異世界迷宮でハーレムしない   作:とくめい

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第53話

全然モンスターカードが大丈夫じゃなかった。

せっかく灌木とスライムのセットも買ったのに付けられてない。

急ぎでお願いしたのに、ヤンガスが危険になったかもしれないのに。

ダマスカスの兜に付けてもらう。

これでヤンガスも毒麻痺物理耐性が揃った。兜にスロットの空きはもうないが、ヤンガスは他がガラ空きだ。

体力二倍とかあれば付けるか。

またウォルターにお願いしよ…

 

朝食後にシルヴィも連れてペルマスクへ。

ゲロ吐きそうになるがクスリをキメて美少女の尊厳を守り抜く。

美少女三人が背中をさすってくれた。

中継挟んでもキツい。

じゃあなんでみんな連れてきたかってみんなで旅行気分だったから…。

 

シルヴィにはお茶を飲んでてもらって工房へ向かう。

料金は先に支払い済みだったので受け取りのみ。

なのだがウォルターにもお願いされていた分を追加注文する。

仕入れてきた宝石も売り捌く。

量が多いので難色を示された。

じゃあ他の工房に持って行くというと引き止められる。

相当良いものをウォルターは大量に用意してくれていたらしい。

想定以上の利益になってしまい貿易摩擦が発生した。

んじゃあ、多少多くてもウォルターが買い取ってくれるでしょとまたもや見切り発車でガラス注文を追加した。

当初の、持ち運べるついでの分しか取り扱わないとはなんだったのか。

美少女は気まぐれ。

いっそ全部ガラスにしたれと大量発注する事になってしまった。

そうすると一枚当たりが安くなるし既に買った分も割り引いてくれるっていうから…。

先物とかそういうのに手を出し始めた気分だ。

全部捌ければ利益はすごいよ捌ければ。

ノリで動く美少女に工房の親方も冷や汗を流す。

まさかマジで注文もらえるとは思ってなかったような顔だった。

いつのまにか敬語になっていた親方と別れてシルヴィと合流する。

鏡があるから今日はお茶しないで帰りましょう〜。

行きより小刻みに中継をはさんで帰った。

鏡は現代日本の製品に慣れているとイマイチなのだが女性陣には大好評だったのでホッとした。

アシュリーが構えてくれた鏡を見る。

誰だこの美少女。ああ己だったか。

ふつくしい己の美少女フェイスに満足しウォルターに会いに行く。

 

 

 

「体力に関係するカードはありますか?」

 

「牛人で御座いますね。こちらも高くなる事はあまりありません」

 

ウォルタぺディアは何でも知っている。コボルトセットで一つ急ぎ注文。いつもの流れである。

 

「鏡なんですけど。凄い数の注文になってしまったのですが大丈夫ですか?」

 

心から喜んだ表情で礼を言われたので安心した。

差額の儲けがすんごい事に。

太閤立志伝みたいだ。

そら末端価格も高くなりますよね。

ドミニクも興味あるようなら仕事紹介しようかな。

宝石も準備してくれているそうだが次は捌けるかわからないよとは言っておく。

ウチに帰ったら帝都にでも遊びに行こう。

お昼もそこで食べる予定であった。

 

帝都をちゃんと歩くのは久しぶりであった。

良い服屋で全員分買おうぜ!と誘い乗り込みに行く。

入るのに気後れしそうな服屋だ。

女性陣はやはり楽しそう。己はわからないのでお任せ。

男性陣とダベって過ごす。

選んでくれた己の服はスカートであった。

袴ってキュロットスカートみたいなもんよね?

己は別に抵抗がなかった。むしろ足捌きを隠せるので気にいった。

私服以外でも迷宮で使う用に選んでいただく。

丈が長いけど邪魔にならないのは意外とあるものだ。

そしてミチオ君の気持ちがよくわかる。

着飾る美少女たちは良いものだ。

 

