ポケモンバトルランカーズ〜クソゲーハンターの挑戦〜   作:マロニエ19号

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ある原作キャラが登場します。タイトルの時点で察すると思いますが。


上りガツオ

「えっ、誰お前……?」

 

俺の目の前には、セミの抜け殻のようなポケモンがフヨフヨと浮かんでいる。

 

 

時は三十分くらい前まで遡る。

 

 

 

フロアⅡに入った俺は、早速トレーナー戦に挑んだ。結果はNPC相手で二連敗。レベル上げも兼ねてワイルドゾーンに籠っていた。フロアⅡではポケモンのレベル上限が30までになるので、そろそろカラカラもツチニンも進化させられるだろう。

 

カラカラは進化するとガラガラになるのは何となく覚えているんだけど、ツチニンは何に進化するんだっけか。ビジュアル的に進化するのは間違いないんだが。調べるのはやまやまなんだけど、それは負けた気もするし。

 

 

……まぁ、進化したら思い出すだろ。

 

そんなことを思って、野生ポケモンを倒しまくってレベルを上げていたら、ツチニンの様子が変わった。よっしゃ、進化だ。

 

進化の光が収まると、蝉みたいなポケモンが目の前にいた。テッカニンというポケモンだ。

 

「テッカニン……そういえば、そんなのいたなぁ……」

 

色々思い出した。確かポケモンの中でもトップクラスの素早さを誇るポケモンだったはずだ。強ポケには違いないが、正直今は複雑な気持ちだった。

 

よりにもよって蝉ポケモンかぁ。少し前までやっていた、蝉の踊り食いを思い出す。

 

「まぁ、しゃあないか。ここまで一緒にやってきたんだし」

 

そう気を取り直して、テッカニンをボールにしまうと、なぜか腰のモンスターボールが一つ増えていた。腰についているボールは、基本的に手持ちのポケモン達だ。だが、このワイルドゾーンでポケモンはゲットしていない。

 

気になるので、そのボールからポケモンを出してみる。これがバグとかだと、色々面倒なことになりそうだけど、大丈夫だよな?

 

そして、ボールから出てきたのは蝉の抜け殻のようなポケモンだった。

 

「えっ、誰お前……?」

 

そういう訳で、冒頭に至る。

 

どうやら、ヌケニンというポケモンで、ゴースト・虫タイプを持っているらしい。どこか無機質で、生き物という感じがしない。

 

「でも、なんでヌケニンが仲間に……? 名前やタイミングからしてツチニン、テッカニンと関係しているんだろうけど……」

 

そんなことを呟きながら、ヌケニンの体をあちこち眺める。ふとヌケニンの背中にある大きな穴が気になって、つい覗き込んでしまった。

 

すると、俺のHPゲージが一気にゼロになり、目の前が暗転した。

 

 

 

……いやいや意味が分からないんだけど。

 

 

サンラクは目の前が真っ暗になった!

 

 

 

ーーーーーーーーーー

「……なるほど、ヌケニンはツチニンがテッカニンに進化する時に、手持ちに空きがあったら、自動的に手持ちに加わるのか。そして、ヌケニンの中身は空洞で、その空洞を覗き込むと魂を吸い取られる……って怖! それで俺、死んだのかよ……」

 

リアルで燃料(カフェイン)補給しながら、ヌケニンについて調べていると、色々な情報が分かった。こういう時、ポケモン様のネームバリューは流石だ。わざわざ攻略サイトから探さずとも、「ヌケニン」と検索するだけで、ある程度の情報が入ってくる。

 

使える技はタイトルによって変わるらしいが、大まかな特徴は変わらない。具体的には、HPが一しかないので防御はゼロに等しいこと、「不思議な守り」という弱点タイプの攻撃以外はダメージを受けないという激強特性を持っていること……とかだ。総評すると、特定のタイプ以外で固められたパーティなら無双できる感じだな。かなりトリッキーだ。

 

意図せず新たな仲間が増えたが、これでバトルの幅は広がった。待ってろよ、ハナミネ(NPC)! リベンジの時だ!

 

 

その後、ゲームに復帰してバトルに挑んだ結果、あっさり勝つことができた。クサイハナ・ラフレシア・キレイハナは俺のヌケニンに何もできずに完封された。辛酸を舐めさせられた相手だったが、こっちが若干同情するくらいに一方的なバトル内容だった。

 

ヌケニンの守りが強力で、快進撃が続いていった。やっぱNPCは指示がプレイヤーと比べて若干単調だから、隙を突きやすいぜ! え? 二連敗? 記憶にないね!

