STARWARS スターバードとニューオーダー 二つの翼   作:バケツ頭 小説もどき家

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第2話『救出任務』

 艦内の兵舎区画はガラガラだった。上陸作戦に備え、多くの人員が出払っているせいだろう。

 武器を入念に手入れする者、仲間と会話する者、周りの雑音から逃げるように夢の世界へと落ちる者。破壊工作任務から帰還したレクス中隊のメンバー達は思い思いの時間を過ごしていた。

 

 

 ヘイルは兵舎奥のスペースに腰を下ろし、膝の上にちょこんと相棒を乗せていた。マウスドロイドのk9だ。彼女は仲間達の会話を耳に流しながら、彼の整備をし、機能に不具合がないか確かめていた。

 

「俺達に迫るバトルドロイドは数千! 俺達はたったの九人! もう絶対絶命な状況だったってわけよ!」

 

 声の主はドラグゼフだった。通路側の簡易ベンチに腰をかけている彼は地上任務に加わり損ねた中隊仲間に向かって身振り手振りを交えながら戦場の光景を語っていた。

 

 騒がしいやり取りを背に、ヘイルはk9のパネルをそっと閉じた。全てのチェックが終わった。軽く指で叩くと、小さな黒いドロイドは短く愛想のようにビープ音を鳴らした。

 

 ヘイルはマウスドロイドを床に置くと、E-11の弾倉を手に取った。

 

 左右に機体を震わせるk9。相棒の反応を楽しんだあと、ヘイルは弾倉を緩く投げた。

 

 勢いよく車輪を転がすk9。彼は弾倉の前で停まると、内部から二本のアームを出し、器用に弾倉を拾った。k9は弾倉をしっかりと保持すると、くるりと反転し、ヘイルの足元まで滑るように戻ってきた。そしてもう一回と強請るように再び機体を左右に揺らす。

 

 ヘイルが弾倉を遠くに投げると、k9は嬉しそうに駆けていく。

 

「嘘じゃねえって本当に俺達は──」

 

 仲間達がホラ話を疑い始めた時、ドラグゼフは目の前で弾倉を拾うチビを見つけた。「グルルルルゥ……ガァアアッ!」ドラグゼフはニヤリと笑うと、いきなりガンダークの咆哮を真似た低く湿った唸り声を発した。

 

 

 k9は驚愕の電子悲鳴を上げ、弾倉を放り出した。四つの小さな車輪が空転し、弧を描く軌跡を残しながら、逃げるように兵舎から飛び出した。

 

 その姿が完全に見えなくなると、ドラグゼフは腹を抱えて笑い始めた。

 

「ハハハッ!」彼はヘイルの方を向き、大声で言った。「悪い! あいつ、少し脅かしたらどっかいっちまった!」

 

 ヘイルは苦笑で応えた。「……あとで探しに行かないと」

 

 そう呟くと、遮蔽ドアが開いた。入ってきたのはセレナであった。彼女はドアをくぐると、黒の髪留めを片手で外した。まとめられた真紅の髪が空調の風で緩やかに靡く。それはまさに炎のようだった。

 

 セレナは外した髪留めをポケットにしまいながら、ゆっくりと兵舎内を見渡した。

 相変わらず騒がしいのはドラグゼフの周囲だけだ。

 

 セレナはドラグゼフのほうへ歩み寄った。

 

「とにかく俺達は数千のドロイドと銃撃戦を交わしてだな、見事それらを打ち破った訳──お、セレナ!」ドラグゼフは横を通り過ぎるセレナに気がつくと声を掛けた。「数千のドロイドとの死闘をこの疑い深いバカどもらに話してやってくれ! あれは激しかったよな?!」

 

 片目を瞑るドラグゼフ。

 

「は?」セレナは軽く眉を上げ、ドラグゼフの肩を軽く突いた。「数千? あんた、本気でそう言ってるの?」

 

 彼女の言葉にドラグゼフは顔を強張らせた。おい、嘘をばらすなんてシラケた真似はしないよな? とでも言いたげな表情だ。

 

「数万よ。私達、数多のドロイドをスクラップにして、沢山の兵器をオシャカにしたじゃない。その話をして、彼らをビビらせてやりなさい」

 

 仲間のホラ話を勝手に拡張して立ち去るセレナ。彼女は後ろで聞こえるしどろもどろなドラグゼフの言葉と仲間達の笑い声を聞きながらニヤリと口角を上げた。

 

