異世界迷宮でハーレムしない   作:とくめい

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第54話

どうやら騎士が殺された事も本当だったようだ。

それも何人も返り討ちにしたらしい。

領主はすっかり怯えてもはや討伐隊も組めずに引き篭もっているとか。

迷宮討伐も疎かになっているようで、現地はあちこちに強めの魔物が湧き始めていてやばいらしい。

領主の首がすげ変わるのも時間の問題だとか。

領主もヤバいのわかってるならやればいいのにね。

原作だと伯爵だっけ?本当は継ぐ予定じゃない立場だったのが色々あって継いじゃった事で上手くできてないとかだっけか。

それにしても不味そうなことはわかるだろうに。

そこまで盗賊がやばくて怖かったのかな。

やっぱり害獣は始末しないと!

 

 

「直接確認したけど、随分強い魔物も湧いてたし町の探索者達も手を引いてて閑散としてたわ。調査に出向いてる間には村が襲われたりだとか隊商が襲われたなんて事は聞かなかったから、迷宮狙いに切り替えてる可能性もあるわね。その場合は近くの領地だと思うわ。獲物にしたい探索者達も領主を見限って別に移動してるし、いざとなればビビってる領主のところに戻れば安全だもの」

 

騎士団が動かないから迷宮も危険度が高くて人気なくなるんだっけ。

魔物の部屋とか怖いもんね普通は。

盗賊にとっては獲物が少なくなるから移動すると。

いざという時に討伐隊もいない場所へ戻るにも、新しい獲物を探しにいくにも早いってんで近くの領地ってことね。なるほど。

原作と同じような感じだったらまさにそういう流れだった気がする。

多分迷宮にいるんだろうな。

 

 

「隣のエルフ領が怪しいわね。最近新しく迷宮が出来て騎士団もゴタついてるはず。それに騎士団の様子を見た時に妙な警戒を感じたから、凶悪な盗賊が領内にいる情報を掴んでるかもしれない」

 

ああ、多分ビンゴっすね。

 

「派手に暴れた事で他のならず者が合流しているとも聞くわ。数が多い事を覚悟する必要がありそうよ」

 

それは原作では聞かなかった。

予想以上に大きい盗賊団みたいになってる可能性があるのか。

いや、ミチオ君が狙われた時も2パーティ分くらいに囲まれた気がする。

それより沢山いるとも限らないか。

ただ2パーティくらいしかいないと決めつけるのは早計だな。

村を襲う可能性もありそう。

警戒する必要がある。

ちゃんと根絶やしにしないと。

 

「ありがとうございましたドロシーさん。かなり確度が高い情報に思われます。その怪しいエルフ領に絞って網を張りましょうか。迷宮があるのは領都の近くにひとつと小さい村近くが二ヶ所ですっけ」

 

「そう。エルフは排他的だから村の方だと目立つと思うけど何とも言えないわね。アタシ達も情報収集が上手くいかなかったわ。ごめんなさい」

 

ミチオ君はどうだったか…領都の迷宮じゃなかったか?

なんか裏をかくとかなんとかいってたような。

それなら村の方か。

村じゃ目立つと言っても領都だとリスクも高そうに思える。

ドミニクから見ても警戒されている様子だし。

 

「いえいえ。とても助かりました。活動資金は足りましたか?」

 

「充分よ!残りを返すわね。お嬢ちゃんは凄く強いって聞いてるけど、大丈夫かしら。相当の手練で数も多いみたい。兇賊を名乗ってるグランツって頭目と凄腕と噂のカインって狼人族が中心らしいわ。カールもいるとはいえ心配よ。無理はしちゃダメ」

 

「心配すンな。逆に俺でも盗賊に同情するぜ。お嬢ちゃんに狙われたらそいつはオシマイだ」

 

「あら。カールが盗賊に同情するとまで言うなんて、本当に大丈夫そうね。アタシも戦いたいけどやっぱり遠慮しておいた方がいいかしらね」

 

釣りはとっといていいからね!サンキュ!

数が読めないけど、オーバードライブあるしな。

ドミニクをパーティに入れてもいいっちゃいいんだけど〜。

フィールドウォーク任せられるし。

ダンジョンウォークのフリをさせるのが面倒なのとワープ使って殲滅する気だからいない方がむしろ楽なのは確か。

いつものメンツでいきましょ。

領都とそれぞれの村のブクマをお願いして、明日からはそれぞれの迷宮をチェックするようにしようか。

村狙いまでは防ぐのが厳しい。

騎士団の警戒もある中だから多分大丈夫だとは思うが。

 

翌日の早朝は普通に探索。

サイレントヒルの35層を進める。

朝食後はシルヴィも連れてブクマの旅。

領都と村、それぞれの迷宮をブクマする。

12層と13層が盗賊のホットスポットだったよね。

入り口で銀貨払って連れてって貰う。

そしてエルフはやはりエルフだった。

めっちゃ感じ悪い。

皆がピリつくのを感じる。

もう関わらないし我慢しよ!

