機動戦艦ナデシコ Lily of the valley 作:勿忘草
火星の後継者と名乗るテロ組織により誘拐されたテンカワ・アキト、時空間転移が可能なボソンジャンプの研究のため、ナノマシンが過剰投与され人体実験が行われた、同じく誘拐された妻のユリカを救出するために復讐鬼となり幾度もの襲撃と失敗を繰り返しようやく取り戻したが時は既に遅く、既に彼の体はボロボロになっていた。
残り幾ばくも無い時間を彼は故郷である火星の住んでいた場所であるコロニー跡地へと足を進めた、そこに居たのは宇宙戦艦である、三代目の機動戦艦ナデシコCの艦長ホシノ・ルリ
彼の状態を知り追いかけて来た彼女は、彼と一緒に時空間移動のボソンジャンプを行い出来るかどうか分からない未来への時間移動という可能性へ望みを託した。
ボソンジャンプの光が収まると壁に不思議な模様が描かれているかなり広い空間がある部屋に二人は転移していた
「ルリちゃん!」
テンカワ・アキトが手をつないだまま倒れた少女を抱きしめる、名をホシノ・ルリと言い遺伝子改造を受けて生まれた子だった、B級ジャンパーである彼女はボソンジャンプには耐えられるが何処に移動するかなどの指定ができないため、それが出来るA級ジャンパーのアキトとナノマシンの補助脳を使い無理やりリンクさせて場所を指定しジャンプしたのだ、その時にルリちゃんの思いも一緒に流れ込んできていた、普段はあまり感情が動かないと思っていたが表情にあまり出ないだけで感情は激しく動いていた、自分が誘拐されて死んだとされた後の衝撃と悲しみ、その後生きていると分かった後の喜びと助けたいという思い、だが無茶な自分との補助脳のリンクでかなりの負担がかかったのかジャンプの後に倒れ込んだ、このままだと体に異常が出るかもしれない。
「ちくしょう、何でだよ!ここは何処なんだ!また守れないのかよ誰か助けてくれよぉぉぉ!」
叫んだ声も虚しく響くだけかに思われたが、そこに駆け寄る人影が一つあった、アキトがそちらに目を向けると驚いたことにその人物は細部が自分達と違っていた、体は華奢で手の指が関節一つ分ほど長く耳も横方向に尖って長かった、創作にあるエルフと呼ばれる種族に似ている容姿の人がこちらに走ってきている。
「yasra spiritum crudea crannidale aiph crudea swant yor」
ダメだ、言葉が分からない会話が出来そうにないそれでもがむしゃらに心の底から語りかけずにはいられなかった
「お願いしますルリちゃんを彼女を助けて下さい、お願いします助けて下さい!」
近くにたどり着いた人物は距離を保ち近づかずにこちらを見ている、すると声による音ではなく頭の中に言葉が流れ込んできた
(あー、あーこちらなら聞こえるかな?、本来なら相手の許可を取らずに心を読む力を使うのは良くないのだが、緊急事態という事で許して欲しい、取り合えず救助要請という事でいいのかな?ある程度体を触ったりして弄る事になるから許可が欲しいのだが、心の中で思うだけで通じるから返答が欲しい)
「えっ…あ!?」
不思議な力でよって心を読むことで会話が出来るようだ、これなら何とかなるかもしれないどの道今のどうにもならない状況では目の前に居る彼に頼むしかないのだ
「はい、彼女を助けて下さい」(助けて下さい、彼女をよろしくお願いします)
心の中で思いと言葉が自然と出ていた
その人は首を縦に振り(うむ、任せてくれたまえ)
その言葉を聞いて安心してしまったのか目の前が真っ暗になり、俺はそのまま意識が無くなってしまった。
(あと私は女性なんだが・・・って倒れてしまった)
話声が聞こえてくる、体は動かせずに夢うつつな状態だが何か液体で満たされたガラスの機械に入っていてぼんやりと外の様子が見える、近くで二人の人物が椅子に座って会話しているようだ
「あっはっはっはっは、何でそこで世間体を気にして結婚になるんだって話だよ、そこはパートナーになる相性じゃないと後悔するぞ、波長が合わないとお互いに不幸しか生まないようになってるからな、というかもう既にそうなってしまったのか」
助けてくれた人の声がする、普通に言葉を喋れてるのは何らかの形で言語を翻訳出来たのだろうか
