異世界迷宮でハーレムしない 作:とくめい
ダンスホールではみんなが主役!楽しんでくれよな!
今夜は軽く踊ったりしてみる。想定していた通り抜群のセンスを持っている美少女ボディ。客の歓声が凄まじい。
余りに気持ちよく自由自在に動く己の身体と客の反応にどんどんと興が乗っていく。すまんアシュリー。予定は変更だ。
今夜己はマイケルジャクソンになる。
身体能力のみでゼログラビティを実践したりやりたい放題暴れ散らかし最後は伝統のムーンウォークで会場を後にした。
今夜の己はクイーンオブポップだ。
まだ酒場からは興奮の声が止まない。
すげえよマイケル。アンタは異世界の住民も虜にしちまったぜ…
アシュリーがおひねりをもってついてきた。
ごめんね勝手に予定と変えちゃって。しかし彼女も大興奮だった。
今度は一緒に踊ろうね。めっちゃ嬉しそうにくるくる踊り始めて可愛い。
ヤンガスも己の新境地に感動を隠せない。ご主人様は何処まで行かれるのか。最後の最後まで己についていき全てをこの目に焼き付けたいと忠誠と覚悟を新たにした。迷宮の活躍でもこんな感動してないのに。
カールもすげーどうやってんのと興味津々の様子だ。身体能力のゴリ押しです。
亭主がわざわざ部屋まで差し入れをもってきて労ってくれた。興奮の目でめっちゃギラギラしてる。こわ。
アシュリーはまだ部屋の中でくるくるちょこまか動いていた。
己は戦って歌ってその上踊れる美少女である。
蝶のように舞い蜂のように刺す。
早朝の戦いぶりも我ながら美しい。なんか昨夜踊ったのが意外といい影響を与えている。色々試した中まさかダンスが一番動きに影響を与えるとは思わなかった。
武は舞とかどうとか昔読んだ漫画があったなーとか思いながら身体を動かす。
実に心地よい。
しかしボス部屋が見つからない。なんてこった。広いぞ迷宮。アシュリーの超感覚をもってしてもボス部屋そのものを捉えることはできない。
付近の様子から想定を重ねる事は出来るがそこまでだ。
まあ単純に運が悪い。狩りは効率的なのだから正直気にはしていない。
カールが真剣な目で己の動きを追っていた。やはりわかるようだ。己の変化が。
カールと剣についてだらだら話すのは楽しい。
己にとっての命のやり取りを伴う実戦は当然この異世界が初めてだったが、カールの剣は異常なほどの実戦的なものだった。
この異世界は戦争が少ない設定だったはずだ。己も確かそうした。
人同士で争う余裕がないのだ。迷宮に呑まれてしまう。
それでも人と人の戦いは起きる。悍ましい盗賊ども。
カールは迷宮でも一流のベテランだが、あの夜での戦いは迷宮で戦っているだけでは到底身につくものではないだろう。
灯りを唐突に破壊したり、純粋な剣の技術以外でも戦場を自分の優位に持っていく駆け引きにたけすぎていた。
この世界において、恐らくはトップクラスの人殺しの技術だった。得意になってしまう程、どれほど暗闇の中もがき戦い続けたのか。
彼はあの夜、何でもすると己に言った。彼は絶対にその約束を守るだろう。
彼は、そういう男だった。
「嫌だね」
心底嫌そうにカールは言った。ダメか。いい声してると思うんだが。
まあファンの反応も怖いしやめとくか。ヤンガスもありがとう!やっぱりアシュリーと二人にしておくね!
昨夜のマイケルジャクソンが良すぎて、男性ボーカルにも着目してるのだ。ちょいちょい男性曲自体は歌ってはいたのだが、もっとこう、オスを感じるボーカルが欲しくなっていた。
まあ仕方ない。己が歌うのは己が楽しいからなのが一番の理由で、アシュリーも歌を楽しんでくれるから一緒に歌っているのだ。無理強いはしまい。
フライから日もたってないが、ファンも期待してくれているようなので本日も料理をしよう。
亭主と料理人に、今日もいいだろうかとお願いをして許可を得た。
アシュリーを連れて食材を調達する。ウサギ肉とヤギ肉を迷宮から収穫した。
後は酪だろうか。うわ高。他は宿にある食材で良いだろう。
作りたいのはグラタンである。ホワイトソースを作る。この時点で最高に色々美味しいのが出来るので調理人たちに共有だ。ホワイトシチューも作ってもらおう。
パスタの成形に難儀した。流石に作った事はないので割と適当である。
ブラッシュアップは任せた!
己ではラザニアの板状な感じと適当に捻って千切った感じのものを用意した。
茹でてー、皿にオリーブオイルとー、肉とチーズとーって感じでふんわり適当にやってオーブンだ。
勿論焼き時間なんて知らない。調理人のセンスに任せる!
まあそれっぽいのができた。迷宮産素材が美味しいから全然うまい。
このグラタンもどきとシチューをまた今夜振舞ってほしいとお願いした。己も食べたかったから期待しちゃう。
これでより洗練されたものが提供されるであろう。
己とアシュリーも生地を捏ねたから。5秒くらい。手作りで間違いない。己は嘘はつかない。
ちゃんとお金は出すからよろしくね!チップもはずんでおいた。
フライよりは流石に手間と時間がかかってしまった。
なので唐突に休暇にした。お小遣い支給!銅貨と銀貨両方適当に握って持っていって!むしろお願い!
