ポケモンバトルランカーズ〜クソゲーハンターの挑戦〜 作:マロニエ19号
「うーーーーーーーん…………」
俺はBP交換所の前で悩んでいた。ここ、BP交換所は、トレーナーバトルで獲得したBPを色々なアイテムと交換できる場所だ。そのアイテムには、ポケモンの技も含まれており、俺は今まで手に入れたBPの殆どを技に使っていた。
「今は手持ちが四匹。そろそろ数を増やしていった方が良いか?」
先程カッツォにやられたのは、正直心にくるものがあった。相手は確かにプロゲーマーだが、このゲームはあいつが得意な格ゲーではない。そもそも、負けた理由は至ってシンプル、俺が弱かったからだ。
カッツォは、上手くポケモンの技や特性を活かして戦っていた。それに引き換え、自分はどうだ? ……ここからはもっと本格的に俺なりのバトルを模索していった方が良いかもしれない。そのためには技を組み合わせるだけじゃなくて、手持ちの数も増やして戦術の幅を広げていくしかない。
そういう訳で、とりあえずモンスターボール二十個と交換すると、ワイルドゾーンに入った。どうやら、今の時間だと格闘タイプのポケモンが出てくるらしい。そうこうしているうちに、マンキーがバトルを仕掛けてきた。
「ヌケニン、“シャドーボール”!」
「ブギャッ!?」
マンキーは大ダメージを受け、頃合いだと思った俺はモンスターボールを投げる。だが、マンキーは素早く動き回るので、中々モンスターボールを当てられず、入ってもすぐにボールから出てきてしまう。おいやめろ! ボールだってタダじゃねえんだぞ! それなら、ギリギリ狙いでもう一度攻撃を……いや、この技はどうだ?
「“あやしいひかり”!」
「ニン!」
ヌケニンが眩い光を放ち、マンキーを混乱状態にさせた。
「よーし、これで、捕まえやすく………え?」
マンキーは混乱した拍子に、自分の顔を殴りつけ、体力ゼロになってしまった。体力ゼロになったマンキーは、みるみる縮んで姿が消えてしまう。
「おいおい……嘘だろ!? 何個ボールを無駄にしたと思って……『ブギャァ』……え?」
振返ると、そこには十匹くらいのマンキーの団体さんが、俺達をギロリと睨みつけていた。言い忘れていたが、ここワイルドゾーンでは、時々『群れバトル』と言って同じポケモンの群れが同時にプレイヤーに襲い掛かってくることがある。普通に一匹で出てくる場合よりも、個々のレベルは若干低い。だが、集団での数の暴力とプレイヤーを狙って攻撃してくるのが厄介だ。それなのに、プレイヤー側は出して戦うことが出来るポケモンは一匹だけ。舐めとんのか、運営。
「逃げるぞ!」
「ニン!」
相性の良い全体攻撃技とかを覚えていれば、話は別かもしれないが、今の俺の手持ちはヌケニンしかいないし、そんな技も覚えていない。色々捕まえたついでに育てようと思って、他の手持ちは預かりボックスに移していた。ヌケニンなら、弱点タイプ以外の攻撃が効かないから丁度良いし。それが、こうして裏目に出ているんだけどね、畜生!
「はぁはぁ……なんとか逃げ切れたみたいだな……」
「ニン……」
全力疾走して、なんとか逃げ切ることに成功した。逃げ切れば、群れが出てくることはない。一安心だ。
「だけど、やっぱプレイヤーに戦闘能力がないのがなぁ。他のゲームだったら、あのエテ公ども、敵じゃないのに……」
「ニン?」
「いや、なに……こっちの話……」
……そういえば、今まで自分が
そんなのと比べれば、
「……待てよ。俺、こいつらを心から信用出来ているか?」
思えば、俺は今までポケモン達に当たり障りのない指示しか出してこなかった。技や躱す指示くらいだ。「俺だったらこうするけど、こいつらじゃ無理だから……」と心のどこかで思いながら指示していたのかもしれない。そんなのが信用と言えるのか?
