ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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本日2話更新しております。


第52.5話『赤と青のはじまり』

 オーブの資源衛星ヘリオポリス崩壊。

 そのニュースは瞬く間に世界へ流れ、残された資材を手に入れる為にジャンク屋と呼ばれる者達や、裏稼業の者達が徐々にヘリオポリスの跡地へと集まりつつあった。

 

 しかし、そんな者達がヘリオポリスへと到着する前に、ある勢力がヘリオポリスへと到着していた。

 

 それはロウ・ギュールというナチュラルの男を中心とした、ジャンク屋の一同である。

 彼と行動を共にしていたプロフェッサーと呼ばれる女性が、オーブ連合首長国モルゲンレーテのモビルスーツ主任設計技師であるエリカ・シモンズからいち早く情報を得た事で、彼らはどんな勢力よりも早くヘリオポリスへと到着する事が出来たのだ。

 

『進入路は?』

『進路前方4C-R3』

『OK! 確認した』

 

 キメラと呼ばれる、ロウが独自に改造したミストラル――メビウスが開発される前の主力モビルアーマー――を改造した機体で、ロウと仲間の一人である山吹樹里(やまぶき きさと)という名の女性がヘリオポリスの残骸へと近づいた。

 衛星部分はヘリオポリスが崩壊した後も形を残しており、その内部にはまだ何かが残されている可能性がある為、彼らは何かを探しに来たのだ。

 

『進入路クリア。やったな一番乗りだ』

『それにしても、この残骸は……キャア!』

『樹里! ビクビクしてんじゃねぇよ!』

『だってぇ……』

 

 キメラの中で、樹里はビクビクと震え、涙を目尻に浮かべながら弱気な声を上げる。

 そんな樹里に文句を言いながらもロウは薄暗く、残骸の漂うヘリオポリスの中を進んでゆくのだった。

 

『本当に……本当に大丈夫なのぉ? さっきまで地球連合軍とZAFTが戦ってたんでしょ?』

『既に彼らの脱出は確認していますよ。レーダーには何も反応がありませんし。我々以外には誰も居ません。しかし、ゆっくりとしていると例のお宝も誰かに奪われてしまいますからね』

『リーアムの言う通りだ。ぐだぐだ言っているヒマはないぜ』

 

 ロウは真剣な眼差しで暗闇の向こうを見つめながら、樹里を突き放す様な言葉を向ける。

 

『早くしないと他の連中に先を越されちまうだろ! 帰りたいんなら樹里一人で帰んな!』

『そんなぁ! 仲間外れにしないでよ!』

 

 先を急ぐロウに置いて行かれない様に、樹里はキメラのバーニャを吹かし、奥へと進む。

 

『でも……もし軍隊が戻ってきたら……?』

『そん時は逃げるさ。オレたちは軍人じゃないからな。それに、いざとなったら8が助けてくれるさ』

【まかせて。私は戦闘のプロフェッショナル】

 

 ロウの言葉に、ロウと共にコックピットに乗っていた8と呼ばれるスーツケース型のコンピューターが答えた。

 その言葉に、ロウはフッと笑いながら、操縦桿を強く握りしめながら先に眠る『お宝』に思いを馳せた。

 そして……そんなロウの機体に応える様に、通信が入る。

 

『ロウ。聞こえる?』

『あぁ! 何だい。プロフェッサー』

『キメラは後80メートル進んだら右方向に行ってちょうだい。そのコロニーの基本構造から判断してそっちに工場区があるはずよ』

『OK! 分かったぜ!』

 

 そして、ロウたちは目的となる場所へと到着し、キメラで怪しい場所を掘り始めた。

 崩壊した残骸の中から彼は独自の嗅覚で『お宝』の気配を感じ取ったのだ。

 

『二人とも下がってな! ここを掘るぜ!』

 

 しかし、彼がキメラで勢いよく残骸の山を掘っていると、突如として足場が崩れ、彼は下の階層に落ちてしまうのだった。

 だが、それはもしかしたら、運命の導きであったのかもしれない。

 

 ロウが落ちた場所は、ヘリオポリスのどの様な場所よりも堅牢に作られた工場区の奥。

 その最奥に隠された『宝』の設置場所であった。

 

 真っ暗なその場所でロウが照らした光に浮かび上がったのは二機のモビルスーツ。

 赤い機体と青い機体であった。

 

「コイツが……例のモビルスーツか」

「わぁ! 青いのと赤いのが二つも!」

「どうだい。オレの言った通りだろ?」

「信じられません。新品のモビルスーツが完全な形で埋もれているなんて……」

 

 ロウはまず赤い機体に8と共に乗り込んで、システムの確認を行ってゆく。

 無論、ナチュラルである彼にモビルスーツを動かす事は出来ないが、彼はジャンク屋である為、メカニックとしてモビルスーツを理解するだけの知識があったのだ。

 

 そして、分かった事は、この機体が異常であるという事だ。

 

「なんだ、この機体……? 8。これは普通の事なのか? このモビルスーツ。OSが二つあるぜ?」

【通常では考えられない。が、確かにこの機体には二つのOSが搭載されている様だ。一つはコーディネーター……の中でも特別な人間用。そして、もう一つは『ナチュラル用のOS』だ】

「ナチュラル用のOSって事は……オレにも動かせるって、事か」

【可能】

「……! なるほどな」

 

 ロウは8の答えを聞いて、機体を動かしてみる事にした。

 それは技術者としての彼の意識が、ナチュラル用のOSという新しいモノに興味を持ったから、なのだが……。

 そんな彼のワクワクは外から聞こえてきた悲鳴の様な声にかき消される事になった。

 

『ロウ! ロウ! 大変! 青い奴がー!』

「っ!?」

 

