異世界迷宮でハーレムしない   作:とくめい

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第34話

ソフィアは特訓を続けたがったが、適当なところで切り上げた。

ガッツもあるし実際に迷宮で戦ってきた子なのだがどうしても責め切れない。

元パーティメンバーとか他の友人とか生存を知らせたい人に会いにいく?送り迎えするよと言ったが、向こうの都合もあるのでまた今度お願いすると言われた。そらそうだ。

昨日の今日だし、二人はゆっくり過ごしてくれと己は出かけることにした。

とはいえ特にしたいことはない。迷宮くらいしか…やはり中毒…?

この前の新しい迷宮行ってみるかと飛んでみた。

 

1層はコラーゲンコーラルだったなあと思いつつ彷徨ってみる。

うーむ。迷宮はまだ行けません!お姉ちゃん許しませんよ!とは言ったがこいつ相手なら余裕なのでは。

それを言ったらニードルウッドも楽か。

こっちの迷宮を1層から順番に進めるってのもなくはない?

いやーどうせ迷宮に連れてくるなら効率悪いだけだ。

己は結局あのまだ幼いかわいい子を戦わせたくないだけだった。

英雄のバフ効果だけでもいてくれるだけでクソ強いし。

もはやずっとお家にいてくれていいまである。戦うのはお姉ちゃんがやるから…。

でも本人がめっちゃやる気というかやりたがってるんだよな…

己の基準で考えるのもどうか。己がもし急に死んだとしたら残せるものは力だろうし。悩んでしまう。

そして道とか敵が全然わからん。

アシュリーに頼り切りになっているからむしろ以前より悪化したかもしれない。

せっかくきたけど帰ろっかな…。

 

家に帰ってため息をついてしまった。はぁー…

アシュリーが心配げに声をかけてくれた。心配までかけてしまってすまない…すまない…

 

「暇だったので新しくできたっていう迷宮の方に遊びに行ったんだけど、道もわからないし魔物とも全然会えないから帰ってきちゃった…アシュリーがいないともう無理…」

 

「いつでもご一緒しますよご主人様!今から行きますか?」

 

なんて可愛いんだ。なでなで…永遠に撫でられるぞこれは。アシュリーがはげてしまう。

じゃあお言葉に甘えて連れてっちゃおうかな…

新しい迷宮の方にとんぼがえりだ。

 

アシュリーと二人で迷宮なんて初めてだな〜。

そして何と快適なことか…超らく…

アシュリーも急に付き合わせてるのにめちゃ楽しそうでびっくり。

そんな迷宮好きだっけ?え、ご主人様と一緒が楽しい?

何なのこの娘。可愛過ぎない?

きゃっきゃうふふしながら1層の魔物をしばき倒す。

なんかある意味デートじゃん。

血生臭いけど。

 

特に他人を避けていないため、美少女二人がイチャイチャしながら片方が間合いに入った魔物を一撃で消し飛ばすという謎の光景がすれ違うパーティを混乱させていた。

 

お、ボス部屋だ。

なんか辿り着いた。どうせだから倒してこっかと気軽にも程があるノリだった。まあ1層だし。

中に入ると順番待ちが。見覚えのある二人組もいた。

戦士と探索者コンビだった。

おー!たまたまやんけ!え、己ら?暇潰し。

マジで暇つぶし以外の何でもなかった。ちょうど良かったのでヤギ肉をくれてやろう。いっぱい食べろ。

アシュリーを紹介した。己らのパーティの最重要メンバーである。

索敵と可愛い担当だ。触ったら首を刎ねるぞ。

聞くと1層は普通に二人とも大丈夫で周回して経験積んでるそうな。

なら邪魔するのも野暮やなー

手伝いが欲しい時は遠慮なく声をかけろ!これも縁やで。

2層の敵を聞いてみたらイモムシだった。

ソロだと怖いけどコンビなら大丈夫か。

もしカードが落ちたら買うやで〜。

最初は仲買人の手数料もバカにならない。

とか言ってたらたまたま2層で手に入れたのがあるらしい。

やるじゃない…今の相場いくらだっけ。

ちゃんと相場も調べたらしい。そこは信用するとして少し色つけるからどうだろうと相談してみた。

売ってくれた。己は注文の手間が省けてすぐ手に入って幸せ。コンビは手数料かからず売れて幸せ。素晴らしい。

途中慌てて鑑定しなきゃだよなって言ってきたが当然己には必要ない。

面倒だしいいよ信用する信用すると軽く流す。実際面倒なだけ。

なんか聞きたいけど我慢してる顔をしている。

わかるよ。鍛冶師だろ。

うーん。さすがにスキル融合はな。

色々持ってるのあるからたまたま持ってるのがあるかもしれんし、欲しかったり融合したいものがあったら相談してって感じでお茶を濁しておく。

売りたいカードもこんな感じで買うから今後も声をかけてほしい。

その後も適当に世間話を続けているとコンビの順番が来た。

いってら〜と声をかけると先を譲ってくれるらしい。どうせすぐ終わるだろうしヤギ肉もらったからなと。

でお言葉に甘えてお先に失礼しよう。またねーと声をかけてボスを瞬殺した。

何か友達できて嬉しいぜ。また野良パーティ組んで遊びたい。

もうフレンドだから野良じゃないか。

 

