連邦の白い棺桶に乗ってしまった…(助けて)   作:デーデーデー

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Beginning編 回顧2

 ●謎の回想主(主人公)

 今の所、大卒で整備兵になって、なんやかんやあって連邦の白い棺桶に乗ってしまった可哀想な人という事以外、名前も風貌も分からない男。たぶん、次回の後半あたりで、ようやく名前と風貌が明らかになるらしい。

 本人は否定的だが、どう考えてもNT。もしくはエスパーかなにかかもしれない……。

 



 

 結論から言って、正史とは違い、俺を含めたホワイトベース隊はオデッサ作戦の主要部分には殆ど関与しなかった。

 本来であればホワイトベース隊が大活躍する戦場の1つだったのが、この世界におけるホワイトベース隊はヨーロッパ戦線に到達した時点において、完全に消耗しきってしまっていた。

 

 当たり前だ。延々とそこに至るまでにジオンの勢力圏のど真ん中を飛行し続けたのだから。

 

 ホワイトベース隊が受けた損害は深刻その物だった。そもそも、ラスベガスでのシャアとの戦いの時点において、サイド7から脱出に成功した数十機のガンダムはほぼ壊滅。軍事的に言えば全滅と言っても近しい程までの損害を受けていた。そして、ガンダムよりも明らかに優れたMSであるガンタンクとガンキャノンも喪失。

 残るMS戦力は俺のガンダムと、予備パーツを何とか掻き集めて用意したカイとリュウの二人の為のガンダム、計3機のみ。

 ホワイトベースもある程度の被害は受けているものの、こちらに関しては運用に問題のないレベルに収まっている。

 これだけでも、はっきり言ってかなり深刻な状況だが、この戦力でホワイトベースは司令部の命令で敵地を横断してのオデッサ行きを実行した。この世界にはアムロが居ないのにも関わらず(正気か!?)。

 

 そして、結果は散々たる物だった。

 ホワイトベースがオデッサに辿り着く事自体には成功した。だが、その過程でカイとリュウのガンダムは完全に大破。二人は死にはしなかったものの、ホワイトベースの残るMS戦力は俺のガンダムのみとなった(二人が死なない様に頑張った俺を誰か褒めてほしい)。その俺のガンダムもドップによる攻撃で中破。

 ホワイトベースもドップによる空爆によって大きく損傷した。

 

 てか、ドップ強すぎなんだよ!何だよあれ!?向こうは上空を縦横無尽に飛び回る中、こっちの攻撃はビームライフルは相変わらず当たらないし、ビームライフルよりマシなハイパーバズーカの時限信管でも、有視界戦闘だから戦闘機相手だと命中率悪過ぎて、まさかのドップ相手にハイパーバズーカ二丁持ち状態で、やがて応戦する羽目に。それでも多少命中率が良くなる程度で、対空戦闘能力は圧倒的にホワイトベースが上(実際、対空戦闘はホワイトベースが中心だった)。正史の最終決戦仕様のガンダムが泣いちゃうよ!頼みの綱のバルカン様もドップが超接近でもしてこないと、命中率だだ下がりだし(絶望)。

 

 傷つきながらも何とか、レビル将軍配下の部隊との合流に成功したホワイトベースは、当初は前線投入される予定であったが、その激しい消耗具合から前線行きは見送られ後方への配属が決まった。

 もっとも、安全な後方という意味では無く、前線部隊間を飛び回って前線部隊への補給物資を届けるという内容で、ホワイトベースの運搬能力を買われた物だった。俺のガンダムはホワイトベースの直衛として引き続き配備。さながら、ガンダムはホワイトベースのおまけ扱いだ(実際そうな訳だが)。

 

 オデッサでの戦いは、正直に言ってしまえば、この1年戦争中において、俺的には最も楽な戦場だった。

 正史のアムロやホワイトベース隊の面々がこれを聞いたら、どう思うかは分からないが、この世界において俺やホワイトベース隊はオデッサ作戦において戦闘らしい戦闘を殆どしなかったのだ。直ぐに死ぬ白い棺桶に乗ってるから、作戦中は全く気を緩められなかったが。

 俺がオデッサ作戦でやったのは度々、補給を妨害する為に襲ってくるドップとの対空戦闘くらい。MS戦には参加しなかった。

 

 ただ、俺にとっては今までの戦いに比べれば、遥かに楽な戦場だったが、それ以外に目を向ければオデッサ作戦はまさに地獄だった。

 正直、この作戦に本格参加させられなくて本当に良かったと思っている。

 

 オデッサ作戦。

 正史においては、連邦軍は陸上戦艦や61式戦車や戦闘機などの通常戦力やホワイトベース隊に加えて、ガンダムの予備パーツで作られた陸戦型ガンダムをはじめ、陸戦型ジム、陸戦強襲型ガンタンクを投入し、さながら、この戦いは連邦とジオンによる本格的なMSの初の大規模戦闘と言える内容だった。

 とはいえ、連邦側の主戦力は依然としてMSの量産が完全では無かった為、通常兵器にかなり偏重した戦力構成だったと言えた。

 この作戦により、連邦軍はオデッサに駐留していたジオンのマ・クベ率いる部隊を打ち破る事に成功し、ジオン軍は宇宙への撤退や各地のジオン勢力下の他の地域への後退を余儀なくされ、この戦いの決着によって一年戦争の主戦場は宇宙へと移りゆく事になるという重要な戦いだった。

 

 この作戦の戦闘結果を見れば、この世界におけるオデッサ作戦も正史と概ね同じ結果を迎えたと言えた。しかし、この世界においては正史とは決定的に違う点が存在していた。

 

 それは連邦軍のMS戦力である。

 正史のオデッサ作戦における連邦軍のMS戦力は決して多いとは言えなかった。しかし、この世界におけるオデッサ作戦においては、何と、連邦軍のMS戦力は1,000機を超える大戦力だったのである。

 数だけで見るならば、連邦軍において、ここまでの数は本来の正史においては主戦場が宇宙空間に移行しなければ登場しなかった筈だ。

 だが、この世界においてはオデッサ作戦において実現したのだ。

 

 何故、正史よりも、こんなにも早いタイミングでここまでの大戦力が投入出来たのか。

 

 俺は補給任務に当るホワイトベースの護衛をする傍ら、前線に居る大量のMSや、ホワイトベースに詰め込まれた大量のMSを目にして、驚愕し困惑したのをよく覚えている。

 

