魔法少女リリカルなのは 『神造遊戯』   作:カゲロー

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スカウト第二陣!
タイトル通り、吸血鬼な彼とマスクマンな彼のお話です。


夜の王と白の皇

冥府の底に在る煉獄の一角。

地上の街並みを再現された死者の都にある喫茶店を、花梨は訪れていた。

先日のカミングアウト以降、衆人観衆の眼前で大告白をかましてしまった己のうっかりを、ここぞとばかりに弄ってくる妻嫁コンビに対抗するため、常識人という名の味方……もとい、眷属候補のスカウトのためだ。

彼女がコーヒーブレイクを堪能しているこのエリアは、人殺しや大量破壊などといった許されざる行為を生前に行ってしまった者。

その中で、やむにやまれぬ事情のために罪を背負い、自らもそのことを悔いている咎人たちに与えられた救済の場である。

例えば、傀儡となり果てた幼帝と黒幕たる大臣の圧政に苦しむ国を救うために、自らの手を血で染める決意を抱いた殺し屋たち。

例えば、薬師である恩人を殺められたことをきっかけに革命と新国家樹立、そこから長きに渡って続く戦乱の世を戦い抜き、数多の敵兵の命を奪った獣人たち。

例えば、世界をひとつにするために、『G』と呼ばれる兵器を用いて世界に戦いを挑んだ反逆者たち。

彼らは皆、過去の行為を悔いることはせずとも、自らの業を洗い流し、真っ白になって転生することをよしとしない。

 

『いかなる理由があったとしても、人殺しは人殺しだ。俺たちはこのまま、裁きという消滅を受け入れるべきだ』

 

それが彼らの言い分。

それに対し、冥府を統べる閻魔たちは、彼らの生前の行いは輪廻の環に戻るに足る功績があったと判断。

それ故に、こうして冥府の中には似つかわしくない“平和な街”を造り出し、彼らを住人として送り込んだのだ。

平和を求め、戦い続けた彼らの人生は、死後の世界においても罪に苛まれる必要があるようなものではなかったのだと。

君たちにも、平和な日常を送る権利はあるのだと教えてあげるために。

普通の日常生活を過ごすことで、過去への遺恨を洗い流し、もう一度新たな命として生まれ変わろうという想いを持たせたい。

ごく最近、新たな閻魔として就任した先代の息子『コエンマ』の提案によって建築された更生施設こそが、この場所の正体だ。

頬杖をつきながら、店の外を歩いていく人波をぼけっ、と眺めていた花梨に、不意に影が差した。

姿勢を整えながら顔を上げると、待ち人である金髪の青年がにこやかな笑みを浮かべて、花梨を見つめていた。

 

「やあ、花梨ちゃん。こうして直接会うのは初めてになるかな?」

「あらあら、通信機の映像越しでは顔合わせ済みなだけの女性をいきなり『ちゃん』付けするの? ずいぶんと軽いノリなのね、ローズレッド・ストラウスさん? それとも――赤バラの吸血鬼さんとお呼びした方がよろしいかしら?」

「うーむ、ここはひとつ、親しみを込めて『ストちゃん』というのはどうだい?」

「却下。……そうやってふざけた外面と仮面を被り続けるのって疲れないの? 今の貴方は大陸を支配した吸血鬼の王国に君臨した王様でも、世界最強の魔人と恐れられた化け物でもないのよ? 煉獄(ここ)の住人は、等しく死人。生前の種族とか立場なんて、何の意味もなさないんだから」

 

注文を取りに来た店員へにこやかに微笑みながらコーヒーを注文し、花梨の対面へ腰を下ろすストラウス。

花梨はアロハシャツにズボンというラフな出で立ちの吸血鬼を……思慮遠謀という言葉がそのままヒトの形を成したかのような男を、表面上は胡散気に、内心は彼の内面を見定めて見抜くに見つめる。

花梨の視線の意味を理解しているのだろう、ストラウスは仰々しく肩を竦め、手早く運ばれてきたコーヒーカップに手を伸ばす。

ほろ苦いブラックを味わいながら、鮮血のように紅い輝きを放つ瞳が、天上世界から降臨した戦乙女を見返した。

 

「さて、お嬢さん。改めて要件を聞かせてもらおうか」

「ええ。……単刀直入に言うわ。『赤バラの吸血鬼』ローズレッド・ストラウス。貴方には、《新世黄金神》の眷属として再誕してほしいの」

 

