異世界迷宮でハーレムしない   作:とくめい

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第17話

カールを連れたまま宿に戻れない。今はまだ。

奴隷商館が開く頃まで盗賊の拠点で休む事も出来たが、する気にならなかった。

町に戻り、既に開店しているパン屋や屋台を回って時間を潰そう。

 

随分、久しぶりにマトモな飯にありつけたな。ありがとよ。とカールが言った。

凄まじく鍛え抜かれていたであろう身体だが、不摂生と無茶な生活サイクルを繰り返したのだろう。やつれ弱っていた。

 

この後は奴隷商館で彼を己の奴隷にする手続きを行う。

流れがわかってないので聞いてみるとカールが詳しかった。流石。

と言っても特に難しい事もないようだ。盗賊を売ったが、アレが所有の手続きになるだけだ。

当然商館側にメリットがないのである程度の事務手数料が発生する、と。

ならば憂う事もない。商館へ向かう。

 

連日の取引にエレガントは喜んでいる。よく利用してくれる客だからか手数料だけの仕事にも面倒そうな態度はおくびにも見せなかった。

 

いつもの流れで契約が完了し費用を支払う。これでカールは己の奴隷になった。

 

何から始めたものかな…買い物した方がいいよな。

しかしカールはともかく二人に負担をかけどおしである。

ヤンガスには宿への説明をお願いし、アシュリーには買い物に付き合ってもらった。

さっさと日用品と服飾品を揃えておく。

そんなにいいのかというカールを流しつつ、とっとと帰宅だ!

 

亭主さんに謝った。鍵も返さず出かけた上、一人増やしてるのだ。

鷹揚に許してくれたが己の歌と美少女力でカバーしていくしかないだろう。

カールさんのカードチェックも済み、ようやく部屋に戻れた。

 

カールが部屋の豪華さに引いている。

 

「また随分なとこに住んでんなお嬢ちゃん。おっとご主人サマ」

 

「お嬢ちゃんで構いませんよ。そうですね

…この部屋に住んでいることにも理由があるのですが。今はいいんだ重要なことじゃあない」

 

全員でソファーテーブルを囲む。

 

己の事を簡単に話す。興味深く聞いていた。一部は納得しながら。多分オーバーホエルミングの事だろう。

 

そして己の力がパーティメンバーのジョブにまで及ぶのだという事を伝えた時に表情が止まった。

 

「……今、カールさんがなれるジョブが以上です。何に成りたいですか?遠慮なく言ってください」

 

カールは騎士と盗賊以外ならなんでも。と何でもないことのように言った。騎士に関しては少しすまなそうに。

 

決めてしまう前に、現在の戦い方について話した。

カールさん完全にドン引きだった。いや、これからは優秀な前衛がいますから変わりますよきっと…

 

改めて、その戦い方ならなおさら何でもいいんじゃないかとのこと。んーなら。

 

 

「暗殺者はどうですか?」

 

「あァいいな確かに。わかった。それで行こう」

アレだけ騎士で高レベルだったので暗殺者の有用性も理解しているようだ。

ただ、妙に寂しげに感じた気がして気になった。

何もねーよと返された時にはもう消えているくらいの違和感だったが。

んーならいいのか。

 

「得物はエストック利用してましたね。お見事でした。死を意識しましたよ!」

 

その言葉にはヤンガスとアシュリーが驚いていた。二人でこそこそヒソヒソしてる。

 

そんな…あの…ですよね…ええ…ねむかったん…そのかのうせ…

 

なんか聞こえる。

 

「あの。カールさん本当に凄かったんですよ!」

 

「お嬢ちゃんに負けたけどナ」

 

悔しーぜーとか全然悔しくなさそうに言ってる。

アシュガスはそんな余裕そうなカールを驚きと尊敬の目で見つめ始めた。

もう放っとこう。

 

「いい武器ですし、カードも必要ですから準備が整うまではそちらを使っていただいて。って、そういえば凄く馴染んでる様子でしたよね。思い入れがお有りですか?」

 

手足のように使いこなしていた。己にはわかる。あれ程に使いこなせた得物が己にはないから。

 

「大したことじゃあない。ただ、コイツも中断がついてっから暗殺者の繋ぎには上等だぜ」

 

おおお素晴らしい。スロット見てみよ。

 

 

強権のエストック

詠唱中断  ◯ ◯ ◯

 

 

は?神じゃん。

 

驚きの顔でつい凝視し続けてしまった。ヤンガスが気付く。

 

「ご主人様。もしや、そちらのエストックには…空き、があると?」

 

「!!その通りですヤンガスさん!!なんと!このエストックにはまだ三つもの空きがあるのです!素晴らしいですよ!」

 

最終装備がデフォルトできたーカールさんに遣われるために生まれてきた武器に違いないーなどと我ながら意味不明にテンションブチ上がってるとカールさんから突っ込みが入った。

 

装備とスキルスロットについて説明する。

 

放心してるカールさん。ふふふ。驚くのも仕方ありません。これぞ我が異世界迷宮奥義の一つ。石化と麻痺を付けた時のあなたの顔が楽しみですねェ…

やべえよ後一個何付けよ。くっそ楽しくなってきやがったぜ。

そうとなったら寝てちゃいられねえ。おめえの出番だ!ウォルター!

なるはやで頼むぜ!

 

あ、ついでに防具も買っとこう。とっといた盗賊の装備は処分しちゃいましょうね臭いから。

 

気持ち早歩きになりながら商人ギルドに向かう。

美少女力をギリギリ維持できる速度での早歩きは己の心情を表していた。

 

呼び出したウォルターに早速ブチかます。

 

「潅木とサンゴをそれぞれ一枚。それからコボルトのカードを一枚…いえ二枚。コボルト一枚はゆっくりで構いませんが他三枚は可能な限り早急に手に入れてください。上限はあえて設けません。お任せします。意味はお分かりですよね」

 

未だかつてないプレッシャーが己から放たれていることだろう。

経験豊富な仲買人であるウォルターも目に見えて己の迫力に気圧されていた。

 

「……はい。ただ、……いえ、全力を尽くさせていただきます。ご注文になられていたイモムシですが、二枚揃ってございます。どうぞ」

 

パーフェクトだ。ウォルター。あとイモムシ一枚追加よろ。

 

冷や汗を流しながらも面目を保ったウォルターは正しくプロであるといえよう。流石は美少女の担当仲買人よ。チョッパやで頼むわ。今後ともよろ。

 

ウッキウッキで防具屋にゴー!

 

 

「装備のお好みは?」

 

「何でもいいぜ。甲冑も革もどちらでも問題ない。まァ甲冑だと僅かに剣が鈍る時があるがなァ」

 

なら革!竜革!あとヤンガスも全部鋼鉄に換えんぞ!あアン?金ならあっから心配すんなや!ギャハハ!

 

ふう…物理的な暴力もいいけど資本主義的な暴力もたまんないよね…

 

買い物ってストレス発散になるよな。超気持ちよかった。

何なんだ。全ての懸念が一気に解決した気がするぞ。

これが美少女の運命力なのか。

明日から私たち一体どうなっちゃうの…!?

ヘッヘッヘフッフフフハーハッハッハッハッハア!!!げほっ

 

 

 

 

寝よ。

 

 

 

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