 だが、事情を聞けば、それはある意味、納得のいくものだった。いや、厳密に言えば、オデッサ作戦に参加したMSが何であるのかを見れば、最初こそは、何だこの大戦力!?と驚愕するだろうが、冷静になれば、その理由は想像に難くない内容だったと今になって考えれば言えるだろう。

 

 この世界の連邦軍がオデッサ作戦に投入したMS戦力。

 それは、陸戦型ガンダムだった。

 

 陸戦型ガンダム。

 正史においては、ガンダムの余剰パーツを基に様々な機能をオミットし陸戦に特化した様相で少数が量産されたガンダム。

 しかし、この世界における陸戦型ガンダムはコンセプトは同じであるが、その様相が根本から違っていた。まず、この世界における陸戦型ガンダムは確かにRX-78ガンダムのオミット版だ。コアブロックシステムも廃されている。

 だが、忘れてはならない。そもそも、この世界におけるRX-78ガンダムが何であるのかを……。

 

 この世界におけるRX-78ガンダムは正史におけるガンダムと比べようもない程の産廃兵器だ。

だが、正史よりも勝っている点が一点だけある。それは、量産性だ。試作機段階にも関わらず、RX-78ガンダムはサイド7において百機以上が生産され試験運用されていた。これは一重にその量産性の象徴だ。

 この世界のガンダムは頭部以外の本体構造の装甲にルナ・チタニウム合金ではなく、ルナ・アルミニウム合金を使用している。これによって装甲は少し硬い装甲車並しかなく、ザクマシンガンにも耐えられないクソ雑魚と化しているが、非常に軽量かつ高い生産性を有している。それ故にこの世界のガンダムは百機以上も生産できたのだ。

 

 そして、これを基にした、この世界の陸戦型ガンダムは生産性のさらなる向上のためにコアブロックシステムを廃したのに次いで、実戦データを保護する為に頭部に採用していたルナ・チタニウム装甲も廃した。これによって盾以外が全てルナ・アルミニウム合金と化し、これに陸戦特化の装備を施した事で陸戦型ガンダムがこの世界に爆誕した。

 全装甲にルナ・アルミニウム合金の採用とコアブロックシステムの廃止によって陸戦型ガンダムはガンダム以上の大量生産性を手に入れた。MS戦力が喉から手が出る程欲しかった連邦軍はこれを地上における主力MSとして採用したのだ。

 

 ちなみに、ここまで "量産性だけは" 優れた陸戦型ガンダムが居る以上、これ以上の機体を連邦軍は求めなかった様だ。

 正史においては、オデッサ作戦には陸戦型ガンダム以上に陸戦型ジムが配備されている筈なのだが、俺が見た限り、陸戦型ジムの姿は確認できなかった。

 正史ではガンダムは本格的に量産化される事は非常に稀な機体であったが、この世界においてはガンダムは量産化の悲願を果たした様だった。

 

 ハッキリ言って、陸戦型ガンダム大好きなガノタがこの光景を見たら、きっと歓喜する光景だろう。正史では少数しか作られなかった陸戦型ガンダムが正しく連邦軍の主力MSとなっているのだから。

 しかし、それと同時に陸戦型ガンダム大好きなガノタが、この世界における陸戦型ガンダムの戦い様を見たら、きっとGUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTHでガンダムを見る気持ちと同じにならざるを得ないだろう。

 何故ならば、産廃兵器を幾ら量産化しようが、それは産廃兵器なのには変わりないのだから……。

 

 連邦軍の上層部は恐らく、かなりの楽観主義に囚われていたのだろう。

 MSに戦艦並みのビーム砲を搭載し、ビームサーベルも搭載出来た事で、これでジオンのMSと対等に戦えると思い込んでしまったのかもしれない。

 また、これに加えて圧倒的量産性も連邦軍が自信を持つ原因だったのだろう。

 だから、連邦軍は気づくのが遅すぎたのだ。ガンダムがとんでもない産廃兵器であるという重大な事実に。

 

 後年、又聞きで聞いた話であるが、連邦軍の上層部はホワイトベースから、もたらされるガンダムの実戦記録を目にして戦慄し皆一様に顔を青ざめたとされる。

 それもまぁ、当然だろう。なにせ連邦軍が丹精込めて作ったガンダムがサイド7から出てきた時は数十機も居たのに地球降下後、僅かな間にほぼ壊滅状態になっているのだから。しかも、敵戦力と比較してみれば、敵の方が少ないのにこの有様なのだ。

 

 ホワイトベースの戦闘結果を受けて連邦軍はオデッサ作戦の大幅な見直しを迫られた。

 当初の予定通りならば、連邦軍のMS部隊は真正面から物量を活かしつつジオンのMS部隊と相対する予定だったが、ホワイトベースからもたらされた戦闘結果を分析した結果、この性能では、まともにジオン軍と衝突した場合、ガンダムをベースとした陸戦型ガンダムでは1,000機でも足りないという恐ろしい可能性が出てきてしまったのだ。

 

 このまま作戦を実行すれば、連邦軍は大損害を免れない。

 そうして大幅な見直しがされたオデッサ作戦の様相は陸戦型ガンダムが1,000機も居るという状況も含めて正史とは全く違う様相と化した。

 

 まず、連邦軍はMS部隊単独によるジオン軍のMS部隊との戦闘を極力回避し、戦車などの通常戦力と必ず同伴させる事にした。またこれに加えて、連邦軍は大量の通信ケーブルを用意し、陸戦型ガンダムと戦車を接続。ミノフスキー粒子による通信障害下でも有線による通信を可能な状態とし、陸戦型ガンダムのカメラセンサーで索敵を行い、戦車と戦術データリンクを行う事で、戦車の射撃補正を支援。戦車単独では不可能な、より長距離の精密射撃を可能とし、さらには敵MSが部隊に接近した時には陸戦型ガンダムも迎撃を行うという戦術を採用した。

 陸戦型ガンダムのセンサー有効半径は5,900m、理論上は戦車の有効射程をより引き延ばす事が出来る戦術だった。連邦軍はジオンのMS部隊との接近戦を出来るだけ回避し遠距離戦に活路を見出した。

 

 俺はこの戦闘をホワイトベースの補給任務の傍ら見ていた訳であるが、傍から見ていて複数の陸戦型ガンダムと戦車が有線ケーブルで繋げられながら、進軍していく様は非常に奇妙な光景に見えた。陸戦型ガンダムの中にはケーブルが絡んだり、障害物に引っかかるのを防止する為に完全にケーブルのサポート役に徹する機体まで存在している有様だった。

 