カチャン――と、コーヒーソーサーにカップを乗せた音が喫茶店に響く。

店内にいた客たちが驚きを顕わにして花梨とストラウスの座る席を凝視している。

第十二根源次元宇宙に存在する数多の世界は、冥府煉獄世界を共有している。

異なる並行世界で生まれ育った者たちが、死後の世界では世界の垣根を越えて出会い、交友を築くことも珍しくない。

そんな形に世界が書き換わった理由は、スペリオルダークネスが《極神》を継承したことで発生した事象の改変。

それ故に、冥府に存在する者たちの間では、神々の最高位である《極神》の存在や、彼らの情報などを噂程度であるが広まっている。

だからこそ、この場にいる人々は驚いているのだ。

《新世黄金神》という文字通り、天の上の存在が、過去を悔いるあまり輪廻の環に戻れなくなった者共のたまり場であるこの街の住人をスカウトに来たと言う異常事態に。

 

「ほお? それはつまり、嘗て大陸制覇に手を伸ばしかけた挙句、自滅によって滅びを迎えた夜の国の王として――かな?」

 

吸血鬼としての力を求めている訳ではないだろう。

そもそも、純粋な戦闘力という点を見れば、すでに過剰なまでの手駒を手中に納めているらしいしな。

内心の読み取れない微笑を浮かべつつ、ストラウスは思考を回転させる。

《新世黄金神》の娘が、最強の死神と東洋最強の剣士を眷属としてスカウトに来たと言う話は、冥府中に広まっている。

噂の出所が冥府の法を守護する獄卒であるところを見るに、件の噂は真実だと判断できる。

 

――つまり、北欧神話の勇者(アインヘリアル)のように、優秀な能力を持つ死者を配下とするための勧誘と考えるのが自然……しかし。

 

それは違うと、至高の王と呼ばれた吸血鬼の頭脳が真実を見抜く。

新米の《神》が手勢を増やそうとしている、そんなありきたりな理由ではないと花梨(かのじょ)の纏う空気が雄弁に語っている。

問い正すにも手札(カード)が足りない。この状況では、何を口走ろうとも中身の無い虚言と成りうる。

ならば、更に情報を引き出す事こそ、この場における最善の選択。

強制でなく、あくまでも協力というスタンスをとろうとしているあたり、本人の意思にそぐわぬ形では契約を交わすことが出来ないのだろう。

であれば、ある程度の無礼と取られる質問を投げかけても、最悪の事態は避けられるハズ……。

 

「急な話で、流石に困惑が隠せないな。まず、どうして私を選んだのか……その理由から説明してもらえるかな?」

 

まずは小手調べ。

花梨が返す答えによって、彼女の意図と思慮の底を図ろうとするストラウス。

……だが、彼はある事実を知らない。

彼が相対しているのは、自嘲しない理不尽連中の相手&自爆によっていろんな意味でテンパっている戦乙女様であることを。

腹の探りあいとか、七面倒な交渉術とかどうでもいいと思うほどに、色々限界状態であることを。

 

「貴方が話の分かる常識人だからよ」

「は?」

「あ、ついでに暴走したバカどもの肉壁――ゴホン! 生きた盾になってくれそうな実力者だってのも大きいわね」

 

まさかの捨て駒!? と頬を引きつらせるストラウス。

まさか、不死身の吸血鬼だから何度も壁に再利用できるからって思われてないだろうなという嫌な予感が駆け巡り、暖房が聞いている筈なのに冷たい汗が背中を流れる。

 

「いや、言い直す意味があるのか? というか酷いな君は……」

「うっさい。もうホント大変なのよ、あのバカ連中を押さえるのは。元柳斎さんは妙な所で頑固だから融通が利かないし、比古さんは超絶ナルシストだし……ゴジラに至っては、修行と銘打ったダークの異世界散歩について行って、行く先々で騒動起こしているしね……」

「あ、巨大生物が行きつく怪獣墓場で暴れまわっていた怪獣の王の噂を最近聞かなくなっていたのはそういう理由だったのか」

 

というか、もし話を受けたらあんな連中の相手をさせられるのかと、ストラウスの頬が引き攣っていく。

無敵の吸血鬼も、水爆大怪獣やら爆炎の死神やらの相手は遠慮したいようだ。

こめかみを押さえながら頭を振るストラウスを、標的をロックオンしたハンターの如き眼光で捉えて離さない花梨。

またまた、妙な空気になってきたその時だった。

 

