マシュより先に合流したけどマシュより弱いセイバーさん(実質嫁)   作:セイバーさん

3 / 20
1話目から早々と最後まで書けと言う激励を頂きましたので、2話目です。
早過ぎでは?


2話

「ほぅ……」

 

「お味はいかがですか、主」

 

「とっても美味しい!」

 

「それは何よりです。……加減を間違えていないか等、いつも肝を冷やしておりますから」

 

「そうなの?」

 

「ええ、主には()いものをご堪能頂きたいですからね」

 

 

 

 戦闘面で良い所は見せられる程の実力はございません故、生活の方面で私が尽くせる範囲では最大限を尽くしますとも。

 

 

 

「セイバーさん……」

 

「それでは、約束通り。後はマシュ殿とでも飲んで下さいませ、主」

 

「……うん、ありがとね」

 

 

 今を生きる者達こそ尊ばれるべき宝である。

 故に私は、マシュ殿と主を尊んでいる。

 

 

 

「セイバーさん!」

 

「……はい?」

 

「笛の音色、また聞かせてね!」

 

 

 

 笛の()、ああこの前の。

 確か、主にはご好評でしたか。

 

 

 

「ええ、機会がありましたら、是非」

 

「楽しみにしてる」

 

「それはそれは……その時は、より一層気を張らねばならなくなりましたね」

 

 

 

 今の私では、主に渡せるものが少な過ぎる。

 笛で良ければ、いくらでもお聞かせ致しますとも。

 

 

 

「では」

 

 

 

 予想外に長引いたが、そうして主の部屋を後にする。

 本来であれば(くりや)の方々に合流して、調理を手伝っている頃だったのですが。

 

 

 

「今からでも遅くはないですね」

 

 

 

 (しか)らば、もう一つの戦場へと向かうとしましょうか。

 

 

 


 

 

 

「紅殿、遅ればせながら手伝いに参りました」

 

「全然ありがたいでち! 早速でちが味噌汁の追加を頼むでちっ!」

 

「承りました、味噌汁の具は私の好みでよろしいですか?」

 

「問題ありまちぇん!」

 

 

 

 今日も中々、繁盛していらっしゃるご様子。

 紅殿の隣に並んでいる材料群から、味噌や(ねぎ)などの具材を幾つか取り、空いている場所で具を切り分け味噌を溶いていく。

 

 

 

「おっ、今日は味噌汁担当かい?」

 

「ええ、途中参加ですのでこの鍋の中身が出来上がってから、と言うことになりますが」

 

「へへ、十分だようめぇからなっ!」

 

 

 

 このように、暇な時は手伝っているおかげか食堂を利用している御仁には顔も覚えてくれている方も少なくない。

 未熟な腕の私の料理を美味しいと言って下さるのだ、調理人の端くれとしてもこの上ないやり甲斐がある。

 

 

 

「マスターへの愛の手料理だもんなぁっ!」

 

「何というか、優しい味がするんだよねあの子の料理」

 

「ふふ、年頃の甘酸っぱい思い出ですね」

 

「茶化すのはやめて頂けますか? その様な意図はございませんよ」

 

 

 

 確かに私は、年若い見目とそれに応じた年数しか生きていない小童なのですが!

 私はともかく、主に失礼です。

 

 

 

「……」

 

「むむむむむ〜っ!」

 

 

 

 ……ほらこうなりますので!

 万に一つあの方々に狙われてしまえば、私の霊核(いのち)は儚くも無惨に砕け散るでしょう、切実にやめて頂きたく!

 

 

 

「味噌汁第一陣、完成しました」

 

「ありがたい、引き続き頼むっ!」

 

「無論です」

 

 

 

 戦場にいる時よりも覚悟を決めていそうなエミヤ殿、相変わらず凄まじい手捌きで……あの方本当に調理人ではないのでしょうか。

 

 

 

「しがない弓兵だともっ! ……っと、君にお客様だ」

 

「え?」

 

 

 

 そう言われてカウンターの方は目を向けてみると……。

 

 

 

「あ、セイバーさん」

 

「主? 何故ここに……」

 

「マシュとお昼を食べることになって」

 

 

 

 言われてみれば、後方に席を取っているマシュ殿のお姿が。

 ……いや、私のお客様ではないでしょうこれは。

 

 

 

「成程、ではごゆるりとお召し上がりくださいね」

 

「もちろん! セイバーさんは味噌汁を作ってるの?」

 

「はい、若輩ながら末端の手伝いをさせてもらっています」

 

「美味しそう」

 

「主のお口に合うかは分かりませんので、できれば他の方の品を    

 

「セイバーさんのお味噌汁が食べたい」

 

「っ……左様で」

 

 

 

 本当に物好きなお方である。

 エミヤ殿やブーティカ殿が作った汁物だってあると言うのに、わざわざ。

 

 

 

「やはり甘酸っぱいですね」

 

作品(もの)によっては告白とも取れる文言ですぞ」

 

「はー、年頃近いから映えるわぁあの2人」

 

「私も味噌汁作ろうかしら……」

 

「味噌死留でもお作りになるのですか?」

 

「当たり前でしょ、味噌汁よ?」

 

 

 

 ……何故(ゆえ)! この様な! 流れに! なるのですか!

 

 私は、大したことも、サーヴァントとしての役目も果たせていないと言うのに。

 

 

 


 

 

 

「今日も助かったでち! ありがとうでち!」

 

「お役に立てたのであれば、私も頑張った甲斐があるというものです」

 

 

 

 あの後は比較的平和に事が進み、修羅場を潜り抜けた(くりや)は一定の平穏を取り戻していた。

 

 

 

「では私は戻りますね」

 

「ああ、いつも本当に助かっているよ、感謝する」

 

「いえ、称賛されるべきはエミヤ殿達の方ですよ」

 

 

 

 いつものやりとりの最後に、そそくさと厨房を出る。

 こんな戦場で毎日戦ってらっしゃる、ということ自体がすでに凄まじいことですからね。

 

 

 

「さて、何を致しましょうか」

 

 

 

 図書館にて見識を深めるのも悪くない、学ぶという行為は実に面白いことですから。

 しかし鍛錬をするというのも……。

 

 

 

「最弱だから、サーヴァントだからと言って鍛錬を怠る理由にはなりません」

 

 

 

 文と武を両立させるというのは、中々どうして難しいものですね。

 

 

 

「このままならなさもまた、楽しいと感じているのですが」

 

 

 

 嗚呼愉しき哉楽しき哉。

 人間(じんかん)五十年、人の一生は50年程度とは言いますが、その次である第二の生というのもまた良きものですね。

 

 まぁ私は生前含めて五十年の半分も生きてはおりませんが。

 皮肉なものです。

 

 

 

   人間(じんかん)五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり   




セイバーさん(享年大体16〜17歳)

藤丸立香(公式では推定未成年、大体高校生くらい?)(16〜18歳)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。