ランナーズハイ   作:どんとろりんと言葉が溶けていく

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気になった前話感想拾い
>勝敗拘りは不純って言うけど言い訳じゃない?(意訳)
気づいてくれて嬉しいね。一応不純とは思ってるよ。走ってる最中に別のこと考えるのは真摯的じゃないですからね。
ヒトだったから走ることだけに専念したのがアホ。ウマ娘だったから一番前に走ることに固執したのがススズだよ。
あるいは互いに捨てきれぬ未練があったのかもしれません。ヒトは差異がない勝負がしたかったからこそ理不尽にも感じる想いを否定し…ではススズは?

いつか、自分が振り回していたものが、ナイフだったことに気づく時、曇らせというのは完成すると思ってます。
それまでススズは脳をじっくりローストされようね。

それはそれとしてリアルが忙しくなるので一日一話目標です。あとちょっと評価が下がってるのもあるかも。メンタルよわよわ

シリウスシンボリ回


牙を研ぐ

「どうしたらアイツを殺せる…どうしたらアイツをブチ抜ける…?」

 

寮に帰らずシンボリ家(実家)の方に戻って資料を漁っている。今日に限らずしばらくはこっちで泊まるよう言ってある。ヒシアマゾンがしつこく理由を聞いてきたが、譲れねぇモンが出来たっつったら黙った。

 

トレセン学園だけじゃ足りねぇ。それこそこうして実家の資料全部ひっくり返すくらいのことやれねぇとアイツに認めさせることは出来ねぇ。

 

自分の走りを記録した映像を食い入るように見る。アイツの走りを思い出す。何が駄目だ?理由があるはずだ。

 

アイツは私の走りが見たいといった。だったらアイツの技術を私のモンにした走りでぶち抜いてやる。いや、それじゃ足りねぇ。アイツはきっとどこまでも観察し続けてきたはずだ。生半可な努力は冷めた目で見抜かれる。そんなの許すはずない。

 

「シリウス、急に家の方に帰ると聞いたが何が」

「るせぇ、アンタにゃ関係ない話だ」

 

後ろから皇帝サマが声を掛ける。構ってやりたいが時間がねぇ。いや…?アリ…か?アリだ。やれることはやっておけ。

 

「今、時間あるか?」

「えっ?あぁー…、一応仕事はあらかた終わらせてきたから幾らか時間は」

「付きあえ」

「えっ」

「付き合え」

 

「えっ?」

 

―――――

 

実家で管理されているターフで足踏みする。整備された芝が柔らかく沈み込む。感触は上々、上半身のストレッチを挟みながら付き合わせている皇帝サマに再度、確認をした。

 

「どうだ?ちゃんと撮れてるか?」

「あ、あぁ…もちろんだとも。君のことだ。並走のお誘いかと思ったんだが…」

「今そういう気分じゃねぇ…てより今アンタと走るつもりはない」

「シリウス…!?」

「ンだよ?」

「いや、シリウス…本物…」

「私に本物も偽物もあるかよ。ま、言いたいことはわかるが」

 

失礼なことを言う皇帝サマだが、まぁわからなくもねぇ。自嘲しながら返してやる。

いつもいつも噛みついたりちょっかい掛けたり自覚はある。もちろん、やめるつもりはねぇが…今はそれよりも優先すべきモンが出来た。いや

 

こんな状態で皇帝サマと走って勝てるわけねぇ。こんなので挑んだらそれこそグチグチ言われそうだ。

 

私が私自身に納得できなきゃ、日本のテッペンすら目指せねぇ。

 

「それより、良いか?私が今から走る。アンタはそれをカメラで追ってくれ。休憩挟んで3回やる。付き合うっつったんだからやってくれよ?」

「あぁ。わかっている…」

「じゃあスタート鳴らしてくれ」

 

スタートにつく。一本目はいつもと同じように、普通に走る。休憩中にそれを見て改めて自分の長所と短所の確認だ。アップに近いが、アップよりも本気でだ。身体を慣らしつつ、アイツが言っていたエンジンをかける。

 

身体中の息を吐き出す。二本目はアイツの走りを取り入れる。見返して、何がアイツの気に入らないものだったのかを考える。アイツは私の走りを見たいと言ったが、アレはアレで私の走りでもある。でも足りなかったのならもっと磨くべきだ。タイミング…あるいは私に組み替えるべき何かがあるか。それを見極める。

 

アイツの言葉を再度思い返す。三本目は死ぬ気で走る。私が持てるすべてを燃やして走る。

 

資料で見たいくつかの走りで参考になるやつはあった。試してみてどれも取り入れるべきだと思ったが…アイツが言っていたのはそうじゃないんだろう。

 

だから、徹底して見た。何度も、何度も見返して、フォームから繰り出されたのか、クセから出されたものなのか、あるいは技術、それとも偶然によるものか。

 

どうしてそのタイミングで動いたのか。そのテクニックでその後どうなったか。気質や脚質でどう生かせるのか。

 

そうした中で、アイツの走りの理由の一つが見えた気がした。仮説が一つ立てられた。

振り返ってみればおかしな話だった。なんで私はアイツの技術を真似られた?私が天才だったからか?そんな驕りはとっくに捨ててる。近いものがあったからじゃないか?

必ず理由があるはずだ。それを探して、一人のウマ娘のデータがあった。

トウカイテイオー、皇帝サマに金魚のフンみてぇに引っ付いてるウマ娘の走りだ。

 

テイオーの走りを見て脳裏に引っかかりを得た。つぶさに分析し、観察し、資料を見る。

 

そうして仮説を打ち立てた。

 

アイツの走りは、足が弱いからからこその走りなんじゃないか?

足…というより膝か、あるいはふくらはぎの骨、脛骨の部分が弱いんじゃないか?だからアイツはつま先から踏み込んでかかとで蹴る走法を採用していた。つま先に負担を集中させている。たまに出る悪癖の走法は、確かに足に掛かる負担、その嫌なタイミングで握りつぶしている。それはもしや足に掛かる嫌な負担を膝に送っているだけの…本当の悪癖だったからじゃないか?

 

治そうとしても治せなかった。それはたぶんテイオーと同じだ。テイオーはテイオーで足の筋肉が柔軟過ぎる節がある。アレは生来のもので変えようと思って変えられるものじゃあない。テイオーはそれが強みだが、アイツは弱みだったと仮定する。生まれつき膝に何か抱えていたとする。

 

それをどうにかするために今の身体、走りとなったとすれば…

 

それを真似するなら自らの弱みを知らなきゃいけねぇ。自分の弱い部分にあえて一瞬負担をかける走り、身体をぶっ壊すようなものかもしれねぇが、それでもアイツが走り続けているなら絡繰りがあるはずだ。

 

そして、アイツの走法を一瞬変える技術はそのキーとなり得る。

 

ルドルフが手を振り上げる。今までの意識を一気に最小へ。今は、

 

「検証だ」

 

振り下ろされた合図と共に全身の発条を一気に解放した。




アホは神様を殴り倒した後です。生まれ持った体質で好きをやめるわけねぇだろ。
そんなんだからこそ、想いの差で負けるというのは許せることではなく…だからススズの言葉もありますが、立ち上がったのでしょう。それはきっと誓いであり……


種族差はちょっとデカイ才能とも言い換えられます。人の努力を容易く踏み越えるような。

でもまぁ、才能に驕る人間は大体努力マンに負けるので、ススズ戦は相手が悪かったです。同じ求道者で同じ土俵、同じく積み重ねてきたのなら最後にものをいうのは、持っているか 持っていないか でしょう

それはそれとして試行錯誤するシリウス可愛いね
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