「あらあら。赤バラを困らせるなんて、いけない戦乙女(ブリュンヒルデ)ねえ、カリリン♪」

 

妙に胡散気な女性の声が、花梨の後ろから聞こえてきた。

 

「……その呼び方、やめろって言ってんでしょが。ぶっ飛ばすわよ、バカ妖怪(八雲 紫)

「まあ、怖~い。か弱い女妖怪相手に、最強龍神の奥様のひとりがムキになっちゃあ、ダメダメよ?」

「うっさい、黙んなさいっての」

 

花梨の肩から身を乗り出すように現れたのは、幻想的な金髪と金色の瞳をもつ少女。

フリルのあしらわれた白い衣と純白の帽子に身を包み、室内だと言うのに傘を差している、境界を操る希少妖怪――『八雲 紫』。

妖怪の賢者とも呼ばれる《神》にも等しい異能をその身に宿す、幻想に生きるモノ共の理想郷――幻想郷の管理者でもある。

“とある事情”から、『さいきょ~ドラゴン一家』と関わり合いを持つ様になった彼女は、いろいろとからかい甲斐のある花梨を友人と呼び、こうして前触れも無く遊びに来るのだ。

お役目があるんだから幻想郷に引き籠ってなさいと突っぱねたい花梨であったが、“とある事情”……というか、完全に身内が原因の不始末からくる後ろめたさもあって、無下に出来ず、なんだかんだで友人を続けているのだった。

 

「東洋に住まうとされた妖怪の賢者様とはな。やはり幻想郷は実在していたのか」

「ええ、その通りですわ、赤バラの吸血鬼。幻想が存在を許された夜の世界を統べる力と叡智を宿し、血族のために魂魄を燃やし尽くした至高の王よ。お会いできて光栄ですわ。それと――申し訳ありません。本来ならば、貴方ほどの存在を受け入れるために私自ら参上しなければなりませんでしたのに……」

「いや、気にしないでもらいたい。あの終末は私自身が望んだ形。自らに建てた誓いを破り、過去の総てを捨てて理想郷に逃げ込むことなど、あの頃の私に出来ようはずも無い。例え、君の誘いを受けていたとしても、きっと断っていたさ」

「……感謝いたします。ですが、こうしてお会いして、やはり惜しいと思わざるをえませんね。貴方を仲間として受け入れることができていたら、幻想郷の未来はより素晴らしいものとなっていたことでしょうから」

 

紫の言葉は、大仰ではない。

ローズレッド・ストラウスという男は、彼女がそれほどまでに評価するに値する能力を有しているのだから。

何せこの男、吸血鬼の癖に弱点が無い。

日光を浴びても灰になることは無く、夜間の八割程度の魔力を振るえる。

聖水や銀の武器で傷を受けても致命傷にならず、ごく短時間で再生可能。

身に宿す魔力は星をも砕くほどに強大で、事実、小惑星程度の異星人の宇宙戦艦を容易く粉砕したこともある。

卓越した知性と、血族の未来のために千年にも及ぶ生き地獄にも耐えきる精神力を併せ持つ。

さらには、昼と夜を支配できる王となる資質を持ちながら、強者特有の傲慢さや支配欲が欠片もない。

純粋に国と民、世界の未来に幸福な日々を迎えさせてやりたいという優しい吸血鬼、それが赤バラという存在だ。

どこまでも気高い王だからこそ、遍く幻想が生きる幻想郷の一員として受け入れたかったのだと紫は語る。

もっとも、当の本人は誤魔化すように苦笑を浮かべ、少し冷めてしまったコーヒーに再び口をつけていた。

ストラウスにとって、己はもう終わった存在だと割り切っているのかもしれない。

愁いさを感じる表情を浮かべながら「はぁ……」とため息を零した紫は、自身が生み出した境界を超える『スキマ』――両の切れ端にリボンが結ばれ、内部には無数の瞳が浮かび上がる亜空間――から完全に抜け出し、花梨の隣に腰掛ける。

 

「ところで、カリリン。あの乱暴者はどんな様子なのかしら?」

「ゴジラの事? あいつなら、元気に暴れてるわよ。確か今日は……グレートレッドが遊びに来る日だったから、また喧嘩(ヒャッハー)でもしてんじゃないの? もしかしたら、ダークと三匹で三つ巴の怪獣大戦争繰り広げてるかもしれないけど」

