いたずらアクマ   作:ココリンク

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8話!!!!!!!! チーム.インセクトⅢ

「そういえば4号。

1号と幼馴染なんだよね?」

 

「ああ。

そうだが」

 

公園に着いた一郎と舞維。

 

舞維はベンチに座り、一郎は舞維のハンカチを借りて水道の水で濡らしている。

 

その最中、舞維は一郎に前から気になっていたことを訊こうとした。

 

「2人って昔からあんな感じなの?」

 

「あんなって?」

 

「えーっと……ほら!

“喧嘩するほど仲が良い”みたいなやつ!」

 

一郎は舞維の言葉にため息をつくと、遠い目をした。

 

「仲良くねえよ。

昔から危なっかしいから注意しているだけだ。

アイツももう少し大人にならねえと、今度はフミフミが大怪我するってのに」

 

一郎はハンカチを絞ると、舞維の元へ駆け寄り、擦りむいた膝についた土を優しく拭き取る。

 

「でも。あたしたちまだ小4だよ!

まだまだ大人じゃなくてもいいんじゃない?」

 

一郎は舞維の呑気な物言いに、口出ししたくなり顔を上げたが、舞維の無邪気な顔が一瞬、昔の文実に重なった。

 

「…………城都。

アイツはすぐに手が出るし、自分勝手で、我儘で、思い遣りが欠けるときがあって、やり方が乱暴で、運動神経が変に良いから罰から逃げることを覚えちゃっているような奴だ」

 

一郎は目線は舞維の傷口に向けたまま言った。

 

舞維は突然の文実への悪口に、首を傾げた。

 

「けれども、決して悪い奴じゃない。

思い遣りに欠けるときがあるが、やり方が不器用なだけ。

俺を無理矢理チームに引き入れようとしているのも、多分また、俺を危険な目に合わせないためだろうな。

城都。フミフミに付き合わせてしまったようで……悪いな」

 

「…………?

えっと…………

つまり……どゆこと?」

 

舞維は終始ぽかんとした表情で聞いており、今もなぜ一郎に謝られたのかまるでわかっていなかった。

 

一郎は驚いた顔をし、

 

「えっと…………つまり……」

 

帽子を深く被りながら、ごにょごにょと言葉を探した。

 

 

そのとき

 

『1号。

空き地到着。

中学生くらいの男いる。

喧嘩しそう』

 

一郎のポケットのさっきしまった舞維のスマホから、鬼斗の声がした。

 

「はあ!?」

 

一郎は思わず立ち上がり声を上げてしまう。

 

「アイツ…………なにしてんだ……!?」

 

顔を顰めイライラした様子でいた。

 

今すぐにでも空き地へと駆け出したかったが、まだ舞維の処置が終わっていない。

 

「4号!

よく分かんないけど!

行って!!

あたしはここまで来れば大丈夫!!

ここで待ってるから!!

はやく1号のところに!!」

 

舞維も文実が心配で、一郎に先に行くように促した。

 

「……わるいな。

これ、ありがとう」

 

一郎は帽子のつばを持ちながら礼を言うと、借りたハンカチと、スマホを押し付けるように舞維の手に乗せて、走り出した。

 

「スマホ置いてっちゃった……

大丈夫かな?」

 

舞維は一郎を心配ながら背中を見送る。

 

『ドロン…!

ドロン…!!』

 

その瞬間、舞維のスマホから珍しく取り乱す鬼斗の声がした。

 

 

 

 

 

「はっ?

なにお前?」

 

青年は“返せ”と言いながら、駆けてくる文実を睨み付けた。

 

「チックン!!」

 

文実は肩に乗るチックンに呼び掛ける。

 

チックンは大きく飛び上がり、まあるい体についた花粉を集め、1つの球にする。

 

「パウダーエクス

 

そして、その球を発射させようと掛け声を出すが

 

鳥のアクマは、力強く羽ばたくと鉤状の鋭い嘴で、チックンの翅を咥えてしまった。

 

「……!?

チックン!!?

てめえ!!」

 

文実は、鳥のアクマに抑えられのたうち回るチックンを心配し、それをさせた青年に怒りを向け拳を握り突進する。

 

「ちょちょちょ。

なになに?