 

あいつら(NPC)は、昇格戦なんてしないから、どんどんプレイヤーに下へ下へと押し込まれてるな」

 

フロアⅡ内のランキング表を見てみると、下位層は、ポツポツとプレイヤーもいるが、NPCが殆どとなっている。

 

次にマッチングした相手トレーナーは、どうやらプレイヤーのようだ。六戦ぶりだな。えーーと、プレイヤー名は…………

 

『ノボリカッツォ』

 

正直、こんな名前を付けるプレイヤーに俺は凄い心当たりがあった。別にあいつの専売特許って訳じゃないから、違うプレイヤーが付けている可能性も無くはない……いや無いか。

 

バトルコートに移動すると、既に向かい側にはノボリカッツォが立っていた。学ランに金髪のリーゼントが特徴的な、いかにもヤンキー風のアバターのトレーナーだ。ノボリカッツォは、俺を見ると楽しそうに笑った。

 

「よぉ、サンラク。まさか、お前もポケモンをやってるとは思わなかったよ。しかも、デスゲームの司会者みたいな恰好してさ」

 

やっぱ本人か。

 

「やっぱお前か、カッツォ。そっちこそ、ポケモンをやるタイプには見えないから意外だよ」

電脳大隊(ウチ)は、ポケモンゲーム専門のチームもあってね。そのチームの一人がハマってたから、俺もやってみたくなったんだよ」

「へぇ……」

「ちなみにそいつ、今フロアⅩのトッププレイヤー」

「マジかよ。このゲーム、まだリリースされて一ヶ月ちょっとだろ?」

 

あれだけのプレイヤーやNPC、ボストレーナー達を倒して最上層の頂点に君臨するプレイヤーか。興味があるな。

 

そんなことを話している間にバトル開始の合図が出た。今は目の前のバトルに集中だ。折角のカッツォとのバトルだ。楽しまねえとな!!

 

「エアームド、出番だ!」

「ヌケニン、楽しんで来い!」

 

カッツォの一番手はエアームドか。鋼タイプと飛行タイプを持ってるから、固いしヌケニンの弱点も突かれる。正直出し負けと言って良い対面だ。

 

見ろ、カッツォの奴ほくそ笑んでやがる。俺のヌケニン甘く見んじゃねえぞ。

 

「エアームド、“ドリルくちばし”!」

 

案の定飛行タイプの攻撃だ。それなら……

 

「“ゴーストダイブ”!」

 

攻撃が当たる前に、ヌケニンは姿を消した。これならどこから攻撃が来るか分かるまい。だが、カッツォもそれくらいは想定内だったらしく、冷静に次の技を指示する。

 

「“まきびし”だ!」

 

チッ! “まきびし”か。後続にダメージを与えていくつもりだな。厄介な真似を……

 

だが、その時にヌケニンが姿を現してエアームドに攻撃を仕掛ける。こうなりゃ、“ゴーストダイブ”を連打して戦うか。他にも“まもる”とか“あなをほる”も使えるから、それで相手の攻撃を受け流して着実に倒してやる。

 

再び“ゴーストダイブ”を指示しようとすると、カッツォは今度は“ふきとばし”を指示してきた。それにより、ヌケニンは吹き飛ばされてボールの中に戻って行き、代わりにカラカラが出てきた。“まきびし”の効果でダメージを受けている。

 

「これでヌケニンはもう出せなくなったな」

「は……? “まきびし”は地面技だからヌケニンに効果はないだろ?」

 

そう言うと、カッツォは「何言ってんだ、こいつ?」って顔をした。

 

「いやいや、ヌケニンの特性は弱点技以外は無効化するけど、状態異常やフィールドの状況で普通にダメージが入るぞ」

「…………え? そうだったの?」

 

ということは、次に出た時にヌケニンは確実にダメージを受けることになる。つまり、ヌケニンは完全に封じられた状態だ。残りはベイリーフやテッカニン、カラカラの三匹。この中なら、まだ可能性があるのはカラカラだ。ここはカラカラに頑張ってもらうしかない。

 

「“かえんほうしゃ”!」

「何!?」

 

