異世界迷宮でハーレムしない 作:とくめい
「おはよう。おねえちゃん」
!!!!!!!!!
突如
己の脳内に溢れ出した
存在しない記憶
ソフィアが己とピクニックしている――――
ソフィアが己にねだり、かってあげたぬいぐるみ――――
ソフィアと己が遊園地でコーヒーカップに乗って笑い合う――――
そうか。
己は姉なる者だったのか。
己がこの異世界に来た理由。
ようやくわかった。
そう。己がお姉ちゃんだ。
「はい!お姉ちゃんです!おはようソフィアちゃん!」
見てくれよ己の妹。かわいいだろ?
今日は、一緒に服を買いに行こうね!後は、寝具だね!
それとも一緒に寝る!?
いや、駄目だ。己もそろそろ妹離れしないとな。
一緒に寝るのは二日に一回くらいが良いだろう。
ソフィアが一緒に寝たいというなら仕方がないが。
それはもう仕方がない。
残念だが、妹のためにもベッドは必要だ。
己は妹の健やかな成長を願っている。
己の気持ちを押し付けるだけが愛ではない。
後は細々とした日用品を揃えて〜。
今日は皆お休みにしたから、一緒に歌も歌ってみる!?
楽しいよ!無理にとは言わないから先ずは聞いてみてね!
楽しんでくれるとお姉ちゃん嬉しいなあ。
興味があったら一緒に歌ってくれたらもっと嬉しい!
あとね!今日はいい物が来るから、楽しみにしててね!
「おはようございます。我が主」
「………おはようございます。カールさん」
「我が主。私の事はどうぞ呼び捨てに」
「…………善処します。カールさん」
誰だお前。
今日は早朝の探索もお休みしてダラダラしているのだ。
迷宮行かないとヒマかなって思ったけど偶にはいいなこういうのも。
お茶がうめえ。
しかし己の斜め後ろにずっと控えてる人が気になって寛ぎきれねえ。
「……カールさん。いい加減一緒に座ってくれませんか」
「恐れ多い事です。我が主」
すまし顔で流された。
睨みつけてやるとニヤリと笑う。
コイツ、わざとやってやがる…
「……参りました。カールさんは私の騎士という事で…ただ、今まで通りしてくれませんか。騎士として振る舞うのも似合ってますし、そうされたいお気持ちも理解はしますが、ちょっと私では器が…すみませんが…」
「…ククク。ハイハイこれでいいかお嬢ちゃん」
「そう!それで!お願いします」
これでよし。騎士との存在しない記憶は存在しない。
それよりもソフィアと遊ぶのだ。オセロだけじゃなくてチェスも普通に楽しんでくれてて嬉しいぜ。
シルヴィが蒸しパンも作ってくれたので皆大喜びだ。
ソフィアも超喜んでる。尊敬度が上がったようだ。シルヴィへの。
あれ?おかしいな。おかしくはないか。
ここは歌うしかあるまい。
姉の美声に酔いしれるがいい。
よし。尊敬度を勝ち取れたな。やはり美少女は勝利する。
シルヴィにドヤ顔を見せたが、微笑ましい笑顔で見られ返された。
可愛い勝てない。
ほ、他に…何か誇れるものは…力…?ベッドでも振り回してみる?
頭を心配されるだけか。
いいんだ。美少女は慌てない。
何故かずっと姉だった気がしていたが、冷静になると姉になったばかりなのだ。
迷宮でいうなら1層に突入したばかりなのだから落ち着いて攻略するべきだろう。
差し当たっては買い物に行くのだ。
この町を案内しようじゃないか!アシュリーがな!
あれ?おかしいな。おかしくはないか。
アシュリーとソフィアを連れて服と日用品を揃えた。
装備品も揃えておかなければ。町中でも魔物が出るからな。
ベッドを買うところでようやく活躍を見せられた。
調子に乗って片手で持ってドヤ顔してたら店員に嗜められた。
すみませんでした…
お家にベッドを配置したら一人で帝都の寝具店である。
これで必要なものは揃っただろうか。
「あ、私のミサンガをソフィアに渡します。異論は許しません」
盗賊に腹を刺された時に切れたらしい。母に付けて貰っていた。
驚くのが、刺された際にわざと剣を両手で握り血を付けて致命傷を偽装した事であった。幼女の発想とは思えない。
隙を見てもう一人くらい道づれにしたかったが、二人やられて警戒してたため諦めたとか。幼女の発想とは思えない。
己は住んでいた町への移動代を必死になって稼いでいるのではと考えていたのだが、己が昨日聞いたような事は当たり前の事で、ソフィアのような小さい子であってももう一人で生きるしかない事を理解して行動していた。奴隷になるか死線を潜って力をつけるか。ソフィアは力を選んだ。
戦闘技能は、もっと幼い頃から騎士になったカールおじさんに憧れてみんなに稽古をつけてもらっていたそうな。
男連中の稽古はチョロ甘だったが母の稽古は厳しかったらしい。
さすがに迷宮にはつれていかなかったため盗賊が初陣だった。
英雄のジョブも生えている。行動が英雄だもんな。
己の力についても大体話した。ソフィアは奴隷ではないがまあそこは信頼するって事で。内緒にしてね!