キリがいいので迷宮は終わりにするとして。

せっかくイモムシが手に入ったのでどうせだしイアリングの3穴探してつけようと思い店に向かった。

運良く二つもあったのでどちらも購入だ。己の予備にしてもよし、他のメンバーも同様にするもよし。

 

帰宅しアシュリーを労ってなでなでしたらヤンガス先生に融合をお願いする。

これで己も身代わり持ちに戻った。あっという間すぎて笑う。

そういえば当初の想定通りになっているな?本メンバーが決まるまでは迷宮入らない二人でバフを埋める想定だった。

成人したらソフィアも気兼ねなくパーティ入りだが。うーん。やはりもう一度話し合ったほうがいいかな…

子供を戦わせたくないっていう己の価値観が、この異世界で通用しないのがつらい。実際ソフィアはお家にいてくれるだけで己らの役に立つんだし。その辺も話したんだが自分も戦いたいんだという強い気持ちがソフィアにはあった。

ここはもう一度腹を割って話してみようか。

己も正直に思っている事を全部伝えるのでソフィアの気持ちも教えてもらいたいのだ。

 

 

「えっと。正直に思ってる事を言いますね。私はソフィアちゃんには戦ってほしくないんです。まだ子供だから。そうしなければいけない人もいるって事は聞きました。でもウチはそうじゃないんです。お家の事を手伝ってくれるだけで嬉しいんです。それに家にいるだけで私たちが強くなるし、ソフィアちゃんも強くなれるって話はしたよね?

足手纏いだなんて強い言い方をしたけど正直な気持ちはこうです。

ソフィアちゃんはどう思っていて、どうしたいのか、教えてくれませんか?」

 

ソフィアは真剣な表情で、一所懸命に答えた。

 

「わたしは、強くなりたいです。戦って、もうイヤな人に負けないように。カールおじさんみたいに。お父さんとお母さんのときみたいな、そういう時に、絶対に、負けたくないです。お家にいてもいいって、嬉しかったです。でも、あのときっ、わたしがいなかったらっ、いっしょにたたかえたらっ、おとうさんもっ、おかあさんもっ、おねえちゃんはっ、すごくつよいって、カールおじさんがっ、いってました。だから、えっと」

 

 

泣き止むまで待った。

 

 

「一緒に、戦いたいです。だめですか?」

 

 

 

「いいよ」

 

 

 

 

 

己が誰よりも強くなればいい。

皆を誰にも負けないように強くすればいいだけだ。

 

 

 

 

 

 

夜に、アシュリーとシルヴィを外に誘った。

アシュリーは自分が弱くて戦えないのが悔しいと泣いた。

シルヴィは怪我のせいで、怪我がなくても弱かった自分が悔しいと泣いた。

 

「二人とも自分の戦場で戦っている。

僕はそれをとても、とても頼りにしている。

二人がいなかったら、僕は戦えない。

二人は二人にしか出来ない戦場で戦ってほしい。

敵と戦うのは僕の仕事だ。皆の敵とは僕が戦う。

そこが僕の戦場だからだ。

これからも、僕と一緒に戦ってください。よろしくお願いします」

 

二人が戻り、二人が出てきた。

 

「ご主人様。私は…戦いが下手です。傷だらけで売れ残りの奴隷でした」

 

「だからどうしたんですか。今のヤンガスさんは僕にとってもパーティにとってもかえが利かない存在です。

僕は可愛い女の子以外には厳しいですからね。

頼りにしているのですから泣き言は困ります。

明日からも一緒に頑張ってもらいますからね」

 

だから泣きやめ。

 

 

「我が主。私は。俺は。大事なものを、何一つ守れなかった」

 

「カールさん。貴方には全員を守って頂きます。

僕だけじゃありません。全員です。

いいですね。貴方自身もですよ。

今一度誓ってください。自分自身も含め全て守ると。

僕も貴方を含め皆を守ります。必ず守ると誓います。

いいですね。僕の騎士」

 

必ず。カールは跪いた。

 

 

「強くなりましょう。全員。誰よりも強く。誰にも負けないように」

 

二人は静かに、力強く返答した。

 

 

 

 

 

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