異世界迷宮でハーレムしない   作:とくめい

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第13話

物販とかどうだろう。

ギルドから買った回復薬を直接手売りする。値段を10倍くらいで。

宿からお弁当販売の委託を受けてもいい。金額はやはり10倍くらいで。

給仕をしてもいいか。料理を運んでソースをかけたり一声かけたりするサービス。料金は10倍。

亭主と相談し、購入者は歌のステージに近い所に配置してもらえるとか。

 

恐ろしいアイデアを思いついてしまったかもしれない。この世界に、握手会の概念を生み出してしまってもいいのか。この己が、人の業を。

メイド喫茶の方くらいはセーフかも。

 

パピルスを小さく切り分け、アタリとハズレを示す何かを作るとか…SSRを引いたら最前面とかで。

 

あ、あわわわわ…だめだ。これ以上いけない。この思考はまずい。

現代地球には生まれてはいけなかった文明も存在する。

転生者が異世界人に握手会とかガチャとかさせたらダメでしょ。

 

 

異世界アイドルって漫画ができたらやっぱ握手会すんのかなーとかくだらない事をぼけーっと考えていたら声をかけられた。

亭主が来たらしい。

 

どうやら楽器をつけないかとの相談のようだった。

歌を聞いた客で楽器弾けるやつが是非にと声をかけてきたとかなんとか。

己は作曲はわからんのでお任せした。色々歌ってるしキリもなくて大変そうなので。原曲の音を伝えるのはイメージだけであっても無理そうだ。

 

己の歌を聞いて感じたものを音にしてほしい。そう本人に伝えたらなんかめっちゃ響いたっぽい。↑の理由をそれっぽく伝えようとしただけなので根底にあるのはめんどくささだったから罪悪感が湧いてきた。両手を組んで美少女全開で喋ったのがいけなかったのかな。

物凄く使命感に満ち満ちた顔で貴方に相応しいものを捧げますとかなんとか言ってイケメンの吟遊詩人は去っていった。亭主がわざわざ仲介かけてくるくらいだから多分結構高名な人なんだろうなー。

部屋に戻って異世界アイドルのあらすじでも考えようかと思ったがここでまた閃きが走った。

 

もちろん異世界アイドルなんてキワモノではない。オセロとかそういうのならいけるんじゃね?

異世界ものの定番だったはず。原作ではどうだったか知らないのだがこの世界ではオセロあるのかな。

ヤンガスとアシュリーに聞いてみた。

どうやら無さそうだ。娯楽もないし己はすぐ飽きるかもしれないが、最悪二人が楽しめればいいかと製作する事を決めた。

どうやらチェスとかもないみたい。あれか、人間同士の戦争とか少ない世界だからかな?迷宮をツブさないと人類の生存圏どんどん狭くなっちゃうもんね。

オセロは代用がきくので適当なものを使って今でも出来るだろうが、売り物になるか見せたいし折角なら木工職人にそれっぽいもの作ってもらいましょう。ついでにチェスも作ってもらうか。こちらは二人が気に入ってくれればずっと楽しめる。駒の種類は適当にこの世界っぽく設定し直して。

 

二人に相談してみるとこの町にも木工職人自体はいるが、近くの町に職人が集まる地区みたいなのがあるようなのでそっちがお勧めらしい。

なら明日は迷宮もお休みにしてその町に遊びに行こうと二人に伝えた。

 

 

先ずは己がいけるように冒険者ギルドへ赴く。ドロップの売却は探索者ギルドで行っていたため何気に初めてである。

町の名前はソーンウッドというそうな。というか住んでる町の名前も知らなかったので教えてもらった。サウザンドリーフだそうだ。

 

無事ブクマして二人の待ち合わせ場所にひろいにいってもう一度ジャンプ。

具体的に何が違うとかはないが違う町ってだけでなんとなく雰囲気が違う。異世界迷宮RTAの民となっていた己も異世界の町並みを穏やかな心で見渡せるようになってきていた。

