ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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本日2話更新しております。
この話と、次にもう一話あります。


第52話『PHASE-6『消えるガンダム2』』

 アークエンジェルとの交戦で傷ついたヴェサリウスを退避させていたクルーゼであるが、プラント本国から新たな指令が届いた事で、アークエンジェルへの追撃を一時中断する。

 

「……なるほどな」

「評議会からの出頭命令ですか! ……そんな、あれをここまで追い詰めておきながら」

「ヘリオポリス崩壊の件で、議会は今頃、てんやわんやといったところだろう。まぁ仕方ない。あれはガモフを残して、引き続き追わせよう」

「ハッ!」

 

 クルーゼは本国からの指令所に目を通してから、アデスにもそれを渡し確認させる。

 そして、ガモフに新しい指示だけを残し、本国へ向かう為に艦を反転させるのだった。

 

「アスラン、カナード、ミゲルを帰投させろ! 修理が終わり次第、ヴェサリウスは本国へ向かう」

 

 

 残されたガモフでは、二コルとディアッカとイザークが遠方からアルテミスを観察し、その打開策を考えて居た。

 

「アルテミス、ですか……この周囲を覆っているのが、『傘』なんですよね?」

「そうだ。 傘は、レーザーも実体弾も通さない。ま、向こうからも同じことだがな」

「だから攻撃もしてこないってこと?バカみたいな話だな」

 

「だが防御兵器としては一級だぞ。そして重要な拠点でもない為、我が軍もこれまで手出しせずに来たが、あの傘を突破する手立ては、今のところない。やっかいなところに入り込まれたな」

「じゃぁどうする? 出てくるまで待つ? クックック」

 

「ふざけるなよディアッカ! お前は戻られた隊長に、何も出来ませんでしたと報告したいのか?」

「……!」

「それこそいい恥さらしだ!」

「でもさ。なら、どうするってんの? ハッキングでもする?」

「向こうにはキラさんが居るんですよ? ディアッカはキラさんに勝てるつもりなんですか?」

「そりゃ無理だ」

 

 ディアッカは両手を上げて、降参というポーズをした。

 しかし、実際に打つ手がない事は確かである。

 

「だが、自給自足が出来ない以上、いつかは限界が来る。その時に総攻撃というのも、間違いではないと思うがな」

「そうか。傘はいつも開いている訳じゃないんですもんね」

「ああ、周辺に敵のない時まで展開させてはおらん。だが閉じているところを近づいても、こちらが要塞を射程に入れる前に察知され、展開されてしまう。だから、周囲に展開して待つというのは……」

 

「駄目だ」

「イザーク?」

「あそこはナチュラル共の巣なんだろう? そんな所にいつまでもキラを置いておけるか! 何をされるか分かったもんじゃないんだぞ!」

「それは……」

「血のバレンタインを忘れたワケじゃないだろう! ナチュラル共がコーディネーターをどう扱うかなんて、考えるまでもない!」

 

 イザークがアルテミスを睨みつけながら放った言葉に、ディアッカと二コル。そしてガモフの艦長であるゼルマンは静かに頷いた。

 そして、少しばかり思考を巡らせてから小さな息を吐いて、二コルが一つの提案をした。

 

「正直賭けになってしまう為、出来れば違う策を思いつきたかったのですが」

「なんだ。何か案があるのならば言え。二コル」

「ブリッツの機能には、フェイズシフト装甲以外に、『ミラージュコロイド』という機能があるんです」

「「ミラージュコロイド?」」

 

「はい。ガス状のコロイドを機体に付着させ、可視光線や電磁波を機体後方に屈曲させる機能……まぁ、簡単に言えばステルス機能です。しかも視界やレーダーには一切映りません」

「なるほど? それでアルテミスへと強襲を仕掛けるという事か」

「良いんじゃないの? 悪くない作戦に思えるけど」

「しかし、要塞を直接攻撃する以上、キラさんの位置によっては非常に危険です」

「……確かにな。だが、現状ではそれが最善だろう。ゼルマン艦長」

 

「あぁ。良い作戦だと私も思う」

「では、決まりだな」

 

「ガモフを後退させろ! 同時に、ブリッツの発進準備!」

 