こわい」

 

青年は後退りしながらも、おちょくるように言うと

 

文実の拳を片手で受け止め、そのまま強く握り締めた。

 

「ぐっ……!?」

 

文実は痛みに顔を顰める。

 

拳を引き抜こうとするが、思いの外青年の力が強くびくともしない。

 

「そのスマホ返せ!!」

 

文実は左手でスマホを取り返そうとしたが、青年の背は遥かに高く、上に持ち上げられて届かない。

 

「ちょ……ほんとうになに?

おまわりさーーん、強盗でーーす!」

 

青年はわざとらしく誰もいない空き地と川沿いの道に、大きく言い放った。

 

「強盗じゃねえよ!!

このスマホは、フミの…………フミの同級生のもんだ!!」

 

「ふ……ははは!」

 

青年は文実の物言いに面白そうに笑うと、掴んだ拳で、文実を大きく後ろに投げ飛ばした。

 

「同級生って……!!

フミちゃんって言うの? つくならもっとマシなウソつきな?

このスマホは俺のだ」

 

青年は文実を見下ろし、笑い、蔑む。

 

「ウソつきはお前だろ!!

返せ!!」

 

文実は地面で右の拳を握りしめ、立ち上がる。

 

そして、握り締めたときに掴んだ小さな石を青年に投げた。

 

「おっと!

こわ…! どこ狙って

 

石は青年の足元に落ちた。

 

青年は届いていないことをおちょくろうとしたが

 

その石はブラフであった。

 

青年から見て右上にあるスマホと、真逆に位置する左下に目線を誘導して、反応を遅らせたのだ。

 

「しまっ…!」

 

文実は大きくジャンプし、青年の右手で大きく掲げるスマホを奪い取った。

 

 

「よかった……

いっちゃんの」

 

文実は着地すると、一郎のスマホを大事に両手で包んだ。

 

「ちっ!

フミちゃん! 返してよ、それは俺のスマホだからさ!!」

 

青年の顔付きが変わる。

 

スマホを盗られたこともあるが、それ以上に年下の女子に、出し抜かれ、プライドを傷付けられたからだった。

 

青年は拳を握り、文実に突進すると思い切り腕を振り切る。

 

(やばっ!)

 

文実は咄嗟に目を瞑ってしゃがむ。

 

その瞬間、頭上で拳が空を切る音が聞こえた。

 

文実は攻撃を避けたことに、安堵するとともに本気で殴ってきたことに対して恐怖心を覚える。

 

そして、目を開けた瞬間

 

「がはっ!!?」

 

腹部に強烈な蹴りを入れられた。

 

文実は唾を吐き出し、しゃがんで丸まった体はボールのように2回転くらい転がり、勢いが弱まると大の字になった。

 

「うっ……!

て……てめえ……!」

 

文実は今まで喧嘩したとしても、幼稚園くらいの頃に一郎と軽い叩き合いくらいだった。

 

それも今思えば、だいぶ手加減をしてくれたのであろう。

 

文実は青年を睨み付けるが、初めて味わう痛みや苦しみに悶え、泣きそうになっている。

 

それでも、一郎のスマホを守るためには立ち向かわなければならない。

 

「女の子だからって。

小学生だからって、手を出されないとか思った?

先に手を出したのはそっちだからな?」

 

青年はイライラした様子で文実を見下している。

 

拳を合わせポキポキと骨を鳴らす。

 

「さ……先に!

スマホ奪ったのは……お、お前のアクマだろ!!」

 

文実は、震えながら立ち上がり、毅然と言い放ったつもりだったが、声が震えていた。

 

「だから」

 

青年は文実の心を恐怖で支配するかのように冷たくそう言うと、早足で文実の目の前まで迫り、

 

「これは俺のだって」

 

文実が両手で持つスマホを片手で引き抜こうとした。

 

力が強く踏ん張らないと引き抜かれそうになってしまう。

 

「うっ……!!

チックン…!!」

 

文実はチックンに助けを乞うが

 

「無駄だよ。フミちゃん!

