愛し合う二人は平穏を求める   作:レイアズ

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02 ミミル軍港襲撃

目覚ましの音で目を覚ましたレインは、セレンと自分の朝食を作るため、自分の部屋を出てキッチン向かった。

 

 

 

フライパンで合成肉が焼ける音が響く。

 

今日のメニューは、培養肉でできたソーセージもどきに代用品をパックに詰めてそれっぽくしたものを焼いた目玉焼き、それに焼いたパン、ジャムだ。

 

 

 

本物の肉類なんて、クレイドルに住んでいる奴らがたまに食うくらいの超高級品なのに加え、出荷量が限られており、とてつもない抽選倍率なので買えたものではないのだ。

 

 

 

レインもとりあえず抽選に参加してはいるが、未だに当たったことは無い。

 

 

 

セレンは昼飯はレーションで済ませるか抜くかなので、せめて朝晩はちゃんとしたものを食べてほしいという思いから、レインは早起きをして自分で朝食を作っている。

 

 

 

「う〜ん」

 

 

 

匂いと音につられて起きてきたのか、セレンが目をこすりながらやってきた。

 

 

 

「おはよう、セレン」「おはよお…」

 

 

 

セレンは普段はキリッとしているのだが、朝が絶望的に弱く、二重人格と疑わんばかりに性格が変わる。故にセレンは寝起きを親しい者以外に見せたがらない。

 

 

 

「「いただきます」」

 

 

 

手を合わせて朝食を食べ始める。

 

そうしていると徐々にセレンの目が覚めてくるので、1日のスケジュール確認を行う。

 

 

 

「今日はカラード本部に行って、兵装を買ってから訓練、できそうならオーダーマッチだよね?」

 

 

「そうだ。私のリンクス時代の金を使ってもいいが、どうせなら使わんブレードも売ってしまえ。

あとはミッションとオーダーマッチで金を稼いで…といったところか」

 

 

「売るんだ…」

 

 

 

ブレード好きだったのに…とちょっとがっかりしているレインを見てセレンは鼻を鳴らす。

 

 

 

「当然だ。そもそもなぜ新人向け機体に、あんな新人向きではない武装が搭載してあるんだ。機体構成をいじったやつは頭がイカれてるのか?」

 

 

そう憤慨するセレンを尻目に朝食を食べ終えたレインは、外行き用にと掛けておいたコートを着て家の外に出た。

 

 

空を見上げる。

国家解体戦争とリンクス戦争の影響で、コジマ粒子は空すらも汚染しだした。

その結果、今では緑がかった雲に覆われ、青い空は極稀にしか見えなくなってしまった。

 

人工降雨のアナウンスを聞き、少しは太陽の光が差すことを願いながら、レインはカラード本部に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シミュレーターを使っていくつかの武装を試し、ブレードとマシンガンを売った金、そしてセレンが渡してくれたカードに入っていた金を使い、肌にあった武装を購入する。

 

 

 

自分の戦うスタイルは自分が一番わかっている。

 

ブレードを振るか振らないかの近距離での上下移動も駆使した近接旋回戦。

 

それがレインのスタイルだ。

 

 

 

右腕武器は051−ANNA。

 

BFF製の重ライフルで、高精度が売りのBFFらしく、貫通力に優れた弾丸が高精度で飛んでいく。

 

遠距離から接近する際に重圧を掛けられるし、高速で動き回る軽量機体も捉えることができ、装甲に優れた重量機にも貫通力を活かして十分なダメージを与えられる。

 

流石に耐弾性能に優れるタンクの相手では豆鉄砲と化すが。

 

更に大事なのが継続火力。左腕武器との兼ね合いもあり、継続的に火力を出し続けてくれるこの武器は安心感が強い。

 

 

 

左腕武器は04−MARVE。

 

『瞬間火力』の代名詞なような存在で、近距離適性も高く、弾速も早いので近接戦の激しい動きで照準がぶれたとしても、十分な命中率が見込める。

 