 連邦軍の進撃速度は明らかに正史のオデッサ作戦よりも遅く見えたと言えるだろう。

 だが、この戦術は成功だったと言える。連邦軍は平野において着実にジオン軍を押し返す事に成功していたのだから。

 多くの作品ではやられ役だった61式戦車が陸戦型ガンダムのサポートを受けているとはいえ、ザクを始め、グフまでもを次々と破壊していく様はある意味で壮観であったと言えるだろう。

 だが、森林地帯や市街地、山岳地帯での戦闘ではそうはいかなかった。視界を遮る障害物が多い為だ。そういった場では、連邦軍はMSによる接近戦をせざるを得なかった。

 

 結果としてはオデッサ作戦は正史と同じ様に連邦軍がジオンに対して初めて本格的な勝利を収めた戦いとなった。

 だが、正史よりも連邦軍の進撃速度が大幅に低下していた事からマ・クベ率いるジオン軍は秩序だった撤退と資源の宇宙空間への打ち上げを完了させてしまった。

 

 今にして思えば、これが明らかに、この戦争の正史との乖離点の本格的な始まりだと言えるだろう。

 勝利を収めた連邦軍も遮蔽物の多い場所での被害や、戦いの終盤にはジオン軍も連邦軍の戦術に対して対抗手段を取って来た為、その損害はかなり大きくなった。戦車戦力に関して言えば正史に比べてその損害は軽微であり、半数以上が生き残った(正史では一説によれば壊滅状態)が、その代りに犠牲となったのが陸戦型ガンダムだった。

 1,000機以上が投入された陸戦型ガンダムの内、戦いに勝利した時点において生き残っていた機体は300機を僅かに上回る数だけだったのだ。

 

 つまりだが、この世界の陸戦型ガンダムはガンダムと同じ様に カンカンカン!ボーン!デーデーデー♫ したのだ……(白目)。

 

 陸戦型ガンダムのパイロット達は後年、このオデッサでの戦いを皆一様に地獄の様であったと振り返っている。次々と破壊される仲間の陸戦型ガンダムの光景は忘れられないと……。

 

 俺から言わせれば、よくジオン軍相手にこのレベルのMSで300機も生き残る事ができたなという感想だった。恐らく、それだけ、オデッサ作戦で採られた戦術が優秀だったのだろう。

 有線頼みで規模も現場部隊レベルとはいえ、戦術データリンクを部分的に回復できたのがよかった。連邦軍の61式戦車は極めて高度な戦車だ。ミノフスキー粒子によって戦術データリンクを失ったために戦術的価値が暴落してしまったが、元々が優秀な兵器であるが故に、一部とはいえ戦術データリンクを取り戻した事は極めて有効だったのだ。

 もっとも、有線のせいで進撃速度が遅くて正史よりもジオン軍との会敵が少なかったのでは?との考えも浮かんできたが、それを考えるのは野暮というものだろう(考えない方が幸せだよね……)。

 そして、連邦にとっての本当の地獄はまだ始まったばかりなのだが、連邦軍の将兵達はこの時はまだそれを知らない……。

 

 オデッサ作戦はこうして終わった。

 作戦の終結後、レビル将軍はホワイトベースの消耗した搭載戦力の補給を承認。陸戦型ガンダムを2機、コア・ブースター2機、それらの予備パーツ等を受領した。

 搭載戦力を補給したホワイトベースはレビル将軍の命令で当初(サイト7出発時)の予定通り、ジャブローへと向かう事になり、その前に北アイルランドのベルファスト基地に一旦入港し、そこで、これまでの戦闘で損傷したホワイトベースのより本格的な応急修理や生活物資の補給を行う事になった。

 

 正史ではここでジオンの諜報員、ミハル・ラトキエがホワイトベースに乗り込んでくるが、この世界ではジオンは諜報員を送り込んでは来なかった。

 さらに、ホワイトベースは応急修理と生活物資などの補給を終えベルファスト基地を飛び立った後、地球連邦軍本部の置かれている南米のジャブローへと向けて大西洋を横断する訳だが、この際に正史においては、大西洋上でマッド・アングラー隊と交戦する訳だが、この世界では、そんな事は起こらず、難無くホワイトベースはジャブローへと到着する事ができたのだった。

 

 俺はこの時、戦闘に身構えていた為に拍子抜けし、それと同時に安堵感からそれ以上、何も考えなかったが、今にして思えば、不自然な話だ。

 正史においてミハルがホワイトベースに送り込まれたり、マッド・アングラー隊が出てきたのはホワイトベースを追跡などして、ジャブローへの入口と正確な座標を調べる為だった。これがあったからこそ、その後のジオンによるジャブロー降下作戦が行われたのだ。

 しかし、この世界ではその前提となる諜報員の潜入もホワイトベースの追跡も恐らくは行われなかった。

 だが、この世界においても、俺にとっては、恐らく、これまでの人生最大のピンチだったジャブロー降下作戦が行われたのである。

 

 なぜ、ホワイトベースを追跡もせずに、ジャブローへの降下作戦が出来たのか、正直、今でも謎だが、よく考えれば、GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTHのジオンは連邦軍の通信をいとも簡単に傍受して、さらには中身も見る事が出来ている訳だから(ホワイトベースのオデッサ行き命令とその進路の傍受であったり)、これはある意味、ジオンの電子戦能力の高さを表していると言える。

 そして、この世界のジオンもGUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTHのジオンと同じ能力を有しているのだとすれば、わざわざ、諜報員をホワイトベースに送り込んだり、追跡しなくても知る事は容易だったのかもしれない……(連邦軍の情報網ガバガバすぎィ!)。

 



 

 ●RX-79陸戦型ガンダム。

 正式の宇宙世紀世界においては地球連邦陸軍がRX-78ガンダムの余剰パーツを流用して生産した戦時量産型MS。ガンダムの型落ち品のパーツなどで構成されているものの、ルナ・チタニウム合金装甲やビームライフルを稼働出来るジェネレーター出力などはガンダムに匹敵。

 ただし、ガンダムとは違い、ガンダムのコアブロックシステムや空間戦闘用の装備をオミットし地上運用に特化した機体として設計変更された。生産数はあくまでも型落ち品のパーツなどの寄せ集め品である事から20機程度。

 

 一方、この世界における陸戦型ガンダムは型式番号は同じであり、陸戦に特化した機体として設計変更がされているのは同じであるが、それ以外は大きな違いが存在する。

 この世界における陸戦型ガンダムはガンダムの生産レーンをほぼそのまま利用した事実上のガンダムの量産型モデル。生産機数も正史の20機程度という数から大幅に増え、オデッサ作戦時点で1,000機を越える大量生産が行われた。

