ガンダムSEED Re:   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第80話『PHASE-27『さだめの楔1』』

 いよいよアークエンジェルの修理も終わり、出航となった。

 が、キラは当然ながらモルゲンレーテに半ば軟禁状態で閉じ込められている。

 

「何ですか? この見張りの数は」

「決まっているだろう。貴様が逃げ出さぬように見張っているのだ」

「はぁー」

「あの艦なら何も心配は要らん。途中までオーブの護衛艦が付いてゆくし、万一追撃があったとしても、北回帰線を超えれば、すぐにアラスカの防空圏だ。エンデュミオンの鷹やら、セイバーに乗れるパイロットも居るのだろう? 何も問題にはならん」

「そういう問題じゃないんですよね」

「しかし、どの道無意味だ。既にアークエンジェルの発進準備は完了している」

「まぁ、時間を見る限りそうですね」

「だから諦めろ」

「分かりましたー」

 

 キラはギナからのお小言を受けながらゆるりと椅子から立ち上った。

 それにギナはキッと目線を強くしてキラを見下ろす。

 

「貴様。どこへ行く」

「お手洗いですー」

「おいー! 誰か見張りを」

「要りませんよ! 乙女を何だと思っているんですか! それとも!? 姫のあられもない姿を見たい変態なんですか!?」

「……良いだろう」

 

 ギナはキラの言葉に頷き、キラを送り出した。

 キラはその反応にはぁーと分かりやすいため息を吐いてからゆるりとお手洗いへ……向かう事はなく、隣の工場区で開発中のM1アストレイの所へ向かう。

 これに乗って、アークエンジェルと合流しようと考えて居るのだ。

 

 しかし、そんなキラの考えは見通していたとばかりに一人の青年が走るキラに声を掛ける。

 

「そこまでだ! お姫様!」

「うっ! わ、悪いけど、止めても僕は行くよ!」

「わーかってるって! だから、さ。俺が協力するって言ってんだ!」

 

「あなたは……!」

「やっぱりマズいんじゃない~!? ロウ!?」

「走り出したい奴を止められやしないさ。さぁ、行こうぜ! 姫様! 世界によ!」

「うん! ありがとう!」

 

 キラはロウに笑顔で礼を言いながら抱き着いて、キサトからの悲鳴を貰う。

 そして、ロウは特に気にする事もないまま、キサトのサポートもあって、レッドフレームにキラと共に乗り込んで、モルゲンレーテの工場区から飛び出すのだった。

 

 レッドフレームが予定にない行動をとった事でモルゲンレーテの工場内ではアラートが鳴り響き、何事かと飛び込んできたギナはレッドフレームの手に捕まるキラを見て、目を見開いた。

 

「貴様!」

「申し訳ないですけどー! ちょっとアラスカに行ってきますー!」

「戻れ! キラ! もはや間に合わん!」

「やってみないと分からない主義なんですよね!」

「バカが!」

 

 ギナの罵声など聞き流し、キラはレッドフレームの手に乗ったままアークエンジェルがいる秘密ドックへと向かう。

 そして、ちょうど発進しようとしていたアークエンジェルの甲板に着地するのだった。

 

「ありがとう! ロウ!」

「おぅ! じゃあ良い旅を!」

「うん! ロウもね! またどこかで会えたら! 会おう!」

 

 キラは離れてゆくレッドフレームに手を振って、そのままアークエンジェルの中に飛び込んでゆくのだった。

 

 

 アークエンジェルへとダイナミックな乗艦をしたキラは急いでブリッジへと向かい、マリュー達に大きな声で挨拶をした。

 

「お待たせしました! キラ・ユラ・アスハ! 無事アークエンジェルに合流しました!」

「えぇ!? キラちゃん!?」

「まさか! キラ様!? 乗艦出来たのか!? オーブは拒否し続けていたというのに!」

「僕が皆さんを見捨てる訳がないじゃないですか! 一緒に行きましょう。アラスカへ。そして、平和へ!」

「キラちゃん……」

 

 感動して涙ぐむマリューに微笑みを返して、ふふんとキラは笑う。

 本当は戦争などしたくはないが、アークエンジェルは見捨てられないし。平和の為の近道は間違いなくここだ。

 まずはアラスカへ行き、連合軍の関係者を説得してから、プラントへ行く。

 そして、マリュー達に新しいモビルスーツかモビルアーマーを開発して貰っている間に、プラントで平和交渉。

 やることはいっぱいだが、何とかなるだろう!

 

 キラは前向きに、ウジウジしないでそう考える事にした。

 

「おい! 艦長! 密航者だ!」

「密航者ァ!?」

「あぁ。オーブの坊主たちが! セナの嬢ちゃんを連れ出して、ここまで連れてきたんだよ!」

 

 そしてキラが堂々とした姿でマリュー達と話をしている間に、ブリッジへと繋がる扉が開き、ムウがトール達を捕まえながらブリッジに飛び込んできた。

 その姿を見て、キラは驚きに目を見開くが、トール達はやっぱりかと言いながら笑うのだった。

 

「セナちゃんからさ。キラお姉ちゃんは必ずアークエンジェルに乗ろうとするって話を聞いてさ。俺たちも乗らなきゃって、セナちゃんに頼んで、アークエンジェルに乗せて貰ったんだよ」

「まったくもう! 駄目でしょ! せっかく親御さんの所に帰れたのに!」

 

