異世界迷宮でハーレムしない 作:とくめい
99レベルて。
原作のサボー枠かな。獣戦士だし。
パーティメンバーもチェックする。
一人冒険者のおじさんがいた。レベルは30台。
ベテランっすね。
他のメンツは僧侶とか同じ獣戦士とかで30レベル前後。
冒険者が中位ジョブって事を考えるとふたりが突出してる感じか。
あまりの衝撃についじっと眺めてしまった。
入り口の案内役と話してるから、立ち止まって視線を送っても不自然じゃないのはよかったが。
何やら揉めている?という訳でもないようだけれど。
聞こえてくる話からどうも己らで討伐した盗賊狙いだったようだ。
サボーも確かそんな感じの理由だったっけ。
まあロクサーヌがいる訳ではないので己らがからまれることもなかろう。
盗賊について話を聞いてみたら既に討伐済みだったと知り、ガッカリ無駄骨だったって感じの様子である。すまんな。
じゃあもう用はないやと引き返してこちらにくる。
自然と迷宮入り口に向かう己らと向かい合う訳だが、適当に目礼してすれ違おうとすると己の顔を見て99レベルが立ち止まった。
美少女だから仕方ない。こういう事はよくある。
少し己に見惚れて視線を外したが今度はアシュリーを見て動きを止めた。
完全に足を止めてしまっているのでお互いのパーティが向かい合って固まることに。
なんだこの空気。
アシュリーも可愛いから仕方ないけど。
見惚れるのも仕方ない。
狼人族同士だしタイプだったのかな。
ただしおさわりしたら血煙にしちゃうぞ。
アシュリーを見て何やら考え込む表情に。
というより何か思い出そうとしてるような。知り合いだったのかな。
アシュリーに知り合いか尋ねようとすると男が声を上げた。
「お前。覚えがある。毛艶が良くなったので見違えたぞ。確か奴隷になったのだったな」
やっぱ知り合いだったのか。
アシュリーを見る。
「お久しぶりです」
全然嬉しそうじゃない。表に不快感を出しているわけではないが再会を喜んでいるわけではないのはよくわかった。
「子犬のようなのは変わっていないな。だが顔は悪くない。どうだ?また買ってやってもいい。主人はそこの竜人か?」
「はい?私がアシュリーの主人ですが」
なんて?かって?
「その狼人族を一晩貸さないか。勿論必要以上に傷を付ける気はない。銀貨五枚も渡せば充分だろう」
カールとヤンガスが自然に前に出た。
カールは己とアシュリーを守るように左前。男からアシュリーへの視線を遮る。ヤンガスは己の右前。
己は男の言葉を咀嚼するのに時間がかかっていた。
返事を返せない己を見て男が続ける。
「なんだ?足りないか?奴隷女には充分過ぎる程と思うが。具合が良かったのでな。もう一度買ってやろうと思ったが、その時には既に奴隷落ちしていたのだ。わざわざ購入するほどではなかったが、一晩なら銀貨十枚出そう。流石にこれ以上は出さんぞ」
手が出そうになった。
カールとヤンガスが邪魔だ。
なるほど。己も止めてたのか。
冒険者のおじさんが前に出てきた。
「文句がありそうな顔だな女。勘違いするなよ。そこの奴隷女の家族が薬を必要としていてその金を支払ってやったんだ。結局死んで奴隷落ちになったのだとしてもそこまでは関係ない話だ」
「我がテイラー家に刃向かったのでな。殺さずにおいただけでなく薬代まで恵んでやったのだから感謝してもらいたいくらいだ」
表情から、煽りとかじゃなくてマジにそう思ってそうなのが窺える。
察するに金と力を持ってて好き放題してるって感じか。
「黙れ猿が」
誰かが己の言いたいことを言ってくれた。誰だ。
「今なんと言った竜人」
あれ。己が言ったのか。
繕わないと。必要あるか?ないか。じゃあいいか。
「品性だけじゃなくて耳まで良くないのか。テイラー家だっけ?育ちが知れるな。親が良くなかったんだろう。哀れな猿共だ」
おーおーブチ切れてるブチ切れてる。
「そんなに顔を赤くするなよ。益々猿にそっくりだ。何処の田舎住みか知らないが、猿山の大将らしく地元に帰ってせいぜいふんぞりかえっていればいい。次代まで続くかは知らんが」
