異世界迷宮でハーレムしない 作:とくめい
防具屋も覗いたが特に出物はなかった。残念。
己一人でウォルターに追加注文をしに行く。
ウサギとコボルトを三セット追加だ。
注文の仕方が我ながら豪快だと思うが、そもそも普通の人だって融合が確実じゃないのだから何度も頼むだろう。
あ、違うか。成功したら勿体無いから一回毎に注文するのかな。
それはそれで何回も仲買人とやり取りするのが面倒な話だな。
注文を終えたらみんなと合流して迷宮の続きだ。
腕力バフは全員にかかるわけだし、武器更新で楽になるかもしれないね。
二人とも使い勝手にすぐ慣れてくれた。
ヤンガスは武器の扱いが不得手とはいえ、剣より鈍器の方がよっぽどやりやすいようだ。
ウォーハンマーでぶっ叩くのは剣よりも敵を怯ませやすい。
守りもし易くなりまさに攻防一体の強化だった。
もっと早く勧めれば良かった。
アシュリーはビーストアタックでのサポートが馬鹿にならなくなった。
強烈に敵に衝撃がいくようで吹き飛ばしてこちらへ寄せてくれたり、守るヤンガスの負担を減らすように利用したりと見事な使い回しだ。
詠唱の練習を習熟すれば動きながらでも問題なく発動できて更に強力になれそうだ。
アシュリーに一匹ヘイト取ってもらうのも全然いけそうじゃね。
まだ敵を受け持ちながら詠唱までは難しそうだからゆくゆくはだけど。
ソフィアを含めた三人で戦うのをカールと見守るも普通に倒せていた。
皆の成長に笑顔が溢れる。
三人ともめっちゃ嬉しそう。
わーいわーいとテンション高くなりながら探索を続けるとあっさりボス部屋が見つかった。
流れがきているぜ。
近くに魔物の群れをアシュリーが感知したのでそちらをたいらげてからボス部屋に突入した。
軽く始末して16層へ。
ここから魔物の数が最大5体になる。
己の殲滅が遅れるとマズイかと考えていたが皆の成長をみてその不安も消えた。
ここからも問題なく戦えるだろう。
どうやらコウモリの階層のようだ。続けて空を飛ぶ奴らだな。
昼が近いので軽く探索を進めよう。
宿へ戻ってシルヴィと合流した。
早速試作のピザ達が出てきたのでみんなと楽しむ。
当然のように己の味を超えてくる。
素晴らしい。作ってもらって良かった…
芋を揚げるのも油こそ大量に必要なものの、フライでどうせ使っているし芋は安価なので調理人達にも亭主達にも大好評だ。
注文する客からも喜ばれることだろう。
ジャンクフードの虜になるがいい…
今夜も客に振舞ってほしいとチップを渡す。
蒸しパンとプリンまで出てきたので甘いもの大好きなみんなは更に昂っていた。
プリンはもはやプリンだった。カラメルの事も説明したので試行錯誤してくれたらしい。グッジョブ。
プリンの真の姿に皆も驚きを隠せないようだ。
己はカラメル部分は別にどうでもいい派だったので逆に浮いていた。
プリンに拘りがある人に石を投げられても文句は言えない。
食休みに持ち込んだチェスやオセロを楽しんだら、午後の迷宮探索を始める。
肩に衝撃とも言えない衝撃。
とうとう攻撃を受けた。
5体も、それも空を飛んでいるものばかりで位置関係も良くなく、カールのデバフも発動せず。オーバーホエルミングの使用も間に合わなかった。
すぐに反応して攻撃してきたコウモリをこん棒で地面に叩きつける。
剣を刺しこみ止めをさした。
痛みの欠けらもなく後に引きずる物もなし。
やはり己はカチカチであった。
攻撃を多少受けたところで沈む事はない。
それはそれとして悔しいのでもっと技術を上げなければ…
「攻撃を受けました。ダメージはありませんが、来るところまできましたね。ある程度状態異常には強いはずですが、もし私が機能しなくなった時はサポートをお願いします。悔しいのでもっと頑張ります」
「ここまで攻撃を受けてねェのがそもそもおかしい」
カールが言った。それはそう。身体性能が高すぎるんよ。オーバーホエルミングもあるし。
こんなんチートや!チーターや!