帝都なだけあって美味しそうな店が多い。

舌が肥えてしまっている己らだが充分美味しくいただけた。

文字もわからなければ食材の名前もわからないのでオススメ聞くことしかしてなかったが。

調味料とスパイスもシルヴィ先導の下揃えていく。

帝都でないと売っていない品が数多くある。

魚醤はガルムソースっぽいのがあった。アシュリーでもいける。

醬っぽいのよりは余程刺身が食えそうな気がしたので購入した。

マグロよりカツオとかのが合いそう。

スパイスは全くわからん。

こっちの世界食材の色も違うし…

それっぽそうな香りのモノとか色々買ってみる。

この世界でのカレーは下手すると青くなったりするかもしれん。

残念ながらやはりコメっぽいものは見つからない。

見つけた米の色が緑とかだったらどうしよう。

超ケミカルなカレーライスじゃん。

ピッコロみたい。

 

武器屋も覗いた。

ハズレ。知ってた。

だが何と防具屋に大楯が!!

しかもダマスカス製である。

己が持ってみる。重さは当然なんて事はない。

やはり己は盾の扱いはしっくりこない。

使ったことないもん盾なんて。

金棒ちゃんの方が好き。

ヤンガスに持ってもらおう!どうかな?本当に竜人専用なのだろうか。

持てることは持てるようだが、扱いにくそうだ。

ふむ。

やはり竜人でないとダメなのか、ヤンガスが苦手なのかはわからなかったがウチで使うとしたらヤンガスなので彼が気に入らなければ大楯はナシだ。

まあ使えなければ使えないで普通の盾を使ってもらえれば良き。

しかし帝都であっても鋼鉄の盾より良いものはなかった。

やっぱりオークション参加するしかないのだろうか。

 

ひとしきり帝都を楽しみ、一度荷物を持ち帰ったらサウザンドリーフの宿へ向かった。

ドミニク帰ってるかな?ついでに歌おう〜。

亭主は勿論大喜びなのだが、ドミニクは帰ってきたり来なかったりが続いているそう。

まあ会えなかったらしゃあない。連絡を待てば良い。

部屋を用意してくれたので皆は部屋でのんびり。

己はファンエルフにも会いたかったので亭主に言伝をお願いしてみる。

そもそもしてもらえるかわからなかったが。

エルフの方で、もし己から声がかかったらと亭主に根回し済みだった。

さすが金持ってそうなエルフは如才ないな。

ノリで生きてる己とは大違いだ。

 

 

「竜人如きが言伝とは。時間をとってやった事に感謝するがいい。用件は何だ」

 

いつものエルフ節だが、今夜は嬉しさが隠しきれていない。

お顔がにやにやしてる。

己から声をかけられるのがそんなに嬉しいのか…。

めっちゃ急いで来たことを隠そうとしてるけど若干息切れてるのバレバレだし。

 

「鏡の件で大変お世話になりました。ありがとうございます。こちらですが、献上品が必要かと用意した品です。お礼にどうぞ」

 

買い取ってくれるって言ってくれたけどここまで骨を折ってくれたのにお金をもらうのはしのびないのでプレゼントする事にした。

装飾ないけど原作みたいに適当にやってもらうって感じで。

推しからのプレゼントにエルフは固まった後、震える手で鏡を受け取った。

落として割りそう。

 

「物事の道理を弁えているようだな。下等な種族からの捧げ物など何の価値もないが受け取ってやろう」

 

ねえ腕。渡したの鏡だけどマジで大丈夫それ?下手に己が支えたら悪化しそうだから手出し辛いんだけど。

凄いよ。生まれたての子鹿だってそんなプルプルしてないよ。

 

「全くつまらない事で呼び出されたものだ。おい亭主。部屋に酒を運べ。一番上等なものをな。この竜人にもくれてやれ。味の違いなどわからないだろうがな」

 

部屋に戻っていくエルフ。

はじめてのおつかいをみる保護者の気分なんだけど。

いやだよ途中で鏡が割れる音聞こえてきたら。

 

 

部屋に戻った己は皆を誘い遊び始めた。

人狼ゲームを。

 

先ずはゲームマスターを一人用意する。

今回は勿論己。

 