 ガンダムと同じく装甲には軽量性に優れたルナ・アルミニウム合金を採用。ただし、ガンダムは頭部に実戦データを記録するブラックボックスが収められていた為に、情報を保護する為、ルナ・チタニウム合金の装甲で厳重に保護されていたが、陸戦型ガンダムでは量産型と言う事でコストカットの意味合いから頭部へのルナ・チタニウム合金の採用は見送られ、ルナ・アルミニウム合金に変わっている。

 これによって陸戦型ガンダムでルナ・チタニウム合金を使用している部位は盾以外には無くなった。また、よりコストカットを実現する為、ガンダムのコアブロックシステムを採用も見送られている。

 これらのコストカットや仕様の違いにより、正史では52.8tあった重量は10tにまで大幅に軽量化。ガンダムを上回る、恐るべき量産性を獲得している。

 

 一方でガンダムに搭載された連邦軍肝いりの戦闘コンピュータは引き続き採用された。その為、ガンダムと同じく、極端な話、全くの一般人を乗せたとしても問題無く動かす事ができる。

 ただし、連邦軍としてもガンダムに一般人が多く乗った事態は不測の事態であり、本意ではなかった為、陸戦型ガンダムにおいては、ガンダムとは違い民間人を乗せる様なことはせず、地上軍の一般兵士の中から募集をかけて乗せた。

 歩兵としてある程度、陸戦の心得を持っている者を乗せた方が上手く戦える為。

 

 オデッサ作戦においては、有線ケーブルを用意し戦車部隊と接続して随伴する事で、陸戦型ガンダムがその全高18mの高さとセンサーの索敵範囲の広さを活かして61式戦車の精密射撃をサポートするという、ミノフスキー粒子の電波障害によって失われた戦術データリンクを限定的にではあるが復活させる戦術が実施された。

 この戦術は "平野部においては" 大成功を収め、61式戦車は性能を発揮し、ジオン軍のMS部隊に大きな損害を与え恐れられた。

 以降、連邦軍の地上軍はこの有線による戦術データリンクの部隊運用を進め、地球上における全戦線での運用が行われる事になり、地球における連邦軍の反撃に大きく寄与する事となった。

 

  なお、陸戦型ガンダム単体による射撃方法に関しては手持ち武器の命中率を少しでも上げる為に現場の試行錯誤により "輝き撃ち" と呼ばれる撃ち方が産まれたのは有名な話。

 

 オデッサ作戦以降も陸戦型ガンダムは "運用を継続" されたが、ガンダムやオデッサ作戦での陸戦型ガンダムの損害の多さが問題となり、量産は以降、大幅に縮小され1年戦争が終わる頃には "物理的に" その姿は見られなくなったのだった。

 現在はオデッサ市内やニューヤーク市内にある連邦戦争博物館、北米にある連邦軍兵士や連邦市民の為の戦争犠牲者慰霊碑敷地内の博物館に "現存する" 3機が展示され、戦争の悲惨さを後世に伝えている。

 



 

 0079年11月30日。

 今でも悪夢に見る俺にとって人生最大のピンチであった最悪のジオンによるジャブロー降下作戦が遂に始まった。

 ジオンがジャブローに対して行った作戦内容は概ね正史と同じだと言えるだろう。

 ジャブローにある連邦軍の主要な宇宙港やMS工場を目標にジオンの水陸両用MS部隊による潜入やガウ戦闘空母の大部隊によるMS部隊の降下、強襲作戦が行われたのだ。

 

 正直、俺は油断していた。

 ここまで、オデッサ作戦から、余りにも何も無さ過ぎた。この間、精々、相手にしたのはオデッサ作戦中にホワイトベースを襲撃してきたドップ位だ。難無く大西洋を横断し、ジャブローに着いた事で、この時の俺は正史ルートからは完全に外れたと思い込んでしまった。

 

 それがいけなかったのだ。ジオンのジャブロー降下作戦が始まったとの報を聞いた時、降下作戦自体は、あってもおかしくはないとは思っていた為に心の準備は出来ていたのだが、いざ、ジャブローの地下要塞内で遭遇したジオン水泳部の中に赤いズゴックを目にした時、俺は内心、絶叫した。シャアじゃねぇか!!!!!と。

 てっきりシャアとはもう遭遇しないものと、何故かこの時の俺は楽観してしまっていたのだ。

 

 この時の俺はシャアと戦う心の準備は全くと言って良い程、出来ていなかった。

 

 そこからは酷かった。

 俺はパニックになりながらも、これまでの経験を活かしてシャアを含めたジオン水泳部の攻撃を紙一重で避けながら戦う事ができた。

 GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTHをプレイするにおいて冷静さを失いパニック状態で操作を行う事はハッキリ言ってゲームオーバーを意味するが、俺はこの世界で極限環境下でこれまで、揉まれに揉まれた結果か、例の謎の直感を手にいれていた。

 これがなければ、俺の人生はここで終わっていただろう。だが、それは敵の攻撃から生き残る事には役にたったが、暫くの間、俺は完全に防戦一方の状態に陥った。

 もう最悪だった、このザクマシンガン数発で爆散する白い棺桶で防戦一方など悪夢中の悪夢だ。

 しかも相手はシャアの乗るズゴック。

 

 正直、今思い返しても、この時、自分がどんな動きをしていたのかはよく思い出せない。シャアは俺の機体を見て "木馬の白いMSか、また会ったな" とかなんとか言っていた様な気がしないでもないが、記憶が完全に曖昧だ。

 それだけ俺はパニックを起こしながらシャアとの戦闘を強いられたのだ。

 

 シャアとの戦闘は激闘を極めた。ラスベガスでの戦いがイージーモードと思える位には、俺は絶え間なく戦闘コンピュータ―が提示する選択肢を押しまくった記憶がある。

 右に左に下に上に動き周り、ビームライフルやバルカンを発射しまくり、盾を構えたり、時にはタックルを噛ましたりなどした。

 

 激闘の末、俺は死を覚悟した。

 何故ならば、盾は無くなり左腕はもげ、右脚も膝から下が破壊され、地面に完全に座り込んでしまったからだ。シャアも "お別れだ。白いMSのパイロット!" とかなんとか言ってた気がする。

 

 だが、俺はそこで一か八か、ビームライフルを壊れる事を覚悟でリミッターを完全に外して天井の岩盤に照射した。俺の読みは奇跡的に当たった。一か八か最大出力で放ったビームライフルは岩盤の一部を砕いて、多数の岩塊を頭上に降らせる事に成功したのだ。

