マシュより先に合流したけどマシュより弱いセイバーさん(実質嫁) 作:セイバーさん
「……ここは」
暗い場所にて目が覚める。
……直前、私は眠っていた様ですね。
『目覚めたか』
「貴方は……」
振り返った場所にいるのは、黒い影。
状況的に声の
『復讐に足る経験、そして復讐心を持ち合わせる女』
「……」
『フ、
「貴方ですか、巌窟王殿?」
一部聞き取れなかった部分こそありましたが、状況的に私のことを示しておられるのでしょう。
……何かを捨てたと?
「捨て去る程の何かは持ち合わせておりませんよ、私は」
『ああ、だろうな。お前に捨てられる程の力はない』
『……お前には、ただ奴の隣で笑い、歌う……否、笛を吹く日常にこそあれば良かった』
「……」
奴……主?
……まさか、そんな日常こそあってはなりませんよ。
「私は、主の刃として 」
『お前は奴の武器にはなれん』
「……は?」
巌窟王殿?
『弱さは理由にならん。貴様はその本質と経歴を持ってしても
「何を……」
話の流れが見えませんが。
巌窟王殿は、一体何を私に伝えようとしておられるのか。
『英霊とは、一冊の
『如何様にしても写し取ることのできない写本は、写本とは呼ばんだろう』
『セイバーと呼ばれるクラスは、剣にまつわる武勇を持つものが呼ばれるクラスだ、お前はそれすら満たしていない』
「……私は、
『剣すら、持ったことを記されていないお前が、か?』
「私を記した絵巻物、模した劇において刀を携えていれば事足りますよ」
『……クハ』
こちらからは影しか認識できませんが、それでも嘲笑されていることは理解できる。
……確かに、改めて振り返ると心許ないものではありますが。
『そろそろ、お前も思い出すべき時が来たということだ』
『お前はお前自身の澱みを取り除け』
『俺は、果たすべき責務の清算を果たそう』
「何を……!?」
巌窟王殿の言の葉と共に、世界が崩れ始める。
「巌窟王殿、貴方は 」
『急げ、でなければ間に合わん』
影が取り除かれ、
「貴方は! 何を!」
『 フ』
『お前はどこまで行っても変わらないのだな』
「誰と間違われておられて……! いえ、そうでは無く!」
崩れ行く足場を飛び移りながら、彼を見る。
あれは、誰かを懐かしむ目だ。
『お前を取り戻せ。そして 』
『 ……お前が、再び奴の隣へと舞い戻ることを期待しておく』
底知れぬ闇に、落ちていく。
決意を露わにする、ひび割れた男を目にしながら。
……これだから主の忠臣の方々は。
誰も彼も、主に伝えぬまま進めようとし過ぎているのです。
「主、どうか……」
勘違いめされぬよう。