ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第71話『PHASE-20『砂塵の果て』』

 全ての準備が終わり。

 いよいよ、アークエンジェルがバナディーヤを超える日がやってきた。

 

 まずは明けの砂漠のサイーブと戦場についての話をする。

 

「この辺りは、廃坑の空洞だらけだ。こっちには俺達が仕掛けた地雷原がある。戦場にしようってんならこの辺だろう。向こうもそう考えてくるだろうし。せっかく仕掛けた地雷を使わねぇって手はねぇ」

「本当にそれでいいのか?俺達はともかく、あんたらの装備じゃぁ被害はかなり出るぞ」

「前にも言っただろう。俺たちは返しきれない程の恩が姫様たちにあるんだ。俺たちが迫害されずにいるのもその一つさ」

「しかし虎に歯向かえば……命は無いぜ?」

「問題はない。どの道、姫様に銃口を向ける以上虎は俺たちの敵だ。砂漠の敵となった。ならば最後まで戦うだけさ」

「……そうか。分かった。変な事聞いて悪かったな」

「いや、構わないさ」

「艦長は? それで大丈夫かい?」

「え? あ、分かりました。では、レセップス突破作戦へのご協力、喜んでお請け致します」

「おう」

 

 

 そして、話し合いの後、格納庫へ向かったムウは初出撃で緊張しているフレイと、フレイの傍でストライクやスカイグラスパーの話をしているキラの元へ向かうのだった。

 

「おう。調子はどうだい?」

「も、問題ないわ!」

「ガチガチだな。まぁ緊張するなって言う方が無茶かもしれねぇけどさ。あんまり緊張するなよ。固くなりすぎるとその方が危ないんだ」

「わ、分かってるわよ!」

「駄目だこりゃ。どうする? 初戦で虎が相手ってのも厳しいし、やっぱり止めとくか?」

 

 ムウが気を遣う様に向けた視線と、キラの心配そうな目を受けて、フレイは小さく息を吐くと両手で自分の頬を叩いた。

 ピリピリとした痛みが頬に伝わるが、それで先ほどまで震えていた手の震えが止まる。

 

「要らない心配よ! やってやるわ! コーディネーターなんかみんな殺してやるんだから!」

「おーおー。勇ましいねぇ。だが、ま。お嬢ちゃんの配置はアークエンジェルの近くだ。基本的には逃げ回ってりゃ良い。後は、キラがエール装備が欲しいタイミングでストライクをエールに換装。機体の制御やら換装の射出やらは全部セナの嬢ちゃんが作ってくれたプログラムがやってくれる。難しい事はねぇさ。生き残るだけだ」

「分かったわ。キラ。私、上手くやるから」

「うん。期待してる」

 

 キラはフレイをそっと抱きしめて、信頼を返した。

 そんな麗しい友情を見ながらムウは外から聞こえた大きな爆発音に急いで通信機へと向かう。

 

「今の爆発はなんだ!?」

『どうやらレジスタンスの地雷原が虎に爆破されたみたい!』

「おーおー。虎も舐めてはくれないみたいだな」

『パイロット各員は準備ができ次第出撃をお願いします』

「分かった!」

 

 ムウは短くマリューに返事をすると、整備員たちの元へ向かい、スカイグラスパー1号機と3号機の準備を進めてもらう。

 

「軍曹。1号機にランチャー。2号機にエール。3号機にソードだ。3号機は俺たちが出撃した後で急いで準備してくれ。なんかあったら乗り換えるからな」

「了解でさぁ!」

「じゃあ、まずは俺から出るからな! 次にストライク、セイバー、最後に2号機。フレイの嬢ちゃんだ。良いな!」

「はい」

『了解です』

「分かったわ」

 

「じゃあ、全員、帰って来いよ!」

 

 そして、全ての連絡を終えたムウはスカイグラスパー1号機に乗り込んで、そのまま発進位置へと移動する。

 

『スカイグラスパー1号、フラガ機、発進位置へ。進路クリアー、フラガ機、どうぞ!』

『ムウ・ラ・フラガ。出るぞ!』

 

『APU起動。カタパルト、接続。ストライカーパックは『I.W.S.P.』を装備します。ストライクI.W.S.P.スタンバイ』

『じゃあミリィ。行ってくるよ』

『気を付けてね。キラ』

『うん。キラ・ユラ・ヒビキ。ストライク。行きます!』

 

『続いて、ストライクセイバー。進路クリアー、発進どうぞ』

『ストライクセイバー。出るぞ!』

 

『スカイグラスパー3号、アルスター機。進路クリアー、発進どうぞ。フレイ。死なないでよ』

「分かってるわ。えと、フレイ・アルスター。スカイグラスパー、行くわ!」

 

 おっかなビックリという様な様子で戦場へと飛び出したフレイは、早速目の前に迫る軍用ヘリに目を見開いた。

 

「何が進路クリアーよ! 先が見えないじゃない!」

 