俺のアクマはハチの天敵の“ハチクマのアクマ”!」

 

チックンはハチクマのアクマに、抑えつけられ暴れまわることしかできない。

 

「ハチのくせして、針を使わない怠けアクマなんかに、俺の最強は」

 

青年はそう言うと拳を握り

 

「負けやしねえんだよ!!」

 

頬を殴り、その勢いで文実を大きく殴り飛ばした。

 

「………ちっ…!」

 

だが、青年は舌打ちする。

 

「い……っ!」

 

文実は痛みに堪えながらも、なんとかスマホは手放さなかった。

 

唇の端が切れ、血が出るがそれを舐め取り、恐怖に負けずに睨み付ける。

 

「ちっ……!

フミちゃん。俺だって女の子を殴りたくないの。

いい加減返して」

 

「いやだ!」

 

「ねえ、だるいってえ。

返してよ」

 

「やだ!!」

 

「返せよ」

 

「やだ!!」

 

「ちっ……!

キラービー!!」

 

交渉に乗らない文実に痺れを切らし、青年はアクマの名前を呼ぶ。

 

ハチクマのアクマ──キラービーは、チックンを咥えて、青年のもとに戻ってきた。

 

「ねえ、フミちゃん。

自分のアクマ大事だろ?」

 

青年はそう言うと、チックンのお尻の針についているカバーを取り外し、投げ捨てた。

 

 

「あっ!?」

 

文実は無意識でカバーの行き先を目で追い、思わず声を上げた。

 

 

「俺のキラービーは最強だから。

さっきもそこに生意気にカメラ向けて飛んでたトンボのアクマを、墜落させたからな!」

 

(トンボ……?

もしかして……3号の!?)

 

文実は思わず空を見上げた。

 

確かにさっきまでいたドロンが見当たらない。

 

文実は仲間のアクマがやられたと知り、再び怒りの炎に火が点いた。

 

一郎のスマホをポケットにしまい、拳を握りしめ、青年に向かう。

 

「チックン!!」

 

チックンも文実の呼び掛けに応えるように、体を震わせ、花粉を撒き散らしキラービーの拘束から離れると、お尻の針を向け、青年に突進する。

 

「なっ!?

まだそんな力が残って…!」

 

青年は文実の余力の困惑と、花粉の目眩ましで反応が遅れた。

 

「はあ!!」

 

それでも、文実の拳は咄嗟に両手で受け止める。

 

だが、チックンには間に合わない。

 

チックンの針が、青年を襲う。

 

と思ったそのとき

 

文実の顔色が変わり、それに呼応するようにチックンは自分の体を翻し、針を背け、まあるい体が青年の鼻筋に当たるだけに終わった。

 

「いった……!

なに? フミちゃん? 狙い外しちゃった?」

 

青年は様子が変わった文実を煽ると、右手を握り締める。

 

「一発やったから、俺も一発やらないとな!!」

 

「待っ……待って……!

やめて……!!」

 

文実は逃げようとしたが、拳を掴まれたまま逃げられない。

 

チックンは突進し、助けに入ろうとしたが、キラービーの動きは素早く、また抑えつけられてしまう。

 

青年は泣いて助けを乞う文実の顔を問答無用で、殴り飛ばした。

 

文実は悲鳴を上げる間もなく、地面に飛ばされその勢いでポケットから一郎のスマホが飛び出した。

 

 

青年はふんと鼻を鳴らすと、ゆっくり文実のもとへ近寄る。

 

「俺の名前は熊杭望貴(くまくい もうき)。

最強の空の生物、猛禽類のアクマを使役する男!」

 

青年──望貴は勝鬨を上げるように名乗りを上げ、スマホを掴み拾い上げようとした。

 

だが

 

「これは…………だめ……………」

 

文実は残った力を使い、スマホを掴む。

 

「ちっ……」

 

「うっ…………あ……………」

 

望貴は舌打ちし、倒れる文実の脇腹を2度蹴る。

 

それでも、文実はスマホから手を放さない。

 

「うぜえなあ!

とっとと放せ!!」

 

「絶対やだ!!

このスマホは!! いっちゃんの!!

フミの大

 

「イッポン!!」

 

文実が言いかけたとき、イッポンが角を向け望貴の手に突進した。

 

「痛…!

なんだよ!!」

 

イッポンは文実を護るように間に立ちまあるい体にググっと力を込めた。

 

望貴は手を抑え叫びながら後退りし、突然現れたカブトムシのアクマから距離を離す。

 

 

「知らないのか?