「……二週間前、幻想郷を維持されている龍神様と殺し合ったばかりなのに? 私の記憶では、片腕がねじ切られてたハズなんだけど」

「ああ、ダークと契約した相手は基礎能力とかパワーアップしちゃうのよ。あいつの場合は、再生力と進化能力ね。三日くらいゴロゴロしてただけなのに、腕がにょきにょき生えてきてたし」

「……私たちは、龍神様のお力が弱まったせいで、幻想郷の維持にてんやわんやだっだんだけど?」

「いや、知らないっての。てか、そこまで責任持てません。ま、運が悪かったと考えてよ。それに、なんだかんだであの一件を“異変”として受け入れた癖に」

「それを言われると弱いのよねぇ……。幻想郷の住人に適度な危機感と刺激を与える“異変”。しかも今回は最高位の《神》の眷属がしでかした幻想郷滅亡の危機! 普段は好き勝手やってる連中が一致団結して強敵に挑む! ――シチュエーションとしては最高の展開だったわ。それに、結果を見れば幻想郷が《新世黄金神》に認知された……つまり、幻想の塊である最高位の龍神の加護を受けられることになったんだから」

 

幻想は人々に忘れ去られることでチカラを失っていく。

しかし、不変にして不滅である黄金の龍神の加護で護られた幻想郷は、この先数千年、いや、数万年を経ても忘却の彼方に忘れ去られることは無くなった。

幻想郷の管理者として、長い目で見れば予想以上の実を得られたとも言える。

なまぐさな巫女を筆頭に、個性派ぞろいの住人たちも、《新世黄金神》や眷属たちと交友することでいい意味での新しい変化を迎えていることだし、紫としてはこの件をネタにいびるつもりはない。

ただし、嫌味の一つでも吐かせてほしいと言うのが本音だ。

それに気づいているからこそ、花梨も紫を無下にしない。

そもそも、本気で関わり合いを嫌がっているのなら、愛称で呼ぶことをもっと強く拒絶するはずなのだから。

 

「ま、その件はこれで終わりといたしましょうか。――で、話は戻りますけれど、本気なのかしら?」

「え、何が?」

「何が、じゃありませんよ。赤バラ王を、眷属にスカウトする理由に決まっているでしょう」

「まあ、大体は。そもそも、私の役目は抑止力なんだけど、このままじゃ常識人が少なくなりそうな予感がするのよね。アリシアたちが勧誘に行ってる()たちも問題児みたいだし、私の味方がね……。だから、お願い。ぶっちゃけ、王様とか過去の栄光とかどうでもいいんで、私の仕事を手伝ってください」

 

頭を下げ、切実なる想いを示す。

机に額を擦りつけるまで切羽詰まっているのかと、先ほどとは別の意味で慄くストラウス。

彼がどういう返事をするのか興味津々な顔でオレンジジュースをちびちびしていた紫だったが、ふと、店の入り口が開かれるベルの音が鳴っていることに気づく。

何故か興味を引かれて視線をそちらに向けてみれば、何やら見覚えのある眼帯男と奇妙な白い仮面をつけた出で立ちの男が連れだってこちらに近づいてきているのが見えた。

先程話題にあげたご本人の登場に、流石の賢者も驚き、むせてしまう。

器官に入ったのか、口元を両手で押さえながら激しくむせる紫。

花梨が驚きつつも彼女の背中を擦り、何事かと視線を上げてみると――先ほど入店した眼帯男――ダークネスと目があった。

 

「よ」

「ダーク!? アンタ、なんでここに……って、その人はもしかして?」

「ああ。封印されたまま、ここに堕ちていた《大神》ウィツァルネミテア……『ハクオロ』だ。説得して仲間にした」

「やあ、始めまして。自分はご紹介に預かったとおり、ハクオロという。これからよろしく頼むよ、戦乙女(ブリュンヒルデ)

 

にこやかな微笑を口元に浮かべるハクオロに、不思議と惹かれるものを感じたストラウスが振り向いた。

重なる視線。

かつて、『王』として国を統べた両者は互いに通じるものを感じたらしく、フッ、と口端を吊り上げつつ腕を伸ばし、ごく自然な動きで握手を交わす。

『王』にしかわかりえない不思議な感覚。

互いに、人ならざる者でありながら悩み、決断し、民のために我が身を捧げた者同士、白き皇と赤バラは奇妙な友情のようなものを感じていた。

 