 無理して撃った事によりビームライフルは爆発して右腕も吹き飛んでしまったが、降り注ぐ岩塊にシャアは "ええい!" と言いながら、後方に避けていってくれた。

 俺はと言うと岩塊に潰されるのを避ける為に咄嗟に、メインブースターを最大出力で噴射。

 この時、ガンダムは右腕が吹き飛んだ事で両腕も失ってしまった為、姿勢を維持できず、完全に仰向けで地面に倒れてしまっていた状態だったが、潰されるよりはマシだと後先考えずにブースターを点火した事で、地面に背中を削りながら、崩落を回避し洞窟の壁面に激突した。

 そして、壁に思いっきり衝突した事で、その衝撃で俺は意識を失った。

 

 次に目が覚めた時、俺はホワイトベースの医務室のベットの上だった。

 聞けば、ジャブロー降下作戦は既に終わり、正史と同じく連邦軍が勝利を収めていた。俺はというと、あの後、シャア率いるジオン水泳部は崩落によって道が閉ざされた事で後退していった様で、意識を失った俺の止めを刺す事は無かった様だった。

 そうして命を取り留めた俺は、洞窟内に居た連邦兵によって救助され、頭を強く打って意識を失い出血もしていて怪我をしていたとの事でホワイトベースの医務室に運ばれたとの事だった。

 

 俺は、俺の意識が戻ったと聞いて医務室にやってきたブライトさんから、天井を破壊して通路を使用不能にした事についての注意と、後で始末書を書く様にと言われたものの、ブライトさん自体は、よくシャア相手に生き残ったと、あのハンサム顔で褒めてもらった(そして、この日もブライトさんの髪型はいつもの通り違っていた事を俺はよく覚えている)。

 ブライトさんが見舞いに来た後は、カイとリュウも見舞いにやってきた。

 

 俺はこの時、初めてこの戦いでカイとリュウが生き残っていた事を知った。

 二人も出撃時には一緒に出撃していた事から、水泳部との戦いに参加していたのは分かっていたが、シャアと遭遇して以降は俺も忙し過ぎて、ハッキリ言って二人を気にしている余裕は一切無くなってしまっていた為に、二人がこの戦いでどうなっていたのか知る由が全く無かった。なお、二人が出撃に使った機体は陸戦型ガンダム。

 聞けば、二人は二人で結構大変だった様で、俺がシャアとの一騎打ちの状態に入った際に他のジオン水泳部の面々を抑え込む為に奮闘していたらしかった。 

 なお、これは二人の話を聞いて初めて知った事だが、二人から見てシャアは俺(というかガンダム?)を目の敵にしていたみたいで、二人よりも俺を周到に狙っていた様に見えたという……(こんなクソザコガンダム、天下のシャア・アズナブルが目の敵にする程の価値も無いからァ!)。

 それを見た上で、二人は俺がよく、こんなガンダムでシャアとあそこまで、やり合って生き残る事ができたと褒めていた(ほんとだよ……)。

 

 俺の怪我は幸いにも軽症だった。

 具体的にはガンダムが壁に頭からぶつかった時に衝撃で操縦用のコンソールに頭を強打し、ヘルメットのバイザーが粉砕されて額を思いっ切りコンソールにぶつけて、血塗れになった。

 言うなら、ガンタンクが破壊されても生きてたリュウが頭に包帯を巻いていたが、治療の仕上がり具合はそれと同じ感じだ。

 

 目が覚めた後、俺は数時間はベットで休まされていたが、体調に問題がなさそうだった為、軍医の許可を得て俺は医務室を後にした。

 それで、自室でジャブローの天井をぶち壊した事に関する始末書を書いていた訳だが、始末書を書き始めてから1時間も経たないうちに、俺は司令部から呼び立てられたのだった。

 

 こんなポンコツガンダムのMSパイロットに一体何の用があるのかと、俺は訝しんだが、呼び立てられた以上は断る事もできない為、俺はジャブロー内の交通機関を使って司令部へと向かった。

 

 そこで俺はモニター越しではない、本物のハニ・アサナ将軍と面会する事になったのだが、この時の俺は、この面会が俺の今後の命運を左右する重大な事に繋がるとは、全く予想打にもしていないのだった。

 

 

 ハニ・アサナ将軍と直に会った時は、これがあの "あなたは誰です?" で有名な将軍ご本人かと内心感心して見ていた。

 余りにも感心して見ていた為に "私の顔に何か付いているか" と怪訝な表情で苦言を言われてしまったが、俺は、いけない、いけないと思い、 "いえ、何でもありません!” と直ぐに謝罪の言葉を述べらざるを得なくなってしまうという一幕もあったが、まぁ、これは些細な事だろう。

 

 "貴官に来てもらったのは他でもありません。あなたはRX-78が経験した全ての実戦に参加し、その上で生存している唯一のパイロットです。あの機体で赤い彗星のシャアとも互角に渡り合ったとも聞いています"

 "……お言葉ですが将軍。自分は生き残るのに必死で、コマンドを必死に入力していただけに過ぎません。連邦軍内には私以外にも優秀なパイロットは存在していると思いますが"

 "確かに戦績だけで見るならば、あなた以上のパイロットは何人も存在します。例えば、あなたと同じ隊のカイ・シデンやリュウ・ホセイの両名はたった2機で地球へと向かうホワイトベースを直衛をこなし多数のザクを相手に守り切っています"

 "でしたら……"

 "ですが、両名に関して言えばガンダムよりも性能の優れたガンキャノンやガンタンクによる戦果です。ですが、あなたは両機よりも遥かに性能に劣るガンダムで最終的には両名に並ぶ戦果を挙げています。これは充分に賞賛されるべき行為ですよ"

 "……そうですか"

 "私の評価に不服そうですね。ですが、あまり自分を卑下するものではありませんよ"

 "はっ"

 "よろしい。では本題に移りますが軍としてはRX-78で唯一生き残ったパイロットとしての所見を、あなたに伺いたいのです"

 "所見……ですか?"

 "ええ。知っての通り、RX-78には大きな問題があります。その点は既に把握していますね?"