「そうなんですか?」
ルリちゃんの声だ!良かった助かったんだ…
「説明した波動理論を抜きにして普通に考えてみなよ、暴力的な人が近くに居れば徐々に暴力的な思考に揺らされてしまうから自身も暴力的になる、笑顔の人の近くに居ればそれにつられて顔が自然と笑顔になる、そういう事に覚えがあるはずだ」
「確かに私が笑顔の時にはみんなが笑顔になっていましたが…」
「逆に言えばこの人とならと理屈抜きに心が感じたなら掴み取っていいんだ、惚れた弱みで受け身だったようだけど攻めていいんだぞ、ただし相手を蹴落とすような意地悪なやり方は駄目だ、自分にも跳ね返って来るからな、そうではなく彼をサポートして助けて自分から近づいて行くんだ、そこで今以上の関係を求めてもし壊れたならと臆病になってしまったから波に乗れずに振動がずれて溺れてしまった、ああ今のは分かりにくかったかなトラブルを起こすよりトラブルを解決する人と一緒になったほうが幸せという至極当然の話だな、だが彼を縛りたく無いというのも分かる、そこで愛人を認める度量を見せるといい宇宙は自由だからな一夫多妻も一妻多夫も認めているぞ、というか良い男なら共有した方がいいだろう無理に好きでもない男と結婚しても続かないものだ」
「掴み取っていい…」
「ああ、詳しくは彼が起きてから話そう、というかこれだけ愛されてるのに君には関わらずに過ごしてほしいという我を出している時点で脈ありだ私が保証しよう、お互い傷つけたくないからという干渉をしてそれが出来ているからな、というかそうでもなければこんな状態で私と接触する可能性すら掴めず消えていたんだからね」
「ピー ピッピッピッ」
入っている機械から音が出始めた何の音だろう
「お、治療と改造が完了したな、治療ポッドが開くぞ」
プシューという音と共に中に入っていた液体が抜けていった、正面のガラスがずれて体が解放された
「アキトさん!」
呼び声と同時に彼女が駆け寄る、上手く力が入らなくてふらついた体にルリちゃんが抱き着いて支えてくれた
「ルリちゃん良かった、無事で本当に良かった、どなたか分からないけど助けてくれてありがとうございます」
お互い無事だった事に喜び合うも助けてもらった人によって直ぐに中断された
「この朴念仁んーーーーー許さんぞ!くらぇぇぇ」
「ぐへっ」
「アキトさん!?」
右ストレートをもろに受けて吹っ飛ばされる、左頬が痛い
「この戯け、貴様がフラフラしてるからこうなったんだろうが男ならこの娘にも甲斐性を見せないか!」
殴られた上に何故か説教をされてる、いったい自分が治療されて意識が無い間に何があったんだ
「イテテ、急に何するんだ!?」
「治療費代わりに殴らせてもらった、うむ、スッキリした」
オモイカネ:「とてもよくできました。」
空中表示モニターが投影されて何故かオモイカネに褒められている、あれ?何でオモイカネが。
「アキトさんすみません、治療を始めて既に10日ほど時間が過ぎています、いえ、ここでは時間の流れというものが無いそうなので10日という表現は私の感覚的な表現になってしますのですが、その間に私たちに何があったのかおおよそのことを助けていただいた彼女に話をしまして、話を聞いた彼女がアキトさんを許せないから一発殴らせろと・・・」
「えっ?」
10日!?そんなに時間が過ぎたのか、いや確かに五感が鈍くなっていた自分の元の身体の状態を考えればそれくらいは・・・ん?時間の流れが無いってどういう事だ?
「ふふん、混乱しているな。まずは服を着てそれから説明しよう、補助脳と君たちの脳に負荷がかかってオーバーロードしていただけだから治療自体は大したことじゃないさ、まあ治療しなければ君たちの身体機能が停止してしまう一歩手前くらいだったから危険な状態ではあったんだがね、ああそうだ、私の名はスノーフレークという、お姉様でもお姉ちゃんでも好きなように呼んでくれたまえ」
「お、お姉様!?」
「まあまあ落ち着け、混乱しているのは分かるから。説明するので早く着替えなさい」
なぜだろう、この人と話すとあのナデシコで過ごした日々を思い出し懐かしく感じる、この人普通ではないな、いやそもそも宇宙人が普通なわけないのか?