ただその圧倒的な火力の代償に、装弾数が非常に少ないのが欠点だ。

 

しかしネクストの相手などをするときに、この火力は大きな強みになるだろう。

 

 

 

肩武器はGRB-TRAVERS。

 

ノーマルや集団で集まっている防衛兵器を一気に破壊する役割を持ち、比較的軽量でストレイドに積んでも機体速度に悪影響が少ない。

 

影響が少ないと言っても、重量が無いわけではないので、ネクスト戦のときは早々にパージしてしまうのも一つの手だろう。

 

 

 

FCSはINBLUE。これは近距離機体に必須なFCS。

 

ロック、レーダー距離、そしてミサイル適性を犠牲にした代わりに得たロック速度や並列処理能力は、ほかのFCSを圧倒する。

 

特に、ストレイドの基本フレームであるアリーヤは、近接旋回戦特化という特徴を持っているので、このロック速度は重宝することになるだろう。

 

 

 

そのまま1、2時間ほど機体と武装のクセ慣らせる。

 

グレネードキャノンに突撃型アサルトライフル、そして重ライフルという武装構成でシミュレーターの敵機と戦っていると、自分でも驚くほどスムーズに機体を動かすことができた。

 

 

 

……違和感と不気味さを感じさせるほどに…………。

 

 

 

以前の訓練で使ったのを忘れているのだろうか?と首を傾げながら受付の人のところに行って用件を伝える。

 

 

 

「オーダーマッチをしたいのですが、チャンピオン・チャンプス(ランク30)さんはいますか?」

 

「少々お待ちください………いらっしゃるようです。申込みをされますか?」

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、シュミレーションのアリーナが騒がしくなる。

 

 

 

「例の新人とキルドーザーがやるってよ!!」

 

「ま、十中八九キルドーザーの負けだろうな、逆にあいつに負けたらリンクスをやめたほうがいいぞ」 

 

 

 

随分とひどい評価のチャンピオン・チャンプスだったが、それもまあ妥当である。

 

 

 

彼の機体、キルドーザーは主兵装が両手の建築物解体用の実体ブレード(ドーザー)、あとはグレネードとミサイルしかなく、本人もドーザーしか使わず、解体任務しか請け負わないため戦闘経験が皆無であり、自動的にカラードランク不動の最下位になってしまうのである。

彼はなぜネクストに乗っているのだろう。

 

 

 

『これより、オーダーマッチを開始します。対戦者はランク31、レイン・ヘイズ様、ランク30、チャンピオン・チャンプス様です。両者準備はよろしいですね?……では、オーダーマッチ、試合開始です』

 

 

 

アナウンスの掛け声とともに自分の機体、ストレイドを動かしていく。

 

 

 

まずオーバードブーストによって交戦距離まで接近。

 

上下移動を織り交ぜながら、MARVEの弾を叩き込む。

 

 

 

「どうおりゃあああああ!!!」

 

「………」

 

そう勇ましく叫び声を上げながらキルドーザーが飛んでくるが、ジャンプして躱し、弾を撃ち込み続ける。

 

 

 

苦し紛れのグレネードはクイックブーストで躱し、ミサイルはライフルで撃ち落とす。

 

そんなやり取りを数回していたらキルドーザーのAPが尽きてレインの勝利で終わった。

 

 

 

ストレイドはノーダメージ、圧勝だ。

 

 

 

そのままシミュレーターから出て周りを見渡すが、目当ての人物はいない。

 

元々あまり期待はしていなかったが、それでもレインは少し残念な気持ちになりながら家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」「おかえり」

 

 

 

そう言葉を交わして料理を作る。今日はシチューとサラダ、養殖魚のソテーだ。

 

料理を机に並べ、食事を始める。

 

 

 

「お目当ての人は見つかったか?」

 

 

 

そうセレンが聞てくる。首を無言で振ると、セレンは呆れたように息を吐く。

 

 

 