「許さんぞ貴様。我がテイラー家への侮辱。死をもって償わせてやる」
「侮辱したつもりはなかったんだ。心配になってね。親を貶すような事を言ってすまなかった。きっとお前は拾われた子なんだろう。親は悪くなかったな」
「殺す」
「猿語には詳しくないんだ。ブラヒム語で話してくれないか?猿には難しい事を言ってすまない。わかるか?ぶらひむご」
猿が剣を抜いた。入り口係の探索者が慌てて寄ってくる。
「待て待て。これ以上はさすがに見過ごせんぞ」
「ならば決闘だ。必ず殺す。四肢を切り落として犯しながら殺してやる」
「待てレオン。儂にもやらせろ。許せん。切り刻んでくれる」
冒険者猿も参戦した。
「きいきいとよく鳴く猿共だ。人の真似が上手いな?おひねりをやろうか。銅貨一枚くれてやる。猿真似には充分だろう」
「リョウ殿。どうかそこまでに。決闘となりますと領都まで出向いていただく必要がありますがよろしいでしょうか」
名前を知ってるのか。そして丁寧な対応だな。やはり情報共有されている。
「流石はエルフ殿だ。ブラヒム語が達者でいらっしゃる。構いませんとも。おい猿共。よかったな?恐れ多くも高貴なエルフ殿の領都で猿回ししてくださるそうだ。それまで行儀よくできるかな?剣を抜いたまま歩くのは良くない事だぞ。ひとつ利口になったな?」
ついでにエルフまで軽く煽ってしまった。コイツのムカつく態度も忘れてなかったのでつい噛みついてしまった。
猿は怒りに震えながらも剣をおさめた。
拍手して褒めてやるともはや憤死でもしそうな有様になっていた。
移動魔法を使える木に向かって歩を進める。
「逃げても必ず探し出して殺す。殺してくれと願うまで苦しめていたぶりつくしてやる」
「そうか。頑張れよ」
淡白に返しても腑が煮え繰り返っているよう。
冒険者もこちらを睨み付け怒りに震えたまま詠唱を始めない。
「やはりブラヒム語は難しかったか。詠唱を教えてやりたいのは山々なんだが、生憎私は暇じゃないんだ。とっとと移動してくれないだろうか。城で決闘する事になるだろうが、大きな建物だから猿でもわかるはずだ。安心して向かうといい」
歯軋りの音が混じる詠唱で猿共は移動していった。
さて。
「お家に帰ってお茶でも飲もう。蒸しパンが食べたいな。シルヴィにお願いしようか」
「「「「え?」」」」
全員同じリアクションして笑っちゃう。
「決闘を受けないのですか?てっきりご主人様はやる気かと…いえ避けるのをお止めするわけではありません。ただ、かなり不名誉を被る事になりますが…」
ヤンガスが言った。
「いえ。決闘はしますよ。暫く待ちぼうけさせたら面白そうだなって思っただけです。お茶が美味しくなりそうですね?どんなツラで待ってるのか想像しながら愉しみましょう」
容赦なく帰宅した。
「ただいまシルヴィ。ちょっと猿を躾ける事になったんだけどその前にお茶したくって。蒸しパンもお願いできるかな?」
「かしこまりました。猿…ですか?」
きょとんとした顔も可愛いシルヴィ。
いそいそと準備し始める。若妻感あってグッとくるね。
帰宅する前から爆笑してるカールを除いてみんなで椅子に座った。
「アシュリー。途中で住んでた所を田舎みたいに言ってごめんね。おちょくるために言っただけでほんとは思ってないから」
「いえ、ご主人様。あの…申し訳ありません。私のせいで…」
「アシュリーがどうとかじゃないよ。私、猿が嫌いなんだ」
お茶が美味しい。カールはそろそろ笑い止まないと死んじゃうんじゃないだろうか。
「おねえちゃん」
「ダメです」
うぐうとなるソフィア。デュランダルを渡せばオーバーホエルミングあるし勝てるだろうが己と違って詠唱があるからな。
「ソフィは今回見学だ。オレは出るぞ」
ようやく笑いが止まったカールが参戦表明した。
うーん。
「レオンとかいう猿レベル99だったんですよね。剣の腕でカールさんが負けるとも思いませんが多分攻撃が通らないです。儂も参加すると言ってた猿の方は問題なさそうですけど。怒りで乱れてましたが、佇まいや足運びから多分一番腕が立つのはあの猿ですね」
そっちやる?
