マシュより先に合流したけどマシュより弱いセイバーさん(実質嫁) 作:セイバーさん
「ナーサリー殿」
「なぁに? お姉さん」
「私の膝の上は貴女の特等席ではございませんよ」
「いいじゃない、ここはとっても落ち着くのよ?」
「えぇと……まぁ、
何故かはあまり存じませんが、この子は甘やかしてしまう私がいる。
この子も他の方といるよりゆったりとされているご様子ですし……何故?
「あたしは子供たちのための物語、お姉さんもそうでしょう?」
「え? ……いえ、どちらかと申せば私は、大人が己を鼓舞する為の口伝の様な在り方だったかと思われますが」
「それでも、必要とした誰かの為に存在したのよね」
「……
創作と言えど、私は結末とその後を創り書き記された程度の僅かな存在です。
ナーサリー殿程の存在意義が、そこにはないと思うのですが。
「だから、貴女はあたしのお姉さんなのよ!」
「?」
「お姉さんに妹は甘えるもの、よね?」
「しょ、少々お時間を頂きたく」
そもそもとして物語は
私はナーサリー殿と比べると幾分か新しさが目立つ様な気もしますし……。
「そもそもとして、召喚された私は確かに
「あたしがお姉さんだって言ってるのだからいいじゃない」
そう言って私の膝の上を占有し続けるナーサリー殿。
「ナーサリーでいいわ、殿なんて堅苦しいのはいやよ」
「……何故そこまで私に? ナーサリーど……ナーサリー」
「真っ白な貴女に魅入ってしまったの」
「はい?」
「戦場にありながら、赤に染まらず。白くあり続けた月下美人、そんな貴女にあたしは魅入ってしまったわ」
「……はぁ」
月下美人はそもそも白い花でございますよ、ナーサリー。
「薄命の貴女、笛と最後だけが存在証明である貴女、そして……赤に染まらなかった、貴女」
「ナーサリー?」
「 どうして? 貴女はもっと生きられたのに、
「それは……」
嗚呼、成程垣間見えてしまわれたのか。
伝承としての部分が彼女に何らかの影響を与えたのか、他の要因か。
そしてそれを見たナーサリーは、私の決断について気になっておられるご様子。
「その様な時代であった、と言ってしまえれば楽なのですが。そうではないのですよね」
「……」
「詳しくは語りませんが……私は、あれで良かったと思うております」
「どうして?」
どうして、か。
……そうですね、やはり
「誰かの為に
そう断言して、ナーサリーと目を合わせる。
相変わらず、綺麗な目をしておられますね。
「……やっぱり、貴女は綺麗だわ、お姉さん」
「満足して頂けましたか?」
「ふふ、いいえ、いいえ。これからだもの、あたしと遊びましょ? お姉さん」
膝だけではなく遊び相手にまでなって欲しいとのこと。
……確かに幼子はそうでなくてはなりませんね。
「しかし今は夜、子は寝る時間と申しますが。よろしいので?」
「いいの。まだまだ夜は長いんだから、ね?」
「肩こりになどなるはずもないのですが……」
翌日、ナーサリーを部屋に届け、己に対する違和感に気付く。
「肩が軽うございます、しかしいったい何故?」
まあ、良くなったのであればそれで
……気のせいなのでしょうか。
「おっ」
「……金時殿ですか」
「敦盛の嬢ちゃんか! 元気かい?」
「ええ、息災ですよ」
目の前におられるのは
「しっかし相も変わらず働きもんだなぁ。さっきもナーサリーの嬢ちゃんと遊んでたんだろ?」
「中々どうして、彼女には気に入られておりまして……」
「へー……まっ! 何か困ったこととか、腕試しがしたいとかあったらまた言ってくれや! ゴールデンに相手してやるぜ!」
豪快に笑う金時殿、この方は平安の頃から全くお変わりありませんね。
服装は現代のものと化しておりますが。
「ってことでそこにいるアンタ! こそこそしてねぇで出てきたらどうだい!」
「え?」
「……源氏の者めが……」
物陰から出て来られたのは……景清様?
「景清様、どうなされたのですか?」
「いや……何でもない。
「過保護だねぇほんっとアンタ、オレぁ何にもしやしねぇさ」
「黙れ、源氏の言葉に耳を貸すつもりはない、疾く失せよ」
「へいへいっと……じゃあな! 敦盛の嬢ちゃん!」
「へ、あ、はい!」
そう言って軽くあしらわれてしまった金時殿、か、景清様……。
「流石にあの様な言は、言い過ぎではないですか?」
「あの快男児は気にしてなどおらんだろう。全く、腹立たしいことこの上ない」
「その様に言ってはなりませんよ景清様」
この方は、平家の怨念を背負っておられるお方だ。
源氏に対して攻撃的になってしまわれるのも無理はないのですが……。
「金時殿も、その他の源氏も今は主の下に集う仲間、いざという時お味方で斬り合うなどあってはならないのですよ、景清様」
「……しかしだな、姫よ……」
「だめ、ですからね?」
「……ウム……」
渋々了承して下さった景清様、無理言って申し訳ありません。
しかし、そうやって燃え盛るお姿を見ると、どうにか……。
「
「……」
「……そう、悲しむな。我とて
「っ……はい」
『ゆめ忘れるな!
「存じて、おります」
「そうか。……では、姫よ。我ももう行く」
「あ、お引き止めして申し訳ありません、景清様」
「構わぬ。……ではな」
そう残して、金時殿とは別の方向へと向かう景清様。
……あれ?
「景清様、来た道を戻って行かれましたね……?」
ええと、呼び戻した方が良いのでしょうか。
来る道中で私を見かけたと言うことは、こちらに用事があった筈、しかし……。
「……源氏の方がいらっしゃるから、と言う判断なのかもしれませんね」
そうなれば、私のやろうとしていることは邪魔となってしまう。
この場での最善は、何なのだろう?
「うぅむ……」
セイバーさんの持つスキルを一個ご紹介。
忘却補正 D:クリティカル威力が4%アップ。
強化条件、2部5.5章『地獄界曼荼羅』の特定クエストクリア