ありふれたシカ部のありふれない日常   作:玄武Σ

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体育倉庫に閉じ込められる回ですが、ちょっとありふれっぽいアレンジ入ります。果たしてどうなることやら?


第21話「体育倉庫から脱出せよ!」

ある日のこと、こしたんは成り行きから光輝と生徒会メンバーの一人とで体育倉庫を訪れていた。

ついてきたメンバーの名は狸小路絹(たぬきこうじきぬ)。二年生で生徒会では書記を務めている。ベージュ色の髪と、制服の上から羽織ったピンクのカーディガンが特徴だ。ちなみに、光輝と同じクラスである。

 

「ハァ…ハァ…」

 

そんな絹だが、何故か息が荒い。そんな彼女を心配してこしたんは光輝と声をかけるのだが…

 

「絹、どうしたんだ? 具合がでも悪いのか?」

「ねえ、本当に大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

「とっっとととととじこっっっどどどどどどどどうどどっどどっつどどうししまままままままままま」

「全然大丈夫じゃなさそう!?」

「絹、本当に大丈夫か!? なんか尋常じゃないくらい震えてるんだけど!!」

 

凄まじく顔を青ざめながら身震いしていた。ネコちゃんが檜山にネガティブと説明していたが、どうやら相当な物らしい。何故こうなったかというと……

 

 

~回想~

事の始まりは10分前。この三人で生徒会の仕事をしに体育倉庫を訪れていたことに端を発する。

 

「会長も天之河君も、私の雑務に付き合わせてしまってすみません。特に天之河君は生徒会でもないのに…」

「いや。同じクラスの仲間なんだし、絹が気を遣うことは無いよ。それに剣道部が忙しくて断念しただけで、生徒会には俺も参加したかったから、寧ろ役立てて光栄さ」

 

申し訳なさそうな絹に対し、超爽やかな笑顔で対応する光輝。それに続く形で、こしたんもフォローに入る。

 

「そうそう、私も手が空いてたから気にすることないわ。それに、3人でやった方が早く終わって他の仕事に回す時間が出来るもの」

「二人とも…ありがとうございます!」

 

光輝とこしたんの言葉に、涙目で礼を言う絹。早速、三人で体育倉庫の中に入って作業内容の確認を始める。

 

「確か、備品の数を数えるんでしたっけ? なら、さっさと終わらせてしまいましょう」

「ええ。それにしても…私、実は体育倉庫に入るのって初めてなのよね」

 

ということで三人で美品を数え始めるのだが、途中でこしたんがあることを思い出して口に出す。

 

「そういえば、漫画とかで体育倉庫に閉じ込められる展開ってよく見るけど……私達も閉じ込められたりして」

「先輩、冗談きついですって。南雲と過ごしすぎて、オタクが伝染ったんじゃないですか?」

「天之河君、流石に冗談だってば。それに南雲君だって、流石に漫画と現実の区別くらいつくでしょ」

 

そんな感じで冗談半分で話すこしたんと光輝。だったのだが…

 

 

ガチャンッ

「おい1年! ちゃんと閉めとけっつったろ!!」

「すみません!!」

 

扉を閉めるような音と、運動部の部員と顧問らしき人物の声が聞こえたのだ。それを聞いて3人はもしやと思い…

 

「ちょっと、まだ中にいるんですけど!?」

「お願いします、開けてください!!」

 

こしたんと光輝の二人で大声を出しながら扉をたたく。しかし、誰の返事が来なかった…

~回想了~

「まさか、こんなベタな展開が実際に起きるとはね…」

「ええ。事実は小説より奇なり、とは言いますがまさか…」

 

突然の事態に呆然とする二人の視線の先には、床に膝を着きながら滝のような涙を流す絹の姿がある。

こしたんはなんとか助けを呼べないか、光輝と相談しようと話を持ちかける。

 

「天之河君、スマホ持ってる? 私、実はカバンに入れっぱなしで…」

「すみません、俺もです。それに、人通りも少ない時間だから叫んでも気づいてもらえるか…」

「そうなのよね…でも体育倉庫なんてよく使う場所だし、最低でも明日には出れるでしょ?」

「いえ。もしかしたら、見回りの先生が来る可能性もあるので今日中には…ん?」

 

話し終えた矢先にふと絹の方を見ると、書類を挟む用のボードに何かを書き込んでいるのが見えた。気になった光輝は声をかけてみる。

 

「絹、さっきから何を書いて…ん゛ん゛っ!?」

 

