管制室! この振動はなんだ!?」

『不明です! 周辺に機影なし!』

「……だがこれは、爆発だぞ!」

 

 そして、ガルシアの発言を聞いたアークエンジェルクルーたちは、アルテミスが混乱している隙にアークエンジェルを取り戻そうと動き始めるのだった。

 

「行くぞ!」

「お、お前ら! 動くな!」

「そんなことしてる場合かよ!」

「攻撃されてるんだろ!? さっさと準備しろ!」

 

「くそぉー! 迎撃だ! 対応急げ!」

 

 ガルシアは部下を怒鳴りつけながら、指令室へと走り、キラとセナ・オルフェはモビルスーツへ。

 アークエンジェルのブリッジクルーはブリッジへと急ぐのだった。

 

「……」

「お姉ちゃん。私たちも行きましょう!」

「う、うん。そうだね」

「……キラ? 大丈夫か?」

「うん。何も問題ないよ。僕は、大丈夫」

 

 どこか青ざめた様な顔をしているキラにセナとオルフェが心配そうな声を掛けるが、キラは明らかに無理をしている様な顔で微笑むばかりだった。

 しかし、キラにばかり構っていられる状況でもない為、オルフェはキラ達と共にモビルスーツへと急ぐのだった。

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