「ハクオロ皇、君は彼らの誘いを本当に受けるのか?」

「ああ。自分としても、本来ならば目覚めるはずの無い永遠の眠りを続けるつもりだったんだがね……だが、微睡の底に沈んでいた所を盛大に蹴り飛ばされてしまってね」

 

そう言って苦笑しつつ、ダークネスに蹴り飛ばされた痛みが残る後頭部を撫でる。

まさか封印術式を外部から引き裂き、強引に覚醒させられるとは思っても見なかったとでも言いたげな表情だ。

しかも、ハクオロ自身が懸念していた内なる自分……二つに引き裂かれ、『自らの死』と『人を導く』という相反する人格同士のせめぎ合いすら、容易く鎮静させた。

いったいどうやってと問い質すハクオロに、「めんどくさい二重人格キャラなど要らん」と突っぱねたダークネスは、人型に戻ったハクオロの襟首を掴んでここまで連行すると同時に勧誘を受けて今に至る。

 

「断れば、魑魅魍魎が蠢く煉獄に見捨てていくと脅されては、拒否することなどできんよ。しかもかなりの上空を超音速で飛行しながらだぞ? 拒否 =紐無しバンジー確定じゃないか」

 

やれやれだとわざとらしく肩を竦めるものの、本心は別の所にあることを、この場にいる機敏に聡い者たちに気づかせた。

 

――いつか自分との再会を願い、転生を断り続けて天国に留まっている家族や、この街で暮らしつつかつての主たる己を探し続けてくれている義弟や部下たち……彼らの想いを無下にするなと叱られてしまってはな。

 

悲しみを残していたことは自覚していた。

けれど、最後の瞬間、誰よりも愛しい彼女に再開を約束したまま、結局それを果たすことが出来ないでいた。

だというのに、未だ自分を想い続けていくれている彼女たちの願いと想いをこれ以上、無為にすることは出来ない。

 

「眷属になれば死後の世界へ自由に行き来できるようになる。――彼らの想いに応えてやれ、白き皇(ハクオロ)

 

この一言が決め手となり、ハクオロは彼女たちと再会する覚悟を決めた。

そして、その恩義に報いるため《新世黄金神》の眷属となる決断を下したのだ。

 

過去を受け入れ、新たな門出を迎えたかのような晴れやかさを感じる空気を纏うハクオロ。

ストラウスは眩しそうに目を細め、花梨やダークネスに純粋な興味を抱いた。

遺恨を振り払い、新たな生を受ける資格がある。

獄卒たちは、毎度自分の元を訪れる度にそう言って説得してきた。

だが、耳触りの良い慰めや叱咤の言葉など、ストラウスの壊れてしまった心に届かなかった。

生前、誰よりも愛した女性の命を己という存在を危惧する者の手によって奪われた。

心に負った傷は王としての責務を果たすことに総てを捧げることで崩壊を防ぎ、刻み込まれた心の傷は癒えること無く、終焉を迎えるまで彼を苦しませ続けた。

壊れた状態で固定されてしまった彼の心は死という解放を経てもなお癒されること無く、幸福を感じることが出来ないでいた。

そんな終わりのない無限地獄の中で出会った、初めて異質と感じた存在。

吸血鬼としての力でも、王としての智謀でもない。

言うに事欠いて、『常識人ぽいから』などという理由で魔人と恐れられた自分を欲する者たち。

こちらの内情など知った事ではないとばかりにぐいぐい押しこんでくるタイプは、生前にも出会った事が無かった。

しかも前例として、自分と同じ臭いがする『皇』をスカウト済みなのだと言う。

だからなのだろうか?

彼らの誘いに乗ってみたら、すごく――『面白そう』だと思えるのは。

 

「あ、言い忘れていた。いったん契約を交わしても永続的なシロモノじゃないからな。もし嫌になったら、いつでも契約破棄してくれて構わない」

 

しかも、逃げ道まで用意済みとは。

誇りなどとうに捨て去ったと思っていたが、存外そうでもないらしい。

 

「……やれやれ。こう見えて、実は私、負けず嫌いなんだよ」

 

僅かに残っていたコーヒーを勢いよく呑み終え、伝票を手に取りながら席を立つ。

ニヤリと唇を歪め、「今日は私の奢りだ。ただし――」と言葉を続けていく。

 

