いたずらアクマ   作:ココリンク

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7話!!!!!!! チーム.インセクトⅡ

「こらー!!

この鳥野郎!!」

 

デビルルははるか上空を連れ去られている。

 

その相手はうっすら視界の端に見える。

 

まあるい体に薄暗い羽。

 

自分を掴んでいるのは、硬く鋭い感触であり、恐らくは嘴であろう。

 

デビルルはそこから、トリのアクマだと推察する。

 

だからと言ってなにか対抗策があるわけでなく、わあわあ喚いて抵抗するが、まるでもって相手にされない。

 

 

「この!!

放しやがれ!!!」

 

デビルルはそう言いながら、人間の姿になる。

 

すると、トリのアクマはその重さに耐えきれなくなったのか、嘴は放されデビルルは解放された。

 

「ケッ!

やっと俺様の…………

って」

 

デビルルは得意げな顔をしたが、上空で放されたということは

 

「うわああああ!!!

放すなああああ!!!」

 

飛べないデビルルは落下するということだった。

 

 

「ぎゃああああああ!!!!」

 

デビルルは悲鳴を上げながら地面へと墜落していく。

 

その真下に人影が見えた。

 

「助けてえええええ!!!」

 

デビルルが咄嗟に助けを求めたのは

 

「わあっ!!?

モ……モコモコ!!」

 

綿多だった。

 

「キュ……!!」

 

モコモコは綿多の掛け声と共に、鳴き声を上げ、もふもふの体を膨らませて特大のもふもふになった。

 

「うぶっ…!!」

 

デビルルはモコモコにダイブ。

 

衝撃は吸収され、デビルルはモコモコに沈み込まれた。

 

「あ…………いい気持ち……

ここは……天国」

 

デビルルは極上の毛ざわりに骨抜きになっていた。

 

「…………モコモコー

空から……デビルルがー」

 

綿多は目を丸くし、理解が追い付かないため、目の前で起こったことをそのまま言った。

 

モコモコはデビルルを地面に転がすと、元の大きさに戻り、綿多の肩に跳んで戻った。

 

 

「……はっ!?

鳥野郎は!!?」

 

正気に戻ったデビルルは、空を見渡し自分を連れ去ったトリのアクマがまた来ないか警戒した。

 

「鳥野郎ー?」

 

綿多は何のことか分からず、モコモコと顔を見合わせた。

 

デビルルはトリのアクマが近くにいないことが分かると、ホッと一息つき

 

「ケッ!!

俺様の超絶パーフェクトフェイスに恐れを成して逃げ出しやがったか!!

ケケケ!!」

 

と得意な顔で高笑いした。

 

 

「もしもーし。

上機嫌なイケメンお兄さーん!」

 

綿多はデビルルの独り言をからかうように、呼び掛けた。

 

「……ケッ?

ケッ!!?

クソガキ!!」

 

デビルルは全く綿多の姿を見ると、驚き怯えたような表情をした。

 

「なんでそんなに怖がるのー?

また憑ちゃーんいじめたー?」

 

綿多は呆れたような目でデビルルを見ながら訊いた。

 

「ケッ!!

んな訳ねえだろ!!

次やったら、舞維っちにどんな目に合うか分かんねえからな!!

なにもかも、お前が俺様のパーフェクトなファッションを消滅させたのが悪いんだからな!!

反省してんのか!!?

あ゙っ!!?」

 

デビルルは綿多に顔を間近に近付け、イライラをぶつけるようにまくし立てる。

 

モコモコは今にもデビルルに飛び掛かりたそうにしていたが、綿多は手で優しく抑えて止めている。

 

「(こわー……なんであんなにかわいい憑ちゃんのアクマがこんななのー?)

いや……本当にあの節は申し訳ない」

 

綿多は内心めんどくさがりながら、自分に非があることを認めているのも、反省していることも事実なため、頭を深々下げて謝った。

 

「……ケッ!!

どんだけ謝っても許さねえよ!!」

 

デビルルは思ったよりも(見た目は)本気で謝られたので調子が崩れてしまい、そう捨て台詞を吐いて、ツカツカ歩いて行った。

 

(…………私もその方向)

 

綿多の行き先とデビルルが歩いた方向が同じであり、デビルルはのそのそ歩いているため、綿多は歩いて横を通り過ぎる。

 

「ケッ!!