 

「隣あいてる?」

 

「ええ」

 

 ヘイルがうなずくと、セレナは彼女の隣に腰を下ろした。

 生命維持装置付きのフライト装備に脇に置かれたヘルメット。セレナはTIEファイターのパイロットであり、特殊部隊の一員であり、優秀なボマー乗りであった。地上任務から戻ってきた後、彼女は早々に爆撃任務に駆り出され、多くのドロイドや軍事拠点をスクラップに変えてきたのだ。

 

「初めての地上任務の感想は?」セレナは液体食糧のチューブを開けながら聞いた。「疲れるだけで退屈だったでしょ?」

 

「いえ、そんな……まぁ、予想とは違って少し穏やかでしたが」

 

「少し? かなり穏やかだったでしょ?」セレナはクスリと笑った。「私も初めての地上任務の時はあまりの呆気なさに驚いたっけ。一発も撃たないままシャトルに飛び乗ったのを今でも覚えてるわ」チューブから液体食糧を少し口に含んだ。「激しい戦闘なんて、誰かがヘマをしたり、作戦計画に綻びがあった時くらいしか起こらないわ。宇宙でのドッグファイトと比べて、地上任務ってのは退屈なもんなのよ。少なくとも“数千”や“数万”のバトルドロイドと戦う場面なんて絶対ないわね」

 

 ヘイルは微かに笑った。

 

『全レクス中隊員に告ぐ、ハンガーへ集合せよ。繰り返す全レクス中隊員は至急ハンガーへ集合せよ』

 

 鳴り響く艦内アナウンス。

 

「戻ってきたばっかりだってのに」セレナは飲みかけのパウチに蓋をした。「行きましょう」

 

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 ──複数の生命反応あり。攻撃前に行われた地上スキャンの結果は艦隊司令の方針を変えさせるには充分だった。主力艦級による地表への艦砲射撃は中止され、地上の“地ならし”はTIEボマーのピンポイント爆撃に切り替えられた。

 老将が自身の慎重さに感謝する一方、エリートは司令の消極的判断に苛立っていた。多少の巻き添えが何だと言うのか、敵もろとも吹き飛ばしてしまえばいい。それが彼の意見であった。

 

 提督は敵か味方かも分からぬ者達を救出するために、お気に入りの士官達と作戦を練っている。どうやら旧共和国時代の癖が抜け切っていないらしい。愚かだ。

 

 エレベーターを待っている中、彼は思いつく限りの様々な言葉で上官を罵倒した。

 

 よく磨かれたブーツを踏み鳴らし、エレベーターのパネルを連打している。まるで起爆寸前のサーマルデトネーターだ。ストームトルーパーやクルーは怒れる将校を目にすると、同僚と顔を見合わせ、来た道を引き返した。

 

「どけ!!」一人虚しくエレベーターで時間を過ごした彼はドアが開くと、真っ先に目に入った黒いマウスドロイドを威圧した。

 

 ドロイドは甲高い悲鳴を上げ、彼の視界から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

「全員揃っているな」

 

 自分の前に集まる隊員達。ヘイスティンは部下達を見つめると、ヘルメットの下で笑みを浮かべた。

 

「さて、良いニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」

 

「悪いニュース!」

 

 隊員達の中で一際声がデカかったのはドラグゼフだった。

 

「では悪いニュースから。惑星への艦砲射撃ショーは中止となった。地表がえぐられる様をデュラスチールパネル越しからゆっくり見るのを楽しみにしていただろうが、堪えてくれ」

 

「残念。特等席を予約してたのに」

 

 ドラグゼフの呟きに、ヘイルは静かに笑う。

 

「少佐、そりゃあんまりですよ」ドラグゼフが声を上げた。「チケットの“払い戻し”はあるんでしょうね?」

 

 微かな笑い声が隊員達の間から漏れる。

 

「いいや、ない」と、ヘイスティン。「だが、代わりのショーなら観られるぞ。観客参加形の大規模ショーをな──これが良いニュースだ」

 

 少佐は隣のホログラム投影機のスイッチを押した。淡い青の光を帯びたホログラムが浮かび上がる。惑星表面の地形データだ。

 

「惑星地表スキャンの結果、我々は複数の生命体を確認した。こことここだ」

 

