マシュより先に合流したけどマシュより弱いセイバーさん(実質嫁) 作:セイバーさん
「…………はぁ」
案の定捕まった私は、何の罰なのか主とともに空き時間を過ごすことを厳命されてしまった。
温情故か、はたまたその他の思惑なのか新しい装いは本番まで良いと免じて貰えましたが……。
「すっごいため息だね」
「申し訳ありません主、折角の催しの場だというのにこの様な行為を」
「大丈夫。セイバーさんと一緒にいたら楽しいし」
「……お戯れを」
またその様なことを、いつか背中から刺されても文句は言えないのではないですか主。
……いえ、私がいる間に主の背中を狙うなどという不届きを許すつもりもございませんが、弱いですからね。
いつ何時消え去るのかもわからない弱小霊基を過信するつもりはありません。
「色々出店があるんだね」
「ええ、この特異点の主はその辺りにとても寛容な態度を示しておられる様なので」
「そうなんだ?」
「はい、大会さえ成功させれば何でも
誰がどこに広げたのかを全ては存じませんし気にする暇もなかったのですが、坂本様や高杉様、卵の方や美人の方々が商いをしているとか。
「流石は金に目のない英霊達……」
「その情熱の一欠片でも主を守るということに割いて頂けたら良かったのですけれどね」
「皆頼もしいよ?」
「いえ、それは承知の上なのですが」
……この通り、商店の方々が店を構えるだけあって交通のほとんどを支える大通りでして、毎日の様に顔合わせしておりまして。
事あるごと、顔を合わせるごとにうちで祝言をあげないか、マスターに見せる新衣装かい嬢ちゃんやら何やらと揶揄われ続けていると恨み節の一つや二つ言いたくなるのです、はい。
「主には関係のない事です」
「え、でも」
「ご安心下さい、本当に関係のない事ですので。……よろしいですか?」
そんなこと今の主に言ったとして逆効果になりかねない。
早くマシュ殿とくっついて欲しいとは思っておりますが、それがそうも行かないご様子で……。
「……そう言えばマシュ殿は何処へ? 特異点修復ともなれば今のマシュ殿が来ない理由はないと感じておりましたが」
「別行動中だよ」
「……はて、これまた珍しい。主から離れる筈もないという認識でもあるのですけれど」
マシュ殿が別行動を?
……まあそこまで危険な特異点でもないでしょうし、至る所にカルデアのサーヴァントの方々がいるのもまた事実。
「なんでも」
「?」
主がこちらを見つめて感慨深そうにしておられる、どうかされたのでしょうか。
「……負けられない相手がいるんだって、張り切ってたから。俺が邪魔するのもなって」
「マシュ殿が主を邪魔にすることなど何があってもあり得ないでしょう?」
負けられない相手となると、お相手が思い付かないこともないのですが……そう言えば此度の大会の出場者を確かめておりませんでしたか、私。
「ということは、マシュ殿も大会に……」
「うん」
「 それはそれは」
舞の先達として助言の一つや二つをできなかったことは残念ではありますが、彼女の様な努力家にはなくても良いものではあったでしょう。
「ありがとうございます、主」
「え?」
「此度の大会……ええと、少々故あって楽しみを感じておりませんでした。ですがマシュ殿が踊るというのであれば、それを楽しみにすることもできましょう」
「そっか」
「はい。……ふふ」
思い返してみれば。
誰かの後を追うことはあっても、誰かと競いあうことの経験はございませんね。
身体の奥の方から、湧き上がる様な何かに襲われる。
……?
「セイバーさん、楽しそう」
「はい?」
「楽しみを感じてないって言いながら、すごく楽しそう。……逃げた時以外はだけど」
「……」
「セイバーさんが楽しそうで、俺も楽しいよ」
そうやって主は、
今度は 奥の方が 疼く感じがした。
年明け前に