「わかった。じゃあ俺はそっちもらうわ」
カールなら大丈夫でしょう。いざとなれば何とでもするつもりなので。
猿とまともに立ち会う気は全くないため使える手段は何でも利用する気であった。
そういやパーティライゼイションって己が薬飲めば味方にも作用するんだったか。オーバーホエルミングして飲めばいいやろ。
ついでに石でも投げとく。
会話から大体事情を察したシルヴィがアシュリーを撫でていた。
心配そうなのは変わらないが止める気もない様子。
ソフィアはワンチャンないか思案しているようだ。
さすがにソフィアはダメだってば。
お茶がとても美味しかったので茶葉を変えておかわりまでしてのんびり過ごした。時折り思い出したように吹き出すカールの方がむしろ面白い。カールはたまに変にツボりっぱなしになる。
7thジョブなどの設定を終え、そろそろ行こうか〜と声をかける。
見送ってくれるシルヴィをハグしてからワープを使用した。
領都の詰め所に出向き、決闘を申し込まれた旨を伝える。
おおいらっしゃいましたかとか言われて城に向かうよう指示された。
途中目に付いた店まで冷かしてしまった。
城門をくぐると待機していた騎士がこちらに寄ってきた。
「失礼します。リョウ殿でいらっしゃいますね?決闘の場にご案内致してもよろしいでしょうか」
「はい。よろしくお願いします。お待たせしてしまったようですみません」
「いえ。お気になさらず。ではこちらへどうぞ」
本当に気にしないままついていく。いやエルフには気にした方がいいかもしれないが。態度悪かったのをけっこう根に持っているためついでの意趣返しとなってしまった。
別に己だけだったら我慢するけどー。みんなまでバカにされたらムかつくじゃん。
案内されたのは城の中庭。恐らく訓練所なのかな。
原作と同じ感じと思われる。
猿共がこちらを見てキャッキャ言ってる。一緒に立っていた騎士団長がこちらへ向かってきた。
「騎士団長のジークである。あちらの者達より決闘を申し込まれたと聞くが相違ないか」
「はい。ちょっと道に迷ってしまってお待たせしてしまいました。申し訳ありません」
全く悪びれずにいけしゃあしゃあと言う己を見て猿共が更に盛り上がってる。ウケる。
これ見よがしにさっき店で買った花まで持ってるからな。
ウソだろうって言われてもそらウソに決まってんじゃん。隠す気ないけど。
惚けた顔で首を傾げてみるとそろそろ血管まで切れそうなお顔。
いい顔だ。お茶を頂ける?