光輝は絹が書いている物を見て、思わずギョッとした。その内容は…

 

 

 

 

『お母さん・お父さん・ラブたん

   先立つ不孝をお許しください。』

まごう事なき遺書である。ラブたんは恐らく、ペットの名前だろう。

 

「絹、何してるんだ!? 縁起でもないことを…」

「本当よ! 流石にオーバーだって!」

 

遅れて気づいたこしたんと二人で書いてる途中の遺書を取り上げ、彼女を諌める言葉を伝える。しかしそれに対して、絹は自分の意見を伝えるのだが…

 

「でも二人とも。私達、下手をすれば一生ここから出れないかもしれませんし…」

「流石に考えすぎだ! 体育倉庫なんて、授業や部活で定期的に開け閉めするから、少なくとも明日には出られる筈だって」

「そうそう、天之河君の言う通りよ! 何をどう飛躍したらそんな考えに…」

 

突然の一生出れない発言に、驚いた二人はちゃんと出られる根拠を伝える。

 

「密室の体育倉庫といえば、ラブコメの定番シチュエーションですよ。でも私が会長や、ましてや天之河君とそんな展開になるなんて恐れ多い。そうなると、残された道は…」

 

だが絹はここから、更にネガティブな言動を続ける。そして、その局地と言うべき妄想へと至ってしまう……

 

「誰も助けに来ない日々が続き、食料も水もなく体力と精神を疲弊させていき、最終的には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死あるのみ!! それで日野南高校の地縛霊として語り継がれて、不謹慎系配信者が作るような大して面白くもない動画にされて、ネットに晒されるんだぁ…」

「絹、流石に思考の飛躍が過ぎるんじゃないか…?? それにそんな悪質なことをする人、いるわけないじゃないか」

 

この程度で自分達の死やその後の扱いを嘆いて泣き叫ぶ絹に、フォローを入れようとする光輝。しかし、こしたんは光輝のセリフに一瞬違和感を覚えた。

 

(ん? 不謹慎な行動で注目を集めようとする配信者なんて、ザラにいるんじゃ??)

 

まるで光輝の中では、この世に悪人はいないと思い込んでいるような感じがしたのである。しかし、こしたんはそれより優先すべきことがあると思い、なんとかそれを声に出した。

 

「というか、私が部活中の生徒に声をかけ忘れたのも原因なんだし、狸小路さんが自分だけを責めることないわよ」

「なんなら、同じ運動部の俺もそれを失念していたんだ。俺にだって責任はあるさ」

「いえ、お二人は悪くありません!!」

 

なんとか絹をフォローしようと、二人で慰めの言葉を投げかける。しかし、絹はなかなか強情で…

 

「そもそも、生徒会の雑務は私の仕事。だから私が一人でやれば良かったんです…なのに…

 

 

 

 

 

会長と天之河君を道連れにして死ぬなんて…!?」

「俺達も死ぬこと前提なのか!?」

(ネガティブが過ぎるうえに、想像力も豊か…なんとか、彼女の気持ちを落ち着けないと)

 

そしてこしたんは思案した結果、あることを思いついた。

 

「そ、そうだ! せっかくだし、狸小路さんって何か相談したいこともある? 今の言い方的に、自分がこの状況を招いたみたいに感じてるみたいだし、そうでなくても気を紛らわせるための雑談でもしないかしら?」

「虎視先輩、ナイスアイデアです! 絹、俺も聞くから話を聞かせてくれ。なんとなく、自分の所為でここから出られないみたいに言ってる気がしたけど…」

 

思いついた話題に光輝が便乗し、改めて尋ねてみる。ネガティブなことを差し引いても妙に自分の所為にしたがる絹だったが、その話を振られた瞬間に静まり返る。そして間を置くと、放し始めた。

 

「やっぱりお二人にはお見通しですね…心当たりがあるというより、私のしたことの所為でバチが当たったからだと思うんです。それに先輩と天之河君を巻き込んだのが、とにかく申し訳なくって…」

「バチ? 絹、俺はクラスのみんなの行動全てを把握は出来ているわけじゃないけど、少なくとも君が悪いことをしている様子は感じなかったぞ?」

 

バチという予想外な回答に、光輝も困惑してしまう。すると、今度はこしたんが絹に話かけたのだった。

 

「…狸小路さん、良かったらそのバチっていうのを聞かせてくれない? 学年が違うからあなたのクラスの様子はわからないけど、同じ生徒会のメンバーとして私も相談に乗ってあげるわ」

