異世界迷宮でハーレムしない 作:とくめい
ふたりが帰ってきた。ドミニクも連れている。
若干寝不足に見える。特にカール。
ウチの寝具以外ではもう碌に寝付けなくなっているな。
ダイニングには椅子がウチの人数分しかない。
部屋から持ってきておけばよかったと準備不足に恥を感じながら用意しようとすると、ソフィアが己の隣に来た。
どうしたの?と声をかけると、己を椅子に座らせ膝の上に乗ってくる。
なんだこのかわいい生き物は……
この異世界にきて以来最も大きい隙を晒した己だったが、すぐに意識を取り戻しソフィアを愛でる事に集中した。
一晩離れた事がけっこう本気で寂しかったようだ。かわいい。
蒸しパンを千切って口に運ぶとにこにこ食べ始める。
餌付けがクセになりそうだぜ。
ドミニクにも席を勧め蒸しパンを食べてもらった。
大変お気に召したようだ。
しかしマジでデカいなドミニク。竜人じゃないのに。
2メートル超えてるよな。1.5アシュリーくらいありそう。
そう思いアシュリーに視線を移す。
隣に座ったアシュリーはいつもより若干位置が近い気がする。
試しに千切った蒸しパンを口元へ運ぶと嬉しそうに食べた。
うちの子たちかわいすぎませんかね。
逆隣のシルヴィを見るとやはり若干近い気がする。
同じく口元に運ぶとこちらは少し恥ずかしそうに頬を染めそっと啄んだ。
美少女を中心とした3つの可愛いが新たな宇宙を生み出す光となる。
ドミニクは微笑ましいものを見る表情であら〜と野太い声を上げ、カールは半分瞼が下がりながら蒸しパンを咀嚼しヤンガスは完全に壁と同化していた。
お茶を飲んで色々話を聞きながらすごした。
ドミニクを送ろうかと思っていたのだが、サウザンドリーフの町もブクマ済みで宿の場所も知っているらしい。
冒険者だと楽だな。
せっかくなのでシルヴィの昼食も食べてもらい、見送った。
なんだかんだゆっくりしていたが午後はまるまる探索出来る。
みんなの様子次第でまた休日でもいいかな〜と考えていたが、全員行く気満々だったのでやっぱり迷宮だ。
カールなんてあんなに眠そうだったのに。
今日も層を更新していこう〜。
サイレントヒル迷宮の25層に飛んだ。
この層はカエルだった。キモい。
時間帯もあって人はそこそこいたが、サクサクと狩りをしつつ26層に進めた。
ここは鯉の魔物だ。確か寄生ワームだっけ。
農業にいいんだったかな。
村に石鹸もらいに行くついでにお裾分けでもするか。
地図のおかげですんなりボス部屋まで半ば程の小部屋にブクマでき、層更新は終了した。
お風呂の準備をしながらの日課食材集めに新たに牛人が加わった。
ザブトンもいいけど酪いいよね。風呂上がりに飲んだら絶対美味いやつやん…
生憎ロースだった。ヤギもウサギもめっちゃあるから集中して牛とマグロ狙おうかな。
レア食材が欲しいのでもっと試行回数が必要だ。
この辺の階層まで来ると本格的に迷宮のアガリで暮らしてる感覚が出てくる。
いや稼ぎ自体は元々それなりにあったけど。
他が凄いので相対的に…。
食材だとかで使っちゃってるしね。
お風呂はソフィアの希望により女性陣全員で入ってみる事に。
ヤンガスが天に召された。
さすがに厳しいのではと思わなくもなかったが案外いけた。
小ちゃいアシュリーソフィアと己シルヴィがそれぞれとペアで湯船に浸かればなんとかなる。
最初に湯船に浸かるペアの身体をみんなで洗って湯船に突っ込み、頭を出させて髪を洗う。
ゆっくり浸かってもらう間に後のペアが身体と髪を洗う方式が生まれた。
効率厨もこれにはニッコリ。
ソフィアはちょっと思ってたのと違うようで首を傾げていたが、これはこれで気に入ったようだ。
ひとりひとりで時間取ってもいいけど湯船に入ってない間に風邪引いちゃったら困るし…。
もしドミニクを風呂に誘ったら性別的にどういう扱いが適当なんだろうか。
美少女は現代社会のコンプライアンスにも敏感だ。
そもそも魔法使えるのバレちゃうからやめとくか。
社内コンプラに引っ掛かっちゃうからそもそもアウトだった。
ソフィアが一緒に寝たがった。
お姉ちゃんを全力で遂行する。
今日は一日甘えたなソフィアを皆で甘やかしてしまった。
思い出の品を見て、両親との生活を思い出したのだろうか。
いいとも。今日くらいは、いや一週間くらい。
うーん一月は甘やかしすぎか?やっぱり一年くらいはいいだろう。
存分に甘えなさい…
