のはらリン「今度こそ悲劇の運命を回避するッ!!!」 作:しじみ兆
雨の記憶と春の教室
彼女の頬を伝う雨粒は、すでに冷たさを超えて、
ゆっくりと広がる胸の痛みは、やがて
白髪の少年は
黒髪の少年は目を細め、地面を踏みしめる足に力を込める。彼の
その場には言葉も音も存在しなかった。ただ、止まった時間と冷たい雨、そして失われた何かが
×××
「ッッ…!」
ひどい
肌を撫でるのは、あの冷たい雨じゃない。柔らかな布と、朝の空気。
わたし──のはらリン。
だけど、たしかに“あの
カカシの手の震えも、オビトの涙の熱も、全部──
目を開けると、光が眩しかった。
けれど、それはあの
木漏れ日だった。
乾いた木の匂い。温もりを含んだ空気。
カーテンの向こうで風が揺れ、光がちらちらと揺れている。
それなのに、心の奥はまだ……
──ここは……部屋。私の部屋。
そう理解するまでに、ほんの数秒かかった。
布団の中に包まれた体がやけに軽く、まるでどこかを失くしたみたいに頼りない。
けれど、それでも呼吸は続いている。心臓も、ちゃんと動いてる。
生きている──それだけが、今の私のすべてだった。
ゆっくりと手を伸ばして、胸元を確かめる。
……何もない。あの時、カカシに貫かれたはずの胸は、穏やかに上下していた。
夢じゃない。だけど、現実とも思えなかった。ただ
「……うそ」
かすれた声が喉の奥で転がる。
震える指でその写真に触れたとき、ようやく
──わたしは、戻ってきた。
あの終わったはずの時間より、もっとずっと前に。
けれど、喜びはなかった。
胸の奥にあったのは、どこまでも冷たく、どこまでも静かな、
「やり直せるなんて、そんな都合のいいこと、あるわけないよね」
自嘲の笑みがこぼれる。
でも、それでも。
「わたしは……次こそはオビトを助けるんだッ」
その声は、小さくても確かだった。
まだ、運命は変わっていない。
でも、変えられる余地がある。
生きているかぎり、諦める理由はない。
×××
「助けるって意気込んだのはいいけど、それ以前に私すぐに死ぬじゃんッ!!」
布団の中で思いっきり頭を抱えた。
目覚めた瞬間はまだ夢の中にいるみたいだったのに、今は逆に現実が重たすぎて、頭が痛い。
──そう、私の死ぬ
どうしようもなく、どうしても、避けられなかったやつ。
「……私、殺されに来たの?」
吐き出すようにそう呟いてから、頭をぶんぶん振った。
違う、違う。そんなはずない。私は、オビト救いに来たはずだ。あの未来を、あの
「でも、オビトを救ったところで、私がまた死んだら意味ないじゃん……」
もう一度布団に突っ伏した。
ああもう、時間が欲しい。計画練る時間と、
「……年齢。いや、身体年齢……」
がばっと体を起こして、近くの
映ったのは、記憶よりもずっと小さな顔と、丸みを帯びた頬。目だけは、今の心を映すように真っ直ぐだった。
「……幼少期。確定」
部屋を見渡せば、昔懐かしい家具や、母が買ってくれた
懐かしいのに、今はすべてが違って見えた。
(よし、落ち着け、のはらリン。まずは状況整理だ)
頭の中で、ひとつずつ確認していく。
・私はカカシに殺された。
・死んだあと、なぜか過去に戻った。
・ここはアカデミー時代、まだ
・目覚めた時点で、記憶は完全。
・今後の
(うん。冷静になれば、できることはある)
焦りと混乱の
深呼吸して、今の自分にできる最初の一手を考える。
「とりあえず、今日がいつなのか……確認しなきゃ」
その時──
「リンー! 今日はアカデミーあるって言ったでしょ! もう用意できてるの?」
母の声が、廊下から聞こえた。
「……うん、今行く!」
声はまだかすれていたけれど、前よりはしっかり出た。
布団から抜け出し、制服に着替え、扉を開ける。廊下の木の感触が、なんだかくすぐったい。
(まずは……オビトに会わなきゃ)
その思いだけが、胸の中心であたたかく、けれど苦しく光っていた。
──“最初の分岐点”が、また始まる。
×××
玄関を開けると、朝の空気がふわりと頬を撫でた。
すっかり忘れていた、木ノ葉の春の匂い。まだ肌寒いはずなのに、こんなにもあたたかかっただろうか。
「いってきます」
母にそう告げて、私は歩き出した。草の上を踏みしめる足が、まだ小さくて
それでも歩くたびに、身体の中心に一つひとつ現実が刻まれていく。
(ああ、本当に……戻ったんだ)
一歩ごとに
すべてが懐かしく、でも“まだ私が知っていた頃のそれ”にはなっていない。
アカデミーの門が見えてくると、喉の奥がぎゅっと締めつけられた。
(この門……この中で、また始まる)
緊張してるのか、背筋が
あの頃なら、ただ元気よく駆けていったはずなのに、今の私は違う。
──この先には、オビトがいて。
──カカシがいて。
──そして、いずれまた、私は──
「……っ、ダメ。考えすぎないで。今日は今日のことだけ」
呼吸を整え、教室のある
途中すれ違う子たちは、誰もが無邪気に話しながら歩いている。
その中で、私だけが静かに、たった一人で歩いていた。
(オビト……)
教室の扉を開けて、すぐに私は教室中を見渡した。
だけど──いない。
「あれ……?」
思わず声が漏れる。
(オビト、まだ来てない……)
胸の中に、少しだけざわりとしたものが湧いた。
遅刻癖。そうだ、あの子はそうだった。初日から遅れてきて、先生に怒られて……。
でも、それでも私は、今日この日を彼と顔を合わせることで
代わりに、すぐ目に入ったのは──
「…………」
席に座って、窓の外を見ていた少年。
銀白の髪、鋭い目つき、肩の力の抜けた姿勢。それなのに、一点の隙もないような空気。
はたけカカシ。
この世界の時間軸で、間違いなく“あの未来”に通じるもう一人の鍵。
(あの手で、私は──)
心の奥に、ピシリと
でも、それを表に出すわけにはいかない。私はリンであって、リンでしかいられない。
ゆっくりと自分の席に腰を下ろすと、机が思ったよりも高くて笑ってしまいそうになった。
体が小さくなってるって、本当に
(……オビト、早く来ないかな)
チャイムが鳴り、先生が入ってきて、授業が始まる。
でも、肝心のあの子はまだ来ない。時間だけが、じわじわと進んでいく。
──そして。
「……っはぁ……は、はいっ! 遅れてすみませんっ!」
ドアが乱暴に開き、慌てた声とともに駆け込んできた黒髪の少年。
息を切らして、額に汗をにじませ、必死に教室を見渡して──
「うちはオビト」
先生が名を呼ぶ。
私の心が、一瞬だけ“音を立てて”
その視線が私とぶつかったその瞬間──
“ああ、やっぱり、戻ってきたんだ”って、ようやく心から思えた。
(ここから、やり直す)
プロットもろくに作らず見切り発車しちゃったのでどうなるか
1話あたりどれくらいの文字数だと嬉しいか教えてください!!
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5000〜6000
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7000〜8000