「ほら、先輩もこう言ってるんだ。俺も絹と同じクラスの仲間なんだし、それがクラス中に非難を買うような内容だとしても、俺が力になるさ。不安なら、ここを出た後にでも龍太郎や雫に協力を頼むし、聞かせてくれよ」

 

優しく語り掛けるように二人で話すと、絹も心を許したのか詳細を明かし始めた。のだが…

 

「実は、今年のクラス紹介の時にとんでもない大ウソをついてしまって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

碌に料理経験もないくせに、趣味は料理だって言ってしまったんです」

「犯した罪に可愛げがありすぎる…」

「いや。流石にそれくらいの見栄、誰でも張ってると思うけど…」

 

話を聞いて項垂れるこしたん。彼女は優等生を演じていながら根はヤンキーのままという人生単位の大嘘をついてるからだ。それに比べれば、光輝の指摘通り見栄としか言えない些細なウソを大罪のように話していたわけだ。

 

「得意料理は卵かけご飯(殻入り)なのに、そんなこと言っちゃったんです!! 生徒会役員なのにウソついたから、きっとバチが当たったんですよ!! となれば、一生ここから出られないに決まってますって!!!」

「「流石にネガティブがすぎる!?」」

 

というわけで自分を責めつつその後の顛末を想像し、また号泣してしまう絹であった。すると、光輝が咳払いをしてから再び話しかけた。

 

「絹。これは俺の経験談なんだが、俺の幼馴染の八重樫雫は知ってるよな?」

「雫さん? はい、友達の千春と仲が良い縁で私も仲良くさせてもらっています。それより前から白崎さんとセットで二大女神なんて呼ばれて…天之河君共々、私より生徒会に相応しいので」

「いや、今それはいいんだ。その雫なんだが、小学生の時に同級生の女子からイジメを受けてたことがあったんだ。でも、その子達に丁寧に注意したらちゃんとやめてくれたんだよ」

 

光輝の考えた作戦は、実体験をもとに絹を励ますというものだった。

 

「だからさ。絹がそんなに気にするなら、ここから出られた時にでもクラスのみんなに打ち明ければいいと思う。もしも不安なら、俺も側についててあげるよ」

 

と、優しく彼女を励ます光輝。一方、その横で話を聞いていたこしたんはというと、それに引っかかりを覚えていたのだ。

 

(あれ? 確かその話って…)

 

こしたんは、その雫が過去にイジメられていたという話を聞いてあることを思い出したのである。それは、バレンタインチョコの作り方を教えて欲しいという頼みをした際、香織との談笑で出て来た話題である。

 

~回想~

『そういえば白崎さんって、天之河君と幼馴染だったよな。確かに思い込み激しい所もあるけど、悪い奴じゃ無いし好きになった時期とかあったりするの?』

『友達以上には、あんまり見られなかったですね…それに、最近は光輝君に対して幻滅する話を雫ちゃんから聞いてしまったので、ハジメ君と先輩が付き合っても彼を選ぶことはないかな』

『幻滅?』

『小学生の時、光輝君が雫ちゃんの実家の剣道道場に通ってたことで仲が良かったんですけど、そのことに嫉妬した同級生からイジメられてたそうなんです。で、雫ちゃんが本人に相談したところ…』

『まさかとは思うけど、正義感に駆られてその子達を必要以上にボコボコにしたとか?』

『逆です。話せばわかると思ってその子達に直接注意したら、形だけの謝罪であっさり許してしまったんですよ。それで、陰でイジメが悪化したことに気づいてなかったらしくて…』

『うぇえ…檜山のカツアゲもあっさり許してるらしいけど、昔からそんな感じなのか?』

『どうも性善説って物を信じ過ぎてる嫌いがあるみたいでして…そこにあの思い込みの強さが合わさってるので、恋人候補にはまずあり得ませんね』

『だな。シンプルに、一緒にいて疲れそう…』

~回想了~

(天之河君の中だと、もう終わったことなのかよ…狸小路と比較した感じだと、"プラスとマイナスのご都合主義思考"とでもいうべきか?)