なんだ? まだ俺様になんか用か?」

 

デビルルは綿多に追い付いて、隣を歩く。

 

綿多とモコモコは互いに顔を見合わせて、やれやれという顔をした。

 

「1人でヒマそうだな!!

俺様が特別に遊んでやろうか!!?」

 

「私はモコモコといるからー。

デビルルは1人でヒマそうだねー」

 

執拗に絡んでくるデビルル。

 

綿多はモコモコを撫でながら、適当にあしらう。

 

「ケッ!

じゃあなんで俺様に着いて来たんだよ!!」

 

「着いてきたんじゃなくてー。

私もこっちなのー。

デビルルこそー、どうして空からー?」

 

「ケッ!! 知らねえよ!!

トリみてえなアクマに連れてかれそうになったんだ!!

でもまあ! 俺様のこの悪の魅力には10年早かったみてえだがな!!」

 

綿多の素朴な質問に、デビルルは革ジャンをピシッと整えてカッコつけながら言った。

 

(情けない叫び声出しながら落ちてきたのは誰だろー)

 

綿多は心の中で呟いた。

 

「でもそれー、少し前からクラスチャットで話題になってるよー。

キラキラしたものを集めてるー、鳥型のアクマがいるってー」

 

綿多はデビルルのまあるい姿の悪魔の角カチューシャが、光を反射する性質を持つことを思い出し、連鎖的に話題のアクマを思い出した。

 

「ケッ!

ヘナチョコ、スマホ持ってねえよ!」

 

「……あ、そーだったー。

帰ったら憑ちゃーんに教えといてー」

 

「ケッ!!

嫌だね!! なんで俺様が伝言係しなきゃいけねえんだ!?

ヘナチョコが物盗られようが、俺様の知った……

 

デビルルは悪態をついていたが、綿多が無言でスマホを向けて来たので、また舞維にチクられるのだと思い、口を閉じた。

 

「言うー?」

 

綿多は首を傾げて、わざとらしく言った。

 

「……ケッ!

言いますよ言います!!」

 

「よし」

 

綿多はデビルルの宣言に頷くとスマホをしまった。

 

「ケッ!!

クソガキといると碌な目にあわねえぜ!!」

 

デビルルはそう言い捨てると、まあるい姿になってカサカサと地面を這って行ってしまった。

 

綿多は目で追うと、モコモコを優しく撫でた。

 

「モコモコが助けたのにー。

モコモコにありがとうなかったねー。

代わりに、ありがとー」

 

モコモコは誇らしげだった。

 

 

 

 

 

「待てー!!

そこの軽トラ!!」

 

取っ組み合いの末、一郎のスマホを軽トラの荷台へ飛ばしてしまった文実は全速力で追い掛けていた。

 

だが、相手は車。

 

どんどん距離が離されてしまう。

 

軽トラは交差点を左に曲がっていく。

 

その先は来た道と平行に折り返す下り坂。

 

「……いくっきゃない!!」

 

文実は民家と民家の間の塀を登り、その間を素早く駆けていく。

 

途中、細い塀の上を平均台を渡るように、それでいて大胆に走り、途中足を踏み外しそうになりながらも、走り抜け

 

「届けぇ!!」

 

崖になっていてもお構い無しに大きくジャンプ。

 

2m下を通る軽トラの荷台にドシンと着地した。

 

「よかった……スマホあった…!」

 

文実は急いで荷台のスマホを拾い上げ、ホッと一息つくが

 

大きな衝撃を受け、軽トラックは急ブレーキ。

 

「わっ!?」

 

慣性の勢いに耐えられず、文実はスマホから手を離してしまう。

 

「待って!!」

 

軽トラックからスマホは投げ出され、文実も追い掛けるように荷台から飛び降りた。

 

後ろで怒鳴り声が聞こえた気がするが、文実は受け身を取り、転がるように着地。

 

文実は急いで走り、スマホを拾い上げようとしたが

 

「わっ…!?」

 

黒く丸い影が一瞬、文実の前を掠めた。

 

「え……?

あーー!!?」

 

そしてその一瞬で、スマホはなくなっていた。

 

文実は咄嗟に影が過ぎた方向を見る。

 

「待て…!!