 ヘイスティンが指で示した部分が赤くハイライトされる。

 

「2カ所とも旧独立星系連合軍の拠点だ。生命体の数はあわせて数百。古い通信チャンネルで我々に脅しを掛けてきた敵からの心温まるメッセージから察するに、二つの拠点に集結している生命体は捕虜であるとみて間違いないだろう──我々は彼等の救出を任された」

 

 やっきりとしたため息やざわめき。ヘイスティンはそれらを咳払いで鎮める。

 

「作戦の詳細としてはまず──」

 

 ブリーフィングを真剣に聞いていたヘイル。そんな時、彼女のブーツを小さな相棒が強く押す。k9だ。

 

「どこに行ってたの?」

 

 ヘイルはk9を掴み、小さく声を掛けた。彼女の相棒は機械音を鳴らし、車輪を空回りさせる。

 

 ヘイスティンの咳払い。セレナに肘で突かれると、ヘイルは腰に手を当ててブリーフィングを中断している上官の視線に気がついた。

 

「続けて構わないか?」

 

「は、はい!」ヘイルは行動抑制装置で相棒を静かにさせた。「大丈夫です」

 

「結構」笑いが起きる中、ヘイスティンは話を続けた。「降下は十五分後、本隊の上陸に合わせて行う。捕虜回収後は現地で待機、地上軍と合流し次の指示を待つ。何か質問は?」

 

 しばしの沈黙。

 

「よし、解散!」ヘイスティンは手を叩いた。「各自装備の最終チェックをしろ」

 

 履けていく隊員達。

 

「そのオチビの調整をしとけ」と、ドラグゼフは去り際にそう笑った。

 

「また地上に逆戻り」セレナはヘイルの肩を叩いた。「私達ツイてないわね」

 

 上官二人を見送ると、ヘイルは相棒を床に置き、彼の行動抑制装置を解除した。「行こう、k9。また任務よ」

 

 落ち着きを取り戻したk9は肯定の機械音を鳴らし、ヘイルの隣を進むのであった。

 

 

 

 

 

 

 LS-2236は慌ただしいハンガーの様子を眺めていた。コンテナに座る彼は寒冷地用のアーマーとヘルメットに身を包み、厚手のグローブでDLT-19を握りしめている。正式にDLT-19射手になり、艦内で短時間のシュミレーション訓練を受けたものの、まだ1人前とは言えない。

 

 AT-ATやAT-STを連結したゴサンティ級クルーザ。ストームトルーパー、地上軍兵士を満載したシャトル。準備が整うと、皆ハンガーから飛び立っていく。侵攻は四つの降下ポイントから行われており、どの降下ポイントも先遣部隊によって橋頭堡が築かれていた。今発艦していく部隊は地上部隊の主力である。

 どの部隊も重くて忌々しい寒冷地用装備に身を包んではいない。気だるそうに極寒地での注意事項を聞いているのはLS-2236を含め、ごく一部だ。

 

 その一部の中にはレクス中隊も含まれる。彼らはまるでAT-ATドライバーのような厚手のスーツに身に着け、LS-2236が心に留めている不満を大っぴらに口にしている。

 

 寒冷地用の装備を身に着けると、ツリーの御守を首に掛け、ヘルメットを被るレクス中隊のルーキー──ヘイル。彼女の真似ではないが、LS-2236も故郷に残した恋人のホログラムデーターが入った投影機をポーチにしまい込む。恋人のホロはブラスターを防いではくれないが、生き残られねばという意思を明確にしてくれる。

 

 ヘイルはストームトルーパーのルーキーに気がつくと、小さくグッドポーズし、彼もそれに応えた。

 

「全分隊、搭乗を開始せよ」

 

 士官が叫ぶと、ストームトルーパーとレクス中隊の隊員らは会話を止め、ぞろぞろとシャトルに乗り込み始めた。

 

 ストームトルーパーを満載したシャトルに、レクス中隊の一部とストームトルーパー一個分隊を載せただけのシャトル。LS-2236が乗り込んだのは後者の方だった。

 

 

 

「ヘルバード離陸を許可する」

 

「了解」操縦員は後ろに立っているヘイスティンを見た。「離陸します」

 

 ヘイスティンは短く頷くと、コックピットを後にし、兵員室へと向かう。

 