 

香織から聞いた話はそれっきりなので、こしたんは光輝側が何を考えてるのかわからなかった。しかし、絹と比較して正反対ながら二人してご都合主義思考が過ぎるという印象である。

こしたんも思わず、それについて声をかけてしまう。

 

「あ、天之河君…私の経験則で申し訳ないのだけど、そういうイジメって何かしら罰を受けないと辞めないと思ってるのよ。その子達、先生とかからそういうの受けてないの?」

「? 俺が言ってくれたら辞めたので、特に無いですよ。それにしても、罰を受けるまで辞めないって最低な人達ですね…そういう人にしか会えなかった先輩、大変じゃなかったですか?」

「あ、私が受けてたとかじゃないのよ。そういう人を助けてたっていう感じで…それにしても、言葉だけでなんとかしちゃう天之河君ってすごいのね」

「先輩、昔から人助けとかしてたんですね。それとお褒めの言葉、ありがとうございます!」

 

というわけで、光輝の人となりを改めて察してしまうこしたんだった。一方、自分の言うことなら聞いてくれる可能性から彼をとがめることも可能かもしれないが…

 

(そういうのは脱出してからにするか。今、可能性だけで天之河君を矯正する方がリスクが高ぇ)

 

ということで、光輝のことは後回しにするのだった。しかし、底であることに気づく。

 

「あれ? 狸小路さん、どこ行ったの?」

「…本当だ。こんな狭いところでどこ行ったんだ? 絹、いたら返事してくれ!!」

 

なんと絹が姿を消してしまったのだ。二人で辺りを探して回ると、絹が声をかけてきた。

 

「二人とも、ここです……」

「絹、いったいどこに…え?」

 

絹の声がした方に視線を向けた光輝は、困惑した。何故なら、絹は跳び箱の中に入って隙間から目と手だけを見せている状態にあったのだ。それに気づいたこしたんも、彼女に近寄った。

 

「あの、狸小路さん。なんでそんなところに隠れてるの?」

「反省してます…」

「反省だって? 絹、何を反省することが…」

「私、雫さんの異変に気づいてあげられなかった。自己紹介のウソじゃなくて、そっちでバチが当たったのかも…」

 

どうやらバチとやらについて、他に心当たりがあったらしい。そしてそれについて話しだすと、驚愕の事実が判明する。

 

「天之河君は知らないと思うんですが、雫さんって日野市内各地の中学と高校に同性のファンが一定数ずついるんです。それでその子達が集まって、ソウルシスターズという非公認ファンクラブを設立していまして…」

「「そうなの!?」」

 

驚くことに、この世界線でもソウルシスターズは存在していたのだ。しかも規模は遥か上である。

ちなみに、光輝の妹・美月も日野南高校の新一年生として入学しているし、同じくソウルシスターズの創始者だ。ただし、出番はありません。

 

「それで、中学での後輩や他校に進学した友達にも、何人か所属している人がいて…その子達から去年の秋頃から雫さんの様子が変わったとお聞きしてるんですよ」

「あ、ああ。その辺りに鹿乃子先輩が転校して来て、以降彼女に対してうっとりするようになってたけど…」

 

雫が変わったという時期、丁度のこたんが転校してきた時期と同じであったようだ。そして、光輝からも言質が取れたと判断したのか、それに関する絹の新たな妄想が飛び出したのだ。

 

「さっきの天之河君の話を聞いて思ったんですけど…それってイジメをトラウマに感じてるのか、まだイジメ自体が続いているのかもしれません! そのストレスで雫さんが可笑しくなってしまったのかも!?」

「「なんか今日一番で話が飛躍してない!?」

(そしてありえそうな話だから否定しづらい!!)

 

まさかの話が飛び出したので、また二人のツッコミが重なった。こしたんは内心でありえそうと思ってしまったが。

ちなみに、雫は今はイジメられてないのでご安心を。

 

「だって雫さんの実家って剣術道場なのに、部活でも剣道してるんですよ? それってイジメから身を守る為に、とにかく強くなりたくて無理してるからなのかもしれません!?」

「絹、雫は道場の娘として名を上げるために剣道に直向きなだけなんだ! だから君がそれを心配する必要なんてない!!」

「それ、ちゃんと雫さん本人から聞いたんですか!? いや、言ってたとしても口実かもしれません!!」

「狸小路さん! どっちにしてもそれじゃあ、あなたは直接関係無いでしょ!? 責任を感じる必要は…」

「私も雫さんと仲良くさせてもらったと話しましたよね! 私は親友の友達の異変に気づけない、バチ当たりな小娘なんです!?」

 

二人でフォローしようにも、聞く耳を持たない絹であった。

 