残りの五人は何の変哲もない村人という設定だが、この中に一人だけ。

夜な夜な人狼に変身し村人を喰い殺す化け物が混じっている。

その一人を討論で探し出し、全員の投票で選ばれた者を毎夜処刑する事で人狼を始末して村に平和を取り戻すゲームだ。

色々ルールがあるが五人しかいないしシンプルにしてワンナイト人狼やろう。

スゴロクも皆で出来るし改造の結果中々面白いものに仕上がったようなのだが、アシュリーの考案するイベントが極悪すぎてドカポン化してしまったのでちょっと休止中なのだ。

あんなガチな目してるシルヴィ見たの初めてでビビった。

このゲームなら仲間たちの友情が壊れることはないだろう。

 

 

 

「アシュリーちゃんがあやしいとおもう」

 

「急にひどいよソフィアちゃん。どうして?それよりも私はシルヴィが気になるなあ。なんだか緊張してない?なにか隠したいことがあるの?」

 

「ふふ。アシュリーは何でそんな事言うのかな。私は村人だよ。狼なんかじゃあありません。…ヤンガスさん。何だか静かですね?どうかされましたか?」

 

「いえ!私は何も…いいえ本当に何でもありませんから。そうだ、カールさんはどう思いますか。誰が怪しいと思ってるんです」

 

「オマエ」

 

「ヤンガスさん」

 

「ヤンガスさんかなあ」

 

「ヤンガスさんですね」

 

ヤンガスよわよわで草

 

狼になれば即吊られ、村人になればアシュリーに縄を擦りつけられと散々で可哀想になった己がヤンガスと代わり白熱した戦いが始まった。

まさに一進一退の攻防が続く手に汗握る展開。

 

アシュリー狼勝利

ソフィア狼勝利

シルヴィ狼勝利

己狼敗北

カール狼勝利

アシュリー狼勝利

アシュリー狼勝利

己狼敗北

ソフィア狼勝利

 

己ばかり負けてた。て言うか皆何でそんな強いの。

特にアシュリー。

 

「お嬢ちゃんふざけンな!何であそこでソフィじゃねェんだよ!」

 

「カールさんこそおかしかったじゃないですか!ソフィアちゃん吊れるわけないでしょう可愛いのに!」

 

「アンタ三人にずっと利用されてンだよ気付けよ!」

 

カールにひどい言い掛かりをつけられていた。

己をこの三人が利用するなんて事あるわけないじゃないか!

全く、人を信じられないなんて悲しい男だ。

ねえみんなー。

 

熱中しすぎて歌の時間に気付かずに亭主が呼びにきていた。

カールとメンチ切り合いながら会場に向かう。

今夜の勝負はお預けにしておいてやる。

シルヴィどころかアシュリーとソフィアにまで優しい目を向けられている気がするがきっと己の味方になってくれるに違いない。

憧れのおじさんと争う己を許してくれソフィア。

負けられない戦いがそこにあるんだ。

己は引かない。必ず勝つ。

 

 

己の勝利への渇望が歌に表現されたか、今夜のノリは一味違う。

燃え盛るような魂の叫びを観衆の心に届けたい。

己の切なる願いが激しいシャウトとなって会場と観衆の心を激しく揺さぶった。

いつのまにか帰ってきてたドミニクもノリノリだ。

手招きして舞台へと誘う。

お前も叫べ。腹の底から。

この世界へと胸の内を叩きつけてやるんだ。

吟遊詩人も楽器をまるでバンドマンのように掻き鳴らしドラムのようなビートを足で刻み始める。

お前もロックがわかるのか。

いいぜ。ぶちかましてやれ。

己には聞こえるぜ。楽器からじゃあない、お前のハートから響いてくる音がよ!

叫べ!!!

 

 

 

燃やし尽くしたぜ。真っ白にな。

盛り上がりすぎて物理的に幾つかテーブルを焼いちまったが、亭主と酒場のマスターは涙を流しながら残骸を家宝にするぜと言って許してくれた。

それはそれとして弁償はした。

 

 

「お嬢ちゃん!最高の夜だったわ…忘れられない夜になりそうよ」

 

そいつは良かったぜ。アンタも声域やべーな。震えるようなバリトンボイスからフレディマーキュリーの声まで自由自在じゃねえか。

アンタこそ今夜のクイーンだった。

 

「また歌いましょうねえ!それで、例の件だけど。幾つか掴んできたわよ」

 

さすが仕事ができる女は違うぜ。

詳しく聞かせてもらおうじゃねえか。

 

 

 

 

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