「各自装備を再度チェックしろ。現地で凍死したくなければな」

 

 ヘイスティンの指示に、レクス中隊の分隊員らは隣の仲間の装備を確認する。ストームトルーパーの指揮官もヘイスティンの後に続き、部下達に装備チェックを指示した。

 

 断熱スーツや生命維持パック。ヘイルはセレナからチェックを受け、彼女もセレナの装備を確認した。

 

 どちらも装備に綻びはない。セレナは自分とヘイルの装備に問題がないことを確認するとヘイスティンの方を向き、サインを出した。

 

 

 

 

 

 

 慌ただしく通路を行き来するバトルドロイド。

 揺れる室内。

 

 タラは帝国軍の地上攻撃が始まったと、直感した。このまま客人として、ここに居ては近い内にミンチになる。爆撃がこの施設に集中するのは時間の問題だ。脱出経路を確保しなければならない。

 

「すぐに来て! 負傷した……!」

 

 出入り口の通信端末を操作して叫ぶと、彼女は素早く装置の横から離れ、壁際へ身を滑り込ませた。通路の死角。配線管と制御盤が張り付く薄暗い隙間だ。

 

 背中を冷たい金属壁に押し付け、息を殺す。

 

 特徴的な機械の足音が、通路の奥から近づいてきた。軽く乾いた金属音。複数。

 呼び出しに応じてやって来た警備のバトルドロイドだ。

 タラはゆっくりと呼吸を整えた。

 

「今来まし──あれ? どこだー?」 

 

 機械的で間延びした声が通路に響く。

 

 その瞬間だった。

 タラは壁から滑り出し、バトルドロイドの首をへし折った。

 

 静かで、速い動き。ブラスターを奪い取ると、通路へと飛び出る。

 

「?!」

「な! ナンダー?!」

 

 タイミングが不味かった。

 タラはバトルドロイドの分隊と鉢合わせしてしまった。

 

「武器を持ってる! 拘束し──」

 

 慌ててトリガーを引く。バトルドロイドの分隊長は粉々になり、その隙にタラは通路を駆け抜ける。もう客人としての待遇は期待できない。後ろからブラスターを撃たれながら、彼女は走った。

 

 ただ前へ。

 金属の通路を靴底が叩き、耳の奥で自分の呼吸がやけに大きく響いていた。施設全体が微かに震えている。遠くで爆発が起きているのだろう。帝国軍の爆撃は確実に近づいている。

 

「止まれ! 止まれー!」

 

 背後でドロイドの声が反響した。

 タラは走りながら振り向きざまにブラスターを撃った。

 狙いは適当だ。

 だが狭い通路ではそれで十分だった。

 

 一条の光が先頭のドロイドの胸部ユニットに命中し、機体がぐらりと揺れる。後続のドロイドがそれにぶつかり、機械の足音が一瞬乱れた。

 

 その隙にタラは角を曲がった。

 行き止まりだ。

 

「チッ! ……最悪ね」

 

 壁から身を乗り出して数発、牽制射撃を加え、時間を稼ぐ。

 常に道はある。ブラスターが横を通り過ぎていく中、タラは打開策を考え続けた。

 

「距離を詰めろ!」

「ラジャ、ラジャ」

 

「考えて……タラ……考えるのよ……」

 

 ドン。

 

 光弾が行き止まりの壁に命中する。

 音を立てて吹き飛ぶ壁。

 

 中は空洞だった。単なる換気ダクトか、処理場へ不良ドロイドを投げ入れる為のダストシュートか。

 

 考えている余裕はない。

 

 

 タラはブラスターを乱射すると、一目散に穴へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 ヘルバードは目的地に向かっていた。

 

 雪原をゆっくりと進むAT-AT。ブラスターの弾幕をかいくぐりながら突撃するスノートルーパー達。それを援護するAT-ST。ヘルバードは侵攻する味方地上部隊の頭上を飛び越え、目的地に向かう。

 

「目標を確認」

 

 副操縦士が淡々と告げた。

 雪原の向こう、岩肌に半ば埋め込まれた灰色の構造物が視界に映ると、赤い光弾が機体の横をかすめていった。

 

「対空砲火!」

 

 警告音が短く鳴る。

 パイロットは操縦桿を引き、機体をわずかに傾けた。

 

 コースを維持し、目標に接近するヘルバード。機体の周辺で炸裂する光弾。

 