なぜなに
「よい子のみんな~集まれぇ~なぜなにナデシコが始まるよ~」
「わーい」
服を着て用意された椅子に座るとルリちゃんとスノーフレークさんが解説するなぜなにナデシコが始まった
「ってちょっと待てぇ!、なんであんたが【なぜなにナデシコ】を知っているんだ!?」
「こらっ!質問は説明が終わった最後にまとめて受けるから後で・・・っと言いたいところだが、まあ疑問だらけでまともに聞けないだろうからまずは疑問に思っているだろう事をいくつか先に答えるよ、まず私、というか私の種族にはリーディングと呼ばれる力が備わっていてね、まあ一種の超能力だと思ってくれたまえ、こういう能力が無いと異種族との意思疎通がままならないので我々の種族では発達した能力で相手が思っていることを読む事が出来る力だ、本来なら読める思考は浅い何を考えているのか程度くらいなんだが君たち二人はこういう能力に対して耐性が無かったようで記憶のほぼ全てを読んでしまってね、君たちの体験で分かりやすく言えば記憶麻雀で補助脳に保存された思い出を読み込んでいた時のようなものだ、でもまあ、初めて会ったときに許可をもらったからいいよね」
「拒否出来ない状況だったんだが…」
流石にあの生きるか死ぬかの状況で拒否出来るわけないじゃないか
「助けたんだからそんな細かい事はいいじゃない、というかそれどころじゃない状況なんだからむしろ感謝して欲しいくらいなんだぞ」
「アキトさん、色々言いたい事があるのは分かりますが実は余り時間が無いのでまずは説明を聞いてあげてください、いえ、説明を聞いた私も混乱しているので仕方ないとは思いますが・・・」
確かに混乱しているし、このまま突っ込んでいると埒が明かない
「分かった、ひとまず話を聞こう」
ポンポンと太鼓を叩いたような音がした、仕切り直しが入ったらしい
「まずは君たちのボソンジャンプなんだが【失敗】している、今の君たちは実体が無い体で量子でいう波の状態だ、アキトくんを助けるためにボソンジャンプの演算装置にイメージ出来ない場所を指定したため、宇宙全体が範囲になってしまったようだな、例えるなら宇宙に溶けてしまった形になる、だが言った通りあくまでも波の状態として存在はしているから私が視て、つまり観測している事である程度確率を収束させて存在している状態だ、だから私が寝たりして君たちの観測を止めてしまうと最初からここに居なかったかのようにフワッと消えてしまうんだ、タイムリミットと言ってるのはこのままだと私が立ったまま寝てしまうくらい眠いからで、適当な相槌を打って貰えると実は助かる」
「なんでそんな事に・・・って【失敗】してるだって!?」
「アキトさんが治療されている間も彼女はずっと起きておられたので既に十徹目なんです・・・今まで薬などを使って無理されて起きていましたので」
「疑問はあるだろうが、本気でやばくなって来たからとにかく一気に説明するぞ、火星に居た古代文明人のバカどものおかげでこんな有様だ絶対に許さん、危ないから止めなさいと言って素直に聞くなら戦いなんて起きないだろうが、さて私が君たちを見ているからこそ人としての形を保てている訳だがボソンジャンプに失敗していたら機械は転送出来るが中の人が消えている例を君たちは知っているな、あれが宇宙に溶けて消えた状態だ『我思う故に我あり』、ボソンジャンプで機械だけ転送されるのは問題ない、だが人には魂というものがある、その魂の情報を送るのに失敗しているんだ、だから人がジャンプに失敗して消えてしまう、本来なら何かしらの安全装置が組み込まれているはずだがまさか自分たちと違う種族がボソンジャンプを理解せず何となくで使うとは思っていなかったのだろうな安全装置なしという無茶苦茶をやっている」
「古代火星人のオーバーテクノロジーによる機械と分かった以上本来は異物がボソンジャンプしようとすると停止するようにしないと事故がおきますからね」
ルリちゃんが相槌を打っている
「だが作る技術者はそのバカを想定して作らなければいけないんだ、現在過去未来を視れて時間の概念が無い私だから何とかなっている…がっ」