 "はい。嫌と言う程に"

 "軍としては既にRX-78や同系統の機体であるRX-79の生産の大幅な縮小を決定しました。ですが、既に同機体は多数が生産されている状況です。今のままでは、この機体に連邦の命運を預ける事はできません。あなたは、パイロットになる前は整備兵だったと聞いています。経歴も見させて頂きました。サイド7の工科大学出身でもあるそうですね"

 "確かにそうですが……"

 "今のままではRX-78はただ、いたずらに兵士達を消耗させてしまう許容し難い欠陥機である一方で、連邦にとっては貴重なMS戦力である事もまた事実な状況です。ジオンに対する連邦の大規模反抗作戦は既に始まっています。今の連邦に遊ばせておく戦力はありません。例え、問題が解決されずとも、既に生産された戦力は前線に投入されるでしょう。そこで、あなたの、唯一生き残ったパイロットとしての経験、そして技術者としての所見を活かし、RX-78の改善案を至急速やかに提示してもらいたいのです。これは、あなたにしか頼めない事なのです。私達は運が良かった。RX-78の生存者が、技術者としての経験を持っている、あなたで、あったという事に"

 

 確かこんな会話を交わした事を覚えている。

 ハニ・アサナ将軍から命令を受けた俺は始末書は書かなくて良い事になり、代わりにガンダムの改善案の作成を優先する事になった。

 なお、ハニ・アサナ将軍から提示された期限は筈か1週間(早すぎィ!)。俺はこの間、本気でこの改善案の作成に全力で行った。

 

 なぜ、俺がこの改善案の作成に全力になったのか。それは単純だ。俺は直感で感じた。これが、俺の命運を決めるターニングポイントだと。

 ハニ・アサナ将軍は言っていた。例え、問題が解決されずとも、既に生産された戦力は前線に投入されると、つまり、俺もガンダムで前線に投入される可能性が大なのだ。

 そして、俺の脳裏には正史の歴史が過った。正史においてジオンは戦争終盤、ザクやドム以外にもゲルググを始め、エルメス、ブラウ・ブロ、ビグロ、ザクレロ、ビグザム等々……様々な兵器が登場するのだ。

 この世界においても、既にGUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH本編に出ていなかった水泳部やドムなどが出てきている以上、今後もジオンの機体は出てくる可能性が否定できなかった。

 ハッキリ言って、ここまででさえ一杯一杯の状況なのにこれよりも(たち)の悪い機体が次々と登場してきた場合、今度こそ殺される自信があった。

 戦闘が避けられないのであれば、出来るだけ機体を改善して生き残れる可能性にかける。そのままのガンダムで戦うより遥かに真っ当な対策だった。

 

 こうして自己保身を最大限にかつ、直ぐにでも実現可能な改善案(直ぐに実現できる改善案を提示しないと、自分の機体が改善されないまま実戦投入される恐れがあった)を俺は全力で工科大学で学んだ知識をフル活用して作成した。

 あとワンチャン、もし改善案が評価されたら前線配置から外されないかーと期待して……。俺もジャブローの快適なオフィスで過ごしたかったよ……。

 これで生まれたのが俺の人生史上最大の渾身作の報告書である "RX-78ガンダム戦術運用の最適化と技術改善案について" だ。

 端的に言って今でも我ながら非常によくできた報告書だと思う。

 この報告書で俺が指摘した改善案は端的に言えばこうだ。

 

 ガンダムに近接格闘戦をさせてはならない。

 

 これは俺のこれまでの経験から導き出した答えだった。

 ザクには力負けし、ザクマシンガンにも敵MSの爆発にも耐えられない貧弱装甲。これではガンダムを通常のMS戦に投入させる事はリスクがあり過ぎる。

 だが、何もせずにガンダムから近接格闘戦を取り上げたら何も残らない、ただの白い木偶の棒になってしまう為、それを補う案も添えた。そして、それがこの報告書の本題。

 

 俺はガンダムをMSとしてではなく、ビームライフルによる一撃離脱を戦術の主軸にした緊急時にはMS戦も可能な宇宙戦闘攻撃機として利用する案を提示した。

 内容的には簡単に言うと、ガンダムに外付けの大型ブースターを取り付け、また、足りない防御力に盾を増設するという物だ。

 ビームライフルに関しては、でもそれ当たらないじゃん、となりそうだが、その対策として、銃口を向ける方向をいつも同じ方向に向ける事で(あっちこっちに向けない)、反動による射線のズレを考慮に入れて撃ち、その一方向に対しての命中率を大幅に改善するという方法を採用する事でビームライフルを主武装に据えた運用が可能になるという手段を取っている。言うなら戦闘機や爆撃機の旋回銃座を一方向に固定して運用する様なものだ。

 

 より具体的に提示した案は3つ。

 

 1つ目の案は、ガンダムの背中に増設装備用のラックを取り付け、フルアーマー・ユニコーンガンダムについてるバーニア風の大型外装ブースター4本を設置。ガンダムの両腕に盾を設置。両脚のウェポンベイに9連装ロケット弾ポット。手持ち武装はビームライフルとビームサーベル。頭部には引き続き安定のバルカン。

 

 2つ目の案は背中にフルアーマー・ユニコーンガンダムについてるバーニア風の大型外装ブースター4本、両腕に盾という様相は1つ目の案と同じつつも、大型外装ブースターの付け根、つまりは1つ目の案ではただの背中の増設装備用のラックだった物を、簡易な背嚢型の形状にし、そこにロボットアームを2本装着、そのロボットアームに盾をさらに2枚設置するという、言うなればサンダーボルトに登場するフルアーマー・ガンダムからバックパックの大型メガ粒子砲とミサイルランチャーを取り外したかの様な様相の案だ。武装は両脚のウェポンベイに9連装ロケット弾ポットと手持ち武装にビームライフルとビームサーベル。頭部にはバルカン大明神様。

 なお、正面からの外観は、かなりサンダーボルトのフルアーマー・ガンダムだが、ビームライフルは2連装ビームライフルではなくただのビームライフルだ。

 

 3つ目の案は2つ目の案をより先鋭化させた案だ。

 両腕には盾、背中の2本のロボットアームには2枚の盾。バックパックには大型メガ粒子砲と6連装ミサイルランチャーで、もはや完全にフルアーマー・ガンダムな様相だ。

 ただ、武装面で言うなら、サンダーボルトのフルアーマー・ガンダムと違うのは、手持ち武装は通常のガンダムのビームライフルであり、また、サンダーボルトのフルアーマー・ガンダムは装甲内蔵式のミサイルを採用していたが、こちらでは、ガンダムの貧弱な構造上、そんな改造は不可能である為、両脚にウェポンベイを設置し単装対艦ミサイルランチャー(ガンダムの脚と同レベルの大きさのランチャー)もしくは、自身の存在を隠蔽する為のミノフスキー粒子の散布コンテナを搭載しているという点だろう。