 文句を言いながらも機銃を発射してヘリの軍団を叩き落してゆく。

 そして、エール装備のお陰で上がった機動力で敵の中央を突破し、車でもシミュレーターでも散々やってきたドリフトで機体を急旋回させながら背後から航空戦力を撃ち落としてゆくのだった。

 

 そんなフレイのスカイグラスパーを心配そうに見ていたキラであったが、目の前に迫る犬の様な姿の地上用モビルスーツ『バクゥ』に視線を移して肩に装備されたレールガンで正確にバクゥの両足や武装を破壊してゆく。

 バクゥは四つ足で砂漠の上を駆け回る機体であるが、足を破壊されてしまえば自由な走行も出来なくなり、レジスタンスの攻撃を受けながら撤退していった。

 そんなバクゥを見送りながら戦場を見渡していたキラは、空を飛ぶ四機のモビルスーツに気づいた。

 

「あれは!?」

 

 イージス、デュエル、バスター、ブリッツ。

 宇宙から追ってきた四機のGである。

 

「本当に、しつこいな!」

『キラ!』

「君たちに構っている暇は無いんだよ!」

 

 キラはGが足場にしているグゥルと呼ばれるモビルスーツ支援空中機動飛翔体……大気圏用のサブフライトシステムという空を飛ぶ為の装備を狙い、肩のレールガンを放った。

 そして、それをかわしたバスターに向かって105mm単装砲を放ちながら急接近し、9.1メートル対艦刀という実体剣でグゥルを破壊しながらバスターを砂漠に蹴り落とす。

 

『また俺かよー!?』

「次!」

『てやぁぁあああ!』

「ブリッツ! 二コル君か!」

 

 バスターを蹴り落とし、空中で動きを止めていたストライクにブリッツがビームサーベルを振り上げながら迫るが、キラは冷静にシールドに内臓された30mm6銃身ガトリング砲でブリッツのグゥルを破壊しながら、バスターと同じ様にブリッツも砂漠へと蹴り落としてしまう。

 アスラン達がストライクの新装備に戸惑っていたという事もあるが、初めて戦った時よりもキラが強くなっていた為、一方的な戦いになっていたという事もあった。

 

 キラは研ぎ澄まされていく精神の中で、冷静に戦場を見つめながら、まだアスラン達の相手をする必要があると、スラスターを吹かせて空に舞い上がった。

 

「次は!」

『来るか!? キラ!

「デュエルも新装備か!」

『キラァァアア! 邪魔をするな! アイツは俺が落とす!』

「凄い、気迫……! でも、ここを通すワケにはいかないんだよ!」

 

 デュエルの振り上げたビームサーベルをシールドで受け止めて、対艦刀をデュエルのシールドに叩きつける。

 スペックはほぼ同等である為、機体は空中で固定された様に動けなくなった。

 

 そんなストライクにセイバーから通信が入る。

 

『キラ! 大丈夫か!?』

「うん! こっちは大丈夫! バクゥはお願いできる!?」

『任せろ! セナ! 周辺情報を!』

『分かりました!』

 

「ホント、頼もしいよ」

 

 等と笑いながらキラは鍔迫り合いをしている状態で、肩のレールガンをデュエルに向ける。

 が、デュエルも同じタイミングに肩のレールガンをストライクに向けていた為、互いに高速でそれを撃ち合う事になった。

 

 実体弾である為、互いに装甲が傷つく様な事はないが、弾の威力で機体は離れてしまう。

 その隙に、バランスを崩したデュエルの足に向かってキラはビームブーメランを放ち、その両足を完全に破壊するのだった。

 

 そして、背後から迫るデュエルのレールガンをかわしながらアスランの駆るイージスへと迫る。

 

「最後は君だよ! アスラン!」

『くっ! キラ! どうして君は!』

「いい加減! 諦めてよ!」

『ここで負けるワケにはいかないんだ! 俺は!』

 

 アスランは必死にキラへと対抗しようとするが、キラは冷静にアスランの攻撃をかわして、グゥルを対艦刀で切り裂いて、そのままアークエンジェルの方へと飛び去ってゆくのだった。

 地面に落ちたバスター、ブリッツ、デュエルは砂漠に足を取られてまともに歩く事が出来ない。

 アークエンジェルが離れ続けている以上、アークエンジェルに追いつけない彼らが攻撃する事は不可能だろう。

 そう判断して、真っすぐにアークエンジェルへと向かいながらフレイに通信をする。

 

「フレイ」

『どうしたの!? 大丈夫!?』

「僕は大丈夫だよ。むしろフレイが心配なくらいだけど」

『私は無事よ! それで!?』

「うん。エールに装備を変えるから、お願いできる?」

『分かったわ!』

 

 そして、スカイグラスパーから装備を受け取り、換装したキラは地面を走るバクゥの元へ行き、一機、また一機と撃破するのだった。

 しかし、そんなキラの前にオレンジ色のバクゥによく似た機体が現れる。

 