眠気が限界なのかスノーフレークさんの頭がフラフラと揺れて、まぶたが閉じようとしていたが彼女は太ももに指示棒を突き刺して血が出ていた
「スノーフレークさん!?もう説明はいいので寝てください!」
「もう貴方が限界です!早く私たちを戻して下さい!」
ルリちゃんと二人で止めようとするが大声で否定された
「ダメだ!このまま私の意志を伝えずに送ったら過去の悲しみを変えられない可能性が高い、君たちが未来を掴めなくなる!痛みで眠気を誤魔化しているだけだ、私のことはいいから話を聞け!」
そう言って必死に自分達に何か大切な事を伝えようとする彼女にそれ以上何も言えなかった
「ふぅ、ふぅ、なに後少し話をするだけだ、滅茶苦茶痛いが後で治療するから問題ない、まずボソンジャンプだが結論から言えば自分に都合よく過去改変しようとすると失敗する、あくまで物質の転送を時間軸を利用して移動しているから無限に過去を変えられる訳じゃないしボソンジャンプの演算装置も無限の計算能力があるわけではないからボソンジャンプの距離もせいぜい太陽系内という限界がある、だが魂という時間に縛られないものなら理論上無限に移動出来るんだ、その漂っていた君たちの魂を量子ゼノン効果でこの場所に私が観測することで無理やり固定しているから君たちを送り返す前に寝るわけにはいかないんだ」
何とか話を理解しようとするが彼女が俺たちを助けてくれているということしか分からなかった
「心はまだ読んでるからな、これでも何とか分かりやすくしようと頑張っているんだぞ、話を戻すがこれから君たちを戻しても体がないから元の場所に送り返しても結局魂だけその場所に送られて霧散してしまうからそのままじゃダメだ、だから起点となっている過去に飛ばす」
黙って聞いていたが過去に飛ばす!?それってまさかアイちゃんの時と同じ
「ちょっと待ってくれ、まさか」
「そうだ、ボソンジャンプの場合好き勝手に過去に送ると同じ人とモノと魂でコリジョンを起こしてそいつの宇宙が閉じる、波長がずれて誰も見れず触れず関わらずになって未来へも過去へも行けずそいつの現在という今から動けなくなって終わる、アキレスと亀のパラドックスを知っているなあれは時間軸で考えればちゃんと亀に追いつけるが距離を無限に分割する事で追いつけないと錯覚する問題だ、同じ場所に重なって時間の流れを動けなくなると言ったほうがいいか、草壁という奴がボソンジャンプを使って反乱を起こしだが、あくまで同じ時間軸での移動を使ったから成功しかけたに過ぎない、過去に遡って反乱を起こそうとしたら勝手に自滅して終わっていた話だ、今回過去に送るのは魂だけで量子の重ね合わせを利用して情報だけ過去に送るような形になるから心配するな、君が思っているようなことは発生しないし未来も変える事が出来る」
「情報だけ…」
「つまり記憶だけ過去に戻るタイムリープという事ですか?」
ルリちゃんが確認している、タイムリープって確か過去、もしくは未来の自分に瞬間移動させる能力だったような
「それで合っている、だから過去を変えるなら意志を強く持てという話になる、そのまま同じ事を繰り返せばまた同じ悲劇が繰り返される、私が君たちに伝えようとしているのは未来の為の戦う意志だ、何もせずに流されてしまうと歴史という大きな流れは変えられない、だが上手くいけば、今かなり特殊な状態にいる君たちが観測して動けば、歴史が両方あった事に出来て因果を結び結果だけ取り出すことが可能だ」
歴史を変えられる・・・ガイや白鳥さんを、遺跡の場所を知ってる今ならあの時のアイちゃんにも会うことが出来る
「そうだ、だからと言って闇雲に敵を倒せばいいという話ではないのは分かるな?、掴みたい平和な未来を想像して必要なモノを考えてくれ、片っ端から木連の人を倒したとしても今度は地球連合が過ちを認めずにネルガルという巨大企業と組んだまま古代文明の技術を独占し反乱を起こそうとも思わない強固な支配体制になるだろう、かと言って木連に殺される人達を見殺しにしろという話でもない、ルリルリにはやり方を教えたがいかに人々に真実を見せて考えさせ歴史を動かすかだ。