 この他、ビームサーベルは従来のガンダムの背中から、腰に移動している。

 また、ブースターに関してはサンダーボルトのフルアーマー・ガンダムとは完全な違いもあり、俺が提案した案では、アーマードコアのVOBにそっくりな増設ブースターとなっている(なお、厳密に言えばVOBとも少し形状が異なる。ACのVOBは4門の長いブースターを含めた計13門のブースターで構成されているが、この案ではVOBの一番長いブースターが4門から6門に増えており、従ってこの案のブースターの数は計15門となっている)。

 この3つ目の案では動力に関しても強化がされており、通常のガンダムの内臓の熱核融合炉に加えてバックパック内にも熱核融合炉が搭載され、こちらは増設ブースターや、大型メガ粒子砲にエネルギーを供給する仕組みとなっている。

 なお、バックパックの熱核融合炉はガンダムに内蔵されている物よりも、サイズが大きいタイプかつ、より高出力を出す事が出来る物を提案している。

 

 あと、3つの案全てに共通してお好みで身体や盾に爆発反応装甲を取り付ける事も提案。

 

 それぞれの案を、さらに加味解いていくなら、1つ目の案は、直ぐにでも実現可能な改修案。2つ目の案は少し頑張れば実現可能な案。3つ目の案は今年中(0079年)にはどう頑張っても間に合わない案となる。

 

 全体的に正直言って、サンダーボルト風味が猛烈に濃い内容となっているが、これは、完全に不可抗力だ。

 俺は確かにサンダーボルトのフルアーマー・ガンダムは好きだし、案の参考にしたのも否定はしないが、これは現状のガンダムの状況と俺なりに真剣に向き合った結果でもあった。

 

 増設ブースターとその配置はガンダムを高速化や姿勢制御を両立しようとした結果だし、盾を増やしたのも、ガンダムの紙装甲とブースターを守る為。

 6連装ミサイルランチャーや単装対艦ミサイルランチャーも、ミノフスキー粒子影響下の場所では誘導性能は使えないものの、ミノフスキー粒子が散布されていない場所であれば、ガンダムの貧弱な精密射撃能力を誘導性によって補う効果が期待できるから(散布されている場所だと誘導性は失われ、命中性もガタ落ちするが、無誘導弾として無いよりはマシ)。

 バックパック上の大型メガ粒子砲や6連装ミサイルランチャーの配置も、ガンダムで俺がこれまで戦ってきた経験上、ビームライフルが当たらず、ハイパーバズーカの方が精度が高いという事は、腕に問題があるのであり、ショルダーマウント方式にすれば、当たりやすくなるのではないかという考察に基づく物だった。

 

 これら3つの案を俺は作成して司令部に提出した。

 俺は採用されるかドキドキだったが、ガンダムで生き残った俺の意見は当時の俺の予想以上に重要視されている様だった。

 ハニ・アサナ将軍は提案書を提出した即日中、具体的には提出から僅か11時間後にブライトさん経由で俺に案を採用すると言ってきた。

 俺はこんなにも即決で採用されるとは全く思いもせずに仰天したが、これが俺の意見を司令部が重要視しているという証明だったと言えるだろう。

 

 ハニ・アサナ将軍は司令部直属の技術部の話として、3つの案の内、もっとも早期の実現性が高いとして、1つ目の案と2つ目の案を採用すると言ってきた。

 ただし、2つ目の案に関しては改修作業が作戦に間に合えばという前提条件だ。

 

 決まってからは早かった。ガンダムは直ぐにホワイトベースから搬出作業が行われ、ジャブローのMS工場に送られた。

 俺も同伴を求められ、それからは数日間、工場で寝泊まりし、技術者達から、たまに俺にパイロット側の意見を求められる生活を送った。

 

 ガンダムの改修作業は24時間ぶっ通しで進められ目覚ましい勢いで進んだ。

 

 そして、0079年12月10日。

 ガンダムの改修作業は無事に完了し、正直、意外な結果ではあったが、1つ目の案をすっ飛ばして、2つ目の案がなんとか実現。

 

 あと、両脚のウェポンベイに9連装ロケット弾ポットだけでなく、こちらは3つ目の案に含まれる内容ではあったが、ミノフスキー粒子の散布コンテナも任意で装着が可能な様にされた。

 それも現場の技術者の即興の案で、9連装ロケット弾ポットと一緒に散布コンテナを装着する事も可能な様にされた。かなり不格好ではあるが、宇宙での利用の為、問題は無いと判断された。邪魔になったらパージして投棄すれば良いというのが技術者の弁だ。

 

 実現しても1つ目の案しか実現しないとばかり思っていた俺は鳩が鉄砲玉を食らったかの様な気分になったが、これは中々に嬉しい誤算だったと言えるだろう。

 

 改修が終わったガンダムとそれ用の各種パーツは速やかにホワイトベースに詰め込まれた。

 ガンダムは俺の機体も含めて、ジャブロー内で在庫になっていたガンダムも含めて10機近くがホワイトベースに詰め込まれ、これらのガンダムは俺の他、カイやリュウの為の補充及び予備の為の機体だった。

 余談だが、陸戦型ガンダムはこれからの任務には戦場に合っていないとして、ホワイトベースから降ろされる事となった。

 

 そして、同日中。ホワイトベースはハニ・アサナ将軍から第4艦隊隷下の第13独立部隊として行動する事を命じられ、一同、ジャブローより発進。

 正史のホワイトベースより7日遅く、ジャブローを発ち、宇宙空間へとその主戦場を移す事になったのだ。

 

 

 第13独立部隊。

 正史においては、連邦軍の行動をジオンに隠蔽する為の囮部隊として設立され、ホワイトベース単艦で月に向かう等々、色々やった部隊だったが、この世界における第13独立部隊の任務は正史とは大きく違っていた。

 

 その内容は、単艦で主に活動する事には変わりはないものの、その任務内容はジオン軍の注意を引く為の囮ではなく、後方宙域においてゲリラ的にジオンの哨戒部隊や輸送部隊を襲撃し攪乱する事だ。

 部隊の役割が囮役ではなくなったのは、一重にホワイトベース隊の戦果が正史と比べて大幅に少なかった事が挙げられるだろう。

 

 これは俺の考察になるが、囮任務というのは相当な能力が必要であるという事を考慮すると、正史でホワイトベース隊がこの任務に就かされたのは、ホワイトベース隊が尋常ならざる戦果を挙げていたというのも大きいのではないだろうか。

 