チックン!! お願い!!」

 

そこには、まあるい姿に大きな茶色い羽と鋭い嘴を持った鳥型のアクマが、一郎のスマホを咥えて飛び去っていた。

 

チックンは鳥アクマを追い掛けて、肩から飛び立つと、花粉を丸め、鳥アクマに飛ばした。

 

だが、鳥アクマはひらりと躱し、悠々と飛んでいく。

 

「待てええええ!!!」

 

文実は鳥アクマを見つめたまま、近くの電柱を一心不乱に登り、そのままジャンプ。

 

スマホに手が届きそうだったが

 

鳥アクマは直前で大きく飛び上がってしまった。

 

「ちっ!」

 

文実は舌打ちをすると、ポケットから小さなチップを取り出すと、投げ付け、一郎のスマホに付着させた。

 

 

「逃さない……!

行くぞ! チックン!!」

 

文実は着地すると、鳥アクマを追いかけようとしたが

 

「コラッ!!

この悪ガキ!!!」

 

さっき後ろから聞こえてきた怒鳴り声が、真後ろに聞こえ、首根っこを掴まれた。

 

文実は後ろを振り向く。

 

そこには、筋肉質のいかつい中年男性が顔を真っ赤にして睨んでいた。

 

「なんだよ!!

おっさん!! 放せよ!!」

 

だが、文実は一郎のスマホにしか心になく、ジタバタして手を振り払おうとする。

 

「バカモノ!!

急に道路に飛び出したと思ったら、今度は飛び降りか!?

俺を殺人犯にするつもりか!?

学校と名前言ってみろ!! 親にも文句言ってやる!!」

 

男性は物凄い剣幕でまくし立てる。

 

「放せ!! 放せよ!!

おっさん!!」

 

文実は男性に臆せず暴れまわり

 

「パウダーエクスプロージョン!!」

 

と叫ぶ。

 

するとチックンが花粉を男性の顔めがけて、投げ付けた。

 

「うおっ!?」

 

男性は急な攻撃に驚き怯んでしまい、手を放してしまう。

 

「サンキュ!!

チックン!!」

 

文実はチックンに親指を立てると、この場から急いで逃げて行った。

 

 

 

 

 

『お掛けになった電話は電波が

 

舞維はスマホから音声ガイダンスが流れたと同時に、電話を切り、一郎に首を振った。

 

 

 

クラクションの音で様子を見に来た舞維と鬼斗に、一郎は状況を説明し、自分と文実に電話をかけてもらうよう頼んだのだ。

 

 

 

「だめ。

充電切れてるみたい」

 

「だろうな。

ここに来た時からそうじゃねえのか?

充電まだあったら、俺を呼び出すときに直接やるだろうし」

 

舞維は文実に電話をかけたが、文実のスマホの充電は切れているようだった。

 

一郎は腕を組み、呆れた口調で言った。

 

「矢満はどうだ?」

 

「鳴らした」

 

鬼斗は一郎のスマホに電話をかけたが、着信音やバイブレーションは聞こえない。

 

「……ここから聞こえないということは……。

やっぱあの軽トラ…………フミフミが追い掛けたやつか……

どうすっかなー」

 

一郎は自分の頭に状況を理解させるため、独り言を言うと、頭を抱えた。

 

「あたし、クラスのみんなに探してもらえないかグループチャットでお願いしてみる!

どんなスマホだったっけ?

写真撮るから貸して!」

 

舞維はそう言いながら手を出すが

 

「そのスマホがなくなってるんだが」

 

と一郎は淡々と言った。

 

「あっ……

そうか」

 

舞維は納得した様子でそう言うと、チャットにメッセージを打ち込み始めた。

 

「本体は赤で、ケースはカブトムシの柄になってる」

 

一郎は探すための特徴を伝える。

 

「うん!

ありがとう!」

 

「……こちらこそ。

城都、ありがとう」

 

 

「発信機確認」

 

お礼を言い合う2人に、鬼斗は呟いた。

 

「発信機?」

 

「なになにい?」

 

一郎は首を傾げ、舞維は興味深そうに鬼斗のタブレットを見詰めた。

 

そこには、“CHIP”と表示された赤い丸が街の地図を真っすぐ移動しているのが見えた。

 

「1号、見つけたのかな!?」

 

舞維は嬉しそうな顔をして鬼斗を見た。

 

「伝える。

追い掛けて。

あっち真っすぐ」

 

鬼斗はタブレットの画面を見続けたままそう言うと、スマホを取り出し舞維に電話を掛けた。

 

「うん!