「コーヒーブレイクを楽しむお給金は用意してくれるんだろう? これでも、元『夜の国』最後の王である吸血鬼だ。お手頃価格で(ドレイ)に出来ると思っていないだろうな?」

 

神に対してあまりにも不遜な態度。

だが、言葉に込められた至高の王の感情を、むしろ心地良さ気に受け止めながら黄金の龍神と戦乙女が笑う。

 

「ああ、いい値を払わせて貰うさ。ただし――眷属(ナカマ)として、な」

「喫茶翠屋オーナー直伝、世界最高のコーヒーをご馳走してあげるわよ。千年の生は何だったのかって跳び上がっちゃうくらい美味しいから覚悟しなさい」

「ああ、楽しみにさせてもらおうか」

「ええ。――ああ、それと言い忘れてたことがあったわ」

 

会計を済ませるストラウスを追い越し、店の扉に手を掛けた所で花梨がいかにも今思い出したと言わんばかりに振り返り、

 

「私たち、まだまだ新米の《神》サマ一行な訳よ。でも、あーゆー存在ってたくさんの侍女とか従者を抱えるモンでしょ?」

「うん? まあ、確かに伝承ではそう言うものだが……」

「でしょ? だから最近、そう言う人員も勧誘するようになってね。第一陣が今日から城に来てくれることになってるのよ。あんたたちも眷属になる以上、城での生活に慣れるまでは彼女たちのひとりをお世話役に付けるつもりだから。上手くやってよね」

 

そんな事は言われるまでも無い。

ストラウスもハクオロも、王として従者に傅かれる経験を積んできているのだから。

何故今更そんな事を? と疑問符を浮かべる両者に向けて挑発的に口端を吊り上げた花梨は、にっこり見惚れる様な笑顔と共に、

 

「ちなみにあんたたちのお世話役は、ステラ・ヘイゼルバーグさんとエルルゥさんのお二人ね」

「「は?」」

 

呆気にとられる白の皇と黒の王。

ぽかんと惚ける彼らの反応に、してやったりとサムズアップし合う龍神と戦乙女。

その背後には、扇子で口元を隠し、プルプル肩を震わせている紫の姿が。

 

「ぷっくくく……ちなみに侍女見習いにはアルルゥちゃんって女の子や彼女の友達や、アーデルハイトさんってお姫様もいたりするのよね~」

 

アーデルハイトさんはステラさんの娘さんのお世話してて忙しそうだけどね~と意地の悪い笑みを浮かべながら店を後にする花梨たちの後を慌てて追いかけるストラウスとハクオロ。

「ちょ、どういうことだ!? ドッキリか? ドッキリなのかっ!?」「説明を! 説明を要求するっ!」 と慌てふためく王様コンビの騒ぎ声が遠ざかっていく。

店内にひとり残された紫は、店の外から聞こえてくる喧騒に耳を傾け、彼女らしからぬ柔らかな微笑みを浮かべて過去の王たちの新たな門出を祝福し続けていた。

 

 

――◇◆◇――

 

 

〈雨宮市〉

東京都南部から神奈川県北部にかけての一帯を、様々な最新技術の実験都市として再開発した都市だ。

『空間震』と呼ばれる災害が多発する特殊地域であり、とある事情を抱えた者たちが住まうこの街で暮らす一人の少年がいる。

名を、『五河 士道』。

彼は、非無き敵意を向けられる宿命を背負う美しき少女たちに正面から向かい合い、幸せな日常というかけがいの無い宝を過ごせるように尽力し、つらく厳しい運命に立ち向かう心優しくも強い青少年である。

さて、そんな彼は現在、未だかつてない危機的状況に陥っていた。

否、現在進行形で巻き込まれているといったほうが適切かもしれない。

 

「う~ん、スカウトのお土産には何が良いんだろ? やっぱりおまんじゅうとかかなぁ。あ、おせんべも捨てがたいかも。――おおっ! きなこパンだって! 美味しそうなんだよ~」

「アリシア、よだれ垂れちゃってますよ。まったくもう、ほら、こっち向いてくださいな」

「は~い、ありがとね~シュテル。でもでも、こういうのは最初のインパクトが重要だと思うんだよ。ねえ、士道君ならどれを選ぶかな?」

「うえっ!? お、俺ならですか!? そ、そうですね……やっぱり、名物のきなこパンかな? 十香も毎日食べていいくらい美味いっていつも言ってますし」

「ほほう? 十香ちゃんとな? さてはその娘……君の彼女さんだねっ!」

「おやおや。草食系かと思いきや、まさかの彼女持ちリア充でしたか」

「彼女ッ!? てか、リア充!? ち、違います違います!? 俺と十香は別にそんなんじゃ――ぬおっ!?」

 

