赤の様な傲慢さもなく、かと言って白のような苛烈さも黒のような異常性もなく
緑の様な真面目さはなく
黄のように暴君としては振る舞えず、紫のように残虐にもなれず、青の様に自由には生きられない
そんな異端な悪魔のお話
-追記-
悪魔の色を灰茶色に変更
少年の髪と瞳を色を茶色に変更
私が私を自覚出来るようになったのは、つい最近だった。
初めはただの一匹の悪魔、召喚され、願いを叶え、そして勝手に破滅する。
そして戻れば
その繰り返し
ある時に一国の王が敵国を滅ぼして欲しいと願った。
その願いの代償として自国の民50万の命を差し出す事を王は誓った。
そして、私は望む通りに滅ぼした。
敵国の人間の魂、70万と400を得た。
滅ぼした後、王は自国の民50万の命を差し出す事を拒否した。
仕方がないので、王と私を殺しに来た兵士達、1万と一人を殺し、50万の民の命も頂いた。
その後、
私を呼んだのは一人の少年だった。
茶色の髪に、無垢に輝く明るい茶色の瞳と、成功したと無邪気に笑う表情。
その姿が、私の記憶に焼きついた。
願いは親友のかかっている不治の病の完治
代償は自らの命と肉体。
少年は、願いを叶える前に少し待っていてほしいと言われた。
私はただ頷いた
待つ事を了承したと理解した少年は走り出した。
私もそれに着いて行く事にした。
道中、少年を見た人々は驚き、私を見て悲鳴を上げる
親友の居る場所は、ありふれた普通の家だった。
息を整えぬままに、少年は扉を開け、親友の眠るベットにかけよる
親友…という子は人間の少女だった。
痩せ細った線の細い身体に、死人のような青白い肌…それに反して髪と瞳は綺麗な銀で、窓から差し込む日に当たり、キラキラと輝く。
それを私は…美しいと思った。
親友はゆっくりと目を開け、少年を見つめ、後ろに居る私に気付く
親友は目を見開き、声をあげて少年に言い放つ
「私を救うために、悪魔なんかを呼んだの!?」
「そうだよ、ただ魔法陣を描いて、生贄の灰色の猫を置いたら、出て来たんだ。
僕は君の不治の病を悪魔に治して貰うんだ。
そしたら君はこんな狭い部屋に留まる必要はない。
君の足で世界を見れる。
君は今から変われるんだ!」
少年はそう言った。
「でもその代償は?悪魔に願いを叶えて貰うなら、それには代償があるんでしょ?」
震える声で、親友は少年に問う
「大丈夫!代償なんて気にしないで!悪魔さん!お願いします!」
私は願いを叶え、その代償を受け取る。
少年の肉体に、私は入り込む。
そして、奥へ奥へと進み、無垢に輝く、純白の魂を見つける。
それが、少年の魂だ
しかし、私はこの魂を奪うのを惜しいと思った。
何故かは私にも分からない
しかし、契約によって差し出されるのはあくまでも少年の肉体とその魂
ならば、少年の魂をどうしようと、私の勝手ではないだろうか?
私は、少年の魂を大切に『保管』した。
そして、肉体を得た私は目を開ける。
目の前には、恐怖に震えた少年の親友が居る。
そして、玄関からは武装した兵士達が、私へと武器を向ける。
そんな最中、私は考える。
私は、何色に染まるのか…と
赤の傲慢様な傲慢さは私にはない
白の様な苛烈さも私にはない
黒の異常性も、私にはない
緑の様な真面目も、こうして契約を自分で曲げている以上、当てはまらない
黄の様に暴君の様に振る舞うのも違う
紫の様な残虐さは持ち合わせては居ない
青の様な自由な生き方も、私には到底出来そうにはない。
ならば、どうすればいいのだろう?
どの色にも染まれない、そんな悪魔の在る
「…ああ、あるじゃないか」
赤や青、緑や紫、黄の様な鮮やかではなく
白と黒の様な、対極でもない
5色が混ざり合い、白と混ざり、黒と混ざろうと、美しくもなくかと言って暗くもない
そんな中途半端な色
灰茶色。
「…ああ、私にピッタリな色です…」
背後で兵士達が剣を振り上げた。
「少し待ってください」
その一言で、兵士達は時が止まる様に固まり、停止する。
兵士達は動かない自らの肉体に対して困惑しながらも、瞳だけは私を見据えていた。
「…少女よ、貴方は少年をどう思っていますか?」
「あ、悪魔め…!返せ!私の親友を返せ!」
元気な体を取り戻した親友は、涙を流し、拳を振り上げ、私の胸板を何度も叩く
それを、私は甘んじて受け入れる。
「返せ!返せ!返してよぉ…」
徐々に力は弱まり、涙は溢れ、崩れ落ちる様に床に座り込む。
「返せますよ」
その一言に、親友は顔をあげてこちらを見つめる。
「返す事は、可能です…人としてではないですが」
私は、保管した少年の魂を取り出す。
少年の魂は、相変わらず白く無垢に輝いていた。
「半端な悪魔に願うのならば、少年を悪魔として返しましょう」
「…代償は…?」
震える声で、親友は問う。
「そうですね…貴方の肉体を貰い…貴方にも、悪魔になって貰います…どっち付かずな私一人では、やられて戻った後が不安ですから」
「…わかった、悪魔に、なる…」
一人の少女はそう決意をして立ち上がる。
「では、貴方の肉体を貰い、貴方と少年を悪魔にしましょう」
そう言って、私は少女の肉体に、少年の魂を押し込む。
「あ…あ"っ…!!」
ブチブチと少女の身体が二つに裂けて別れるも、臓腑すら落ちずに完全に別れる。
別れた少女の肉体は、丸い肉の塊となって蠢く。
球体状になった肉から羽化する様に、幼い子供が現れる。
姿は、どちらも灰茶色の髪で、クリクリとした可愛らしい茶色と銀のオッドアイ。
幼子らしいふっくらとした肉体と、それに合わない魔素の量。
「…成功しましたね」
「あー…?」
「ううー…」
よちよちと宙を掻く様にこちらへ来た幼子を私は優しく受け止める。
「…お待たせしました、兵士の皆様…可哀想だとは思っていますが…
この子達の養分となって下さい」
「ひっ…!?」
兵士達の誰かの悲鳴を残して、私は兵士達を殺害した。
「さて…どうしましょうか」
兵士達を殺して得た魂を幼子二人に与えながら、森の木の上で私は考える。
…今、この世界に居るのは赤と緑、そして青
確実に、赤はこちらに気付くだろう
…既に気付かれているというのが正確ではあるが
他の色の悪魔にも、もう気付かれていると考えていい
気付かれたとしても、原初たる色を冠した悪魔達に、私が勝てる道理はない。
「…しかし、持っててよかったですね『
私が殺し合いをしている最中に得たモノ、何かを別な物に組み替える…ただそれだけの力
「…まずは、隠れながら、この子達を育てましょう」
私の腕の中で眠る二人の幼子を見て、私はそう決意した。
灰茶色、調べてみたら
どこかやさしい深みのある色で、心を静かに落ち着けてくれる色
との事なので主人公に合いそうなので変更しました!