多分村近くの方が可能性高そうなので、そっちの12層を探索しようか。

恐らくは2パーティ、少なくとも6人フルパであると思うのでアシュリーには人が固まっている所を案内して貰うようにお願いして探索を進める。

もはや12層の魔物は鎧袖一触なので基本走りっぱなしであった。

探索の終わりにはボス部屋も発見。

13層も軽く探索を進めてその日は終了した。

 

翌日は早朝から盗賊探しをする。

ボス部屋を見つけた12層をチラ見。

いなかったので13層を探索しようか。

が、アシュリーから全然人の気配を感じないと申告があったため、なら別の村近くの迷宮に行こうかとなった。

こっちでも12層から進めてみる。

こっちではチラホラ人がいるらしい。

人数的に盗賊ではなさそうだが、人がたまに居るくらいが盗賊にとっては狙い目だ。こっちの迷宮かもしれない。

探索を進めていく。安定のダッシュ。

軍隊かな。

朝食時にはまだ少し心配げなシルヴィを撫でて探索に戻る。

そしてそろそろ昼食の時だった。

 

「ご主人様。恐らく小部屋の中に何人かいる場所があります。人数は絞れません」

 

アシュリーの報告があった。ふむ。

 

「昼食にしましょうか。戻ってきても同じ位置にいるようなら可能性が高そうです」

 

扉を挟むとアシュリーレーダーでも正確な人数の把握と同一存在かどうかの判定が難しい。

時間をあけても変わらないなら盗賊かもしくはボス部屋か。

少々の緊張をはらみながら、一旦退却した。

 

昼食後に迷宮へ戻りアシュリーを見る。

 

「変わらない位置に人が居ます。申し訳ありません、やはり人数までは」

 

当たりかも。原作だと本命の場所に誘導してくる係がいたからそれかな。

 

「向かいます。直接見ないと私も盗賊かどうかが判定できません。盗賊であった場合は合図します。基本的には私が始末しますので守りを重視してくださいね。ソフィアちゃんも気持ちはわかるけど、お願いね」

 

「はい。おねえちゃん」

 

ソフィアの返事をききアシュリーが示す場所へ向かう。

デュランダルを出した。

 

 

扉が見えた。

アシュリーが耳元で囁く。

 

「話し声が僅かに。人数は多め。4人以上」

 

頷き、扉に近づく。

小部屋の中には6人。

当たりだ。

盗賊だった。レベルは全員20代。

合図で皆に共有。

盗賊は全員自然にバラけている。

小部屋から道は二つ。バラけ方は片方の道側によりぎみ。

 

盗賊の一人が話しかけてきた。

 

「どうも。ボス部屋はあっちの道です。俺達は休憩してるんで先にどうぞ」

 

返事の代わりに首を刎ねた。

 

オーバードライブ

 

バラけ方が少ない方。ふたり。奥側の盗賊に金棒をぶん投げた。

偏っている方。三人。間合いを詰め、手前側の盗賊の首を刎ねる。

 

盗賊は未だ話しかけた途端首を刎ねられた事に反応中。

そのまま偏っていた方に距離を詰めていき首を突いた。

 

チラと後方を確認。

カールがバラけ方の少なかった手前の盗賊へ突きかかるところ。

己が投げた金棒は奥側の盗賊の頭部に。

手元を離れるとスキルの制約を受け同じく遅くなる。命中が確実である事を確信し視線を戻す。

最後の一人は未だ自分の得物に手をかけてすらいない。

駆け寄り首を突く。

振り返るとカールが盗賊の首を突いていた。

盗賊の鑑定反応がなくなった事を確認。

金棒の投げ先を見ると盗賊の頭がなくなっていた。

 

時間が元通り動き出す。

凄まじい音を立てて金棒が壁に激突した。

遅れて地面に重い物がぶつかる音が続く。

 

「盗賊が示した扉の先に人が居ます。人数は不明」

 

アシュリーの報告。

 

「突入します。全員待機」

 