カールがめっちゃ悪い顔でニヤついてて草。
「決闘を申し込む二名が自由民である事を確認している。そちらは決闘に異議はないか」
「はい」
「では申し出に従い、自力救済の原則に則って決闘を認める」
「先に儂がやる。女は後だ。誰ぞ代理をたてろ」
冒険者猿が名乗り出た。カールが前に出る。
「我が主。私が」
「お願いしますね」
カールが騎士団長に名を告げ参戦を表明した。
「このまま今すぐに、非公開の決闘でよいか?」
「やっぱり後日にします」
騎士団長と猿がポカンとした。カールは吹き出す。
猿共がやんややんや言い始めた。
微笑みながらしばし猿回しを愉しむ。
「構わないが…何か理由があるのか」
「失礼しました騎士団長様。あまりに相手が恐ろしく怖気付いてしまいました。勇気を出してこのまま臨みます」
微笑みながら返事をした。
猿共は決闘前に憤死しそうで結構な事だ。
てか今気付いたが領主も見てる。
時間おいてる間に来ちゃったのか。
まあいいんだけど。
「それでは、両者前へ」
カールと冒険者猿が向き合う。
「貴様の主人を八つ裂きにしてやりたいが先に貴様だ。あの女の前で命乞いをさせてやろう。力の差を思い知らせてから殺してやる」
「そりゃ楽しみだ」
猿が剣を地面に突き刺し、柄尻に両手を置いた。
「先手は譲ってやる。すぐに終わらせてやるとは思うな」
「では遠慮なく」
カールが凄まじい勢いで突きかかった。猿が目を見開き剣を構える。
狙いは喉元。受けはまにあう。
平突きの構えだったカールが腕を捻った。
突きの軌道が変化し、受けようとした剣を避け相手の眼に突き立つ。
ブラジリアンキックみたいな動き?己が二度防いだ技だがいつの間に改良したんだ。
ミサンガで防がれた一撃だが衝撃までは防げなかった。後ろに倒れ込み尻餅をつく。
即座に体勢を立て直し剣を構えようとするが、カールが首に刃を添える方が早かった。
「言い残すことは」
「若造如きに。とっととやれ」
「お見事」
首を刎ねた。
カールが己に美しく騎士の礼をとった。
「勝者カール。続いてレオンの決闘にうつる。…見事な腕だった」
最後にぼそっとカールへの称賛をはさみ指示が出た。
カールが戻ってくるのを迎えた。
「お見事でした。いつの間にあんな技を。あの時はまだでしたよね?二回目も同じ軌道でしたし」
そうでなければ見えない中防げなかった。
「お嬢ちゃんに二度も凌がれたのが悔しくてね。練習してたのさ」
ニヤリと笑うカール。ヤンガス達からも称賛がとぶ。
「ご主人様。いってらっしゃいませ」
アシュリーが声をかけてくれた。皆も激励してくれる。
皆、全く心配しているそぶりはなかった。
普段の己の暴れっぷりを見て勝てる奴がいると思う方がどうかしている。
「じゃあみんないってくるね」
己と猿が中央へと進んでいった。
「奴に勝ったからと調子にのるなよ。俺一人で充分だ。あの男も含め皆殺しにしてやる。もし死後解放であったとしても関係ない。我がテイラー家への敵対を後悔するだろう」
「息が臭えぞ。囀るな。猿の血統を誇られても滑稽なだけだ。今日で根絶やしにしてやる。猿は嫌いなんだ」
金棒を抜き地面に突く。轟音が鳴り響いた。
よくこんな得物持ってる相手に喧嘩売ろうと思うよな。
騎士団長様もビビって身体が引いたぞ。
そういやここで得物を見せるのは初めてか。
「トカゲ女が見栄っ張りな物を。こけおどしでこの俺がどうにかなるとは思うな。奴隷共に囲ませ輪姦してやる」
「口喧嘩が好きな猿だな。もう飽きた。来い」
口喧嘩はもう散々おちょくったので満足した。
猿は殺すと言い捨てて剣を振りかぶった。
殺すのか輪姦すのかどっちなんだよ。
間合いを詰めてくる。まあ普通に早いけどってくらい。
みんなそうだけど、魔物を殺すのは上手いんだろうな。
真っ直ぐすぎ。握りも足運びも目線も工夫が何も感じられない。
人を相手に戦うって事が根本的にわかっていない。
わかってるやつカールくらいしか見た事ないけど。
取り敢えず避けてみた。
剣のフリもまあ速いっすねってくらい。
多分ドープ薬って奴だろ99レベルも。ステータスが上がらないか上がっても少し的な。
