三木はまたジャングルの中を、右に左に、ただ案内人に従って歩いていた。
(来た道を1人で帰れと言われても、絶対無理だな。)
そう思いながらついていくと、洞窟についた。案内人はその入り口を指さし、「ここだ。」と言う。
そして、「待っているから、1人で入れ。」と言った。案内人は入るのをためらっている。
三木は1人で洞窟に入った。不気味なところだが、真っ暗ではない。
(自然の洞窟ではない。手が加えられている。穴があけられ外の光が入るように作られている。)
三木は奥へ入っていった。
足元に、集落の長にもらった棒と同じものがいくつも転がっている。薄明かりが差し込んでいるところに木製の箱がいくつもあった。木は朽ちかけている。
(棺桶?ミイラ?)そう思った。開けられた形跡はない。
(棒のようなものは拾えるが、これは気味悪がって開けなかったのかな。)
鍵がかかっているのか、箱は簡単には開かなかった。
確かに気味が悪いが、箱の朽ちかけた部分をたたき割った。バラバラと砕けて、中が見える。
(ミイラではない。何だ、これは?宇宙服?いや、パワードスーツだ。)
三木は、たたき割った木片をポケットに入れた。
日本に持ち帰れば、この世界の空気中の炭素14の比率を調べ、炭素年代測定法でこの箱が何年前に作られたのか分かると考えたからである。
大きな機械のようなものは、三木の理解できないものであった。
(あとは調査団でも派遣して専門家に調べてもらうしかない。)
そう思った。
三木は洞窟を出て、帰りも右へ左へ、足元の土を気にしながら案内人についていった。
(古の民か。分かっているだけでも、レーザー銃にパワードスーツ。とてつもなく高度な科学技術。報告したら笑われそうだ。でも、確かに現実。)
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三木は、耳の尖った人たちの集落に戻って、長の家にいた。
「古の民の遺跡へはよくいかれるのですか。」と三木は長に尋ねる。
「狩りや採集のため、みんなそこを通るが、洞窟へは気味悪がって入らない。」と答えた。
「家はなぜ木の上に?」
「夜行性の獰猛な動物がたくさんいるから。寝ているところを襲われてはかなわない。」
「そりゃあ、そうですね。古の民の伝承、他には?」
「知ってる限りでは、古の民が500年後に帰ってくると。」
「帰ってくる?500年後ですか、すごいですね。」
「500年と言いましたが、暦はあるんですか。今日は何年何月何日?」
「暦の意味が分かりませんが、今日は495年7月3日」
(7月?今は9月のはずだが。)
「495年、年号は?」
「年号?何ですか、それ。」
「ところで、あなた方は魔法は使えますか?長生きなのですか?」
「なぜ、そんなことを。」と問われたが、
(アニメで知っているエルフが魔法使いで超長生き)なんて言えるわけもなく、
「いえ、なんとなく。」と答えた。
「使えるわけないでしょう。寿命は個人差はあるが、だいたい50から60。私たちだけでなく、熊耳の人も、猫耳の人も、小さき人も。あなたたちの様に年老いて死ぬということはないですよ。」
三木は思った。
(これらの種族がつくられたという古の民の伝承、信じがたいが。)
「トメリア王国がここへ攻めてきたら、どうします?」
「・・・・・・・・実は、バーキー王国の王子と王妃をかくまっているのです。」
「えっ、何ですって。」
「捕まれば我々は皆奴隷。戦う以外道はありません。」
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トメリア王国海軍マッキー将軍は、自宅謹慎を命じられ、軟禁されていた。
というのは、日本討伐の遠征を命じられた時、日本の護衛艦かがを間近に見ていた彼は、強く反対して、トメリア3世の逆鱗に触れたからである。
ジョージ侯爵は、城に入り日本の実情と戦うと敗れることを説明したが、洗脳されたとしか受け止めてもらえず、反抗分子として牢に監禁された。
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そのころ、点検修理を終えた護衛艦いずもは、ミサイル護衛艦きりしまと共に、日本の最西端与那国島のさらに西の海上を、トメリア王国の戦砲艦隊を迎え撃つために進んでいた。地球であれば完全に台湾の領海であるが、台湾はない。異世界なのだ。