ウォルターへの支払いも現代日本だと断られる以前に殴られそうな払い方をしたのだが、この世界ではよくある事のようなのでそこは全然気にしてなかった。注文では流石に固まっていたが。
みんな好きにしていいよ〜!と言ったのだが特にしたいこともないらしい。んーなら一緒に行く?
この異世界迷宮版クーラタルのサイレントヒルと、そこに向かうまでの帝都にブクマしておきたかった。ついでに物件も見てみたい。
先ずは帝都に向かう。流石は帝都行きですんなりブクマできた。みんなを迎えに行って次は目的地だ。
サイレントヒルも人気なようであっという間。よし探索だ。
せっかくなので迷宮にも入っておく。入場料も取られたし地図も売ってた。荷物になるから買わないけど。
原作と同じで魔物が出るからだろうか村人達のレベルは立派なものだ。
盗賊も出ないだろう。返り討ちに合いそうだ。
原作では世話役が居たはずだ。キョロキョロしてると声をかけられた。その人が世話役だった。
己のような人は多いのだろう。すぐに案内を買って出てくれた。
案内を聞きながら歩く。町は迷宮を中心に区画が分かれている。まんまクーラタルですね。
ミチオ君の家みたいなとこもあるようだった。えーいいじゃんどうしよ。
ご飯作る時間で迷宮に行きたい戦闘民族な己だった。それはそれとして美味しいものが食べたいので調理人を唆しているのである。
でも、お風呂入りたい…日本人の魂だった。シャワー派だった癖に。
手に入ると思うと途端に欲しくなるものである。
世話人に苦渋の表情でキープ!とお願いしておき、クーラタルじゃなかったサイレントヒルを離れた。
帝都に戻った。
「あの…個人的な感情なんですがあの家が良くてですね…みなさんは何かあります…?」
あの宿を離れるのがただ不思議そうなだけで住むところ自体はマジでどうでも良さそうだった。ほら、宿離れると家事しなきゃじゃん…?
アシュリーには、周りの家と離れてるからお家でも歌えるよというとめっちゃ乗り気になった。ヤンガスも。
「それで、ですね。前に相談した奴隷を増やしてみたいと思うんです。
家事をしてくれる方ですね。迷宮以外のお家のことをお願いしたくて。
料理上手だったり料理上手だったりとかする人です」
それで帝都に戻ってみた。ここにも奴隷商館があるだろう。
生憎土地鑑のあるメンバーがいなかったため冒険者ギルドで道を聞いて商館へ向かった。
「いらっしゃいませ。どのような奴隷をお探しでしょうか?」
なんと。平成の奴隷商人の名作たる撫で撫でゲームに出てくる奴隷商人にそっくりだ!
なんてこった。自分にとっての奴隷商人の正解が来てしまった。
知らず唾を飲み込む。まさか。いるのか。あの子が。
「家事をしてくれる方を探しています。料理上手ですと特に嬉しいです。恐らく7、8人を世話する事になるので一人か二人欲しいですね」
今更だがウチのメンバー全員でゾロゾロ連れ立ってきてた。
まあこれだけ奴隷を所有してるなら上客扱いになるだろう。
「かしこまりました。どれもご希望に添えるかと思いますので一通りお見せ致しましょう」
自信を感じる言葉だ。流石は帝都の商人。
求める条件的に基本女性奴隷なので男性陣にはお茶飲んでてもらう。
美味しかったから後で銘柄聞こ。
あっ
「すみません。クーラタルじゃなかったサイレントヒルに住む予定なのですが…」
「ああ成程…魔物ですね。ふむ。少々お待ちいただけますか?一人、特に条件に見合いそうなものをお見せ致します」
町中に魔物がポップするような場所なのを伝え忘れていた。だが流石は帝都の商人。すぐに理解を示し流れる様に次の提案へ。
キミ仕事できるねって言われない?
「こちらがお客様にお勧めする奴隷です。猫人族で迷宮経験も御座いますので弱い魔物程度でしたら問題ありません。ただご覧の通り迷宮で負った怪我がございます。本格的に迷宮に潜らせるのはお勧め致しません。その分お安くお譲りできます」
猫人族の少女だった。猫耳可愛いね。ただ言われた通り少し足に問題があるようだ。
「よろしくお願いいたします。シルヴィと申します。迷宮での怪我はありますが日常生活に問題はありません。料理も、家庭が食堂をやっておりましたので経験があります」
名前で草。
一部の方しか通じないネタばかりで申し訳ございません。
シルヴィですが、特に元ネタそのままの見た目などとは申しませんというより主人公含めビジュアルは皆様のお好みを想像いただける様あえてぼかしております。シルヴィは猫耳がついた少女という以上の見た目の描写は今後もしないかと思われますのでどうぞお好きな外見をご想像くださいませ。それが貴方様のシルヴィでございます。
ただしアシュリーが色々小さい事は確定しております。ここは譲れません。
ここで本編には恐らく関係しないどうでもいい設定をお出しします。
読み飛ばしていただいてもなんら問題ございません。
原作で街を歩く際のフォーメーションですが。ロクサーヌがミチオ君をガードするアレですね。
当作ではアシュリーを守るフォーメーションとなっております。
主人が真正面でど真ん中です。迷宮と同じですね。
ただ誰よりもアシュリーが周囲全体の警戒を行っています。
彼女はその弱さから侮られ、力のない己に歯噛みしていました。
現在でも戦う力を持たない彼女ですがその能力を認められて強く求められている現状を何よりも誇りとしています。
主人公くんちゃんの目線ではただ有能なかわい子ちゃんですがアシュリーは戦場以外でも一切の油断をせず常に主人の周囲を確認し続けています。戦闘以外は大体なんでもできる子で歌も上手いです。