指示を出し扉の先へ突っ込んだ。

直線。先に曲がり角。

角付近にてオーバードライブ発動。

先を確認。

四人いる。兇賊。探索者。盗賊。狼人族も。

かなりレベルが高い。

角は曲がらずにワープを使用。

後ろに控えている兇賊の背後をとった。

首を刎ねる。

足を止めずに高レベルの狼人族の首も貫いた。

ここでオーバードライブが切れる。

剣を戻し探索者を蹴り飛ばす。

再びのオーバードライブ。

高レベルの盗賊がこちらを、いや首を突かれた狼人族を見て間の抜けた顔を晒していた。

首を刎ねる。

探索者に目を向けるとゆっくりと吹き飛んで壁に当たった。

手応え、足ごたえとしては骨と内臓がイッてる。

手加減ミスった。足加減か。

死んだかも。

時間が戻った。

壁に当たった探索者はそのまま床に倒れ伏した。

血を吐きながら苦しんでる。よかったまだ生きてた。

さすがレベル42。

目を離し、始末した盗賊達の手首を切り離して身ぐるみを剥ぎ始めた。

探索者がアイテムボックスの詠唱をしているのが聞こえる。

途切れ途切れで上手くいっていない。

ひとりを剥ぎ終わったところで探索者に回復薬を投げた。

何とか飲み込めた事を確認して作業に戻る。

ふたりめを剥ぎ終わったところで扉が開く音が聞こえた。

 

「終わってます!ヤンガスさんだけこちらに!」

 

声を上げて己は探索者に近付いた。

 

「喋れますか」

 

曲がり角をヤンガスが走ってきたところを見る。手振りで残りの作業をお願いして探索者に話しかけた。

まだ話せるほど回復が足りていない様子。

顎を掴んで口を開けさせ無理矢理追加の薬を放り込んだ。

僧侶のジョブを付けて手当てを使う。

顔色が良くなってきた。

 

「喋れますか」

 

手を離し再度問えば。

こちらを憎々しそうに睨みつけてはいるが、眼に怯えが隠せていない。

首を掴み未だ倒れ込んだままの体を中空へ吊り上げた。

まだ力がはいらないらしい。抵抗は弱々しかった。

手を離せば再び床に倒れる。

姿勢を下げて顔を合わせた。

 

「喋れますか」

 

苦しそうに、今度は完全に怯えの表情をこちらへ向けた。

返事はない。

髪を掴み上げ倒れた体を無理やり座らせる。

顔を覗き込み眼を合わせた。

 

「喋れますか」

 

そこからはお喋りになってくれた。

 

 

 

 

アイテムボックスにもそれぞれの手持ちにもけっこうな大金を持っていた。

散々暴れ回ってたらしいからな。

黄色の魔結晶を持っていたのでこれも大きい。

レベルの割に大した装備ではなかったが、複数スキルの付いた剣があった。

もしかして伝世品?指輪じゃなくて?

シルヴィを外して探索者をパーティにはいらせ迷宮の入り口に戻った。

入り口係に声をかける。

 

「すみません。12層で盗賊に襲われました。全部で10人です。これは生き残りで探索者か冒険者のようです。この村には騎士団の詰め所は…ないですよね」

 

「なに。待っていろ。騎士様をお呼びする」

 

偉そうなエルフは去っていった。

騎士が居るのはあれか、盗賊対策でいたのかなやっぱ。

しばらく待っていると偉そうな騎士エルフが来た。

 

「貴様らが10人の盗賊を倒したと?数え間違いじゃあないのか」

 

アシュリーとソフィアを見て言った。

己にも舐めた感じの視線だったが金棒を二度見して逸らしてた。

こんなの持ち歩いてる奴に舐めた口利いたら怖くなっちゃうよねわかる。

インテリジェンスカードを9枚見せると不承不承といった感じで領都に提出しろと言った。

さすがにここでは確認できないかー。

探索者を引き渡して己のインテリジェンスカードのチェックを受ける。

 

「む…自由民か…は?竜王?この小娘が?」

 

竜騎士にしといた方が面倒なかったかな。

1stジョブを英雄と切り替えるだけの方が楽だし竜騎士より話早いかなって思ったんだけど。

後思っても声に出すなよ全部。草。

原作のハルツ公のとこは差別意識ない感じだったけど、ここは違うっぽいなー。

もしくはミチオ君はワッペン持ってたり話通ってたりしたのかも。

または一部だけの騎士がこんなんとか?