頬を上気させながらワタワタと首を振っていた士道が、突如、耳元で怒鳴りつけられたかのように状態を仰け反らせ、たたらを踏んだ。

なんぞ? と首を傾げながら不思議そうに士道を見る二人になんでもないですと手を振りながら、小さく断りを入れて物陰に飛び込んだ。

 

『ちょっと、なにやってんのよ士道! デートの最中に他の女の名前出すとかバカじゃないの!? 好感度は変動してないからよかったものの、相手が悪かったら一発で『空間震』ものよ!? もっと真面目にやりなさい!』

「あのなあ! 俺だっていっぱいいっぱいなんだよ! ていうか、あの人たち、本当に『精霊』なのか? 十香たちよりずっと……その、大人な女の人だぞ。精霊の外見年齢って十代って言ってなかったか?」

『ウッサイ! 何事にも例外ってものはあるものなの! ――まあ、確かに十香や他の精霊()たちと比べて反応がおかしいのは認めるけどね……。でも、アンタも見たでしょう。あの二人が突然この世界に現出した瞬間を』

「……ああ」

 

年上の女性を同伴し、街を闊歩する……所謂、『デート』という行為を実行していた士道は、イヤホン型小型マイクから吐き出される妹の声……というよりも、もはや怒号と言って過言ではない咆哮で痛む耳朶を押さえつつ口元に手を当てて会話が聞こえないようにしつつ、妹の言葉に同意する。

彼の妹、『五河 琴里』は『ラタトスク』という特殊組織の司令官だ。

彼女たちの目的は、隣接する異世界『隣界』からこちら側の世界に転移し、現れる『精霊』と呼ばれる生命体の保護。

こちら側に現出する際、空間そのものを崩壊させる特殊危険災害『次元震』を発生させてしまう彼女たちを、兵器を用いて殺害し、排除するのではなく、平和的な話し合いと能力の封印によって求愛する。

それが『ラタトスク』の至上目的だ。

士道は精霊の力を封印する特殊能力を有しており、この異能を使って精霊たちを救い、人間の女の子が過ごす日常を遅らせてあげたいと考え、『ラタトスク』に協力している。

そして現在、空間の歪みと共に発生した【魔法陣】のような転移門を通って現れた二人の女性を精霊と判断し、彼女たちを救うためのミッションに挑んでいるのだ。

そのミッションとは――〈デートしてデレさせる〉こと!

つまり、精霊を恋愛ゲームのヒロイン枠に当て嵌めてデートに誘い、好感度を上げて信頼を勝ち取り、力を封印するための行為――つまり、マウス・トウ・マウスの『キス』を交わすことで士道の中に精霊の力を封印するのだ!

そう! 五河 士道は世界の命運を護るため、この街に住む人々の未来を護るために!

今日出会ったばかりの年上の女性二人をデートに誘い(ナンパ)し、好感度を稼ぎ(口説き)異能を封印(唇を奪う)べく、仁義なき戦いを繰り広げているのだ!

 

――だが、彼らはとある重要なことを勘違いしている事に気づいていない。

 

そもそも、彼らが精霊と勘違いしている女性たち……アリシアとシュテルは精霊ではないという事を。

もちろん、魔導技術系統がまったく異なる未知の技術体系による転移魔法を軽々しく使った彼女たちにも非はあるし、守護天使なので人間の反応が無いのも当然だ。

だが、琴里たちは今まで積み重ねてきた精霊を救済したという実績と経験によって、異質な存在=精霊と短絡的な思考に捕らわれてしまっている。

なまじ、同じような判断で妖しいと踏んだ相手が精霊ばかりだったことも、彼女たちの思い込みを加速させる理由になっている。

事実、士道が最初に声をかけた際、「あなたたちは精霊ですか?」 という質問に「え、違うよ~?」 と軽いノリで返された言葉が真実だと信用しなかったことが、この珍妙な状況を作りだした原因になっている。

 