「そりゃそうだ、BFFの女王様は普段からカラードなんて荒くれ者が集まる場所にはいないさ。王小龍が許すはずがない。

あいつはリリウムを孫娘のようにかわいがっているからな。あちらさんが会いたくても実績がなきゃ危ないだの何だの言って会わしてくれないだろう。

会うためにはリリウムとオーダーマッチができるくらいカラードランクを上げるか、大きな実績を用意して、自分の価値を証明しないと話にならん。励めよ」

 

「うん…」

 

 

 

レインが沈んでいると、その様子を見たセレンは少し慌てたように付け加える。

 

 

 

「……あ〜……まあお前の実力なら直ぐに会えるようになるだろう。明日から依頼が死ぬほど舞い込んでくるはずだ。今日は早めに寝ておけ」

 

「…ありがとうセレン、励ましてくれて」

 

 

 

レインはちらりとセレンを見上げ、礼を言う。

 

セレンは後になってから恥ずかしくなったのか、

 

 

 

「……っバッ…バカ!そんなんじゃない!勘違いするな!」

 

 

 

と、真っ赤になりながらそう言って部屋にこもってしまった。なんだかんだ出会って数年経つが、もう師弟ではなく親子のような関係になっているのかもしれない。

 

おやすみ!と部屋に声をかけると、小さな声で、おやすみとかえってくる。

 

レインもそのままベッドに入って眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッション「ミミル軍港襲撃」

 

 

 

 

「ミッション開始。作戦エリア内の敵部隊を排除する。時間制限付きだ。速やかにな。」

 

 

その言葉を背に、ストレイドは海面に降り立った。

 

今回の依頼はGAから。あれからオーダーマッチをいくつか勝ったので、GA側から価値を認められたのだろう。

歩合制かつ、弾薬費は向こう持ちということで、弾薬費の心配が無い。

 

ただ、弾が切れることを心配し、レインはすぐに弾が切れるMARVEではなく、継戦能力に優れたANNAを軸に船舶に射撃を加える。

 

 

「リンクスだ!総員戦闘配備!!」

 

「識別は…ランク28、ストレイド!下位ランクならやりようはある!輸送船を守れ!」

 

 

駆逐艦や戦艦が弾を撃ってくるのをクイックブーストで避けながら、時折MARVEの射撃を混ぜながら船を破壊していく。

 

 

「こいつ、ランク28じゃなかったのかよ!!」

 

「泣き言言ってないで手を動かせ!死ぬぞ!!うわっ!!」

 

 

停泊中の船舶がまとまっているところにグレネードを撃ち込み、一気に撃破。流れるように近くにいたノーマルを撃ち抜く。

 

 

「残り時間、4分20秒。敵勢力は後40%前後か、いい調子だ。」

 

 

セレンからの通信で、残り時間を意識したレインは、レーダーを確認し、残敵の反応がある、洞窟の中に作られている基地の中に飛び込んだ。

 

 

「来た!撃て撃て!!」

 

「洞窟の中なら機動力が削げるはずだ!」

 

 

己の恐怖心を隠すためか、大声を上げて弾を撃ってくるノーマルと戦艦達をレインは一瞥し、狭い空間なら、ネクストの機動力を削ぎ落とせる、と言う敵の希望を嘲笑うように、横方向に連続でクイックブーストを吹かしながら、両手のライフル、そしてグレネードを乱射し、敵集団を撃破していった。

 

洞窟を抜け、開けた場所に出ると、そこには見たことがない新型のアームズフォート(AF)が停泊していた。

 

 

「新型AFを確認。追加報酬対象だ。残り時間3分」

 

「……了解」

 

 

エンジンと思われる部分にライフルを向けて掃射。10秒ほどは耐えていたが、ダメ押しとばかりにグレネードを撃ち込まれれば、敵AFは火を吹いて沈黙した。

 

 

「よし、後少しだ。さっさと終わらせてしまえ」

 

 