 アムロは宇宙世紀最強のパイロットだし、その他の面々もアムロの戦果の前では霞むものの、十二分にエリートパイロットだ。

 対して、この世界の俺達はというと、まぁ、自分で言うのは恥ずかしいが、一応エリートの部類には入る戦果は挙げている。挙げて入るが、正史のホワイトベース隊の戦果と比べれば、それは微々たる物でしかない。

 

 さらに、正史と違って、こちらのガンダムは産廃兵器だ。

 

 これらを考慮すると、司令部の判断としても、俺達に囮部隊を務めさせる事なんて、部隊の能力的にも技術的にも無理だと思ったのだろう。

 いや、そもそも、俺達を囮部隊に使うなんて発想すら、この世界の司令部は考えもつかなかった事だったという線も十分にあり得る。

 それだけ、正史のホワイトベース隊と俺達は違ったのだ。

 だからこそ俺達の第13独立部隊の任務は、正史とは違い後方宙域の撹乱という事になったのだろう。

 

 俺たちの任務。

 後方宙域においてゲリラ的にジオンの哨戒部隊や輸送部隊を襲撃し攪乱するとは具体的には、ホワイトベースを母艦とし、俺が提案して実現した宇宙戦闘攻撃機化したガンダム(今後はFAガンダムと呼ぼう)3機(俺、カイ、リュウ)に加えて、コア・ブースター2機を襲撃部隊として行動する内容だ。

 まぁ、簡単に言ってしまえば、後方宙域で敵の部隊を見つけたら高速で突っ込んで攻撃を浴びせて一撃離脱でその場から直ぐに退散するという事だ。

 

 俺は宇宙へと出た後、当然の事ながら、FAガンダムに乗って同じくFAガンダムで任務に当たる事になったカイやリュウと共にMS小隊を編成して戦う事になった訳だが、端的に言って宇宙に出たばかりの頃、俺はかなり、緊張していた。

 この緊張は、前回のシャアとの戦いがフラッシュバックしたのもそうだが、もう一つは、自分が提案して実現したこのFAガンダムを信用出来ていなかったからだ。

 

 信用できなくて当然だろう。もとが残念兵器なのだから。

 現在できる可能な限りの改修を施したとはいえ、それで自分がどこまで戦えるのか心配しかなかった。さらには、大幅に仕様を変更している為、変な欠陥が出てくるとか、そういうのが無いか心配でたまらなかった。もとが欠陥だらけであるが為に、新たな欠陥が出てきても、それはおかしくはない事だった。

 

 だが、こうした緊張や心配はFAガンダムの初戦を経て2回、3回と戦闘を行っていくと次第に薄れていった。それどころか、それまでガンダムに乗って戦うを常に感じていた強い絶望感や生命の危機というものまでもが徐々に薄れていった。

 というのも、FAガンダムは俺が思っていたよりも、上手く機能してくれたのだ。操縦方法は相変わらず、選択肢式でそれなりの緊張感もあったが、それでも、それまでに比べれば、感じるストレスは遥かに軽減された。

 

 増設ブースターによる敵部隊への高速突撃と、それに合わせたビームライフルや気持ちばかりのロケット弾ポットによる襲撃。

 もともと、ただでさえ重量の少ないガンダムだ(本体重量僅か10.6t)。増設ブースターによって生み出された加速性と機動性は極めて高く、敵部隊は大抵が、ミノフスキー粒子影響下の環境では、こちらの襲撃に初手で気づけずに攻撃を受け、慌てて迎撃をしようとしても、こちらの加速性と機動性が極めて高い為に、まともに攻撃を当てる事ができないのだ。

 敵艦艇からの砲撃やミサイル攻撃はFAガンダムにはまず、当たる事は無く(少なくとも戦時中に敵艦からの迎撃弾がFAガンダムに命中した事は少なくとも俺は一度もない)、MS部隊による迎撃も命中率は通常のMS戦における命中率よりも遥かに低いと言えた。

 そして当たったとしても、本体に命中すれば、一瞬で カンカンカン!ボーン!デーデーデー♫ してしまうだろうが、盾が4枚もある為に、幸いにもそんな事にはならなかった。盾に敵弾が当たる音と衝撃は恐怖そのものだが……。

 

 俺は基本的に1年戦争の最終盤は、12月29日の "ルナツー攻防戦" を除けば、この任務しか従事していなかったと言えるだろう。

 最終的な俺の1年戦争での戦績は、巡洋艦を5隻撃沈、6隻を大破ないし中破。輸送艦を9隻撃沈、7隻を大破ないし中破。戦闘機を11機撃墜。MSを19機撃墜。

 

 ハッキリ言って、正史のホワイトベース隊の激戦につぐ激戦を考えれば、遥かに落ち着いた戦闘を繰り返していたと言えるだろう。

 もっとも正史に比べれば落ち着いているとしても、俺からすれば、これ以上の戦闘は自身の持つ技量的にも、もう無理、勘弁してと思える戦いの日々だったのには誰が何と言おうと変わりはないのだが……(俺はアムロではないから、アムロの真似なんて不可能なのだ)。

 

 だが、正史と比較するとかなり、目減りしているが、まったく活躍できていないかと問われればそれはそうではないと断言できる。

 何故ならば、これらの戦績に加えてカイやリュウ(2人は俺よりもガンダムでの戦闘経験が短かった為か1年戦争の最終盤までガンダムのシステムに悪戦苦闘としていた。やはり、ガンキャノンとガンタンクを失ったのはその後の事を思うと "致命的" だったと言えるだろう……)、それとコア・ブースターの活躍もあって、俺達、ホワイトベースの艦載機部隊は気づけばジオンから、 "白い幽霊" と呼ばれ恐れられるまでには一応なる事ができていたからだ。

 アムロもおらず、MSも産廃兵器なのに敵から二つ名で呼ばれる程、頑張ったのだ。十二分に俺達は頑張ったと言えるだろう……。

 

 そうして、俺を含めてホワイトベースの面々は正史と違い、余り激戦に身を投じなかったという事もあってか少なくともMSパイロットの面々は誰一人欠ける事無く1年戦争を生き延びて終戦を迎える事ができた。

 

 そして連邦はジオンとの戦争に負けた。

 

あなたが連邦兵で以下の中から自由に乗れる機体を選べるなら、どれに乗る?(あ、61式戦車とボールは操縦訓練を受けてもらう事になっちゃうけど、MSは訓練必要無しで操縦知識が無くても大丈夫!最新の戦闘コンピュータ―が君の反応能力に合わせて全ての機能を最適化してくれるから安心!)

  • RX-78ガンダム
  • 陸戦型ガンダム
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