ランナーズハイ   作:どんとろりんと言葉が溶けていく

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お待たせしました。久しぶりの感想をば
「スズカとシリウスだけの末路」
…まぁちょっと、シリウスが重力を強めに出して、スズカがサイレンス()に重くなっていく感じ…かなぁ。
だからシービーがストッパーというか…自由が好きなのに、尤も不自由な立場になりそうなのは偶然です。




これって姦しいになるんですかね?


三人そろえば姦しい?

「へぇ、あの秋川理事長がねぇ」

「メイクデビューを大差で…」

「言われちゃったかぁ~」

 

 三人に秋川理事長から言われたことを話したのだが…反応は三者三葉だった。それもそうだ。シリウスは聡い子だからこの話をした時点で凡そ察せられているだろう。現にこちらを見つめる目には疑念の色が強く乗っていた。肩をすくめてみせると、すぐに溜息を吐いて目を回す。

 

 一方でスズカは困惑気味だ。だがその困惑はどうやらレースについての不安というよりも『そんなことでいいのか』という色が強いように見える。耳は絞っておらず、尻尾も落ち着いている。つまり、純粋に疑問に思っているんだろう。それだけでいいのかと。傲慢にも思える態度だが実際、その通りにやって見せる。教えた分だけ成長し、教えなくても成長する。これほど、トレーナー泣かせのウマ娘は居ないだろう。やり方さえ合っていれば無際限に吸収する。

 

 問題は…

 

「そっかぁ。いや、言われたからにはやらなくちゃいけないってことでしょ? やるけど…」

「いまいち気乗りしないか」

「まぁね。やれって言われると課題も気分上がらないじゃん?」

「課題はやれ」

「はい…」

 

 気分屋で頑固、自分の好きなように走ることを信条とするシービーにとってこういった事は苦手も苦手だろう。なまじやらなければ、このトラックを自由に使えなくなるというデメリットがあるものだから、やらないという選択肢はない。

 ただ、シービーのことだ。ギリギリまで判断を保留する。確定事項だ。他二人は良いとして…やるべきことは決まったな。

 

「シービー、今日から少し残業だ」

「えっ」

「シービーには、自分で自分の心に火を付ける練習をしなくちゃいけない。これは身体的なものではなく精神的なもの…実感として湧きにくいから早めに動く」

 

 心底面倒くさそうな顔をするが、やらなきゃいけないことだ。勝てるだろうが大差になるかどうか…、他は大差だからと見逃してくれる人でもないだろう。いや、見逃すかもしれないが、周りが何を言うかわからない。

 

「オイ」

 

「むっ」

「私らはどうすんだよ。アンタがシービーに掛かりっきりで私らを蔑ろにされちゃあやる気をなくす…って線はないのか?」

 

「……」

 

 不満そうな顔で問いかけるシリウスと口にしはしないが不安な顔で見つめるスズカ。後者は兎も角お前は違うだろう。

 

「もしかしてシリウス~、嫉妬してr「そうだと言ったら?」おっ…おぉー…」

「だってそうだろ? サウジアラビアロイヤルカップ…出るのは皇帝サマだ。話題になっている…ようやく走るってな。最初でブチ当たるとは思ってなかったが、皇帝サマもトレーナーを捕まえて晴れて出走ってことなんだろう…なぜ今なんだ? 物事には必ず理由がある。最低…とまではいかないが、マイナス思考は保険を打てる。狙ってやったことだとしたら? そう考えるのは不思議なことか?」

「いやでも偶然って線も…」

「じゃあそれが対策しないで良いことになるのか? そうじゃない。第一、あの皇帝サマに大差で勝てというのがどんなに難しいことかわかってるだろ。対策は早い方が良い」

 

「私はアンタに賭けたんだ。今の皇帝サマを舐めるつもりはない、多分私を止める為なんだろう。きっと本気で来る。そのためにアンタが必要だ……嫉妬っつーならそうだよ。必要なのはシービーだけじゃない」

 

「いやー…はははっ。………タイム。ちょちょちょ、先生来て来て。こっち」

 

 何とも言い難い空気にたまらずシービーが手でTの字を作り、そのまま俺を招集する。なんだ?

