僕の師匠は超能力の使い手です   作:ワニの騎士

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第一話:カオスの力『サイコパワー』

 

「……ク!……ズク!!」

 

大きい声が頭に響く。目を開けるとそこには僕のお母さんが泣いていた。

 

「…お母、さん?」

 

「出久!!ごめんね…!傍に居なくて……!」

 

ベットのシーツを握りしめて泣いているお母さんを、僕は、頭を撫でて慰める事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

後から警察の人に聞いた所によると、夜遅くなっても帰ってこない僕を心配したお母さんが警察に通報。そして時間が過ぎて真夜中、山を下る山道で黒い馬に乗った僕を警察が見つけたらしい。黒い馬は僕を降ろして山の中に消えていったんだって。

『黒い馬』というワードであの廃墟で起きた出来事は夢じゃないって分かった。

 

「ふん…!!ふん……!なんで何も起きないの……」

 

自分の部屋でベガさんから貰った個性を使いたくても何も起きない。だから僕はもう一度、あの廃墟に行く事にしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「来ると思っていた、待ちくたびれたぞ。」

 

緑谷がやって来るのを分かっていたかのような口振りで、ベガは現れた。

両脚を揃えて腕を組むその姿からとてつもない威圧感を感じ、緑谷は足が竦んでしまう。

 

「ベガさんがくれた個性なんですけど……使い方が、分からなくて…」

 

「ふん…。確かに何も言わずに力を分けたのは悪かったな。責任を持って教えよう。」

 

ベガがそう言うと緑谷は背負ってきたカバンから使い古したノートとペンを取り出し、一門一句を聞き逃さないように身構える。

 

「まず、この力は『個性』では無い。」

 

「えっ?!」

 

「個性という力を持った新人類が現れる前、俺が見出した…いわば『超能力』の一種だ。」

 

「超能力って、念力とか瞬間移動をしたりする…あの?」

 

「その通り、俺は『サイコパワー』と呼んでいる。」

 

ベガは右腕を突き出し、蒼い炎を包帯から滲ませながら話を続ける。

 

「サイコパワーは使用者の肉体を強化する。訓練すれば、エネルギー弾を発射し、宙に浮かび、更には瞬間移動が出来るようになるだろう。」

 

サイコパワーで出来る事を聞いた緑谷は目を輝かせながらペンを走らせるが、ベガが次に発した言葉に手が止まる。

 

「だが、強大な力にはもちろん代償がある。」

 

「代償…ですか。」

 

「その代償とは、心の闇…負の感情を増加させ、暴力的になる。」

 

「じゃ、じゃあサイコパワーを使えても意味無い…じゃないですか!あっ…今のはその……」

 

「早速効果が出始めている様だな。」

 

怒り、不満、それらをあまり表に出さず、大して気にしていなかったのに今では怒りっぽくなっている事に気付いた緑谷は、不安の表情を募る。

 

「しかし、抗う術はある。従えるのだ、力を捩じ伏せろ!飼い慣らす事が出来ればサイコパワーは貴様の思いのままになる!」

 

「ベガさん…!」

 

「さぁ、訓練を始めるぞ!直ぐに潰れてくれるなよ、フーハッハッハ!!」

 

それから毎日、緑谷に宿ったサイコパワーの訓練が始まった。

 

「まずは基礎的な筋力トレーニングからだ!!」

 

走り込み、腕立て、上体起こし等、体の筋肉を均等に鍛えていく。

小学生に拷問の様なトレーニングで逃げ出したくなるが、それを馬のロシナンテが許さない。

 

「うわぁ〜ん!!もう嫌だ〜!」

 

時にはロシナンテに逃げられない様に引きずり戻され、また時には退路を塞がれる。更には夜中にアパートまでやって来て、ヒヒーンと緑谷を呼ぶのだ。そういった地獄の様な体力作りが中学に上がるまでに続いた。

 

「ふむ…、そろそろサイコパワーの訓練をしても大丈夫だろう。」

 

「やっと能力の訓練ができるんですね!」

 

そしてサイコパワーの訓練が始まった。

ベガが緑谷に行わせた訓練は主に6つ。

 

 

### 1. **自己制御と集中力の強化訓練**

- **目的**: サイコパワーは精神集中と制御が重要である為、これを強化する。

- **内容**:

- 瞑想や呼吸法を取り入れ、一定時間唯一の思考に集中させる。

- ベガの格闘スタイルを取り入れ、精神を集中させて動作を完全にコントロール。

- パワーを使う直前に深呼吸し、「今ここに集中する」ことを意識させる。

 

### 2. **念動力の基礎操作訓練**

- **目的**: 思考を使って物体を動かす力の正確なコントロールを習得させる。

- **内容**:

- 小さな物体(例:紙片やペン)を使い、距離や力加減を調整して動かす練習。

- 風船や軽いボールを遠くに浮かせたり、指定した場所に動かす。

- 物体に適切な力をかけて動かす感覚をつかむ。

 

### 3. **精神エネルギーの蓄積と分散**

- **目的**: 強大な力を必要なときにだけ放出できるようにするため。

- **内容**:

- 自分にエネルギーの「蓄積状態」を意識させ、最大限に集中した状態を作らせる。

- パワーを溜めるイメージを持たせ、一瞬だけ放出する訓練。

- 整理整頓や呼吸コントロールと組み合わせ、エネルギーの制御を養う。

 

### 4. **精神的な耐性とストレス耐性を高める訓練**

- **目的**: 強力な力を使うときに精神が乱れないようにする。

- **内容**:

- ノイズや妨害(イメージトレーニングや外乱状況)を作り、集中力を維持させる。

- 負荷の高いイメージを頭の中で再現させ、それを制御する練習。

- ストレスや怒りをエネルギーに変える訓練も効果的。

 

### 5. **コントロールと反応速度の実践訓練**

- **目的**: サイコパワーを用途に応じて瞬時に出せるようにする。

- **内容**:

- 指示を出し、その通りにすぐに念動力を使う訓練。

- 瞬時に想定外の指示に反応させ、パワーをコントロールする。

- ターゲットや障害物を設定し、反射的に動かす練習。

 

### 6. **倫理と制御の意識付け**

- **目的**: 強大な念動を悪用しない心構えを育てる。

- **内容**:

- 他者に危害を加えないルールを徹底させる。

- パワーを使う状況や目的を常に確認させ、自己規律を養う。

 

(この小僧に悪意を植え付けるのは気が引ける……やれやれ、俺も丸くなったようだ。)

 

出久は優しい性格と純粋さから、まずは精神の安定や正しい使い方を優先させた訓練が効果的だと判断したベガは、緑谷のヒーローとしての理想と一体化させることで、サイコパワーの制御と成長を促しに集中させる事にした。

 




ベガの性格がなんか丸くなっちゃった。
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