ポケモンバトルランカーズ〜クソゲーハンターの挑戦〜 作:マロニエ19号
ポケットモンスター。縮めてポケモン。何十年も続く長寿シリーズで、漫画やらアニメやら色々なメディアも展開している化け物コンテンツである。そんなポケモンシリーズの最新タイトルである『ポケモンバトルランカーズ』は初めてポケモンにフルダイブ型VRゲームが融合したこともあって、発売前は注目が集まっていた。しかし、満を持して発売されてから早一ヶ月、このゲームは微妙な評価を受けるようになっていた。
まず、このポケモンバトルランカーズというゲームは、ポケモンバトル特化型という感じだ。なので、他タイトルのような見知らぬ地方で旅をしたり悪の組織と戦うようなストーリー要素は皆無で、ただひたすらポケモンを育ててバトルする、逆にそれ以外の要素がない。
次に、このゲームで実装されているポケモンは365種類。所謂第三世代と呼ばれる頃のポケモン達までしかおらず、その中に伝説・幻のポケモンは含まれていない。ポケモン達のVR化や多くのNPCトレーナー達を実装したことによるデータ容量の関係らしい。ポケモンは全部で千種類以上いるので、このゲームでは僅か三割程度しか実装されていないことになる。それ以外の七割のポケモンが好きなファンからすれば不満だろう。
だが、これらは今までのタイトルでも起こったことだし、そこまで問題ではなかった。このゲームの評価を落とした一番の原因は、ポケモン達の設定を
フルダイブ型VRゲームということで、このゲームは仮想空間の中でポケモンと直接触れ合えるというポケモンファンにとって、夢のようなことが可能になっている。そして、ポケモンには種類によって様々な生態がある。中には現実ではあり得ないだろうというような設定もあるのだが、このゲームではその設定を極力忠実に守った。その結果、どうなったか。
設定通りの生態になっているせいで、トレーナーの方が瀕死になる事態が相次いだのだ。
「なるほど。リアリティを寄せすぎたせいでクソゲー化したってとこか」
レビューに目を通しながらそう呟くと、俺はゲーム前の準備を整えた。トイレも行ったし、水分補給できるものも近くにある。準備は万端だ。まぁ、天下のポケモン様だ。どんな理不尽でも楽しんでみせるさ。俺はヘッドギアを着けて、そのままベッドに横たわった。
ゲームを本格的に始める前に最初はキャラメイクから始まるようだ。
「おおー、流石は天下のポケモン様だ。人種も体格も色々あるな」
色々な顔にしながら、キャラメイクに勤しみ、服装も選んでいく。最初なので選べる服などは少なめだが、それでも色々なものがある。
そして、最終的に俺は青いフードに、ドクロのような仮面を着けた死神風ファッションになった。正直、フードの色は黒が良かったのだが、赤・青・緑・白・ピンクしかなかったから仕方がない。何もかもこの仮面が悪いのである。『サマヨールマスク』というらしいが、ドクロ・赤眼・包帯巻き……がどこか心に惹かれたのでこれを使う。今月から新しく実装された衣装の一つらしい。ただ、顔が完全に隠れてしまったことで、せっかく作った顔が無意味になってしまったが、まぁこればかりは仕方ない。何もかもこの仮面が悪い。
「よーし、これで良いだろ。プレイヤーネームはいつも通りサンラク……と」
今までのゲームでも使ってきたお馴染みのプレイヤーネームを登録すると、俺の身体は光に包まれた。それと同時に無機質なアナウンスが流れる。
『サンラク様、ポケモンバトルランカーズへようこそ』
光が収まると、俺は馬鹿でかい塔の入口前に立っていた。
「サンラク様」
突然声がしたので振り返ると、そこには黒スーツを纏ったアンドロイドが立っていた。アンドロイドは無機質な表情のまま淡々と喋り出した。
「改めましてポケモンバトルランカーズへようこそ。僭越ながらこの塔はライズタワーと言いまして、大富豪…………」
残念ながらアンドロイドの話をスキップできないので、仕方なく最後まで聞くことになったのだが、どうやらこのライズタワーという塔は、アッシュ・ライズとかいう大富豪が「最強のポケモントレーナー達が競い合う環境を作りたい」という理由で何もない島に建てたものらしい。ライズタワーには全部で十のフロアが存在し、それをポケモンバトルで駆け上がって行く…………というのがこのゲームの流れになるようだ。
三分近い説明が終わると、アンドロイドの腹部からガコッという音と共に三つの赤と白の球体、ポケモンではお馴染みであるモンスターボールが現れた。
ポケモンというゲームは、最初に三匹のうちのどれか一匹を仲間にすることでゲームがスタートする。このポケモンバトルランカーズも例外ではなく、出された三匹のうちどれか一匹を仲間にすることでスタートする。
先程も言った通り、このゲームは第三世代までのポケモンしか実装されていないため、カントー・ジョウト・ホウエンそれぞれの三匹からプレイヤーは選ぶことになる。アンドロイドが出すポケモン達がどの世代のポケモン達になるのかは完全ランダムなので、お気に入りのポケモンがいる場合は、その世代のポケモン達を引くまでリセマラする羽目になる。あのアンドロイドの説明を何度も聞かないといけないのは苦痛だろう。
まぁ、俺は特にそういうこだわりはないので、さっさと最初のポケモンを選ぶことにする。目の前に提示されたポケモン達は、ワニノコ・ヒノアラシ・チコリータの三匹、ジョウト地方の御三家だった。
少しだけ迷うが、俺はこいつでテッペンを目指すことにした。俺は右端のモンスターボールを手に取る。
「俺といくぞ、チコリータ」
どこかで見たのだが、チコリータやその進化系は弱いことで有名らしい。ポケモンにわかの俺でさえ弱いことを知っているくらいだ。プレイヤーでこいつを選ぶ奴は少ないだろう。弱い……つまりマイナーということはそれだけ情報が少ないということだ。それなら、誰も知らない俺だけのチコリータを育てれば、このゲームを勝ち上がれるかもしれない。
……まぁ、どうせやるなら使ったことのないポケモンを選んだ方が面白いってのもあるけどな。
ポケモンを選んだことで、ゲームがスタートしたのか入口が開き始めた。アンドロイドは深々と頭を下げる。
「行ってらっしゃいませ、サンラク様。ご武運を」
「おう」
俺はモンスターボールを片手に入口へ足を踏み入れた。
サンラクにゆかりのあるポケモンは色々いますが、このポケモンバトルランカーズというゲームは第三世代のポケモンまでしか実装されていないので、殆どが出せませんでした。
最初のポケモンでチコリータにしたのは、サンラクだったらこいつを選ぶだろうなという作者の勘です。解釈違いだという人がいたらごめんなさい。
ちなみに余談ですが、ポケモンバトルランカーズには色違い要素があり、最初のポケモンの時点でも色違いをゲットすることが可能です。なので、色違い廃人はスタート時点でリセマラを繰り返すのですが、フルダイブ型VRゲームなので他の作業をしながらということが出来ず、ただただアンドロイドの同じ話を毎回聞かないといけないという苦行を味わう羽目になります。なので、色違いの御三家を使っているプレイヤーは殆どが修行僧みたいな表情になっています。