茂山影男   作:ピンチャンよ永遠なれ………

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呪術廻戦時空に合わせた多少のオリ設定が入ってます。悪しからず。
主人公イメを作ったので、参考にしたい方のみ後書きよりどうぞ。

今さらだけど、夏油が( ˘ω˘ )の時にエクボがいたら体に入れたと思います。でもンな事したら、後で目覚めた夏油にボコられるから入らなそう。というか「乗っ取る」選択肢はチラつくけど(一応呪霊なので)、普通に心配するし、何よりモブが突っ走る前に止めてくれたんだろうなって。
現実はしかし縁切りの旅に出ている模様。


44話

(嗚呼……嗚呼! 姉様と長期任務だなんてッ!!)

 

 冥冥の弟、憂憂は幸福の絶頂にいた。

 海外から要請を受けた高専が冥冥に依頼した任務。

 数か月規模のそれには冥冥という高()の花ということも相まって、高額なギャランティが発生している。要請した国からの依頼金のうち、かなりの割合が冥冥に流れた。

 

「嬉しそうだね、憂憂」

 

「はぁん、姉様…!」

 

 冥冥に頭を撫でられ、憂憂は頬を上気させた。

 

 冥冥が弟を任務に連れて行く理由は、自分が万が一スパイだとバレた時に脱出するためである。

 

「では憂憂、潜入するための衣装を見繕いに行こうか」

 

「どんなお姿でも、姉様は100億ドルの夜景もくだらない美しさなのでしょうね…」

 

「フフッ……せっかくだ。愛いお前の服は私が選んであげよう」

 

 姉弟の距離感にしてはイかれているが、彼らにとっては正常な距離感だった。二人は街の中を歩いて行った。

 

 

 

 そして、変装した二人は術師が集められている場所へと向かった。

 

 ちなみに冥冥は三つ編みを後ろに二つ提げた、メガネ委員長の格好である。ブレザーの制服は尻と胸のラインが非常に窮屈そうで、黒いストッキングに隠された足が背徳さを煽る。

 この変装姿は冥冥が面白がりながら弟に選ばせたものだ。着替え終えた彼女を見た憂憂は鼻血を出した。

 

「僕は……僕はなんて罪深いことを…!!」

 

「わるい子だね、憂憂。姉様にこんな淫らな格好をさせるだなんて……」

 

 耳元でしゃべられた憂憂は、「あぁぁ……♡」と昇天した。

 

 一方で憂憂は普段のサスペンダーや短パンの上に、制服のジャケットを羽織り、お坊ちゃんな帽子をかぶった。こちらもまたメガネをかけている。

 

 両者、髪は呪術で黒に変えている。一見すると目立ちそうな二人であるが、あいにくと術師というのは個性の塊の連中である。メガネ委員長やお坊ちゃん姿では早々に目立たない。世が世なら、半裸姿で時折ポロリもさせながらスベっていく35歳の限界おじさんだっているのだ。

 また、彼らの特徴的な髪色を変えるだけでも、十分な効果がある。

 

 

 潜入は無事に成功し、加入することができた。

 どうやら組織は海外に複数の拠点を置いているようで、『第◯支部』という形で割り振られている。

 

 組織の名は『爪』。「世界の改革」を銘打っている。ここ十数年で勃興し、急拡大しているテロリストグループだ。

 彼らの表向きの名は「()()()()」による秘密結社である。

 

 だが実際に属しているのは術師だ。あえて「超能力者」とうたっているのは、『呪術規定』の8条にもある「非術師に対する呪術の秘匿義務」を免れるためだろう。

 

 この『爪』は複数の宗教を作り上げ、呪術を用いて人々から金を巻き上げている。これが彼らの資金源にもなっている。

『呪術規定』は国によって多少の差異はあるかもしれないが、基本的には同じだ。これを破ると法律と同じで罰されることになる。

 

 要は、爪は「私たちが使っているのは呪術じゃなくて超能力ですからねぇ」と主張することで、この規定をグレーゾーンですり抜けているのだ。

 

 この宗教が結びついているのも厄介で、中には国の重鎮が関与しているところもある。

 

 これらが『爪』の勢力の拡大、成長を許す理由になっている。

 

 

 

 そして、潜入から約三か月。

 

 もとより一級術師である冥冥の力量に目をつけた支部長が、彼女に推薦を出した。

 

「“ボス”は近々、事を動きなさる予定だ。君はまだ入って間もないが、きっとボスのお役に立てるだろう」

 