知っていても教えてやろう」

 

一郎が帽子を目深に被り、かっこつけた様子でイッポンの後ろに立った。

 

文実は泣きそうになったが、グッと堪え、にやりと笑い、弱々しく震えながら立ち上がった。

 

「我ら……巷じゃ有名の!」

 

文実は息を漏らしながらも、唇から垂れる血を拭い、力強く言い放つ。

 

「恐怖轟く悪ガキたち!」

 

一郎は少し顔を赤らめさらに帽子を深く被りながらも、文実の声量に負けないくらい大きく叫ぶ。

 

「な……なんだ……?」

 

望貴は目の前で何をやってるのか分からず困惑する。

 

その様子を一郎は帽子から覗かせる目で見ていた。

 

イッポンはググっと込めた力を解放し、キラービーに高速で突進。

 

キラービーを空高く大きく吹き飛ばし、チックンを解放した。

 

「なに…!?」

 

望貴は最強と自負するアクマが吹き飛ばされ、困惑する。

 

 

そんな望貴に、2人はざっと足音を立て目配せすると腕を組んで背中合わせになり、

 

「「オーサムブラザーズ!!」」

 

と堂々と言い放った。

 

そして2人の背後にチックンが花粉の球を投げ、それをイッポンが角で貫き、爆発させた。

 

 

「な……なんだよ……!!

お前ら!!」

 

望貴はなんかよくわからない光景と、そのよくわからない奴が強いアクマを使っていることに、困惑と恐怖を覚え、及び腰になっている。

 

「あ?

なんだ? もう1回言うか?」

 

「いや……もういい…………」

 

文実はまた名乗ろうとしたが、一郎は顔を赤らめながら断る。

 

 

一郎は帽子を上げ、自分の身長よりも遥かに高い望貴を、強く見上げ近寄る。

 

望貴はへへっと笑いながら見下ろすが、無意識に後ずさっていた。

 

「俺はアクマ相撲大会の優勝者」

 

一郎はそう言うと、イッポンが肩に乗り、角を持ち上げて威嚇する。

 

「くっ……

う……訴えてやるからなー!!」

 

望貴はそう捨て台詞を吐くと逃げるようにこの場を去っていった。

 

 

一郎は帽子の位置を直し、イッポンを優しく撫でた。

 

「……の、ライバルだ」

 

 

 

「4号ナイス!!」

 

文実は親指を立て、ニッと笑う。

 

その顔は唇の端が切れ、目の下にたんこぶができているが、とても嬉しそうだった。

 

「ほら、これ。

取り返したぞ」

 

文実は自慢げに一郎のスマホを見せびらかした。

 

「ほらほら、なにかフミに言う事あるんじゃないか?」

 

そして、一郎の顔を覗き込むように上目遣いになり、なにかを期待する視線を送るが、すぐにやめた。

 

一郎の表情がカンカンに怒っていた。

 

「お前な!」

 

一郎は文実を怒鳴り付けた。

 

「な……なに怒ってんだよ?

ほら、スマホは無事だ!

傷1つついてねえから心配すんな!」

 

文実はスマホの表と裏を交互に見せ、一郎の怒りを鎮めようとした。

 

「馬鹿かよ!!

お前!!」

 

一郎はスマホを無くされたこと、1人で飛び出したこと、年上相手に喧嘩をふっかけたこと。

 

それらを言及したかったが、顔にひどい怪我を負い、ボロボロな幼馴染を見ると、怒りと罪悪感で言葉が上手く紡げなかった。

 

 

「バカってなんだよ!

バカって!!

せっかく、取り返したのにバカってなんだよ!!」

 

「馬鹿だから馬鹿なんだよ!

俺のスマホなんてどうだっていいだろ!!

お前が無事じゃなきゃ、意味ねえだろ!!」

 

「……は?」

 

一郎の言葉に、文実は一瞬困惑し、少し顔が赤くなる。

 

目が泳ぎ、口をもごつかせ、結局出たのは

 

「……痛っ!?」

 

足だった。

 

「うるせえよ!

こんなの痛くねえだろ!

2回戦敗退!」

 

文実は、スマホを投げ渡し、すねを蹴られて屈む一郎を見下ろし煽った。

 

「……元気そうでなによりだよ」

 

一郎はスマホを眺めたあと、少し操作しやがら皮肉のように言うとポケットに入れて、しゃがんだまま文実に背中を向けた。

 

「は? なに?