護衛艦いずもの渡辺艦長は、ドローンから送られてくるトメリア王国の戦砲艦隊の様子を見ながら、
「捕虜をとる余裕は我が国にはない。1・2隻沈めて、帰っていただく。どうすれば可能?」
と射撃管制員に尋ねた。
「簡単でしょう。陸の方でも何発かの攻撃で逃げ帰ったそうですから。警告しながら1隻ずつ沈める。ミサイルは待ってもらいましょう。」
「そうだな。まかせた。警告はヘリで。嘘でいい、ここは日本の領海にする。きりしまには連絡しておく。」
射撃管制員は敬礼をして出ていった。
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コナー副将軍はトメリア王国の戦砲艦ガ二アの艦上から、戦砲艦隊のまわりをブンブン飛んでる小さな鉄の羽虫(ドローン)を眺めていたが、それが何で何をしているか全く理解できず、首を傾げていた。
(勇敢な将軍がなぜ日本を恐れたのか。まあ、考えてもしょうがないか。)
マッキー将軍が謹慎になったから、自分が艦隊の司令官になったことを彼は知っていた。
双眼鏡で眺めていると、進行方向に島のようなものが見える。それが、だんだん大きくなり、鉄の要塞が浮かんでいるとわかる。
大きな鉄のお化け羽虫(ヘリ)が飛んできて、
「ここは日本の領海である。直ちに引き返せ。さもなくば攻撃する。全艦沈める用意がある。くりかえす。ここは日本の領海である。直ちに引き返せ。さもなくば攻撃する。全艦沈める用意がある。」
ドン!
ヘリが戦砲艦から攻撃を受ける。でも、当たらない。
ドカン!
攻撃した戦砲艦が爆発する。
「沈没した艦の仲間を救助せよ。その作業に攻撃はしない。救助して直ちに引き返せ。ここは日本の領海である。直ちに引き返せ。さもなくば攻撃する。全艦沈める用意がある。」
ドン!
別の戦砲艦から攻撃を受ける。
ドカン!
攻撃した戦砲艦が爆発する。
コナーは陸軍の友が魔法攻撃を受けたと言ったのを思い出した。
まさに、魔法としか思えない。
もう、子供と大人の喧嘩である。相手にならなかった。
そして、コナーはマッキー将軍が日本を恐れた理由を理解した。
「退却!全艦引き返せ!退却せよ!引き返せ!」
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三木は、遅くなったので泊っていけと別の木の上の家に案内された。1人か2人用の小さな家で1部屋しかなかった。
「朝起きて急いで外に出ないように、落ちて死にますよ。」と案内人に注意された。
三木は1人になったので、業務連絡。
ジョージ侯爵が信用されず説得失敗、牢に監禁。第2の行動をとれとの指示された。
(なんと、難しくなったな。ジョージ侯爵、信用されなかったか、当然かも。)
三木は(他人ごとではない)と思い、報告はアルミニウムの原料ボーキサイトの可能性と古の民の遺跡の存在だけにした。会話の内容は盗聴発信機で筒抜けになっている。そして、西方大陸東岸地区の集落の熊耳の人と猫耳の人の人数調査と暦の調査を依頼した。
アルミニウムはどの岩石にも存在するが、岩石が風化して洗い流されて、重い金属成分が多く含まれる部分が残留することによってボーキサイトの鉱床ができる。そのための条件がそろっている場所が熱帯雨林気候のここなのだ。三木はジャングルを右に左に歩いていた時、足元がボーキサイトに似た赤土であったことを思い出していたのだ。それに、日本ではアルミホイルが高騰している。
(でも、ボーキサイトが手に入っても、それからアルミニウムが取り出せるだろうか。困るだろうな。設備がない。昔はあったのだが、電気代が高い日本でつくることをやめて海外に工場を移したんだ。)
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三木は翌日、案内人に従ってジャングルをぬけ、街を1人で歩き続け、港でトメリア王国に向かう船に乗った。トメリア王国の兵士に間違えられているのか、敬礼する兵もいた。
ジョージ侯爵と一緒だったことの影響か、カバンナの港に着いても同様であった。そして、鉄砲隊長トムの居場所を出合った兵から聞き出すことも簡単であった。
三木はトメリア王国でどうする?