 そして、作戦が決まったガモフは、アルテミスから距離を取りながら二コルの作戦通りに、ブリッツを発進させる準備を行う。

 格納庫の中で、ブリッツに搭乗した二コルは深く息を吐きながら、システムを確認していた。

 

「ミラージュコロイド、電磁圧チェック、システムオールグリーン。……ハァ……テストもなしの一発勝負か。大丈夫かな……」

「でも、やるしかない」

「それに、これはチャンスだ。アスランもイザークも前に出るばかりでキラさんの話を聞こうとしてない。交渉をするにしても、まずは事情を聞かなきゃ」

 

 二コルは気持ちを強く入れ、操縦桿を握りしめながら、シミュレーションで一度も勝った事のないキラを想った。

 正面から一対一で戦えば勝ち目はほぼ無いだろう。

 しかし、キラは話を聞かない人ではない。

 言葉を投げれば、話をしてくれるはずだ。

 

 そう信じて、二コルはその時を待つのだった。

 

 そして。

 

 

「アルテミス! 光波防御帯、消失を確認!」

「ブリッツ出撃だ!」

 

『はい。ニコル・アマルフィ! ブリッツ、行きます!』

 

 艦橋からの指示により、二コルはブリッツで宇宙空間へと飛び出した。

 その機体を鋭い目で見ながらも、イザークとディアッカは作戦の成功を祈る。

 

『ミラージュコロイド生成良好。散布減損率35%。使えるのは、80分が限界か……あまり時間は掛けられないな』

 

 カタパルトから飛び出した勢いのまま、何の障害もない宇宙をひたすらにブリッツは進み、そして、誰にも気づかれる事なく静かにアルテミスの上に降り立った。

 完全に光波防御帯の中に飛び込んだのだ。

 

 ここから二コルがやるべき任務は、光波防御帯発生装置の破壊であり、キラがストライクに乗り込む様に暴れる事である。

 そこで、ブリッツはまずアルテミスの本体へ向けて数発のビームライフルを放つ事にした。

 

 岩壁に命中した緑色の閃光は、小爆発を起こし、アルテミスを大きく揺らす。

 

 そして、それを何度か繰り返す事で、襲撃されている事に気づいたのか、光波防御帯のシールドを展開しようとしているのを見つけた。

 二コルはブリッツを駆り、光波防御帯発生装置をブリッツのビームサーベルで破壊するのだった。

 

『……そろそろ、でしょうか』

 

 二コルはある程度光波防御帯発生装置を破壊してから周囲を伺い、アルテミスの動きを観察する。

 既にガモフはアルテミスへ向けて加速中であり、イザーク達もすぐにアルテミスへと来るだろう。

 しかし、二コルはイザーク達が来る前に、どうしてもやっておきたい事があったのだ。

 

『港は……あっちか!?』

 

 二コルはブリッツのスラスターを吹かせて、真っすぐに港へ向かうと、迫りくるモビルアーマーをビームライフルで打ち落としながら奥に見えるアークエンジェルへと迫った。

 

『戦艦はアレか! ストライクは!?』

『……ブリッツ!? 単独で仕掛けてきたの!?』

『見つけましたよ! キラさん!』

 

 そして、二コルはエール装備で飛び出してきたストライクを確認し、残り時間の少ない『ミラージュコロイド』を使用した。

 

『消えた!? 『ミラージュコロイド』か! なら!』

 

 キラは周囲に頭部バルカン『75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン』をばらまきながら、ビームライフルをしまい、ビームサーベルを抜く。

 そして、フェイズシフト装甲を展開し、バルカンを弾きながら突っ込んできたブリッツのビームサーベルを受け止めるのだった。

 

『キラさん! 話を聞いてください!』

『その声……! 二コル君!? なんで!』

『僕も軍に志願したんです! 血のバレンタインを見て! このまま戦争が激化するのを見ている事が出来なくて!』

『……でも、戦えば! 戦ったら、争いは広がるばかりだ! また新しい憎しみが広がってしまう』

『やっぱり』

 

 キラの泣き出しそうな声を聞いて、二コルは自分の疑念を確信に変えた。

 ブリッツに乗った時から違和感はあったのだ。

 もしかして、キラは自分の意思でモビルスーツを作ったのではないかと。

 