ソフィアが胸元で甘えながら言う、おねえちゃん盗賊を討伐したいってワガママもつい叶えたくなってしまう。
ソフィアもちゃんと女の子で、けっこうこういう狡いところがある。
わかっててもつい甘やかしてしまうのがかわいい子の力だ。
それにしてもワガママの内容が血生臭すぎる気がしないでもない。
バッグ買って〜とか服買って〜とかじゃないんだ。
普通に頷いてしまったが冷静に考えるとおかしい気がする。
アシュリーとシルヴィがソフィアをひっぺがして、いけませんよーとぺちぺちお仕置きし始めた。
美少女たちの戯れはとても良いものだ。
ちぇ〜って感じのブー垂れた顔ソフィアが胸元に戻ってきたので頭を撫でながら眠りについた。
しかし盗賊か。うーむ。考えながら早朝の探索を行っている。
ドミニクは盗賊周りの情報をかなり収集していたようで、自分たちの住んでいた北から流れていく盗賊については特に詳しかった。
なんでもエルフの領地で高名な盗賊が暴れ回っている噂があるらしい。
騎士も殺されているとかなんとか。
原作でもあったような。兇賊のシモンだっけ。犬耳のシモンだっけか。
有名なのでソイツらを討伐して名を上げたいと考えた腕に覚えのある者も動きを見せたりしているとかなんとか。
冒険者ネットワーク強いな。
この世界で一番足が速いもんな。
原作とは違う世界なのは間違いないのだが細部で似たような事象が起こっているようだ。
相当な賞金首であろう。金になる。
カールとソフィアも喜ぶし。狩るか。
盗賊狩りをモンハンでフレンドと一狩り行こうぜくらいのノリで捉えている美少女だった。
本当の人狩りすぎて草も生えない。
エルフの領地と言っても広そうだし何処いけばいいかな〜。
ちょっと遠征するくらいは問題ない。
なんせ地元は狩り尽くした感あるし…
スラムにはまだいるだろうけど。
「ドミニクさんが言っていたエルフ領で暴れている盗賊なんですが、討伐しに行ってみますか?何処にいけばいいでしょう」
朝食時に相談してみた。
シルヴィは心配そうな表情だったので撫でて宥める。
カールはめっちゃ怖い笑顔で目をギラつかせた。
ソフィアは蒸しパンが出てきた時と同じリアクションしてる。
ヤンガスソフィアは普段通り。午後のティータイムとなんら変わらないって感じ。一番怖いわ。
カールがドミニクと色々調べてきてくれるらしい。
お任せしよ。んじゃ今夜も歌いにいきましょうね。
昼前に27層に到達。シザーリザードだ。
革のドロップで鍛冶が捗る。
鍛治師の中位ジョブである隻眼の条件がよくわからないが、ある程度鍛冶スキルを使わないといけなさそうなのは可能性として高い。
原作で出ていた修練というのもあったし。
モンスターカード融合の回数かもしれないし両方の可能性もあり得るか。
ただシンプルにレベルだけって線も全然あると思う。
鍛冶師も素材を集めに迷宮に入ると原作者様が仰っていたが、中々50レベルまで行くのも大変なはず。
そしてそのレベルに到達出来るのは何十年と戦いを重ねた後の事。
そこから隻眼のレベル1に転職するのも大変だろう。
とっくに肉体の最盛期を越えた年齢で一からの出直しになる。
これまでと同じ要領での素材集めなど見込めまい。
それでも鍛冶師がドワーフにとって特別なジョブである以上、条件を満たせたものは上位のジョブである隻眼にはなるのだろうが。
つまり鍛冶師の50レベルに到達出来る人自体がそもそもレアなんだと思われる。
鍛冶師スキルで食っていけるんだから素材集めをするにしてもガチで上を目指す必要なんてない。
ましてや迷宮討伐なんて。
鍛冶師スキルでも僅かながらに経験値が入る仕様なのでとにかく沢山スキルで武具を製作するってのが恐らくは一般的な修練なんだろう。
その過程での素材集めの狩りの方が経験値が遥かに多いがそこは探索者以外にレベルが存在しないという認識が邪魔をするわけだ。
鍛冶師のジョブを解放する条件でも触れられていたが、複数の魔物を同時に強力な攻撃で吹き飛ばすだったか。
戦闘のセンスと力の両方が必要で、それができた者達の事を鍛冶師の才能があると捉えられているわけだ。
要するに隻眼になれるのはそれ程に戦闘のセンスがあって鍛冶師になれ、尚且つ鍛冶スキルで充分食っていけるのに素材集めのため以上の理由で迷宮での戦いを好んでいて、それを可能にできるパーティメンバーにも恵まれて何十年も戦い続けられるものでないと不可能だということ。