「なんてことだ……」
「……ニン?」
俺は思わず呻いた。ヌケニンが心配そうに寄り添う。ここ最近、相手してきたのがNPCトレーナーばかりだったから気付かなかったが、そういったことの積み重ねで、俺とポケモン達の動きがやや単調になっていたのだろう。カッツォに負けたのも、そこを突かれたからか。これじゃあ、カッツォに勝つどころか、最上層に行くなど、夢のまた夢だ。
「……ヌケニン。俺の戦い方を教えてやる。付いてこれるか?」
「……ニン!」
ーーーーーーーーーー
「ヌケニン、“ゴーストダイブ”!」
「ニン!」
ワンリキーが“いわなだれ”を使ってきたので、回避も兼ねて姿を消させる。それにより、岩の雨はヌケニンに当たらない。よりにもよって、弱点のタイプを使うポケモンか。しかも広範囲。だが、練習の成果を試すのにもってこいだ。
ワンリキーはヌケニンが出たタイミングを見計らって、再び“いわなだれ”を使おうとするが、その時、ワンリキーの股下から影のようなものが揺らめいた。
「リキッ!?」
股下から現れたヌケニンによって、突き上げられたワンリキー。バランスが崩れ、“いわなだれ”が不発になる。背後とかは気にかけていたようだが、股下までは無警戒だったようだ。その隙を突いて“あやしいひかり”を浴びせていく。
混乱状態になったワンリキーは、虚空に向かって拳をふるうが、そんなところに相手はいない。ゆっくり近づきながら、モンスターボールを確実に当てに行く。ボールを投げる時に補正がないのは地味にキツイな。
ワンリキーの体はボールに吸い込まれた。それから数回揺れると、ボールの中に納まった。ワンリキー、ゲットだ。
「よっしゃぁぁぁ!!」
今回、ヌケニンに色々戦い方を教えていて、分かったことなのだが、ポケモンは意外と馬鹿ではなかった。どういう動きをしてほしいと具体的に言えば、ある程度はやってくれるのだ。今やった“ゴーストダイブ”も、相手の背後なり、正面なり、はたまた股下なり、自分の意思で出ることが可能だった。なので、“ゴーストダイブ”を指示する時には基本的には股下から出るように、指示しておいた。
そんなこんなで、ようやく新しくゲットしたワンリキーを確認していると、面白い技があるのを見つけた。
ーーーーーーーーーー
「おっし、行け! ワンリキー!
「リッキッキッキ!!」
「ピジョッ!?」
ワンリキーが、野生で出てきたピジョン(戦い方を教えている間に、いつの間にか出現タイプが変わっており、今は飛行タイプが出現している)の顔面を物凄い速さでタコ殴りにしている。
“バレットパンチ”という技は、その名の通り、弾丸のような速さで相手を殴る技だ。本来ならただの先制攻撃なんだが、俺がそれで終わらせる訳がない。丁度ここに、イアイフィスト流免許皆伝闘士がいるのだ。ただの先制技をイアイフィスト流に昇華させるなど、朝飯前だ。
ただ……これには欠点もある。“バレットパンチ”のPPを全て消費する技で、しかもイアイフィストである以上、一度使えばPPが尽きるまで止まらない。一度きりの大技なのだ。
ピジョンは、呆気なく戦闘不能となった。
これは……上手くハマったかもしれない。ワンリキーでこれなら、進化系のカイリキーとか一体どうなってしまうんだ……
それから、俺は残りのモンスターボールで今度はグライガーを捕まえた。すばしっこい奴で、ギリギリでゲット出来た。これで俺の手持ちポケモンは六匹。ようやくフルメンバーになった。
後は、俺のやり方で育てていくからな。楽しみにしてろよ、ノボリカッツォ!
「サンラク、ノーコンすぎない?」と思う方もいるかもしれませんので、補足しておきます。ポケモンGOでは野生ポケモンにモンスターボールを投げたら、ポケモンが動いてボールを外したり、弾かれたりすることはよくあると思いますが、それが数倍の頻度で起こるのが、このポケモンバトルランカーズです。なので、サンラクでなくても、結構難しいです。