ランナーズハイ 作:どんとろりんと言葉が溶けていく
気になった感想返し
「デビュー戦が芙蓉SやサウジRCなのは…」
単純にガバ…とも言い切れない。元々、トレーナーが居なくともウマ娘はレースに出る事が出来るっていう感じだったんです。あるウマ娘二次創作をしてる方で見て、他のウマ娘が途中で仲間入りするような話の組み立てにちょうどいいなと思いまして。レースして、その後担当~みたいな。その意識が根底にあったのとメイクデビューの概念を遺失してまして…。そこと前述が合体して「担当を決めたりするレースでもあるメイクデビューや模擬レースみたいなのは出さなくてもorなくても良いか」となったのが今の状態です。各々が好きに走って、それを評価したトレーナーが担当になる感じ。じゃないと、本格化が違うウマ娘とかレースのする時期の違いで登場するウマ娘で噛み合わなくなるなと。
以上、言い訳めいた理由でした。ご不便をおかけします。
別に特別好きというわけではないんですが、万全の準備をしてから育成するという理念のもとアプリを始めてから現在までの数年間で一度も育成していません。ちなみにアプリ稼働から3か月後くらいにプレイし始めました。
「厄介なことになった…」
ソファにて、頭を抱えて思案する。
まさか報酬に用意したラモーヌがレースでも争うことになるとは思わなかった。いや、二回目だろうと報酬としては申し分ないのはそうだが…。
しかし、ある種納得の面すらあった。ラモーヌはスズカと同じように波長が合う。それでもあちらはレースでこちらは走ることだからその違いが妙に響きそうというか言い訳の理由に使われそうだなと…。
なぜ俺がメジロラモーヌを担当しなかったか? と問われれば特段の理由はない。そもそも、最初から担当の候補にメジロラモーヌが居た。その前にサイレンススズカとシリウスシンボリに目を付けられ、なし崩し的にシービーも担当するようになったからおじゃんになった…というのが真相だ。
もはや建前となってしまったが基本的に新人トレーナーが受け持つのは一人、最大でも二人だ。寧ろその二人の方がマシすらある。それは一人だとそのまま担当ウマ娘とコンプライアンス違反なことになるから、二人であれば争いあって結果的に穏便なものになる。
そんなところを三人も受け持ってしまっている。尤もどの担当も我が強すぎてどうこうという意思は……シリウスシンボリ以外ないだろう。シリウスは少し焚き付けたかもしれない。反省。
だから、これ以上担当を増やすのは難しい。その趣旨をラモーヌに伝えたのだが思わぬ興味を引いたようだ。言い方的に『自分よりも格下であれば取って代わる』ということだが。まぁこれもシービーに伝えればいい起爆剤になるだろう。その座を狙っているぞと言われればやる気も出る。
さて……
「やぁやぁ、随分と悩んでいる様子だねぃ。それに疲れも溜まっていそうだ。どうぞ一杯、栄養剤さ」
いい加減現実を見ねばいけない…か。
此処は俺のトレーナー室。今は資料をまとめた後の束の間の休憩時間ということになる。普通に授業もあり、本来生徒がここに居ていいわけがない。
それなのに目の前のウマ娘を平然とソファの横に座り、謎の液体が入ったビーカーを勧めてくる。
「これは?」
「栄養剤さ。君の噂はかねがね聞いているよ。身体的にも精神的にも疲れてそうだなと思ったからね」
「そうか…いらない」
「そう言わずに…さぁ!」
ずいっと押し付けられたそれは虹色の液体だった。刺激臭とそれから何とも言い難い臭いがあたりに広がり、鼻が妙にむずむずする。振ってみれば気泡がぽこぽこ湧いていた。…安全なのかこれは…?