最上位の、それこそ国の抱える鍛冶師は養殖によってレベルを満たす者も存在しているかもしれないが。
ただこれも恐らく現実的じゃないな。
原作で恐らく最強クラスと思われるゴスラーや帝国解放会会長のパーティにもそんな枠の余裕はなさそうだったからだ。
ミチオ君や己なら大変ではあっても現実的に可能である50レベルまでのキャリーも、世界最高峰のパーティでさえほぼ不可能なものなのだと思われる。
最近ようやく迷宮に入れるようになったという皇帝でさえ冒険者のレベルが確か40くらいだったはず。
皇帝であるからさぞ本気の養殖をそれこそ幼少の頃よりされたであろう。
それ故の冒険者だと思われるが、鍛冶師は育成がそれ以上に経験値を必要とする上に探索者と違いレベルの目安がない。
探索者なら50のアイテムボックスがあれば転職できるとはっきりわかる。
冒険者にジョブチェンジした皇帝を更に本気で養殖し続けて40レベル程度という事ならば、目安も何もない鍛冶師を養殖して隻眼にするなどという事は皇帝であってもできないだろうしそもそも発想に至らないはず。
ある程度のブーストを施して鍛冶スキルや融合を滞りなく行わせるくらいはしている可能性もあるがやってもそこまでだろうな。
武具を沢山色々な種類を製作しなければならないという思い込みなだけで、シンプルにレベルだけで充分な気もする。
それはそれとして経験値も入るし売れば金にもなるしもしかしたら隻眼の条件かもしれない鍛冶をやらない理由にはならないのだが。
ヤンガスのクラスアップ条件はそこまで心配しなくても良さそうかな。
アシュリーはどうだろ。
獣戦士は原作でも条件が明示されていなかった。
敏捷性が上がることやロクサーヌの印象から魔物の攻撃を回避する事が条件ぽく見えなくもない。
ウチのアシュリーも力がないだけで回避は上手である。
もしくはそもそも攻撃を受けずに魔物との戦闘を行うとか。
似たような条件だけど。
確か原作者様が獣戦士50レベルだけで百獣王だと簡単すぎる気もしますと感想返ししていたような…
そうなると鍛冶師も含めてやはり他に条件があるのだろうか…
魔物の攻撃を受けずに戦闘を繰り返すとかだったらアシュリーはとっくに条件を満たせているのだけれど。
ビーストアタックの使用回数とか?
スキルの熟練度はないって話だけどジョブの条件にあってもおかしくはないか。
暗殺者はレベル以外だと状態異常関係周りだろうなって予想が付く。
勇者にももしかして条件があったのだろうか。
アイテムボックスがついてるWEB版勇者だけど、下手したら探索者の50レベルが必要な可能性があるもんな。
己の竜王剣豪武王もレベル上がったら生えていたのだが条件があったのかも?
ジョブ周りは難解だ。wikiをくれ。
どうせレベル50が解放されるのに必要なのは確かなのだから信じて進めるしかない。
なんか他に必要そうならその都度対応しかないや。
今はとにかくレベリングだ。
探索終わりには28層へと更新を行う事ができた。
この調子で上がっていこう。
ドミニクに会いにいくと、宿からの謎の高待遇に混乱しているようだ。
宿泊も無料になってるらしい。
亭主の本気を感じる。
素材集めだとかフィールドウォークの使用のお願いをされてはいるようだが金持ちに雇われていた時以上の待遇に驚いている。
今夜己らが歌うから是非ドミニクも聞いてくれ。
盗賊を狙おうかなって考えてる話をすると、ドミニクもめちゃくちゃ乗り気になった。
エルフ領も行った事があるので、詳しい情報収集をしてくると言ってくれた。
「カールちゃんはソフィと一緒に居なさいな。お嬢ちゃんのことも守ってあげないとネ」
バチコンと音がしそうなウィンクだった。真似するソフィアがかわいい。
ガッチリと組んだパーティメンバーではないが、一緒に迷宮に入ったり仕事をしたりする知り合いも多いらしい。
さすが顔が広い。物理的にも。
ならば当座の活動資金を渡してお任せしよう。
懸賞金はみんなで山分けだ。楽しくなってきたぞぉ。
ここに、賞金稼ぎクランが結成された。
やっぱり己らって賞金稼ぎが本職だったかもしれない。
ブワーッと書いて、出来たら投稿!
って感じでやってるのですが、時間とか決めた方が読みやすいでしょうか…?
出来たら投稿なので1日に複数投稿も気にせずやってましたが、余計読みづらくさせているやも…