「でも俺たちはオーブ軍の軍人だぜ! 姫様だけを行かせらんねぇよ!」

「だとしても!」

「それに! 俺たちはキラ達の友達なんだよ! どの道、アークエンジェルの人員は足りないんだからさ! 頼ってくれよ!」

「……もうオーブに帰れないかもしれないんだよ」

「覚悟は出来てる。ミリィも一緒だし。家族なら向こうで増やすさ」

「いやん」

 

「サイとカズイは?」

「俺は……まぁ、フレイが居るし」

「僕もセナちゃんに頼まれた事があるから」

「はぁー。まったくもう。しょうがないなぁー!」

 

 キラは大きな声で分かりやすくため息を吐いてから笑った。

 そして、柔らかいあ笑みを浮かべながら言葉を向ける。

 

「じゃあ、一緒に付いてきて貰いたいな……艦長さん。良いですか?」

「え? えぇ。私たちは勿論断る理由がありませんから」

「という訳だから! 全員持ち場に付け! オーブの領海を出たら、いつ襲撃があるか分からないよ!」

「「「了解!」」」

 

 キラの言葉を合図として、トール達は持ち場につき、アークエンジェルは少し前の姿に戻ってオーブの領海を進んでゆく。

 

 そんな姿を見送りながら、キラはセナと共に格納庫へと向かい、おそらくはキラ達が来るのを待っていたオルフェとフレイに声を掛けるのだった。

 

「二人も当然の様に乗ってるんだね」

「キラとセナが帰ってくることは分かっていたからな」

「私は元々アラスカに行く用事があったからね。当然じゃない」

「ホントに、二人もまた……」

 

「お前一人で戦わせることはしない。少しは任せろ」

「そうそう。コーディネーターなんて皆殺しにしてやるわ!」

「二人とも……無茶は絶対にしないでよ? アラスカに着くまでもうちょっとなんだから」

「分かっている。少しは信用してもらいたいものだな」

「そうそう。コーディネーターのへなちょこ弾なんか当たらないわよ」

 

 なんともまぁ、元気のいい事で。

 と、キラは深いため息を吐きながら手を繋いでいたセナを見下ろす。

 

「セナも。無茶は絶対に駄目だからね」

「分かってます。私も絶対に無茶はしません」

「約束ね!」

 

 キラはセナと指切りをして、最後にムウへと振り返った。

 

「そういう事なので、アラスカに着くまであと少し。お願いしますね?」

「分かってるよ。任せておきな!」

「ホントに、ムウさんは頼りにしています」

「おう」

 

「じゃあ、出撃があったら大変だから、今は少しでも休んで……」

 

『総員、第一戦闘配備! 繰り返す! 総員、第一戦闘配備! パイロットは搭乗機へ!』

 

 キラが休んでいようと呟こうとした瞬間、艦内にアラートが鳴り響く。

 その放送を聞いて、キラたちは急いでパイロットスーツを着替えに行くのだった。

 

 そして、すぐに出撃準備をし、発進する。

 

『まったく。どうやら相当に勘の良い連中が居たようだな! もしくは運が良いか!』

「困った物ですね」

『そうだな! とりあえず俺が前に出る! 嬢ちゃん達はアークエンジェルの近くで護衛だ! 良いな!?』

「了解です。僕も状況次第ですぐに前に出ますから!」

『おう! 頼んだぜ!』

 

「という訳だから、オルフェ君、セナ。セイバーはとりあえず艦上。フレイは無理せず後方から支援。いいね?」

『了解した』

『はい!』

『分かったわ!』

 

「じゃあ、お相手の様子を見に行きますか!」

 

 キラはそんな軽口を呟きながら、外へ出て、目を見開いた。

 何故なら。アークエンジェルを襲っていたのは四機のG兵器だったからだ。

 

 どうして彼らがここで戦闘を仕掛けて来るのか。

 理由は分からない。

 何故ならキラは確かに彼らに『平和に繋がる行動をして欲しい』と伝えていたからだ。

 間違いなく彼らも頷いていた。

 了解していた。

 

 だというのに、返答は銃口であった。

 

「……まったく。嫌になるよ」

 

 何度信じて、何度裏切られて来ただろう。

 これまでも、そしてこれからも同じなのだろう。

 だから、キラは何故。なんて言わない。

 

 きっとアスラン達にも何か事情があるのだろうと思っているからだ。

 だから、迎撃して、戦闘不能にして、アラスカまで強行突破する。

 

 言い訳はプラントでジックリと聞かせて貰うよ! とキラはギラリと輝く目でグゥルに乗る四機のGを見据えるのだった。

 

 だが、キラは一つ大きな勘違いをしていた。

 これが今まで幾度も繰り返されてきたアスラン達との戦いと同じであると、無意識の内に考えていた。

 

 まさか、アスラン達がオーブに潜入させているスパイから、アークエンジェルが出航した時、キラもセナも艦に乗っていなかったという報告を受けて、今度こそ本気で、『殺すつもり』でアークエンジェルに仕掛けてきている事など。

 考えることも無かったのである。

 

 だから……キラが何かがおかしいと気づいた時には既に遅く。

 彼らとの戦いはキラが経験した事のない死闘へと、突入してゆく事になるのであった。

 

 

「はじまりますね」

「そうだな」

「オルフェさん。一つお願い事があるのですが、良いでしょうか?」

「構わないが、なんだ?」

「ブリッツの内部にある戦闘データを回収したいのです。アラスカに着く前に」

「あぁ。あの機体はミラージュコロイドの機体か。分かった。確かにアレの戦闘データは貴重だな」

「はい。なので、ブリッツを……孤立させて、鹵獲しましょう」

 

 そして、遂にセナの計画も動き始める。

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