 

「いや、なんだじゃないでしょ…えっ、マジでわからない? シリウスあんなになってるじゃん。あんな重かった? いや片鱗はあったけどさぁ…そうじゃなかったくない? 何か…恨み的な、復讐的な感じだったじゃん」

 

「…自分の目標の為になりふり構わなくなったとは思っている。あそこで取り繕ってシービーを優先するような物言いをしたら、また叩き直す所存だったが…よくわかっているらしい」

「いやいや…えっ? 狙ってたの? マジで?」

「狙っていたわけではない。あそこで無駄な気遣いを優先すればそれは自分の目標であるシンボリルドルフやそれを目標にした自分自身を貶すことでもあるだろう。シリウスはその点でプライドを貫いたとも言える。プライドの為に無用な遠慮を捨てた。それは素晴らしい」

「あぁ、そういうこと? いやでもなんか…こう、湿気がすごいというか…」

「確かにシンボリルドルフは強敵で、今この時に表舞台に出ることを選んだのは何かしらのきっかけがあったはずだ。それがシリウスかもしれないというのはそうおかしいことではない。現に俺は秋川理事長からシンボリ家が俺のことを探っているような旨の手紙が届いたと教えてくれた」

「えっ無視? ってか消される?」

「消されはしないが…まぁ下手なことをすれば夜道に気を付けることになるだろう」

「あっそこは理解してるんだ…」

 

 だが、シービーにとってそれ以上にシリウスの事が気になるらしく、へたった耳を上から押さえるように頭を抱えていた。

 

「いや、そうじゃないでしょ。そうじゃないじゃん…。えっ? 朴念仁って言うか…ランニングマシーン…? マシーンに心ないってこと?」

「失礼な」

「いや、マシーンでしょ。えー…? 付かぬ事を伺いますが…恋人って」

「居ないが」

「あー…。じゃあ将来…こう、シンボリ家に入る的なのは」

「なぜ俺が入る? シリウスの責任を取れという事か? 馬鹿馬鹿しいな…そもそもシリウスがあそこ迄燻っていたのはシンボリ家…環境のせいでもある。本来動かなくてはいけないのはシンボリ家の方だったはずだ。トレセン学園も動くべきだが…そこは秋川理事長が何とか外部刺激をと頑張っていたからな。学園側はまだマシだ」

 

「いやいやいや…えぇー…この人傍若無人過ぎない? 何をそこまで…」

 

「よく聞けシービー。ヒトもウマ娘もそうだが、走りに妥協したヤツがトップを目指せるわけがない。それはシンボリルドルフも一緒だ。シリウスを止めるため? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。舐めた走りを見せるなら、俺はシリウスでたたき潰す。そんな舐めた走りをさせたトレーナーもだ。それにだ。シービー、俺は舐めた走りを許さない。それがたとえ自由の為だというのなら、その自由を貫ける走りをしろ」

 

「ぜ、全方位に喧嘩売ってるこの人…いや、アタシも?」

 

「当たり前だ。()()()()()()()()()()()? それならそれでいいが…」

 

「はっ?」

 

 不機嫌そうな顔をするがすぐに引っ込める…気づくか。だろうな。

 

「……そうやって焚き付ける為に言うのやめた方が良いと思う」

「必要なことだ」

「いやいや、アタシの気分下がるとか考えないの?」

「そんなもので下がるようなウマ娘じゃないだろうミスターシービー」

「信頼?」

「いや、シービーならそうだという確信だ」

 

「っそ…。ま、へたっぴな先生のことだから多めに見るけどさ…。そういう発言控えた方が良いよ」

「善処する」

「……まぁいいや。で、どうするよ。あのシリウスを」

 

 指を差した先には聞こえていたのか、耳をぴくぴくとさせたシリウスが腕を組んでこっちを睨んでいた。




言い忘れてますが、元々のメイクデビューレースはカットしています。ただの蹂躙劇になるというか…それならさっさとライバルたちとバチボコにやり合ってほしいなと…。(単純に忘れていたのはナイショ)


とりあえず、ゆるーく、かつライバルと切磋琢磨していこうと思います。シリウスに焦点当たってるけど、影で無制限に湿気ていくスズカと、シービーのギアがいつ掛かるかのチキンレースが始まる…ッ!
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