4号! 行くよ!!」

 

舞維はすぐ電話を取ると、一郎の手を掴み走り出した。

 

「え?

行くってどこに!?」

 

一郎は困惑しながらも、舞維についていった。

 

 

 

 

「あーあ。

あのおっさんのせいで見失った」

 

文実はとにかく街中を当てもなく探し続けていた。

 

ずっと上を見続けているが、鳥アクマの姿はまるでなかった。

 

スマホの充電も切れてしまい、チーム.インセクトの仲間にも連絡がつかない。

 

「あれ貼り付けたのも意味ねえじゃん!」

 

文実は八つ当たりするように足を蹴り上げ、不満を垂れる。

 

 

 

文実が鳥アクマに取り付けたのは発信機のチップだった。

 

GPSになっており、鬼斗のタブレットから位置情報が分かるのだが、連絡する手段がないので、文実の現状にとっては無意味に終わってしまったのだ。

 

 

 

「それもこれも…!

早くチーム.インセクトに入らねえアイツが悪いんだよ!!

なあ!!」

 

文実は肩に乗るチックン──とくに針に付けた水玉のカバーをみながら、イライラをぶつけるように叫んだ。

 

そんな中、チックンが体を上に向けてなにかをアピールしてる。

 

「なんだ?

上?」

 

文実は促されるように上を見ると

 

「うお!

ドロンじゃん!」

 

上空では大きな丸い目が付いたまあるい体を、細長い4枚の翅を忙しなく動かして空中でホバリングするトンボのアクマが見えた。

 

体の真下には小型カメラのような機材が取り付けられている。

 

「おーい!

3号!!」

 

文実はトンボのアクマ──ドロンに急いで手を振った。

 

ドロンは3号──もとい、鬼斗のアクマなのだ。

 

ドロンはその場で向きを変えると、しばらく止まる。

 

そして、“着いてこい”というようにチョンチョンとゆっくり直線的に動くと、素早く飛び始めた。

 

「あっちだな!

流石3号!!」

 

文実もドロンの後を追い、走り出す。

 

 

 

「4号あっち!

……え、違う…?

あ! この角か!! こっちー!!」

 

文実が付けた発信機を元に、電話越しで鬼斗の指示を聞き、一郎を道案内する舞維。

 

だが、曲がり角の多い住宅地に苦戦し、正確に案内できていないようだ。

 

「城都……。

変わるか……?」

 

一郎は早く発信元に辿り着きたい焦りや何度も間違われる呆れから、舞維のスマホを受け取ろうとするが

 

「大丈夫!!」

 

どこから湧いてくるのか、自信たっぷりに言う。

 

「ていうか、俺たちはどこを目指してるんだ?」

 

一郎は改めて目的を尋ねる。

 

「なにって? 4号のスマホでしょ?」

 

「いや、そうじゃなくて。

俺のスマホが今どういう状況にあるのかって話?

置かれてるのか? それともまだトラックの荷台か?

本当に、その発信機で正しいのか?」

 

一郎は詰るように早口で質問する。

 

「えっ!? さっきの角!?」

 

だが、また舞維は道を間違えたらしい。

 

「ごめんごめん。

あっちだったあ!」

 

舞維はヘラヘラ笑いながら謝り、正しいルートに引き返そうとする。

 

「貸せ」

 

流石に一郎も我慢の限界で、舞維の前に立ち塞がり、スマホを貸すよう、手を出す。

 

「大丈夫だってー!

任せて! 次は絶対間違えないから!!」

 

「大丈夫じゃねえから言ってんだろ!!!」

 

一郎のいつものツッコミとは違う、感情的な叫び声に、この状況を楽しんでいた舞維も流石に笑みが消えた。

 

「ごめん……」

 

舞維は今度は深刻な表情をして謝り、スマホを差し出した。

 

「…………悪い」

 

一郎は女子を怯えさせてしまったことに罪悪感を覚え、帽子を少し深く被りながら、スマホを受け取った。

 

 

耳をつけるのは厭われるため、通話形態をスピーカーにする。

 

「悪い、矢満。

どっちだ?」

 

『そこの角、左。

その後、4つ目、裏路地。

そこ通る。

あと、目的は鳥のアクマ。

クラスライン。 情報合った。

咥えてるって』

 

「鳥?