 外でジャンクを漁っていたであろう樹里から聞こえた声に、ロウはハッとなりモビルスーツのモニターを確認する。

 既に火の入っているモビルスーツのモニターには、ロウの乗る赤い機体の隣で起き上がろうとしている青い機体が見えた。

 

「商売敵か!? ソイツは渡せねぇぞ!」

 

 ロウは対抗する様に赤い機体を起き上がらせて、青い機体を睨みつけた。

 いったいどうやって自分たちに存在を気づかれずにここまで来たのか。

 それは分からない。

 分からないが……。こうなった以上は戦闘を行ってでも取り返さなくてはいけない。

 

『……渡せないというのは、おかしな言葉だな。この機体はお前の物では無いだろう』

「オレが先に見つけたんだ! オレのモンだ!」

『そういう事であれば、渡す事は出来ん。この機体の確保をオレは依頼されている』

「依頼ィ!? どこのどいつだ! オレたちだって、モルゲンレーテから依頼を受けてるんだぜ!?」

『それならば問題にならん。オレの依頼主はお前たちの依頼主よりも立場が上だ』

「どういう事だよ。プロフェッサー! この機体はオレたちが貰えるんだろ!?」

 

 ロウは突如として現れた青い機体に乗った男から聞いた言葉に、通信を母艦に繋いでプロフェッサーに事情を聞くが……そちらには既に青い機体に乗り込んだ男の仲間がいるらしく、通信には銃を向けられて手を上げているプロフェッサーが写っていた。

 

『悪いわね。ロウ。どうやら彼の言っている事は本当みたいだわ』

「なっ!」

『彼らは、オーブ連合首長国代表首長の娘……オーブのお姫様から依頼を受けてるみたいなのよ』

『そういう事だ。だから大人しくそちらの機体も……なに!?』

 

 青い機体が手をロウの駆る赤い機体に手を伸ばしながら言葉を向けた。

 その瞬間。

 青い機体に乗った男が驚きの声を上げた。

 

 そして、おそらくはその青い機体と同じ驚きをロウも『見る』。

 

 そう。モビルスーツのモニターに『メッセージ』が現れたのだ。

 

【ロウ・ギュールさん。この機体を貴方に預けます。どうか貴方の思うままに使って下さい】

 

「なんで、オレの名前を……!? どこかで見てんのか!?」

【外部からの通信は確認されていない。このメッセージはこの機体の内部に残されていた物だ】

「んなバカな! ……おい! アンタ! 青い機体に乗ってる男! お前の機体にも何かメッセージが出たのか!?」

『お前も、という事はお前もか』

「あぁ。ピタリとオレの名前を言い当てて、この機体をやるって言ってるぞ!」

『……そうか。お前がセナ姫の言っていた男か。ロウ・ギュール』

「オレの名前!」

『お前がその機体に乗っているのならば、オレが言う事は何もない』

 

 青い機体は赤い機体に背を向けると、そのまま立ち去ろうとした。

 しかし、その瞬間にコロニー全体が揺れる。

 

「なんだ!?」

『襲撃よ! アレは!? オーブ軍!? なんでオーブ軍が出てくるの!?』

 

 プロフェッサーの焦った様な声を聞いて、ロウは青い機体を押しのけながらコロニーの外へと飛び出した。

 そして、プロフェッサーの乗っている母艦を見つけ、助けに行こうとするが、その前に金色の機体がビームサーベルを振りかざしながら突っ込んでくる。

 

【上だ!】

「おう!」

 

 ロウは8の援護もありながら赤い機体を動かしてビームサーベルをシールドで受け止めた。

 そして、通信を繋げながら金色の機体に叫んだ。

 

「いきなり何すんだ!」

『貴様……! その機体に手を付けて生きて帰れると思うな! レッドフレームは小娘の専用機だ……! 貴様如きが触れて良いものではない!』

「専用機!?」

【おそらくは、もう一つのOSの使い手だ。この機体の本来の使い手であると思われる】

「でも、今はオレの機体だ! 渡せって言われて渡せるかよ!」

『ぐっ!?』

 

 ロウの気迫に機体が応え、金色の機体を押し返す。

 その勢いに、金色の機体に乗った男はうめき声を上げながら赤い機体を見た。

 本来の持ち主であるはずの、生意気な少女は乗っていないというのに、その動きには確かに彼女の気配があった。

 

 それが金色の機体に乗る男、ロンド・ギナ・サハクの心を迷わせ、刃を鈍らせる。

 そして、動きを止めている間に、コロニーの中から青い機体が飛び出してきて、金色の機体にビームライフルを向けた。

 

『戦闘を止めて貰おうか。ロンド・ギナ・サハク』

『何ィ!?』

『オレの依頼主はこの戦闘を望んでいない』

『依頼主だと!?』

『そうだ。彼女の名は『セナ・ユラ・アスハ』。この機体。ブルーフレームをオレに託した者だ』

『セナだと!? バカな!』

『メッセージは受け取っている。そちらに送ろう』

 

 青い機体に乗った男は、ギナにセナから受け取ったメッセージを送り、ギナはそれを見て、小さく溜息を吐いてから軍を撤退させた。

 そして、残された青い機体は再び何処かへ飛び去ろうとしたのだが、それをロウが止める。

 

「待てよ!」

『……なんだ』

「名前を聞かせてくれないか? 何か、アンタとはまた何処かで会いそうな気がしてるんだ」

『劾だ。傭兵部隊サーペントテールの叢雲劾』

「あぁ。オレはジャンク屋のロウ・ギュールだ」

 

 そして、赤と青の運命はここで交わり……世界を照らす一つとして動き始めた。

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