カッツォが驚きで目を見開く。ケケケ、驚いただろ。こいつには氷タイプ対策に炎技と格闘技を覚えさせておいたのだ! 前にトレーナー戦でユキワラシに危うく全滅しかけたことがあったからな。氷メタとして覚えさせた技がエアームドにも刺さったのが幸いだった。

 

炎で思わず動きが止まるエアームドを、カラカラで更に追撃させていく。

 

「“かわらわり”」

「カーラ!」

 

エアームドの脳天にカラカラの拳が命中し、地面に叩きつけられる。だが、エアームドの体力はまだ残っている。反撃させようとカッツォは“ドリルくちばし”を指示してきたが、エアームドが突如炎に包まれ、動きが止まってしまった。火傷状態になったようだ。よしっ! 運がこっちに向いてきたな。

 

今のうちに連続で“かわらわり”をさせてエアームドをタコ殴りにさせていく。それを見たカッツォが慌てて交代しようとするが、もう遅く、エアームドのHPゲージはゼロになった。カラカラ、お前よくやったよ、マジで。下手したらエアームドで三縦も有り得たからな。

 

「やってくれたな、サンラク。だけど、エアームドはしっかり役割を果たした。ここからはお前の役目だぞ、行け! ヌマクロー!」

 

次にカッツォが出してきたのは、ヌマクローだ。確かホウエン御三家のミズゴロウの進化系だったはずだ。カッツォの最後の一匹が何か分からないし、ここは素直に交代だ。次の交代まで時間が掛かるが、カラカラの技構成的にまともに通る技が“かわらわり”くらいしかない。

 

カラカラを戻して、代わりにベイリーフを繰り出す。ボールから出た瞬間、“まきびし”でダメージを受けるが、ベイリーフはまだまだ元気そうだ。ベイリーフを見てカッツォは素直に交代してくると思ったが、どうやら続投させるようだ。

 

「“れいとうビーム”!」

「マクロ!」

 

なるほど、草タイプ対策に氷技を覚えさせていたのか。当たれば大ダメージは避けられないので、

 

「かわせ!」

「ベイ!」

 

ベイリーフはドシドシ走って何とか回避する。その時、ヌマクローがベイリーフに急接近してきた。咄嗟に攻撃しようとするが、ヌマクローの方が速かった。

 

「“ちょうおんぱ”」

 

ヌマクローの超音波によって、ベイリーフは混乱してしまった。何故か地面を敵だと思い込んでいるのか、何度も頭突きをして自分で自分にダメージを与えている。思わず止めるよう声を掛ける。

 

「落ち着け、ベイリーフ! 敵はそっちじゃない!」

「ベーイ!」

 

ベイリーフは今度は俺を敵だと思ったのか、俺に向かって“はっぱカッター”をぶつけてきた。うおっ! 危なっ!? 混乱するとトレーナーにダイレクトアタックしてくるのかよ。このままじゃマズいので、一旦交代させようとするが、カッツォが更に仕掛けてきた。

 

「交代なんてさせるかよ! “うずしお”!」

「マクロッ!」

 

ヌマクローが作り出した渦にベイリーフは飲み込まれてしまった。やられた。これじゃ交代できないし、身動きも満足に取れない。その間にカッツォはヌマクローからザングースに交代していく。

 

「ザングース、“10まんボルト”」

 

ザングースが電撃を渦に囚われたベイリーフに放つ。本来草タイプに電気技は効果が弱いのだが、渦に囚われていることもあって、大ダメージを受けてしまった。

 

このゲーム、良くできていて、技の組み合わせによっては更なるダメージを与えることができる。当然、カッツォもそれを上手く活かしていた。

 

だが、幸いなことに電撃で“うずしお”が破壊された。これでベイリーフは交代できるし、自由に動ける。

 

「ザングース、“つばめがえし”!」

「ザンッ!」

 

草タイプの弱点を突くように、飛行タイプの技を仕掛けてきた。だが、接近戦ならこっちのもんだ。こちらも、タイミングを合わせてカウンターとして“どくどく”を仕掛けていく。大ダメージを受けたが、これでザングースは毒状態に…………

 

なっていなかった。躱されたのか? いや、確かに直撃していたはず……俺の動揺に答えるかのように、カッツォは言った。

 

「俺のザングースの特性は免疫。毒状態にならないんだ」

 

嘘だろ。俺の策がことごとくやられていく。

 

「……戻れ、ベイリーフ」

 