背中蹴られてえの?」

 

「ちげえよ。

早く乗れ」

 

「…………頼んでねえけど」

 

「そんな小鹿のようなプルプル脚で歩けるのか?」

 

「うざ」

 

文実は素直になれず、一郎の背中を蹴ろうとしたが、足を振り上げた瞬間に、力が抜けてしまった。

 

「わっ…!?」

 

丁度転んだ先が、一郎の背中であり、文実は勢いよく後ろから抱き抱える形になった。

 

「うッ!?

おも……」

 

一郎はあまりの勢いについ口を滑らす。

 

文実はムッとした顔になり、無言で一郎の尻を蹴った。

 

「痛っ!

なにす

 

「重くて悪かったね!」

 

「はいはい。

悪い悪い」

 

「だから“はい”は1回だろ!!」

 

「はーい」

 

「伸ばすな!!」

 

一郎は立ち上がると、もと来た道へ戻って行った。

 

 

 

 

「うん!

ドロンここにいるよ!

1人で戻ってこれてすごいね!」

 

舞維は鬼斗と電話で連絡を取り合っていた。

 

ベンチで休んでおり、膝の上にはドロンが止まっている。

 

翅や体が傷付いているが、そこまで深い傷はないため、少し休めば治るだろう。

 

『4号。メッセージ来た。

…………2人。無事』

 

「本当!?

よかったあ!!

テンションアゲア……おっとと」

 

さっき一郎が少し操作したのは、鬼斗にスマホを取り戻したメッセージを送るためだった。

 

舞維は報告をきき、嬉しさで立ち上がろうとしたが、膝にドロンが乗っていることを思い出し、すぐ座り直した。

 

 

 

 

文実を背負い、川沿いの道を歩く一郎。

 

文実はどこか嬉しそうな表情だった。

 

「前も。

お前が怪我したときこうしたっけ?」

 

一郎は不満を言うような昔を懐かしむような調子で言った。

 

「いつの話だよ。

小1の頃だろ?」

 

「小2だ。

ったく、帰ったら親に言って病院行けよ。あのときもそうだがもうこんな馬鹿な事するんじゃないぞ」

 

「うっせえ。

にしても、よく幼稚園の頃にしてた名乗り覚えてたな」

 

「幼稚園にしては難しい言葉の羅列だったからな。

言葉の響きで覚えてた」

 

「あれ、誰に考えてもらったっけ?」

 

「台本渡してきたのお前だろ?」

 

「もう忘れましたー」

 

「そうかよ」

 

「…………それで、チーム.インセ

 

「断る」

 

「まだ何も言ってねえよ!」

 

「どうせあれだろ?

俺にアクマ相撲をやめてほしいから、別のことで興味惹こうとしてんだろ?」

 

「…………は?

誰に聞いたんだよ」

 

「勘」

 

「は!?」

 

「昨日お前こなかっただろ?

……もうあの時のことは気にするな。

目もしっかり見えてるし、傷も治ってる」

 

「……うるせえよ。

とにかく……ぜってえお前はチーム.インセクトにいれるからな!!」

 

「そう。

頑張りな」

 

「ひとごとか!」

 

「…………とりあえず。

ここで血、落とすか」

 

一郎は舞維が待つ公園に辿り着いた。

 

「おかえ……

えっ!? 文実ちゃ………じゃなくて1号!?

どうしたの!?

喧嘩でやられたの?」

 

舞維は一郎の姿を見て嬉しそうに手を振ったが、文実の顔を見ると心配し、駆け寄った。

 

「……転んだ」

 

文実は視線を外しぼそっとそう言う。

 

「馬鹿」

 

一郎は一言そう言うと、文実をベンチに座らせた。

 

もう日が傾いていた。

 

 

 

 

 

 

空き地。

 

ドロンが墜落したところに、ドロンが付けていた小型カメラが壊れて落ちている。

 

カメラのレンズが夕焼けに反射してキラキラ光っている。

 

そこに薄暗い羽と嘴を持ったアクマが降り立った。

 

ハチクマのキラービーではない。

 

その姿はまるで、“カラス”だった。

 

カラスのアクマはキラキラ光るレンズを持ち、飛び去っていった。

 

 

 

 

 

おしまい

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