ただ物理攻撃力にはレベル補正が適用される。
カチカチの己でも99レベルの攻撃は通っちゃいそう。
オーバースキルを使うまでもなく避け続けていく。
99レベルと戦闘する事などそう経験できない。色々試すか。
振り下ろしに合わせて横から金棒をぶち当てた。
猿の剣がすっ飛んで城の壁に刺さる。やべ。
悪いのは猿の剣なんで。請求はコイツにしてね。
猿の腕は、多少痺れはあるかもしれないが特に傷が見当たらない。
腕がもげてもおかしくないくらいの力を込めたんだが。
「いいよ」
金棒をおろし、信じられないといった顔で固まってる猿に声をかける。
あ?とだけ返ってきて身体が動いていない。
「頭のまわりが悪い猿だな。待ってやるって言ってるんだ。とっとと拾ってこい。犬のように」
手を振って剣を示す。早くしてほしい。
後退りで距離を取った後、剣に向かって全速力で走っていく猿の背中を拍手で見送る。上手上手。
般若のような表情で斬りかかってくるのを今度は受けてみた。
正直これはけっこう怖かった。金棒を斬る事は不可能だとは思いつつも。
物凄い金属音が鳴り響く。
ギリギリと押し切ろうとされているが己はびくともしない。
だが受けた瞬間だけは今までにない衝撃感があった。
やはりまともに受けると死にかねないと判断できる。
剣を受けたら死ぬのは普通の事だとは思うが。
腕力で弾く。体勢を崩したところに金棒を振り抜いた。
人の身体からでちゃいけないような音を出しつつ吹き飛んでいく。
地面を擦りながら城の壁に激突した。
プルプルしているが立ち上がった。
鑑定を使ってもミサンガは切れていない。
感触から骨も折れていないし、身体も千切れたりしていない。
レベル補正って凄いな。
でも大体わかった。衝撃までは殺せない。
細かい理屈はよくわからないゲーム仕様だけど、一応殺しようはある。
電車に轢かれても電車がピタっと止まるわけじゃない。
電車に当たった瞬間のダメージは攻撃判定だけど、それに付随して吹き飛んだ際のダメージと動き続ける電車に引き摺られるダメージなんかは素通しだ。ステータス判定かな多分。
ビルの屋上から落ちるようにブン殴ると、殴りのダメージは殆ど通らないけど落ちて死ぬみたいな。
地面や壁に向かって叩き潰し続ければそのうち壁か地面のシミになってくれるだろう。
一瞬で死ねないのである意味惨い。
剣をささえにかろうじて立っていたが薬を飲んでしっかりと体勢を保った。
再び向かってくる。
延々と壁や地面とピンボールさせてもいいが。
オーバーホエルミング
近寄ってきたタイミングでオーバーホエルミングを使った。
こっちの方が効果時間は短いが、オーバードライブのスローモーション効果よりもほぼ時間停止くらいに遅くなる。
デュランダルを出して首を二回なでて刎ね飛ばす。
すぐにデュランダルをしまった。
不愉快な猿だったが検証の役にはたってくれた。お礼にあまり苦しまない方法を選ぶ。
じゃあな猿。お前をおちょくるのはけっこう楽しかったよ。
「お見事。この領の騎士団長であるジークが確かに見届けた。死力を尽くした正式な決闘であると証言する」
騎士団長がしめたが、どうしようかな。
「猿が、えっと。名前なんでしたっけ。私だけでなく全員を皆殺しにすると息巻いてそこにいる猿のパーティメンバーも盛り上がって犯してやるーとか騒いでましたが、続けて決闘って申し込めるんでしたっけ」
「普通はそこで終わりなんだが。負けた方は挑めない決まりはある。勝った方が続けて挑んではいけないという決まりはないな」
カールが答えてくれた。騎士団長を見る。後ろで猿共が青ざめていた。
「望むのであれば構わない。決闘を望むのであれば自由民である証にインテリジェンスカードを改めるぞ」
腕を差し出す。
猿共が騒ぎ出した。
「お許しください。二度と諍いをおこさないことを誓います」
「信用できません」
切って捨てたが、騎士団長が待ったをかけた。
「互いの同意がないのであれば、決闘というわけにはいかない。しかしその方らの醜い野次は私も聞いている。謝罪をはっきりとした形にすべきではないかと考えるがどうか」
猿共は装備だの金だの持ってるものを積み上げて懇願を始めた。