そしてこれが一番大切な制約だが、『未来を変えるために何をやるか、どう動くか』は決して他人に教えてはいけないという事だ、例えば君たちがネルガルや木連に捕まって未来の情報を漏らしてみろ、どうやっても組織として動いてる奴らに勝てないくなるし彼らにいいように好き勝手にされるだろう?地球連合、木連、ネルガル、クリムゾングループとその他反ネルガル企業とハッキリ言えば全部が敵のような状態で何処にスパイが居るか分からない以上話が漏れた時点で誘拐される危険性が常に出来てしまう、そして助けようとすると当然それを邪魔しようとする連中も増える、それはナデシコをより危険な状況に追い込む可能性があるという事だ、それでも皆を守る覚悟はあるか?」
例え繰り返されても自分はみんなを、ナデシコを守るために再び戦うだろう
「「覚悟」ならある、あります。」
「フフッ、即答だな、誰が情報を漏らすか分からないから未来に関する情報は君たち二人だけで考えて対策し選ぶ事になる、そして大切な事だがナデシコにも裏切り者とまでは言わないが、そうだな例えば金をもらって情報を流していた人物が居た可能性が非常に高い、情報伝達がおかしかったからな、もっともネルガル重工という企業もある意味君たちの目的には敵対する、味方だと思ったら最後に裏切って全て持っていかれたなんて事はよくある話だ、特にアキトくん、君はミスマル・ユリカという艦長に未来の事を話して相談するのは止めておけ、艦長だから相談した場合出来る事は増えるが、人の悪意というものを理解できていないようだったからな、君の両親の死を父親と言えどコウイチロウ提督に聞くのはまずかった、連合宇宙軍という組織である以上あそこで真実を言えば拘束からの暗殺もあり得たから彼女の父親は嘘を言ってでもとぼけるしかなかったというのに、いいかい、宇宙人にも悪い奴も居るし君たちが考えられない悪意ある者もいる、だから私も疑って見て構わないし相手を理解しようと思うなら本来そうあるべきなんだ、悪意を持って善意のように近づき最後に裏切って全てを壊し思い通りにする、そういう奴が何をやるか考えて先手を取らないと被害が増えるだけになる、かと言って想いと勢いだけではどうにもならず力が必要になるだろう、そこでだ、オモイカネにこんな事もあろうかと色々なデータを渡してある、新しいナデシコの設計データなどをな!」
ダメだ、薄々分かっていたがこの人ナデシコに居てもおかしくない変人だ!
「テンカワくんとルリルリの治療中に寝られないし暇だったからな、彼女が持っていたデバイスを調べたら自我を持っているオモイカネというAIを見つけてな、データを貰ってセキュリティを更新したり面白そうなロボットを改造したりしていたんだ・・・おっと私はウリバタケとかいう奴とは違うからな、危険性があるロボットは作ってないから安心したまえ、むしろサポートすらしている」
貴方もルリちゃんをルリルリって呼ぶんですね、でも宇宙人の技術で弄った新型ならその技術を狙ってまた争いが起きるかもしれない、だがそれでも力が必要なのは分かっている、力が無くて何もできない無力さは既に知っている、そもそもナデシコは偶然の綱渡りでひと時の平和という場所まで漕ぎつけたが何か一つでも歯車がずれてしまったら木連と連合軍との戦争が始まっていたんだ、それはそれとしてウリバタケさんをサポート出来ると断言するなんて、後で絶対にオモイカネにデータを見せてもらおう。
「新型ナデシコとその他諸々だがオモイカネに天の川銀河にある量子プリンターの制御キーを渡してある、君たちの時代にある骨董品だが量子プリンターは設計図さえあれば何でも印刷出来る巨大な機械製造器というモノだ、まあ何でも作れる3Dプリンターと言ったところだな、これで新型ナデシコを製造してそのまま第三太陽系を目指して発進させる、さて、そろそろ元の世界に送り返すから手を握って最初にボソンジャンプして出現した場所に移動してくれ、痛いのに眠気が襲ってきて流石にそろそろ限界だ」
個人で戦艦を用意してくれるってどうなっているんだろう、宇宙だからスケールが大きいのかな家を買う感覚で戦艦を買えるとか?