「妙な臭いがするんだが」
「安全だよ」
「気泡が出ているぞ」
「多分、安全だと思うよ」
「虹色なんだが」
「健康上の悪影響は確認できていないよ」
聞けば聞くほど不安になってくる。がしかし、キラキラと目を輝かせながら見てくる横のウマ娘で断りにくい。いや、断っても良いんだが断ると次はもっとヤバいものが出てきそうなんだが。
…しょうがない。俺はビーカーに入った液体を一息に飲んだ。
「……体に異常は?」
「特にないな」
「ふぅむ…おかしいねぃ。成分的に風邪と同じ症状が出るハズなんだが…」
「何を入れた?」
「医薬品に関係するものを少々、あとは普段使っている薬剤を新しい組み合わせで入れてみただけなんだが…」
「身体がぽかぽかするのは?」
「むっ、発熱作用は出るのか。熱っぽいというのは?」
「ないな。身体がぽかぽかする程度だ。多少の汗もかいている」
「発熱と発汗作用か。これは貴重な実験体かもしれない。次はこちらを」
「飲まんぞ」
「えーっ! 科学の礎になる気はないのかい!?」
「ない」
そんなー と縋り付いてくるウマ娘を鬱陶し気に払ってからいい加減に問う。
「そもそもお前は誰だ?」
「私かい? 私は…」
「アグネスタキオン、速さを追い求めるウマ娘さ」
「…そうか」
なるほど、そう言う手合いか。
「担当か?」
「……なんと、件のトレーナーは察しが良いねぇ。そうだよ。私は君と担当契約を結びに来た。どうだい?」
「生憎、枠が埋まっていてな」
「えぇーっ!! いやいけるだろう! 三人のウマ娘だぞ! 一人くらい増えたっても…!」
「それを許すと自動的にもう一人も受け入れなくちゃいけなくなる」
「くっ、先約があったか…」
悔しそうな顔をするタキオン、…だがそうだな。
「アグネスタキオン、なぜ速さを追い求める?」
聞きたくなったのだ。俺を訪ねたワケを。俺の元にはどうにも変な気性の奴らが集まるらしいから、何か抱えたものがあり、その為に尋ねる者が多かったから。
「速さを追い求めるなら俺じゃなくて「違う」
「違う。私は、そうだな。君が良いと、そう思ったんだ」
そう言って研究服の裾を捲って足を見せた。ふむ…
「硝子か。脆いな」
「…! 見てわかるのかい?」
「多少な。生来か」
「…そうだ。君、メジロ家のご令嬢の脚を治したんだろう? その話を聞いていてもたっても居られずにね」
「……誰に聞いた?」
「
脳裏に薄ら笑いのラモーヌが過る。手が早いというか…なるほど、秋川理事長の命を崩して後釜に座ろうと…面倒なことをする。
しかし、言われた事自体本当だから手に負えない。
「確かに、俺はメジロ家の令嬢の脚を治した。俺自身、生来の脚の不具があってそれを治したことがある。生来のものだからと諦めている奴を見るのはどうにも昔の悲観している俺を見るようで嫌だったからな」
「じゃあ!「ダメだ」……なぜだい?」
「俺自身、これ以上担当を持つ事が出来ない。色々言われているのを聞いたんだろう? なら尚更わかるはずだ。俺は…いや俺達は先のレースで結果を出す必要がある。それをしないことには君を受け持つことは出来ない」
「そうか…。やはりダメか。なら癪だが言われた通りプランBに頼るとしよう」
「プランB?」
立ち上がり、こちらを改めてみるアグネスタキオン。世の不条理を恨む目をしていた。生まれ持ったものを絶対の怨敵とみる昔の俺の目をしていた。
「中京ジュニアステークス、私も出よう。確か担当している子も出るんだろう? そこで私が君のウマ娘に勝ったなら担当を考えてくれるかい?」
「確約はしない。それを言うなら先約…メジロ家の話をした
「なるほどなるほど…清々しいというかなんというか」
「どうする?」
「やるさ」
こちらに背を向け、扉に手をかける。聞きたいことは聞けたようだが…俺はまだある。背中に問うた。
「授業はどうした?」
「……何のことだい?」
俺は扉を開け、ダッシュしようとするタキオンを捕まえ、所定の授業に連行した。学生が授業をサボるんじゃあない。
アグネスタキオンはいいぞ。
アグネスタキオンは、いいぞ。