三人で屋台の食べ物を軽く摘んだりしながらのんびり散策する。

日本の気候と違い、湿度が高いわけでもなく過ごしやすい地域だ。思えばこれまでは気候だとか気にしてなかった。やはり心の余裕がなかったのかもしれない。RTA神のご加護は情緒とか感慨を無視させる傾向がある。

 

職人通りと呼ばれる通りへ出た。二人もどこが木工職人かまではわからないそう。急ぐわけでもないので散歩気分で見て回る。

とすぐにそれらしき場所をアシュリーが発見した。早速向かってみる。

 

声をかけて出てきた男、おそらく弟子か何かかな?に簡単にこういうものを作ってほしいんだ〜と話す。

ざっとした概要を先ずは伝えたが、親方さんを呼ぶということになった。

ありふれた簡単なものだけなら彼で話が終わったのだろう。

 

親方さんはエルフだった。長身のイケメンだが年齢は50代と鑑定には見える。どこら辺が50なんだエルフ。

 

「いらっしゃいお嬢ちゃん。アイツは要領が良くなくっていけねえや。ナニ作ってほしいのかコッチに伝わらん。わりィけどもっかい詳しく話してくれヤ」

 

イケメンの見た目と口調にめちゃくちゃ違和感があって戸惑うわ。

改めて仕様を説明する。オセロはあっさり話がついた。

 

「コッチはカンタンだな。弟子でも片付く仕事ヨ。こっちゃあ、チョイと複雑だなァ?」

 

モチーフにするものは二人と相談した異世界迷宮ナイズドした物だが、そこは自由に変えちゃっていいとこなので親方さんにチェスのルールも説明しながら相談した結果、より良さげなデザインとして調整してくれた。

身内で遊びに使う物だが、ウォルターに売れるか相談する為に渡しておきたいのでそれぞれ2セットを注文した。

けっこう地球のチェス駒とは形が変わることになるので出来上がりにワクワクする。

 

無事に注文を終えたのでついでにもう一つ顔を出しておきたい所があった。

以前もらった奴隷商館の紹介状がこの町だったのである。

 

職人通りを出て商館へ向かう。こっちはヤンガスが案内してくれた。

 

 

「いらっしゃいませ。本日はサウザンドリーフからきていただきありがたく思います」

 

 

あっちの奴隷商人はエレガントだが、こっちは人相が悪人ぽい。ヤンガスといい勝負してる。ロアナプラに住んでそう。

 

せっかく町に来たので顔を出したが、今欲しい人材って明確に決まってるわけではない。迷宮に入れる奴隷を探しているとふんわり伝え逆にお勧めを聞いてみることにした。

 

ロアナプラ在住がこちらのメンツを見たので、現状はこの三人だと伝えておく。彼はうなずき子供がみたら泣いちゃいそうな笑顔でお勧めを連れてくると言って退席した。奴隷って発言が似合いすぎてて草生える。

 

どんな人だろうねーって三人で話しながら待つ。お茶が美味しい。給仕になんのお茶か教えてもらった。お店の場所も教えてもらってお礼を言うとロアナプラ顔が戻ってきた。

連れてきた奴隷は人間族の男だった。30代で戦士のレベルもそこそこ。雑談混じりにいくつか聞いてみた。しっかり戦っていたベテランで感触は全然悪くはなかった。経験が長いだけあって体内時計も自信があるらしい。正直一番そこに惹かれた。

ロアナプラリアンに声をかけられ切り上げる。二人が退出し身内の相談タイムが始まった。

二人も感触は悪くなかったようだ。ただあれだけちゃんとした戦闘奴隷だとそれなりの値がするはず。そこまで金を出してほしいかと言われると悩みどころだった。

ベテランは色々相談出来たり頼れるのもありがたいのだが、己の強みは成長力が大きい。経験無し大歓迎のホワイトカンパニーなのである。

 

まあ値段次第かな?彼ならウチでなくともいいとこ狙えそうだしと結論付けた頃に戻ってきた。

やはり値段が相応に高く、少し苦しいと正直に伝えれば彼も売り込み先に困る事はないという判断だろう。あっさりと引いた。

 

それからは一通り奴隷を見せてもらったがあまり食指は動かず、また来ることにして出直すこととした。

 

お土産にお茶も買ってさあどうしようか〜と相談してみる。

迷宮が最寄りにあればブクマしに行こうかと思ったが、この町から行ける近辺の迷宮はないらしい。職人街があるし優先して対応されるのかな?