空を飛ぶ敵を、おチビ三人組が止めにくいのも原因だった。
ヤンガスアシュリーソフィアは基本セット運用だが皆背が小さく、頭上を飛ぶ魔物に難儀しているようだった。
しょんぼり三人組を慰める。
アシュリーソフィアは可愛いし、ヤンガスはドワーフが小さいのはファンタジー的にアリアリなので文句などは一切ない。
それはそれとして大きいメンバーが必要だろうか?
出来れば長物が使えると己らと更に相性がいい。
遊撃手が欲しくなってくるところだ。
悩ましいところだが、シルヴィの腕力補正を切ってまでと考えるとイマイチだな。
ここまで戦力が揃ってくると最後のピースへは妥協ができぬ。
早い加入の方が成長面で有利とは言え、じっくり選ぶべきだな。
己ももっと磨きたい。皆も研鑽あるのみ!と鼓舞し探索へ戻った。
あーでもないこーでもないと反省会をしつつ宿へ戻る。
あの後は特に問題もなく殲滅が進んだがウチのパーティメンバーのモチベがすごい。楽しい。
「おい。竜人」
おや。この声は。
美形エルフだった。
「喧しい。下賤な種族は礼儀がなっていないのも仕方がないが、控える事だな」
「騒がしくして申し訳ありませんでした。すぐ部屋に戻りますね。
今夜も歌と食事がありますので是非楽しんでください」
「なに、いや。そうか。暇があれば行ってやる。………そうだな。褒美をくれてやってもいい。お前は良く弁えている。気まぐれだが、施しをしてやろう」
ほう。なんぞくれるのか。
あ、鏡欲しいな。金持ちそうだしなんかツテとかあったら欲しいかも。
なんか鏡自体をくれって言っても超高そうな物くれそうだけど。
受け取れねえわ流石に。
「ほう鏡か。大きく出たものだ。いいだろう、褒美をやると言ったのだ。お前では到底手に入らない代物をくれてやる。少し日数がいるが」
やっぱり貢ぐつもりじゃん!鏡はさすがに気が咎めるって!
物はいいよ物は!日数ってオーダーメイドでもするつもりかよ!
「む……別に構わんのだが…話は理解した。方法がないではない。
………れ、連絡をする故住所を言え。準備が出来たら知らせを送ってやる。感謝するんだな」
ありがとよ!頼んだぜ!
部屋に戻るとなんか全員めっちゃ不機嫌そうだった。
エルフの態度が気に食わなかったらしい。なるほど。
慣れると一周回って可愛いんだけど。ただのファンだし…
大天使シルヴィも笑顔だけどなんか怖い。
アシュリーとソフィアはぷりぷり可愛い。
撫でて宥めておこう。
さあ。今夜からは美少女が一人増えているぞ。
震えるがいい聴衆よ。
歌う前からわれんばかりの歓声を浴びている。
期待が抑えられないらしいな…欲しがりどもめ。卑しい奴らめ。
いいだろう。美少女は寛容だ。
今宵はまさにパーリィナイト。
至高のカルテットを聴かせてやろう。
練習の末編み出したハート型の火を吹く。
投げキッスと共に生まれたその火は観衆の心を焼き尽くした。
凄まじいおひねりにソフィアの目と口がまんまるになってる。
かわいい。
頬を突くと楕円形になった。
…おもしろ。
頬をつんつんして遊んでいると反対側からアシュリーが同じくつんつんし始めた。
むーむー言ってるソフィアを二人でいじってると亭主が酒をさしいれにきた。
随分いい酒らしい。
あまり酒に興味ないのでヤンガスにあげようと振り向くと真っ白になって燃え尽きていた。
その隙にシルヴィにソフィアをかっさわられてしまった。
四人でいちゃついているとヤンガスが光に包まれ天に昇っていく。
答えは得たって感じに微笑むヤンガスを見送り帰宅の準備を進めた。