雄英の入試試験から時は流れて四月、緑谷は無事に合格を果たし正門の前に立つ。
「ふぅ……良し!」
自身に喝を入れ正門をくぐり抜けた彼は指定された教室『1-A』を探す。
「ドア…デカ?!バリアフリーかな?」
約3m程のドアに驚きつつも、これからの3年間でどのような経験が出来るか楽しみで仕方がない緑谷はドアに手をかけて中に入る。
「机に足を掛けるな!歴代の先輩方や机の製作者に申し訳ないと思わないのか!?」
「思わねぇよ!どこ中だこの脇役が!」
教室には既に彼の幼なじみである爆豪勝己と、それを注意する、入学試験でプレゼントマイクに挙手をした真面目そうなメガネを掛けた少年、それを見る他の生徒達がいた。
「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。」
「聡明〜〜?!クソエリートじゃねえか、ぶっ殺しがいがありそうだなぁ。」
「君酷いな、本当にヒーロー科志望なのか?」
緑谷は目の前の光景を見て、やはり入るのを止めようかと緑谷はドアの前で悩み立ち往生している。
「ん?君、そこにいたら教室に入る他の人の迷惑になってしまうぞ。早く入りたまえ。」
「えっ…あっ僕か、ごめんすぐ入るよ。」
直ぐに席に着いて教師を待つ。
(あれ……あの寝袋、ドアの所にあったかな。)
席から立って寝袋の前でしゃがむ。
「あの〜…」
「上手く気配消せたと思ったんだけど…はぁ。」
のそのそと寝袋を脱いで現れたのは、あまり清潔感のない格好の男だった。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、きみたちは合理性に欠くね。」
「俺は担任の相澤消太だ、よろしくね。」
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「「個性把握テストぉ!?」」
教師を名乗る相澤に体操服に着替えろと言われ、着替えていざグラウンドに出てみれば彼が発した言葉に皆が驚愕する。
「いやいやいや!」
「入学式は?ガイダンスは?!」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間ないよ。雄英は自由な校風が売り文句、そしてそれは先生側もまた然り。」
あまりの正論に反論が出来ない生徒達に相澤は落ち着いた表情で続ける。
「良き受難を……"Plus Ultra"って奴だ。」
「確か、実技成績がトップだったのは爆豪だったな。中学の時、ソフトボール投げ何mだった。」
「67m。」
「じゃあ、個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、早よ、思いっきりな。」
ボールを持った爆豪が地面に白線で描かれた円の中に入って構えをとる。
「んじゃまあ……死ねえッ!!」
(死ね?)
爆豪の個性、『爆破』でボールが彼方に飛ばされた。
「まず、自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。」
「「ウオォォォォォ!!!!」」
場は盛り上がった。相澤が持つ端末に表示された爆豪のボール投げの記録、〈705.2m〉に驚くのもそうだが、何より思い切り個性を使える事に皆が喜んでいた。
「なんだこれ!? スゲー面白そう!!」
「個性思いっきり使えんだ! さっすがヒーロー科!」
「……面白そう、か。ヒーローになるための三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
相澤の発言で場は静まる。
「よし、総合トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し…除籍処分としよう。」
「「「はぁぁぁぁ!?」」」
「生徒の如何は先生おれたちの自由……ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ。」