 そのボスの計画とやらに、冥冥は憂憂とともに参加することになった。

 支部長は他にも有用になりうる人材を選んでいく。彼らの力はせいぜい高くて二級かそこらだろう。

 

(ボスか…)

 

 彼女と憂憂は、各地の支部長やその支部長が推薦した『超能力者』たちが集まる場に訪れた。またほかにも、金で雇われた部隊もいる。総じて、黒髪や金髪、国籍さまざまな無法者たちがそろっている。

 

『爪』の構造はかなり特殊で、力のある者がそのトップに立つ。上に行くほどその序列争いが起こる。冥冥からして、支部長は準一級クラス。彼女でも伸せる相手だったが、潜入という建前上、術式や本気の力は隠していた。

 この下剋上システムは、ボスにさえ適用される。支部長の体にあった傷も、ボスを倒そうとした際についたものらしい。

 

(なるほどね…)

 

 ボスの登場の前に、『本部』の幹部クラスが現れた。

 冥冥は肌で感じた。あの者たちは術師で言えば一級クラス。まとう空気がほかの者たちと違う。

 憂憂もまた、万が一に備えて準備をする。

 

 コツコツと、革靴の音が響く。

 熱狂していた人びとの熱も、その音が近づくたびに鎮まっていく。静寂の中、誰かの唾を飲む音か聞こえた。

 

 

「皆の者、今日はよく集まってくれた」

 

 

 現れた男はスーツ姿という、一見すれば平凡なサラリーマン姿だった。

 深い色をした赤髪は短く切り揃えられており、何より特徴的なのはその眉か。ギザギザとしたそれはしかしてファッションではなく、天然ものだった。

 

 グリーンの目が冷たく一同を見下ろしていた。

 

 

「私が『爪』のボス。鈴木統一郎(とういちろう)だ」

 

 

(────鈴木、統一郎……!!)

 

 

 冥冥はその名前を知っていた。

 何せ海外でさまざまな事業に手を出しており、世界の長者番付にランキング入りするような男だ。

 

(実物ははじめて見たが……あれで40代後半か)

 

 多く見積もっても30代という外見だ。整形しているのか否かはわからないが、顔には皺ひとつなく若々しい見目をしている。

 

「まず本題に入るが、われわれ『爪』は来るべき日、世界に向けて宣戦布告をする」

 

 会場がどよめいた。驚く者もいれば、「殺せる、殺せる」と瞬きもせずに呟くケニア出身じゃない方のミゲルもいる。

 

「『世界の改革』を銘打っている我が組織に加入しているならば、貴様らの根底には純粋な破壊を己が悦とするか、もしくはこの思想に同調するに至る過去を持つ者か────単純に、金や権力目的でも構わん。それぞれの思惑があることだろう」

 

 この計画の準備期間は十数年。資金や兵力は十分に集まった。

 

 

「世界を征服した暁には、力のある者が弱者を支配する世界を創る。

 

 それすなわち、術師が非術師を支配するという事だ」

 

 

 まずその第一歩として、鈴木は『破壊』を行う。

 非術師(弱者)を守るような呪術規定(法律)も含め、人びとの築いた価値観を破壊する。そこに超能力者──いや、術師の圧倒的な力を見せつける。

 

 だが中には当然、その思想を馬鹿げていると思う者も出てくる。

 金で雇われている者がこれに当てはまった。一方で、支部の人間はボスの力やカリスマ性に傾倒している者が多い。

 

 今の時点ではこの計画の口外禁止の『縛り』はなされているが、それ以外はない。ゆえに、金だけ持ち逃げするのも可能だ。

 何より「世界転覆」だなんて大事をやっていれば、絶対にあの最強の呪術師が立ちはだかってくる。

 

 考えが顔に出ていたのか、支部に所属する者が雇われ部隊の一人と口論になった。

 

「ボス! コイツはきっと簡単に組織を裏切るに違いありません!!」

 

 ざわざわと周囲が騒ぎ出す。

 鈴木は彼らを一瞥し、口を開く。

 

「仕事として割りきっている者もいるだろうが、中には乗りかかった船が泥舟だと考える連中もいるだろうな」

 

 それでも結構、と彼が話した瞬間、会場中がどっと重くなった。

 多くは玉粒の汗を眉間や額から垂れ流し、地面に這いつくばる。憂憂もまた、耐えきれずに倒れそうになったところを、冥冥に抱えられた。その彼女でさえ膝をつき、何とか視線を鈴木に向けている。

 本部の幹部たちでさえ膝をつく者がいた。

 

 

(これが鈴木の術式? ────いや、違う。これは“呪力”…!!)

