マシュより先に合流したけどマシュより弱いセイバーさん(実質嫁)   作:セイバーさん

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7話

「え、私のクラスですか?」

 

「ああ、そろそろ聞くタイミングかなと思ってね」

 

「はぁ」

 

 

 

 そろそろと申されましても、セイバー以外の何者でもないのですが。

 

 

 

「自己回復と、平安京にて発現した忘却補正……平安京から今の今まで優先するべき事柄があったからこそ放置していたが、今は手が空いているからね」

 

「その……」

 

「なぁに、イギリスの異聞帯において確認されたプリテンダーの例もあるし、君はカルデアへの滞在歴も長い、今更隠してたことを怒ったりはしないさ」

 

「いえ、そうではなく……」

 

「しかし興味深いね、平敦盛(たいらのあつもり)と言う人物に詐称の逸話はなかった筈だ、だと言うのに今の今までクラスの偽りに気付かなかった」

 

「いえ私、ただのセイバーです」

 

 

 

 何故偽っていること前提で話を進められているのでしょうか。

 主には勿論、カルデアの皆様にも嘘偽りなく接して来たつもりなのですが。

 

 

 

「そうなの?」

 

「はい、主。確かに私にはアヴェンジャークラスへの適性はございますが、此度はセイバーとして主の下へ馳せ参じております」

 

「しかしそれにしては弱すぎないかい?」

 

「ダ・ヴィンチちゃん、直球すぎ」

 

「いえ、それはわかりきっていますから。……それに、弱い理由は明白でしょう」

 

 

 

 思い返せば、弱い弱いと話し合えど、具体的にどう弱いかについて明確に話し合ったことはございませんでしたね。

 

 

 

「知名度に対して私は実力が乏しい」

 

「……それだけにしては、所持しているスキルがおかしくないかい?」

 

「そこまでは……何せ、忘却補正は平安京の景清様によって呼び起こされたものですし、それまでの記憶……特に召喚前後についてはあやふやな部分が多いのです」

 

「うーん」

 

 

 

 燃え盛る都市にて人骨の怪を払いきれなかったことは昨日のことの様に思い出せるのですが、召喚理由についてなどは、あまり確かなものはございません。

 

 

 

「復讐者のスキルこそ持ち合わせていないみたいだけど、それさえあればもう立派なアヴェンジャーだね」

 

「私自身は、セイバーで良(よ)いと感じておりますけれど」

 

「そうなのかい?」

 

「……セイバーでなければ主の刃足り得ないでしょう」

 

「セイバーさん……」

 

 

 

 何となく、ではございますが。

 

 

 

「君の意思はわかった、まあ今更だし分かりきっていたことではあるけれどね。君ってば藤丸君ファースト過ぎるし」

 

「主の従者(サーヴァント)たる者、主を優先せずして誰を優先すると言うのですか」

 

「あっはっは! 自由過ぎる他のサーヴァントにも聞かせてあげたいくらいだね!」

 

 

 

 私の考えを他者に押し付けるつもりはございませんが、確かに他の御仁は自由でございますね。

 

 

 

「ああ、それともう一つ」

 

「? はい」

 

「いい加減君に新しい霊衣(ふく)を着させたいと、何人かのサーヴァントから苦情が届いているけれど   」

 

「   考えておきます、とだけ」

 

「相変わらず着てないんだね」

 

「ものは未だに増えておりますが」

 

 

 

 いつからでしょうか、宛先不明の化粧道具や霊衣が私の部屋に届く様になったのは。

 現代風の服から、各時代、各国の民族的な衣装まで沢山のバリエーションがございましたね。

 

 ……何故そうなるのですか!

 

 

 

「届いた苦情から幾つか取り上げてみると……『良い素材なのにもったいない!』『メカクレェェッ!!』『これ着て欲しいですなぁデュフフ』『にゃーにゃーにゃにゃにゃーにゃにゃにゃにゃー!』……結構誰が誰だかわかってしまうのがアレだけど、こんな感じ」

 

 

 

 要するにいつもの御仁ですかそうですか!