「隊長機!? バルトフェルドさんか!」

 

 しかもそれだけでなく、レセップスと別の艦がアークエンジェルの後方から接近していると言う報告も入る。

 

「あっちもこっちも忙しいな! レセップスはムウさん、フレイとセナ、オルフェ君はアークエンジェルの護衛。手が足りない! 僕が行かないと!」

『こっちは任せろ!』

「は!? え!? カガリ!?」

『この状況だ! 機体を遊ばせている場合じゃない! 後ろの艦を落とせば良いんだろ!』

「駄目だ! カガリ! 戻って! って、もう! 通信を切られた! セナもカガリも好き勝手して!!」

 

 キラは怒りのままにビームライフルをオレンジ色のバクゥによく似た機体……隊長機であるラゴゥに向けて放つ。

 が、あまりにも高速で移動しているラゴゥには当たらない。

 

「くっ! そこっ!」

 

 ビームライフルを数発同時に放ち、ラゴゥを狙うが、バルトフェルドはラゴゥの運動性を活かして砂上を回転しながら砂を巻き上げてビームライフルを防いでしまう。

 

『なるほど、いい腕ね』

『だろう? 本部のシミュレーターの最高記録は彼女が作った記録だというしな。未だに破られていないというのだから驚きだ』

『嬉しそうね。アンディ』

『あぁ……こんな形では出会いたく無かったよ。しかし、ここは戦場で、我らは敵同士だ』

『辛いわね、アンディ』

『本当は投降して欲しかったんだがな』

『無理でしょうね。あの子にはあの子の理想がある』

『わかるのかい?』

『えぇ。あの機体に乗ってから、少し見える様になってきたわ』

『それは何とも複雑だな……しかし、それもまた一つの結果か!』

 

 バルトフェルドは愛人であるアイシャと語らいながらラゴゥを操り、背中に取り付けられた2連装ビームキャノンを放つ。

 が、そのビームはストライクのシールドによって受け止められてしまい、続いて放ったビームキャノンは先ほどラゴゥがやった様に、ストライクがスラスターで吹き上げた砂によって阻まれてしまった。

 

 吹き荒れる砂の中で高速移動しながらキラの姿を探していたラゴゥは砂の中から放たれた緑色の光に、そちらへ向けてビームキャノンを放つ。

 しかし……!

 

『アンディ! 横よ!』

『何ィ!?』

 

 巻き上がる砂の中を突っ切って赤いビームサーベルを振りかざしたストライクが、ビームライフルを囮としながら突っ込んできており、咄嗟に機体を急加速させたが、間に合わず背中の2連装ビームキャノンを破壊されてしまうのだった。

 

 しかも、それと同時にレセップスがアークエンジェルの攻撃で爆発炎上してしまった。

 

『くっ! 足つきめ! 何という火力だ!』

『アンディ! 正面!』

『ぐっ! おぉ!』

 

 アイシャの言葉を聞きながらなんとか口元にあるビームサーベルを展開し、ストライクへと向けるが、ストライクはエール装備の一部を傷つけただけで何事もなく砂漠へと降り立った。

 そしてバルトフェルドへと通信が送られる。

 

「バルトフェルドさん! もうその機体では戦えない! レセップスだって!」

 

 それはキラの願いであった。

 もはやこれ以上戦っても殺す以外で止めることが出来なくなる。

 だから、投降してくれと。

 

 だが、戦ってしまった以上……バルトフェルドはもう止まれないのだ。

 

『ダコスタ君』

『は、はい!』

『退艦命令を出せ!』

『……隊長』

『勝敗は決した。残存兵をまとめてバナディーヤに引き揚げ、ジブラルタルと連絡を取れ!』

『隊長!』

 

 その命令は……。

 本来隊長であるバルトフェルドが行うべき行動を副官であるダコスタへと命令する、その意味は……。

 

『君も脱出しろ。アイシャ』

『そんなことするくらいなら、死んだ方がマシね』

『君もバカだな』

『なんとでも』

『……では、付き合ってくれ!!』

 

 バルトフェルドがここで命を捨てる覚悟で挑むという事である。

 

「バルトフェルドさん!」

『まだだぞ! キラ君!』

「もう止めて下さい! 勝負は付きました! 降伏を!」

『言ったはずだぞ! 戦争には明確な終わりのルールなど無いと!』

「それでも!」

『我らは生きる為に戦いを始めてしまったのだ! ならば、戦うしかなかろう! 互いに敵である限り! どちらかが滅びるまでな!』

「戦わない道を、選んで欲しいんです!!」

 

 キラはラゴゥとのすれ違いざまに、首とスラスターの付いている肩の装備を切り捨てた。

 そして……。

 ラゴゥは、ストライクの背中から向こうへと走り去り……大爆発を起こすのだった。

 

「どうして……みんな! どうして!! そんなに戦いたいんだ!!」

 

 キラは既に戦闘の終わった戦場で、ただ何も救えない自分を呪って叫ぶのだった。

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