 

 

 会場全体を膨大な呪力が埋め尽くし、それが圧となって皆にのしかかっている。

 平然とした顔で佇んでいるのは鈴木のみ。冥冥は冷や汗を流した。

 

 このイかれた呪力量。まず間違いなく、五条より多い。何より地に伏した者たちを見下ろす鈴木は、明らかに()()()()()()

 自分一人でこの場にいる全員を殺せる。そんな余裕すら感じられる。

 

 

「泥舟か大船か、その判断は貴様らに託そう。だが、私についてくるというならば、貴様らは特等席で目の当たりにすることになるだろう。

 

 この腐り切った世界が、私の手によって変えられていく様を」

 

 

 まず堕とすのは、鈴木統一郎の故郷でもある日本。

 

 誰かが、「ジャパンには……」と呟く。

 

 特級呪術師であり、現代の最強────五条悟。

 

 

 ボスの力の一端を受けた直後でも、『最強』の名は重く、不安の色が見受けられる。

 一部は脅威である五条をもしかしたら倒せるかもしれないと、瞳を輝かせている。

 

 

「『現代の最強』────それに対する作戦も考えてはある。

 

 だがその前に、小鳥が二匹紛れ込んでいるようだ」

 

 

 瞬間、冥冥の肌に鳥肌が立った。

 彼女は一瞬のうちに憂憂の耳元に口を近づけ、呟く。

 憂憂は「はい姉様のためなら」と、甘美な言葉の余韻に浸る間もなく、早口で言った。

 

 

 二人の姿が、会場から消える。

 

 どよめきや罵声が響く中で、鈴木は幹部の一人に「私と似た能力ですね…。逃しておいていいのですか?」と聞かれた。

 

「構わん。向こうが対処をする前に、こちらが先に動くからな」

 

 破壊の足音が、すぐ側まで近づいていた。

 

 


 

 

 ・鈴木統一郎

 眉毛が個性。

 年齢はアニメ基準で46歳。夜蛾学長とタメ。

 カカシボイス。カカシボイス(重要)

 過去には爪の前段階である『()()()()の権利向上を目的とする非営利団体』を運営していた。

 

 ・ミゲル

 殺したくてうずうずしているケニア出身じゃない方のミゲル。

 ただ服装はおっはー! 時代の山ちゃんに似ている。

 

 ・ミゲル

 ケニア出身の方のミゲル。

 夏油がさすらっていた時期に出会っている。

 

 ・『爪』

 鷹の爪じゃない。

「世界の改革」を目論んでいるが、ボスの本当の目的は「術師が非術師を支配する世界をつくること」。

 

 ・情報の伝聞

 口はもちろん文字などでも伝えることはできないが、冥冥はこの抜け道として潜ませているカラスを使い、この内容をリアルタイムで記録している。カラスは鈴木の呪力で圧殺されたが、リアルタイムで別の場所に映像を保存していたので問題ナシ。




キャラ制作に使わせていただいたのはpicrewの【やわらめのネコヤギ】
多少加工(加筆)が加えてあります。目の大きさはその場その場で変動するイメージ。

【挿絵表示】

(以下、読まなくていいただの癖語り)
♀√で主人公が直哉の被害(最低処女は奪われる)に遭いつつ『分からせ』ていく話が読みたい。「持つ者」だけれど男より下の生物である女だから、手に入れたい欲と、何で女のお前がソッチ側やねんな怒りの感情の狭間でDVが止まらないーーでもお前は俺のモンだよ…♡みたいな超絶厄介直哉を生み出したくてですね…。中学生なるかならないかぐらいの頃に処女奪っといて欲しい(外道)。影女(エメ)ちゃん依存すんのか…?直哉に依存すんのか…?真依真希との百合も必要だよね知ってる。暴力受けつつエメちゃんは直哉の内心を分かっとるのかもしれない。何だかんだで彼女には直哉への恋愛感情があってその厄介な内情を受け入れた上で側にいたい(三歩後ろに下がるんじゃなくて、隣に立ちたい)と思っている?でも直哉は自分が支配していると思っているし、捨てたいとも思っている。実際はエメちゃんが『側にいてあげてる』って知ったらブチ切れて首絞めそう。そんで「あなたが好きだから」って聞く流れ。『分からせ』られる直哉。でも畳の上に落ちたその肢体は、もうすでに死体になっているかもね。ハッピーエンド。
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