 その時、ヘルバードの上空を、黒い影が二つ横切った。

 

 TIEボマーだ。

 双胴の機体が唸りを上げ、低空で戦場へ滑り込んでくる。二機のTIEボマーはヘルバードの頭上をかすめるように通過し、そのまま基地へ一直線に突入した。

 

 対空砲の狙いがボマーに切り替わる。

 

『ミサイル発射』

 

 通信に低い声が響いた。

 次の瞬間、ボマーからミサイルが放たれる。

 

 一直線に向かっていく振盪ミサイル。

 

 閃光が起こったと同時に、対空砲火は沈黙した。

 

『目標に命中』

 

「支援に感謝する」

 

 ボマーは旋回し、ヘルバードにコースを譲る。

 

 視界の先では、破壊された対空砲座から黒煙が立ち上っていた。 

 

「突入する。着陸準備」

 

 副操縦士が機器を操作すると、兵員室のランプが赤く点灯した。

 

「全員立て!」

 

 ヘイスティンの号令に、隊員達は一斉に座席シートから立ち上がる。

 

「装備チェック!」

 

 短い命令。

 

 ヘイルたちはブラスターライフルのパワーパックを叩き、照準器を確認し、ヘルメットの通信回線をチェックする。

 

 レクス中隊員とストームトルーパーの準備が整うと、ヘイスティンは頷いた。

 

「いいか交戦規定を忘れるな! 非戦闘員が混在する中での戦闘となる。サーマルデトネーターは使用禁止。発砲する際はよく狙って撃て! ドラグゼフ分かったな? やたらめったら撃ちまくるなよ」

 

「へへ、善処しますよ」と、ドラグゼフ。

 

「もしも巻き添え被害を出したら、俺が直々にお前をケッセル送りにしてやるからな」と、笑うヘイスティン。

 

「おおぅ、怖」

 

 クスクスという笑い声。

 

「他の奴らも肝に銘じておけ。今回の任務は救出だ。捕虜は全員生きて確保する。それ以上でもそれ以下でもない」

 

 隊員たちは静かに頷く。

 その時、機体が大きく揺れた。

 

 そして緑の警告灯が点灯し、ハッチが開く。

 

「行け! 行け! 行け!」

 

 ヘイスティンの怒鳴り声と同時に、隊員たちは一斉にハッチから飛び出した。レクス中隊とストームトルーパー達は、乱雑なドロイドの射撃に曝されながら正確にブラスターを撃ち込み、ターゲットを次々にスクラップにしていく。

 

 デッキには大勢の捕虜が並ばされていた。彼らは戦闘が始まると、悲鳴を上げながら床に這いつくばったり、混乱に乗じて逃げようと大胆にもブラスターの嵐の中を駆け抜けていく。

 

 ストームトルーパーの軍曹は目の前を通り過ぎる民間人にスタンを放つと、射撃モードを殺傷に切り替えて数体のバトルドロイドを射抜く。

 

「2236! あの間抜けどもに弾幕を食らわせてやれ!」

 

「りょ、了解!」

 

 2236は軍曹の側でDLT-19を構え、トリガーを引く。

 

 唸りを上げて光弾を高速連射するDLT-19。

 赤い光弾がバトルドロイド分隊の横隊を切り裂いた。

 

「いいぞ! ルーキー!」

 

 称賛の声に、2236はヘルメットの下で微かな喜びの表情を浮かべる。そして称賛が失望に変わらないように銃を制御し、敵を薙ぎ倒していく。

 

 

 銃撃が弱まると、レクス中隊とストームトルーパー達は移動し、捕虜達の前方に展開する。

 

「シャトルまで走ってください! 急いで!」

 

 仲間達が戦闘を繰り広げる中、ヘイルは声とハンドサインで民間人達を避難させる。

 

 捕虜達が射線に曝されない様に、E-11を構えながら退路を確保するヘイル。捕虜たちは一斉に立ち上がり、シャトルへと駆けていく。

 

 民間人達がシャトルに乗り込むと、ヘイルは戦列に加わった。

 

『ヘルバード。民間人を収容した。これより離陸する』

 

 デッキから飛び立つシャトル。レクス中隊とストームトルーパー達はバトルドロイドを圧倒しながら、施設に突入していった。

 

 

 

 

 

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