レインはAFの奥に停泊している船に視線を向けた。もうノーマル部隊も全滅しており、残った戦艦が狂ったように弾を放ってくる。

 

 

「くそっ!逃げろ!!もうだめだ!!」

 

 

敵戦艦はオープン通信で仲間の艦にそう叫び、艦首を外海の方に向けようとしたが、レインがそれを許すはずもなく、30秒も経たないうちに、残りの戦艦は全て火を吹き、海底に沈んでいった。

 

 

「全目標を撃破。ミッション完了だ。凄まじい成果だな……感服したよ……」

 

 

セレンが驚嘆を込めながらも称賛するも、レインは不思議そうに首を傾げた。

 

 

「……この構成ってミッションで使うの初めてだよね…?オーダーマッチの時も思ったけど、なんか……長年使っていたような感覚がするような……」

 

「その構成がお前に合っているだけじゃないのか…?まあいい、さっさと帰還しろ」

 

「……了解」

 

 

セレンも不思議そうに返したが、結局気の所為だという事に落ち着き、レインは回収用ヘリとの集合地点に機体を向かわせた。

 

 

 

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 

 

 

「…………!!」

 

 

思わずBFFの陰謀屋、王小龍(ワンシャオロン)は目を見開き、記録された映像を巻き戻した。

 

 

「この戦い方……なぜこの新人が……」

 

 

ミミル軍港襲撃時、軍港内部に侵入させていた部下が撮影した映像。

 

そこには滑らかに洞窟内を滑るようにクイックブーストを吹かしながら、両手のライフルで、敵に向けて射撃しているストレイドが映り込んでいた。

 

そもそも今回の依頼は、GA陣営として、レインが使い物になるかどうか見極めるため、王小龍が仕組んだものだった。

 

そして実際の映像を確認していたのだが、そこに映っていたものに、王小龍は驚きを隠せなかった。

 

……似ている。……いや、見紛うばかりに似ていると言うわけではない。

 

『奴』は近中遠それぞれ対応できる万能型のリンクスだったが、目の前の此奴はANNAの遠距離での使い方が拙い。

恐らく遠距離戦では『奴』の足元にも及ばないだろう。

 

しかし近距離、その間合いに入った瞬間。

機体が跳ね、近距離用のMARVEだけでなく、遠距離用で取り回しが悪いはずのANNAを、まるで近距離用のマシンガンでも扱うかのような正確な照準で、流れるように敵を撃破して行く。

 

近距離用のFCSに加え、恐るべき近接戦闘適性。自分が戦うことになったら、遠距離で封殺する以外に勝機が見出せない。

 

『奴』の機体のような、どの距離感の敵にも対応できる運用ではない。

フレアを取り除き、グレネードを軽量化することで機体の速度をさらに引き上げる運用。

 

ANNAで牽制しながら接近し、MARVEで一気に削り取る戦い方。

 

王小龍の机に紅茶がコトリと置かれる。

目を向けると、そこにはリリウムが立っていた。

 

 

「王大人、難しい顔をなされていますが、何か悩み事でも?」

 

「……いや、なんでもない。」

 

 

そう誤魔化し、カップに口をつける。

 

似ているのは武装とフレームだけだ。そう思い込もうとした。

 

しかしどうしても幻視してしまう。

 

かつての最強、レイレナードの英雄、ベルリオーズを。




前のときはミッション飛ばしすぎたんで、もう少し細かく書いていきます。
あと入れ忘れた伏線も。

文章力高い人の作品見ると、書いてる途中のやつを何度も手直ししてしまいます。もっと文才欲しい…

感想と評価していただけたら作者は喜びます。ぜひお願いします。

これからの話にVD要素が少しだけ出てくる予定で話を考えていますが、あんまり混ぜ混ぜするのも良くないかと迷っています。そこでせっかくなので皆さんに決めて貰おうと思います。回答よろしくお願いします。

  • VD要素があった方がいい
  • VD要素はあってもいい
  • VD要素は無い方がいい
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