うーん。
「私は命が欲しいのですけれど」
金をもらってもな。
「気持ちは理解するが、落とし所というものは必要だ。抑えられよ」
おっしゃる通り。仕方ない。
「テイラー家の方ですっけ。覚えました。根絶やしにすると言いましたが、今回は騎士団長様をたてて生かしておいて差し上げます。いいですね。今回限りです。次。その顔を見せたり不快な思いをした時は一族根切りにします。騎士団長様の前ですがはっきりと宣言しますね。気が変わる前にとっとと失せろ猿共」
無事猿回しは終わった。不快な猿共め。
猿99レベルと冒険者猿の装備含め、色々手に入ったが今細かく確認するのもだるい。後にしよ。
それじゃあみんな。今日は帰ろっか。迷宮って気分じゃなくなっちゃったよー。
ああ、そうだ。
「騎士団長様。お手数おかけいたしました。立ち会いありがとうございます。あの。猿への嫌がらせでお待たせしちゃって本当に申し訳ありませんでした」
ごめんなさい。あの時は待ちぼうけさせたら死ぬほど笑えそうって事しか考えてなくって迷惑かけちゃいました…もうしません多分。
「いえ。かまいません。こちらこそとても良いものが見られました。テイラー家のレオンといえば悪名高いと言われど豪傑と名高い狼人族です。その男をまるで赤子のようにあしらうとは。そちらの彼も見事な業前でした」
「ありがとうございます。自慢のパーティメンバーです」
いやほんと。初見であれは避けられる気がしないな。
領主まで寄ってきた。まあ来るかそりゃ。
「実に見事だった。決闘ときき待っていた甲斐があったというもの。話を聞かせてもらったが、我が領の迷宮に入るところだったそうではないか。リョウ殿のようなつわものの協力があれば我が領も安泰というもの。これからもよろしく頼みたい」
それはマジでたまたまだったんですけど、入る素振りを見せられたのは良かったね。
ごめんけど今日はもう帰るんで〜。お暇してさっさと帰宅させてもらった。
「おかえりなさいませご主人様」
シルヴィがほっとしたように出迎えてくれた。他のメンバーとは迷宮に入ったが己の闘いぶりを見た事がないシルヴィが心配するのも当然な事。
「ただいまシルヴィ」
買ってきた花を一輪渡す。ハグして頭を撫でた。ようやく安心したように力を抜いた。隙をついて尻尾をいじろうとしたが避けられる。
「アシュリー」
ずっと笑顔がなかったアシュリーを抱きしめた。
「もしかしてだけど…本当は相手に気持ちがあったりした?」
「いえ全くそれはありません。申し訳ありませんでした…ご主人様にご迷惑をおかけしてしまった事がどうしても」
「迷惑なんて思ってないよ。言ったでしょう。みんなの敵とは僕が戦うと」
だから気に病まないで。ようやく力を抜いてくれた。
「次は私も参加しますおねえちゃん」
どれだけ戦いたいのキミは。あと次なんて多分ありません!
いつもお読みいただきありがとうございます!!
今回主人公くんちゃんがお口わるわるになっておりますが、改めて読み返すとマジで酷いこと言ってると思いまして謝罪をば…
主人公くんちゃんですが、発言内容について差別意識ですとかそういった環境が悪などと思っているわけではなく、コイツにどう言ったら一番刺さるだろうなって考えて喋っております。
つまり悪意100%。純度100%の邪悪な意思でもって口撃をしておりまして、例えば同じ境遇の方を貶めると言った意図は全くないことをここに記載させていただきたいと思います。
作者自身レオン達は何を言われるのが一番効くだろうと心の中のクラピカが全力を出して神経を逆撫でするノンデリ発言をノリノリで書いてしまっておりまして配慮にかける行いだったと反省しております。
改めて主人公くんちゃんは嫌いな奴に刺さりそうな悪口を選んでいうだけの性格が最悪な奴というだけで差別主義者でないことをご理解くださいませ
お猿さん発言については無意識でも呼んでしまっているので上記の言い訳が通じません。
万が一読者様方の中にホモサピエンスではなくお猿さんがいらっしゃるようでしたら大変申し訳なく思います。
主人公くんちゃんはお猿さんには厳しいです