 あの手の御仁の目、どこか既視感があるのですが、どこだったでしょうか……?

 

 黒髭殿は主に対する事柄であれば信用できる御仁なのですが……。

 

 

 

「一度、騙されて主に失礼なことをしでかしてしまいました故(ゆえ)、そちら方面では信用しておりません」

 

「あれはとても幸せでした(ひどい事件だった)ね……」

 

「主?」

 

「なんでもないよ」

 

 

 

 黒髭殿と、キャットなタマモ殿、あとは水着を着たジャンヌ殿でしたか、今考えてみるととんでもないお三方ですね何故手を組んだのですか?

 

 

 

「事件の内容が気になるところだけど、それはさておいて」

 

「まだ何か?」

 

「ああ、これは大したことではないよ、ただ   」

 

 

 


 

 

 

「何故私と主の2人なのでしょうか……」

 

 

 

 ダ・ヴィンチ殿から最後に伝えられたのは、頼まれごとであった。

 それをこなす為に、今私は主と2人でとある場所に出向いている。

 

 

 

「嫌だった?」

 

「嫌、と言う訳では……いえ、ある意味嫌なのかもしれません」

 

「え」

 

 

 

 ……そうですね、そういった意味では主人と2人きりというのは嫌悪すべきであるかもしれません。

 

 

 

「私では主を守りきれませんので、その点においては」

 

「……俺は嬉しいよ?」

 

「ありがとうございます、ですがそれではダメなのです。トラブルはいついかなる場合に襲ってくるか、判断できるものではありません」

 

「海、茂み、地中……或(ある)いは、『普通の感性をしていればやって来ないだろう』と高を括っていた崖の上など、様々ですから!」

 

「他はともかく崖の上はセイバーさんが珍し過ぎたんじゃないかな……」

 

「……当然ですあんな策、思い付く者が2人もいてたまるものですかと言う話です、全く」

 

 

 

 思い付いてしまわれたのが牛若殿なのですが、一ノ谷の合戦なのですが!

 

 

 

「私は弱いですから、主をお守りする為に最善を尽くさねばなりません」

 

「……セイバーさんには、いつも助けられてるよ」

 

「そう言って下さるのは、サーヴァントとしてこれ以上ないことではありますが。主に何かがあってからでは遅いのです」

 

 

 

 私以外を供にすることが最善であると言うのであれば喜んでそうしましょう。

 無論、私は私で努力は重ねておりますが、変化は微々たるものです。

 

 

 

「その点においては、マシュ殿に羨ましさを感じております」

 

「そうなの?」

 

「ええ、成長できることのありがたみを、死後になって痛感致しました」

 

「……」

 

 

 

 生前は笛吹きでしたからね。

 笛を吹いていたことを後悔しているとまでは言わないが、他にもできることはあったのではないかと感じることはある。

 まあ、思ったとてできることなど今から研鑽するしかないが。

 

 

 

「セイバーさんは頑張ってる」

 

「……え?」

 

「セイバーさんは凄い、かっこいい、頼もしい」

 

「あ、主?」

 

「綺麗、慌ててる姿が可愛い、抱き締めたい」

 

「!? あ、主今何かとんでもないことを仰られて   」

 

「……そして、大事な場面で側にいてくれる、いつも背中を押してくれてる」

 

「……」

 

「これだけ良いところがあるのに、役に立ってないなんてことはないよ」

 

「だから、いつもありがとう、セイバーさん」

 

「主……」

 

「そしてこれからも、よろしくね」

 

「……はい、よろしくお願いいたします、主」

 

 

 

 嗚呼、やはり貴方はお優しいお方ですね、主。

 ……その言葉にかまけてしまわない様、わたしはこれからも精進してまいりますとも。

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