騎兵100、歩兵600の部隊で出発したトメリア王国の陸軍が、最北の町テールについたときには、騎兵100、歩兵400に減っていた。さすがに騎兵は逃げ出さなかった。
三木は、初めてテールの町に来た時に出会った親切な門の兵と再び会い、仲良くなっていた。
部隊が明日、テールの町を出て侵攻することを知った三木は、町から出るために門を通った。
当然門番の兵に呼び止められた。仲良くなったとはいえ、彼も仕事である。
「明日部隊は出発する。以前戦いに参加した私に、偵察の命が下された。」
「そうか、わかった。たいへんだな。」
彼は三木をトメリア王国の兵だと信じ切っている。
街を出た三木は、バイクを隠した目印を探し、それを見つけると、トメリア王国の部隊の情報を日本に送った。そして、バイクに乗り走り出した。
わずかの期間に西方大陸東岸地区の空港、航空自衛隊の基地が出来上がっており、小松基地からのF35B戦闘機が着陸していた。
また、陸上自衛隊の駐屯地でもつくるのか、建設中の建物があり、近くに、機動戦闘車や自走りゅう弾砲などが見受けられた。
三木は、それらを横目に、舗装された2車線の道路を港に向かって走った。途中、草原をゆく愛称ナナヨンという戦車を何台も見た。油田からのパイプラインもあった。もう、完全に日本の領地である。
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内調の三木が、西方大陸東岸地区の港からコリーの住む集落に向かって真っ直ぐに伸びる舗装道路をミニバイクで走っていると、検問所で止められた。許可書がないと先へは行けないと言う。
集落の人は自由に行き来ができるが、日本人はダメだと言う。
許可書は公事館で発行できるそうなので、三木は引き返した。
そして、許可書を発行してもらい、検問所を通過して、バイクを集落の入り口に止め、コリーの家まで歩いていった。
玄関をたたくとコリーが出てきて、「得体のしれない男が来た。」と笑顔で言って、なかに招いた。
以前来た時に座った椅子に座り、以前と同じように紅茶、そしてパンとミルクをいただき、コリーと話をした。
日本はよくしてくれているとコリーは言った。でも守っていた今までの生活が変わってきてると言う。若い者が新しいもの、珍しいものに興味をもつのはしかたのないことだとも言った。
いくら規制しても近くにある港湾地区の影響を避けることはできない。変化は当然と言えば当然のことなのだ。
「ゆっくりと変わればいいんですよ。皆さんの望むように。」
「そうですね。」
「ところで、また、侵略者が来るようですが、どうします、コリーさん。」
「いまさら、私たちが出向いても。私たちは戦いには向いていない種族のようです。そうそう、武力兵の組織、解散しました。」
「そうですか・・・・。あなたたちを見ていると、本当の幸せとは何か、少しわかったような気がします。」
コリーと別れて、バイクのところへまで歩く。鳥のさえずり、子供たちのはしゃぐ声。
平和そのもの。だが、三木は、侵略者により廃墟となった集落とこの集落がそっくりなことに不思議な違和感を覚えていた。小さき人の集落は建物も配置もここと全く違っていた。
三木はバイクを押してはずれまで来ると、バイクに乗り、別の集落へつながる道を走った。この道は、日本人の手が入っていない。舗装なしのでこぼこ道だ。でも、どこまでも真っ直ぐな道。道が曲がるのは障害物があるからということを如実に物語っている。
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護衛艦かがに戻った佐川は、外務省の使節2人の警護と分隊12人の安全の確保を無事果たしてほっとしていた。
(佐世保に帰ったら、警備会社など再就職の口を探さないと。)
退官までにあと2年あるのだが、あと2年しかないと思っていた。
(これが、最後のご奉仕だろう。子供は家にはいないが、まだ大学生だし、
それに、まだまだ働ける。帰ったら職探しだ。)そう思っていた。
下野は、当然の結果とは言え、交渉決裂のあとの心配をしていた。国内の鉄、アルミ不足は深刻である。アルミホイルのリサイクルも限界がある。鉄、アルミが欲しくとも攻めとることはできない。現憲法下では、貿易する手段しかないのである。
自衛隊は攻めてくれば攻撃できるが、攻めていくことはできない。海外派遣は、平和維持、人道派遣に限られるのである。憲法の改正をしないかぎり。
しかし、この国難の時期に憲法改正などと唱えれば、現政権は確実につぶれる。政府は知恵を絞り、乗り越えなければならないのである。
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佐世保に帰った佐川は、報告に相浦駐屯地へ出向いた。
待っていたのは、三等陸佐への特進と、3日の休暇と、山梨の北富士駐屯地への出向の命である。
「何で私が。」休暇の3日間、妻に愚痴りっぱなしであった。
北富士駐屯地にはトメリア王国の5人の捕虜がいた。ジョージ侯爵以外の4人は陸自隊員と一緒に訓練を受けていた。ジョージは日本の政治、経済、法律、産業、軍事などを強制的に学ばされていた。ただ、憲法9条だけは伏せられていた。
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トメリア王国の陸軍が上下青と黄色の2色旗の国旗を掲げ、整然と侵攻してきた。以前のように森の直前の草原で待つわけにはいかない。
すでに草原には、油田からのパイプラインなど、重要な設備があるのだ。5台のナナヨン戦車が前進して、廃墟となった集落の前で待機していた。
今度は騎兵隊が前、後ろを歩兵で行進している。
ドーン、ドーン。
戦車からの砲弾が、行進していた兵たちに浴びせられる。
理解不能な魔法攻撃、しかも見たこともない鉄の箱。戦意など初めからない。
真っ先に逃げ出すのは被害の多い先頭の騎兵隊、指揮官も馬と共に一目散。
それにつられて、まだ誰もやられてないのに歩兵が逃げ出す。
ナナヨン戦車が1発ずつ砲撃しただけで、兵たちは四方八方に散っていった。蜘蛛の子を散らすように。
攻めてくれば攻撃できるが、攻めていくことはできない、どうする日本