英雄鉄板だとは思うが、騎士への憧れもあるだろうし希望を聞いてみた。
英雄のジョブを選んだが、この世界だと大丈夫なのかな?簒奪がどうとかは。皆気にしてなさそうならいいか。
迷宮にはむしろ入りたがったが己が渋った。せめて英才教育という名の養殖で良くね。せっかくできる環境なんだから利用するべき。
「だめですか。おねえちゃん」
「はい。貴女は足手纏いです。私とカールさんが稽古をつけます。いない間の特訓内容も考えておくので合格点が出るまでは許しません。それまではシルヴィをお手伝いしてあげてくださいね」
上目遣いされても絆されません。ま、負けないから…
「我が主。ミサンガですが」
「異論は許さないと言いました。私を守るのではないのですか私の騎士」
「はい。必ず」
お昼に望むものが到着した。
風呂桶!早速やってやろうではないか…
一人用の桶なのでウォールだと上手く入らん。ボール?だるない?
まあやってみる。………溜まってるかこれ?
未だかつてない強敵だった。アシュリーを召喚しデュランダルを使ったMP回復をする。魔法の消費MP物理と比べてキツい。泣きそう。
もう薬でいっかとヤク漬けになりながらお風呂は完成した。
遊び人あってもキッツイわ。一人用だから頑張れた。大人数用だったら頑張れなかった。
お風呂の入り方…説明しないとダメか。
取り敢えず女性陣集合!ソフィアを使って説明しよう。
先ずは湯をかぶって〜身体と頭を洗って〜湯船に浸かる!
アシュリー用に湯船用の椅子も用意したがソフィアでも使えるな。
ちょいちょい継ぎ足しが必要だがこのくらいなら問題にならない。
己も実にさっぱりできて最高の気分だ。それはそれとしてシャワーも浴びたい。
男性陣への説明が面倒だ。身振り手振りで説明した。
好評で何よりだが面倒すぎるのでせめてウォール受けの何かが欲しい。
クッソ重くなるけどそれは己なら問題ないし。
困った時のアシュリーシルヴィだ!何とかして!お金渡しとくから!
いい感じのお願い!
午後は早速稽古してみた。
得物は両手剣がお好みらしい。そもそも剣より槍の方がよっぽど強いと思うのだがなぜ剣を選ぶのだろうか。己が言うのもなんだが。
めちゃめちゃ真剣な素晴らしい弟子であった。
なので真剣にいじめるしかない。
才能もやる気もないなら適当であれたのに。
かわいいから甘やかしたいのに世界がそうさせてくれない。
しかも偉そうなことを言っておいて教えられる自信があるのは対人のそれも競技の技術だ。ソフィアは喜んでくれたが。
己がこの世界で身につけてきたものはこの身体の性能を活かした戦い方になってしまう。
基本的な剣はいいとして実践的なものはカールにお願いした方が良さそうだ。
トレーニングについてはそれなりに知識があるがまだ子供だしやり過ぎが怖い。
戦わせたくないなあ。子供も戦わないと生きられないとはいえ。
甘やかしたい。
てか稽古するならお風呂夜がよかったな…
誤字報告と感想、誠にありがとうございます!大変励みになります…!
ソフィアちゃん周りの説明中心の回となりました。
異世界迷宮なのにお風呂がチョロっとしかない上シャワー浴びたいとか言ってるのは自分でもやばい気がします。
感想でもございましたが、ソフィアちゃん周りについては私の力量不足により描写も説明も不足していることと思います。申し訳ありません。
今回もソフィアちゃんは全て細かく話しているわけではないためモヤモヤが残ってしまうかと思うのですが、何とか今後上手く表現していけたらと考えています。かわいい大人しい幼女を期待されていた方には思いの外ヴァイオレンスな幼女に解釈違いになってしまったら申し訳ありません。
今後もよろしくお願いいたします。
ついでにどうでもいい設定ですが、ソフィアちゃんが付けていたミサンガは母、つまりカールの妹のミサンガはカールのプレゼントで、主人公くんちゃんが切ったカールのミサンガは妹さんのプレゼントでした。
カールさんは勿論そんなこと絶対言わないのでここに書いておきます。
ちなみに切れたミサンガはカールがこっそり拾って大事に懐に入れています。
主人公くんちゃんが知ったら絶望しそうですね。酷いことするやつだ。