「分かりました、ありがとうございます」
「いつか会えたらまた」
「いや、無理だろうな、元々君たちと住んでる世界の次元が違うんだ、君たちを送った後は次元の波長がずれて見れなくなるんだよ、うーん、世界線が変わると言ったほうが分かりやすいかな、逆に言えば私と会えない事が未来を変えらえれた証明になる、会えなくなるがむしろその方がいい」
頑張って平和を勝ち取れてもそのせいで会えなくなるのか、よくわからないがそういうものなのだろう、しかし彼女はいったい何者なんだろうか…
「さて、最後に私の正体を話しておこうか、銀河連合宇宙軍所属スノーフレーク大佐だ、まあ話した所で意味はないんだが私のことを知りたいと思ってくれたようだしな」
「それは気になるに決まってるだろう、だからルリちゃん手をそんなに力を込めて握らないで・・・」
絶対なにか勘違いされてるがルリちゃんってこんなに力強かったっけ、成長したと言ってもここまで強くなっているなんて知らなかった
壁にある模様が輝きだした、恐らくこのまま自分たちを送り出す気なのだろう
「あっ、そうだルリルリには説明したが君たちのナノマシンを弄って色々改造してるからな、セキュリティ対策してないからデータを送るだけで自己増殖型ナノマシンを色々アップデート出来るのは利点でもあり危険な欠点でもあるな」
部屋の発光が強くなっていく中でとんでもないことを言われた
「ちょとまて、いや待ってくれ俺は何も聞いてないぞ、一旦止めて話を聞かせろ!」
スノーフレークがニヤニヤしながらこちらを見ている、下手に動くとどうなるか分からないしルリちゃんが抱き着いてるからそもそも動けない
「残念だが止められないなぁ、まあ補助脳を改造して量子通信機能を作って距離が関係なくお互いに声を出さず通話できたり内臓及び反射神経の強化やテロメアの調整とかその程度だから気にするな生活に支障が出るわけじゃない、そもそもそんなことしたら本末転倒になるからな」
どうやら俺は寝ている間に改造人間にされてしまったらしい、いやルリちゃんもか、五感が駄目になった時はリハビリの後に機械的な補助装置を着て過ごしていたし元からナノマシン処置は似たような事だったのでそこまで嫌悪感はない、しかし何も聞かされてないので不安にはなる、いったいどうなってしまうんだ
「まあ悪い事じゃないのは保証するよ、特にロボットに乗るなら反射神経の強化は今後役に立つはずだ」
恐らく何か隠してるし言えない事も多いのだろう、けど必死に助けてくれようとしている彼女に強く言い返すような気持はあまり出なかった、何か言わない事も自分達を思っての事だろう
「あ、そうだルリルリには同じ女としてアドバイスだがアキトくんは初めて会った私がここまでやろうと思うくらい魂がキラキラ輝いてるからな、消えそうな君の魂を掴んで離さずにこの冷たい宇宙で抱きしめ続けた男だ、恐らく他の女性も惹かれると思う、目を光らせないといけないのは一人だけじゃないかもしれないから頑張りな!」
「それ、私も聞いてない話ですね…何とかやってみます、もう離れるのは嫌ですから」
確かルリちゃんとのボソンジャンプの時必死に掴んで離さないようにしてた気がするが、魂がどうとかはよく分からない話だ
「泣いても笑っても一度きりの偶然生まれたチャンスだ、悔いの無いようにな、あとお姉ちゃんって呼んでもいいんだぞ」
そういって彼女は手を振っていた
「ありがとうございました」
「ありがとうございます、お姉ちゃん」(ぺこり)
ルリちゃんがお姉さん呼びしてる、それほど仲が良くなったのか、自分が治療されている間に何を話していたのだろうか、徐々にこの場所に光が溢れてきている
「フフン、いいってことよ、あっそうだ本当に最後だがアキトくん、ルリルリの女性としての成長がよくない理由は君が死んだと思っていたことがショックで成長期にご飯をあまり食べられずに常に栄養失調だったせいだからな、そもそもナデシコに乗ってた時からIFS強化体質の彼女は人一倍食事が必要なんだ、コックなんだからちゃんとお腹いっぱい食べさせて成長させてあげるんだぞ」
「えっ?」
「あっ」
「aje futare infel cremia infel arhou yora」
ルリちゃんを見ると顔を真っ赤にしている、まさか本当に、いや、彼女は心を読めるからきっと本当なのだろう、ショックを受けるとは思ったが強い彼女はすぐに立ち直ると思っていた、そこまで思い詰めていたのか、でも今は味覚が治っている、過去に行くなら雪谷食堂のサイゾウさんかナデシコ艦内食堂の料理長だったホウメイさんも居るんだ、もう一度鍛え直してもらおう、皆に美味しい食事を出せるコックになろう、スノーフレークさんの方に目を向けると先ほどとは違い優しい笑顔で頷きながらこちらを見ている、既に部屋全体が照明かと思うほど光って金色に輝いていた、この光景、昔、夢で見たことがあるような、眩しくなって目を瞑った瞬間、俺とルリちゃんはそのまま光に包まれて消えていた
古代火星文明に対抗するため超銀河文明をぶつけるしか思いつかなかった・・・
劇場版のルリルリの方がTV版より胸が小さくなってるのって、ご飯食べれてなかったんだろうなって
アキトが作ったご飯なら苦手だろうが何だろうが気に入って食べてたのでそういう事かなって思う