 

ん〜じゃどっか新しいとこ行ってもいいな〜二人は行きたいところとかある〜?とふってみる。

特になさそうだ。遠慮してる風でもない。

んーそれなら始まりの村にでも行ってみるか。二人を誘って行ってみた。

 

 

 

 

 

馬小屋の中に出た。馬がいる。久しぶりだな馬ヅラ。ダニも元気か?お前のじいちゃんくらいのやつとは一緒に町へ行ったんだぜ。ダニの寿命知らんからてきとうだけど。

 

「ご主人様。ここは…?」

 

ここは俺の始まり。ここから始まったんだ…

 

「こちらがご主人様の故郷だったんですね!連れてきていただけて嬉しいです!」

 

ご、ごめんアシュリー。うそ。ちょっとミチオ君ごっこしたかっただけなの。

 

 

「?????」

 

気にしないで。いつもの発作だから。でようかとりあえず。くさいし。

 

 

 

馬小屋から出て周りを見渡す。ん〜。変わらずのどかだ。

歩きながら目星をつけていく。誰にしようかな。

 

 

「こんにちは」

 

 

近くの女性に声をかけた。

 

 

「おや、こんにちは。っと、あなたはあの時のお嬢ちゃんじゃないかい」

 

 

「あら。覚えて、というよりご存じでしたか?」

 

 

「血まみれで剣を持った女の子だったからねえ!中々忘れられないさ。とっても別嬪さんだしね!」

 

 

「お上手ですね。ありがとうございます。その節はお騒がせいたしました。…村長のお家はどちらだったでしょうか?」

 

本当は覚えてる。

 

 

「ああ、村長にご用事かい?村長の家はあそこの

 

オーバーホエルミング

 

女性の腰に下げている小袋を奪った。

そのまま後手に隠す。

 

 

…にある家だよう。わかるかい?」

 

「はい!ありがとうございました!あの、こちら落とされたようでしたので…」

 

女性とお礼を言い合いながら別れた。

 

ジョブを確認。盗賊を得た。

 

 

用は別にないのだが村長宅にお邪魔する。

その後どうですか〜などと当たり障りのない会話をして辞去する。

 

次は商人のとこ行こうかな〜

 

商人はこちらを見かけるなり笑顔で駆け寄ってきた。

あれから盗賊被害はないが迷宮の影響か、魔物を見かけることが増えて中々大変らしい。

 

よろしければ軽く間引いてきましょうかと提案すると大変喜ぶ。

その前に是非キュピコを栽培している所を拝見させてほしいとお願いし承諾を受けた。

よかった。どの時期の作物か知らなかったがちゃんと実ってるな。

興味深そうに見ているとよかったらどうですかと勧めてくれたので、自分でとってもいいかお願いしてみる。無事許しを得たので農夫もゲット。

 

これでこの村でやりたい事は終わったのだが約束もしたしちゃんと魔物も狩っていくとしよう。

 

村の魔物を狩る担当だろうか、話を聞きつけたようで同行の申し出を受ける。

まあ己は困ることも無し、どうぞと承諾した。

 

お喜びのところすまないが、美少女の理不尽な暴力を見るだけで何の役にも立たないと思う。

 

レーダーアシュリーの導く先で暴力をふるうことしばらく。

最初はアイドルを見るような瞳で己を見つめていた若者たちの目が畏怖だったり憧れだったりヤンガスに温度感の高い目を向けるようになったりしているうちに近辺でアシュリーが感知できる魔物はいなくなったようだ。

 

それなりの量の素材を前に興奮する若者たち。ではそろそろ戻ろうか、と話していたところでアシュリーの耳と鼻が次の状況を感知した。

 

「馬です。いくつかの。村の方へ向かっています」

 

 

盗賊の襲来だった。

 

 

 





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