 もし本当に強制されていたのなら、これほど完成度の高いモビルスーツは作らなかっただろう。

 そう。奪取された時から、このモビルスーツは完璧であったのだ。

 武装も脱出装置も、システム的な欠陥はほぼ見つからない。

 あるのは機体の特性故、どうしても実装出来なかったのだろうと見受けられる事くらいだ。

 

 だからこそ。二コルは強要されたキラがこの様な機体を作るだろうかと疑問を覚えたのだ。

 プラントでジンを一緒に開発していたキラは、その気になればコーディネーターすら気づかない仕込みをシステムの中に入れる事が出来る。

 しかし、奪ったG達にはその様な物は一切見つからなかった。

 

 無論、まだ発見されていないという事もあり得るだろう。

 だが、これだけ戦闘を重ねて、それでも何も見つけられないというのは、何も仕込まれていないと考えるのが自然だ。

 そうならば……!

 そうであるならば!!

 

『キラさん! キラさんはどうして、この機体を作ったのですか!?』

『っ!』

『あるんでしょう!? 理由が……! キラさんの導き出した答えが』

『僕は……僕は、ただ、平和が欲しかった、だけなんだ……誰も傷つかない世界が、欲しくて……だから、和平交渉の為に……』

『和平!?』

『そうだよ……! 今は情勢が膠着してるから、だから、破壊できなくて、でもプラントは壊せないモビルスーツを作って、停戦させるつもりだったんだ……! 僕らはその為に』

『そんな……』

 

 キラの理想は分かった。

 それがどれだけ実現性のあるものなのかは分からない。

 だが、キラがそこまでの確信を持って、行けると判断して開発に踏み切ったのだ。

 もう連合の内部は説得が出来ていたのだろう。

 

 しかし、全ては終わった話だ。

 ZAFTはヘリオポリスへと攻撃を仕掛けてしまった。

 奪われたモビルスーツを元に、ZAFTは新たな兵器を開発するだろう。

 そうなれば、もはやこの戦争は止める所の無いまま……

 

『いや、まだ! まだです! キラさん! 一緒にプラントへ来てください!』

『……だから! 僕は!』

『僕の父、ユーリ・アマルフィは穏健派です! そして、モビルスーツ開発に深く繋がっている評議員でもあります!』

『っ!?』

『今のプラント最高評議会の議長は穏健派のクライン議長なんです! まだ、止められます! ラクス様も、ずっと平和を訴えています! 僕も、共に戦います! 連合に停戦の意思があるのなら、後はプラントを止めるだけなんです! だから……!』

『二コル君……』

 

 二コルの言葉にストライクの動きが止まった。

 しかし、ちょうどマリュー達をアルテミスから救出し、アークエンジェルへと届け終わったストライクセイバーがストライクと対峙するブリッツを見た事で、援護に来てしまう。

 

 二機の間に無理矢理突撃し、ブリッツを蹴り飛ばしてからキラに通信を繋いだ。

 

『キラ!』

『っ! オルフェ君』

『アルテミスはもう駄目だ! 艦長たちはアークエンジェルへと連れて言った。僕たちも脱出するぞ!』

『う、うん……でも』

『アルテミスの心配をしている場合か! どの道、僕らが居る限り、ZAFTの攻撃は止まらない! 行くぞ!』

 

 やや乱暴にストライクの手を掴み、アークエンジェルへと飛びながら、ストライクセイバーは追いすがるブリッツへとビームライフルを放つ。

 そして、アークエンジェルにストライクとストライクセイバーが着艦してから、アークエンジェルは全速でアルテミスを離脱するのだった。

 

 後方で激しく爆発しているアルテミスを見ながらオルフェはふぅと一息つく。

 

『間一髪だったな』

『しかし、大丈夫でしょうか。アルテミスの方々は』

『キラもセナも、必要のない人間の心配などするな! それで死んでも意味が無いだろう!』

『……はい』

『キラもだ。分かっているのか!?』

『分かってるよ……オルフェ君』

 

 キラはストライクの中でアルテミスを見つめながら涙を零し、呟くのだった。

 こんな血に汚れた手では、二コルやラクスの手は取れないと、目を伏せながら。

 

『分かってるんだ』

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