「とにかく、その跳び箱から出てきなさい!! 一緒に脱出の方法を考えましょう!!」

「イヤです! 私、もう一生この中で反省し続けるって決めたんです!! 雫さんへの懺悔をしながら、この中で生涯を終えないといけません!!」

「もし君の予想が本当なら、ここから出た後に雫の力になってあげる方が良いだろ!! とにかく、一回絹も出てきてくれ!!」

 

業を煮やしたこしたんは、光輝の協力で衣を力ずくで跳び箱から出そうとする。しかし、以外にも力が強くてなかなか出てこなかった。

 

ガチャンッ

「と、扉が開いた?」

 

何と体育倉庫の入り口が開いたのだ。誰かが入ってきたので、二人して視線を移す。

 

「「し、鹿乃子さん(先輩)!!」」

 

入ってきたのは、なんとのこたんだった。思わず満面の笑みでのこたんに駆け寄る光輝と、涙目で同じく駆け寄るこしたん。出れたのがよほど嬉しいようだ。

 

「先輩、俺達に気づいて助けに来てくれたんですね!! まさか、最初に会った時に話してた野生の勘ってやつですか!?」

「あ、それがあったわね。鹿乃子さん、本当にありがとう!!」

「ヌン? 助けって何のこと? というか、二人とも何してるの??」

 

しかし、のこたんは二人を助けにやって来たわけではないらしい。思わず、のこたんにここへ来た理由を質問しておく。

 

 

「え? じゃあ、何で一人で体育倉庫に?」

「実は、ここの跳び箱の中でキノコ栽培をやっててさ」

「お前、そんなことしてたの!?」

「それ違法栽培にならないんですか!?」

 

まさかの理由に、思わず光輝もツッコミを入れてしまう。

 

「だから、二人が何してるのか私も知らなくて…まさか、私のキノコを狙って?」

「「んなわけあるか!」」

 

今度はのこたんからあらぬ疑いをかけられたので、また二人でツッコミを入れてしまう。

 

「だよね。今日でやっと、収穫日なんだ~」

「あ、先輩! その跳び箱は…」

 

ウキウキしながら目的の跳び箱に近寄るのこたんを、光輝が制止しようとする。何故ならその跳び箱は…

 

 

 

 

「……ヒック……ヒック…」

 

絹が反省のために入っていた跳び箱だったからだ。なので跳び箱を開けると、のこたんが育てたであろうキノコにまみれながら、泣きべそをかいている絹の姿があった。それを見たのこたんはというと…

 

 

 

「密猟者か!?」

「ヒィッ!? すみません…」

「違法栽培者が何言ってるんですか!?」

 

盗みに来たと勘違いしてぶち切れていた。そんなのこたんに、光輝も思わずツッコミを入れてしまう。

 

 

ちなみに、のこたんの栽培したキノコはばしゃめがキノコご飯にしたので、シカ部の面々に振舞われることに。

 

「先輩、これ美味しいですけど…違法栽培のキノコを俺達で食べてよかったんですか?」

「気にしないで。何かあったら私が全責任を持つから」

「いや、こんなしょうもないことで責任持たれても…」

「あ、会長。お代わり貰っていいですか?」

「絹も遠慮した方が…いや、元気を出すためにもいっぱい食べた方がいいか」

 

何故か、光輝と絹もご相伴に預かることに。そのまま二人で、茶碗に盛られたキノコご飯をかき込む。

 

(確かに、雫の変貌っぷりには俺も気になるところはあったけど…絹が言うみたいにイジメが続いているのは無いとして、それでも何か悩みがあるかもしれないな。それとなく聞いてみるか)

 

一方で、光輝は絹のネガティブ過ぎる妄想を聞いて思うところあったようで、ひっそりと雫を気にかけてあげようと思うのだった。

 

「なんで生徒会の奴と天之河が、シカ部で一緒にメシ食ってんだ?」

「そういえば、なんでだろうね?」

 

そしてその光景を見て困惑する檜山とハジメ。ちなみに檜山は、今日もシカ部の弱みを掴めなかった。




というわけで、絹ちゃんと光輝の絡みを入れてみました。理由はこしたんも作中で話した通り、プラスとマイナスのご都合主義思考が理由です。この二人で絡ませたら面白いかと思ったので…軽く光輝に考えるきっかけを与えたかも? ですが、果たしてどうなるか?

あと、書いてる内にこの二人のカップリングも思いついてしまったのですが、どうしましょう? 試しに、アンケートも入れてみました。

光輝と絹のカップリング、アリだと思いますか?

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