じゃあ上の方……?」

 

 

 

 

「いた!!

鳥アクマ!!」

 

ドロンを追い掛ける文実は、空を飛ぶ鳥のアクマを見つけ出せた。

 

大きく力強い羽を羽ばたかせ、鋭い嘴で平べったい物を咥えている。

 

一郎のスマホだろう。

 

「待て!!!」

 

文実は他の通行人には一切気に掛けず、避けてもらいながらただ一心不乱に追い掛けた。

 

 

鳥のアクマの高度が下がっていった。

 

羽を折り畳み着陸の体勢を取っている。

 

文実は着陸先を見た。

 

 

住宅地から少し離れた空き地。

 

川沿いの道にあり、人があまり立ち入らず、管理もされておらず、雑草が生えっぱなしになっており、不法投棄された家具や家電があちこちに捨てられている。

 

そこにポツンと1人の中学生くらいの青年が、ボロボロの椅子にスマホを見ながら前かがみで腰掛けていた。

 

「……あっ?

だれだアイツ?」

 

文実は見知らぬ青年を怪しく思いながらも、空き地へ向かった。

 

 

 

 

「真っ直ぐ。

1.4キロメートル先。 空き地」

 

「空き地…?

そこで止まってるのか?」

 

「うん」

 

鬼斗の道案内で、文実が付けた発信機を追い掛ける一郎と舞維。

 

川沿いの道に辿り着き、そこからはひたすらに真っ直ぐのようだ。

 

目的地が定まったことにより、一郎の走る速度が増していく。

 

舞維はついていくのが精一杯で息切れしている。

 

「1号。

もうすぐ空き地」

 

鬼斗はドロンの小型カメラ越しに、文実を道案内させていた。

 

その近況も一郎に伝えた。

 

「うん」

 

一郎は頷くだけだったが、どこかホッとしたような表情をした。

 

そのとき

 

「わっ…!?」

 

舞維の脚がもつれてしまい、派手に転んでしまった。

 

「城都…!

大丈夫か…!?」

 

一郎はすぐに引き返し、舞維のもとに駆け寄る。

 

「痛た……

全然平気! 平気!

……いっ…!!」

 

舞維は痛みに堪えながらも笑顔を見せ、立ち上がろうとしたが、すぐに崩れてしまった。

 

「平気じゃねえだろ」

 

一郎は舞維の膝を見て、呆れ半分心配半分で言った。

 

膝は擦りむき血が出ていた。

 

手の平も少しだけ表面の皮が剥けている。

 

「このくらい大丈夫だよお!

4号は早く! スマホ見つけないと!」

 

舞維は心配をかけないよう笑顔を向け、一郎を先に行かせようとしたが

 

「イッポン」

 

一郎はイッポンに呼び掛けると、スマホをポケットにしまい舞維に背中を向けてしゃがむ。

 

「なに?

4ご……わあ!!」

 

そしてイッポンは舞維のお尻を持ち上げ、一郎は舞維をおんぶした。

 

「この先に公園がある。

ひとまずそこで処置するぞ」

 

一郎はそう言うと再び走り出した。

 

「あ……ありがとう」

 

舞維は少し照れながらお礼を言った。

 

 

 

 

空き地では、鳥のアクマが青年の手元に降り立った。

 

「さあて……今日はどんなガラクタを……

って」

 

青年は嘲笑しながら、鳥のアクマから奪うように獲物を手に取り、二度見した。

 

「え、ま、ちょ!

スマホじゃね!!」

 

青年は驚き、困惑する。

 

初めはケースだけかと思ったが、重量や電源ボタンを押し、画面が点き、本物のスマホだと確信する。

 

青年はしばらくして笑みを浮かべた。

 

「ははっ!

お前、たまにはいいはたらきするじゃねえか!

足がつく前にさっさと売っぱらっちまおうぜ!

これで課金仕放題じゃないか!?」

 

“よくやった”という風に鳥のアクマをバシッと叩くと、満足げに椅子に深く腰掛けた。

 

ボロボロの椅子はギシギシ音を立てるが、悦に浸る青年は気にしていなかった。

 

 

「おい!!

そいつを返せよ!!」

 

そこに、文実は大きく怒鳴りながら雑草を踏み締め青年へと向かって行った。

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