一旦ベイリーフを戻す。向こうが毒状態にならない以上、無理に居座っても意味がない。ヌマクローもいるしな。カラカラを再び出そうとした時、ふと考えが浮かんだ。若干の申し訳なさがあるがやむを得ない。

 

「ヌケニン、ごめん!」

 

謝罪とともに出したヌケニンは、“まきびし”であっさり散る。許せ、ヌケニン。こうするしかないんだ。次にカラカラを出して指示を出す。

 

「カラカラ、“かたきうち”!」

 

カラカラは威力の上がった“かたきうち”をザングースに仕掛ける。ザングースも“ブレイククロー”で応戦したが、防ぎ切れずにダメージを受ける。すかさずカッツォもヌマクローに交代していく。

 

「……てか、この場合サンラクがヌケニンの仇なんじゃ……?」

 

それを言うな、カッツォ。

 

ヌマクローが相手なら、今度はベイリーフだ。通常、ポケモンを交代すると、次に交代できるようになるまで、一定時間必要になるのだが、交代したポケモンがダウンして次のポケモンを出した場合、交代のための制限時間がリセットされるのだ。なので、ベイリーフをすぐに出すことができる。“まきびし”のダメージを受けてしまい、ベイリーフの残る体力もあと僅かだ。“まきびし”のダメージを考えると、もう交代は出来ない。ここでヌマクローを倒し切る!

 

ヌマクローは“れいとうビーム”を撃ってきた。またさっきと同じ戦法をしてくるつもりだな。それなら……

 

「かわせ、ベイリーフ!」

「ベイ!」

 

躱すと、案の定ヌマクローが距離を詰めてきたので、今度は“どくどく”を浴びせる。ヌマクローは毒に侵されたことで、一瞬動きが止まる。その隙を突いて、“はっぱカッター”をお見舞いした。効果は抜群だ!

 

「“のしかかり”!」

 

ベイリーフは、地面に転がるヌマクローに向かって全体重をかけた“のしかかり”を仕掛ける。“のしかかり”は命中し、更にダメージを与えるが、ヌマクローも最後の力を振り絞ってベイリーフに“れいとうビーム”を撃ち込んできた。ベイリーフは倒れ、ヌマクローもまた毒のダメージで倒れてしまう。これでお互い残るは一匹ずつだ。

 

相性ではこっちが有利だったのに、ここまでやられるとは……流石カッツォだ。

 

ベイリーフを戻し、カラカラを再度出す。“まきびし”のダメージを三回も受けたことで、カラカラの残りHPは半分を切ってる。

 

「“かたきうち”!」

「“でんこうせっか”!」

 

カラカラの攻撃を“でんこうせっか”の動きで躱される。それなら……

 

「“ほねブーメラン”!」

「もう一度“でんこうせっか”!」

 

かかった!

 

「“かわらわり”!」

「何!?」

 

カラカラの拳がザングースの頭に叩き込まれる。“かわらわり”は骨が無くても使えるんだ。効果抜群だが、倒し切ることは出来なかった。だが、“ほねブーメラン”はカラカラ(持ち主)のもとに帰ってくる技だ。現にザングースの背中に向かって飛んできている。一度躱したからって油断したな、カッツォ!

 

「“ブレイククロー”だ!」

 

ザングースは“ブレイククロー”で飛んでくる骨を防ぐ。そしてそのまま、カラカラにもお見舞いしていく。半分以下の体力だったことに加え、急所にも入ったようで、カラカラのHPはゼロになってしまった。

 

 

このバトルの勝者がカッツォに決まった瞬間だった。




今までのポケモン対戦とかでは事前にパーティから使用ポケモンを選出してバトルしますが、このポケモンバトルランカーズではそういったことはせず、バトルの中で使用ポケモンを決める感じです。

なので、三対三のバトルの場合、三番目のポケモンを出した後は、それ以外のポケモン達のモンスターボールに自動でロックが掛かり、使用ポケモン以外のポケモンを出すことが出来なくなります。


カッツォの手持ちは公式設定ではガチポケをメインに使う感じみたいなので、第三世代まででカッツォに合いそうなのをオリジナルで選ばせて頂きました。ちなみに、エアームドとザングースは、フロアⅡで新たに捕まえた手持ちです。カッツォは既に六匹以上捕まえており、その都度パーティメンバーを交換する方針です。
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