チェックが終わったら騎士もさっさと戻ってった。

狼人族がいたかとか聞いたりしないんだ。

どうせ違うだろって感じかな。

己からもわざわざ言ったりしてあげないけど。

取り敢えずおウチに帰ってシルヴィを安心させてあげましょう〜。

 

心配そうだったシルヴィを撫でてハグしてたらこっちまでホッとした。

美少女のハグには延命効果がある。

お茶飲んで一服したらサウザンドリーフの宿へ向かった。

 

亭主にドミニクへの言伝をお願いする。

次はエルフの領都に飛んだ。

ここはエルフ以外も多いし領主のお膝元だからかまともなエルフが多い。

せっかくなのでシルヴィも含めて皆で来ていた。

適当に散策する。

お茶を楽しめるところがあったので詰め所の場所を聞き皆には待っててもらう事にした。アシュリー以外。

領都は大丈夫と思ったがさっきの騎士の事があったからね。

念の為。

アシュリーはごめんけど付き合ってください迷子になるので…

アシュリーとイチャイチャしながら詰め所に辿り着く。

すみません〜盗賊から身ぐるみ剥いできました〜。

盗賊共のインテリジェンスカードを渡してチェックも受ける。

暫く待っていると騎士が戻ってきた。

 

「確認するが、お前達が倒したのか?」

 

「はい」

 

じゃなかったら何だっていうんだ。

 

「このまま待て」

 

そう言って詰め所じゃないとこに急いで向かっていった。

あー上に報告的な?

別に良いけど。たいどわる。

アシュリーと指スマして暇潰しする。

 

くっ、アシュリーつよ。いっせーのー、いち!

ぐえっ。いっせーの!ああああもう一回もう一回。

いっせーの「失礼。お待たせしました。貴女がグランツを倒した方でしょうか」んだよ漸く来たか

 

「グランツかどうかは存じませんが」

 

「以前より多くの民を傷つけてきた者たちでした。この度は討伐にご協力いただき感謝します。もしよろしければ、詳しく話を聞かせていただけませんか。どうぞ城までおいでください」

 

「どういたしまして。懸賞金をいただいたら失礼します。仲間が待っておりますので」

 

よろしくないのでごめん。ずっとイラついてたんで。

この人は普通ぽいけど。

 

「…大変不快な思いをさせてしまったご様子。まことに失礼いたしました。是非お仲間もお連れください。歓迎させていただきます。どうかあちらの城へお越し願えませんか」

 

そう言って城を腕でさし示した。

 

「はい。後程でよろしければ」

 

「よろしくお願いします。……おい。早く用意して差し上げろ」

 

ぼーっと見てた部下騎士っぽいのに指示出した。

今更だけどゴスラー枠かなんかかな。

家名ついてるし。魔導士だし。

高レベルだし。

やっちゃったかな。

まあ愛想振り撒いて仲良くしなくてもいいや別に。

皆を優先で。

懸賞金を受け取る。

 

「改めてこの度のご協力感謝いたします。城でお待ちしております。もしお仲間に怪我があれば対応しますが大丈夫でしょうか」

 

「ご丁寧にありがとうございます。問題ありません。ではまた後程。失礼します」

 

場を辞して皆と合流した。

己とアシュリーのお茶を注文して、この後お城に行く事を話した。

 

「面倒だけど仕方ないですね。高名な盗賊のようですし」

 

「私も行っていいのでしょうか。脚の事もあってご迷惑では…」

 

シルヴィが不安気だ。

 

「シルヴィが行くの嫌なら先におウチに送るよ!もしシルヴィにも舐めた態度だったらすぐ帰るしどっちでも気にしないで!」

 

「ここの領主は公爵とはいえお嬢ちゃんは自由民だ。家人でもないお嬢ちゃんは実情はどうあれ立場上領主と同格の位置にいる。気に入らなければ言う事を聞く必要はない」

 

だからシルヴィが気に病む必要なんてないよ!

己に不快を飲み込んでまで相手の望み通りにする義理もないし。

シルヴィも笑顔が戻ってご一緒させてくださいとのこと。

望むならばそうしよう。

のんびり一服してから城へ向かった。

 

城の門は開放されていて自由に出入りできる。

入り口の扉脇の騎士に盗賊討伐の件で呼ばれた旨を伝えた。

応接部屋に案内を受ける。

 

「こちらでお寛ぎください」

 

案内してくれた騎士に礼を言うと、騎士と入れ替わりで侍女が入りお茶を淹れてくれる。

公爵家だけあって美味しい。

この辺の産地なのかな。買っていきたい。

侍女に話を聞いているとノックと共にゴスラー枠らしき人が来た。

もうひとりイケメンエルフもいる。

侍女が下がった。

 

「ご足労ありがとうございました。騎士団の団長を務めるジークと申します。改めてよろしくお願いします。こちらが」

 

「よく来てくれた。余がこの領の領主である。悪名高い盗賊の討伐まことに大儀であった。是非詳しく話を聞かせてほしい」

 

 

ゴスラー枠らしき人はやはりゴスラー枠だった。

そしてイケメンエルフは領主だった。原作ハルツ公みたいに少々せっかちのようだ。

 

 

 

 

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