とはいえ、見ず知らずの自分たちに道案内をしてくれて、親切な男の子だな~、と危機感ゼロなアリシュコンビと、とりあえず精霊の一種だと考えて、いつものように妨害が入る前に彼女たちを助けると使命感に燃える士道&琴里+愉快な仲間たち。

両者が互いの温度差に気づかないまま、勘違いから始まった奇妙なデート? はしばらく続くことになるのであった。

 

 




てなわけで、王様コンビをゲットした花梨嬢&ダークさん。
身内で釣るとかきたない。さすがかみさま、きたない(超棒読み)。

さりげにメル友になってたゆかりんもご登場していただきました。
うっかり自爆系常識人な花梨嬢と相性がいいかな~と。

ちなみに、赤バラさんが暮らしてた街には、殺し屋稼業でほぼ全死にしたタツミーと愉快な仲間たち、ソレスタル何たらさんやらも暮らしていたりする設定。
修羅場まみれのたいそう愉快な空間が広がってます♪

……そして次話への複線と言う名の死亡フラグが。
精霊&魔法少女勧誘に向かった人妻をうっかりナンパしてしまった士道君の明日や如何に!? (爆笑)



・今回参戦した眷属さん方のプロフィール

●ローズレッド・ストラウス
登場作品:ヴァンパイア十字界
二つ名:至高の王、不滅の魔人、最強の吸血鬼
アルカナフォース:No.”12”《吊るされた男(ハングドマン)
解説:
吸血鬼と混血が暮らしていた〈夜の国〉という大国最後の王にして、太陽を克服した超宇宙生命体だった吸血鬼。
小惑星をも砕く魔力、不滅の肉体、世界情勢を容易く操る卓越した知性を兼ねそろえた英雄。
おまけに太陽の光の下でも灰にならず、夜間の八割程度の実力が発揮できる上に、生身で地球重力圏突破&月までの単独宇宙旅行が可能とまさにチートの権化。
彼は一度、吸血鬼という言葉の意味を調べなおした方がいい。

その過去は凄惨に尽きる。
かつて愛し合った人間の女性『ステラ』と彼女が身ごもった己の娘を惨殺された挙句、彼女たちの魂をストラウスを殺す対吸血鬼術式【黒き白鳥(ブラックスワン)】を産み出す触媒にされた。
時代を超えて宿主を乗り換えていく寄生型魔術【黒き白鳥(ブラックスワン)】を宿した少女たちと、愛する者の魂を宿す相手と殺し合う苦しみを味わいながら戦いを繰り広げる。
さらに、「吸血鬼抹殺すべし」と掲げる人間たちと吸血鬼たちの終わりのない闘争と滅びを回避するため、あえて彼らの共通の敵となることで手を組ませ、守ると誓った血族からも怨敵として命を狙われる定めを受け入れ、千年もの間、生き続けた。
最後は、地球進行を目論む異星人『フィオ』の宇宙船団を王妃『アーデルハイト』と共に撃破。
アーデルハイトは、人間の手が届かない月面に吸血鬼のコミュニティを作りだすため命を散らし、ストラウスは最後の【黒き白鳥(ブラックスワン)】比良坂 花雪との決闘に挑み、敗北。
ステラの魂に導かれるように生涯を閉じた……という超ヘビーなもの。

今生では、〈天空龍神城〉で待ち構えているであろう第一&第二王妃様+愛娘と乳繰り合いながら、生前叶わなかった人並みの幸福を噛みしめてほしい所存(義理の娘二人は、開拓された月で生存中なのでスカウトは無し)。


●ハクオロ
登場作品:うたわれるもの
二つ名:白亜の皇、好色皇
アルカナフォース:No.”11”《正義(ジャスティス)
解説:
トゥスクルという国を総べた偉大なる皇。
大神(オンカミ)ウィツァルネミテアと呼ばれ、獣の耳や尻尾を持つ亜人類に崇められている神に等しき者。
優れた叡智と、時に厳しく、時に優しい才覚溢れる英雄の資質を持ち合わせた人物で、とある小国の農民から瞬く間に大陸屈指の強国の皇帝にまで上り詰めた。
恩人から受け継いだ鉄扇を武器に、前線で戦い抜く実力と、政治・軍略もほぼ完璧に熟す、ストラウスとは別の意味でのチート。
ただし、正妻候補のエルルゥ()にはタジタジで尻に敷かれているのがデフォルト。
彼には、さいきょ~ドラゴン一家の参謀として頑張ってもらいます。
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