船室でチャコ提督は考えていた。
(多分死刑は私だけ。他のものは降格だけだろう。
サンジー教の教え、全知全能のパルコンの神以外は認めない、戦って勝ち取れ。これが果たせなかったものは、パルコンの神の名において厳罰。これで、説得するか。
軍港ジュラスには軍艦が1隻停泊していたはず。まず始めに、それを乗っ取る。それで、港の軍司令部を攻撃。
ジュラスの街はもともとよその街。サンパル皇国に対する反感も強いだろう。民を味方につければ勝てる。)
上陸兵長サミーが「失礼します。」と言って入ってきた。
「どうだった?」とチャコ。
「説得終了しました。」とサミー。
(さすがサミー、仕事が早い。)と思った。
「3人ほど、パルコンの神のためなら死ねるとぬかす盲信者がいまして、射殺しました。」
「射殺?」
「はい、で、他のものは皆、怖気づいて言いなりです。あははは。」
「伝道師はどうした?」
「伝道師?無視です。やつらは口先ばかりで、役にも害にもなりません。相手にするだけ無駄。」
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チャコ提督が乗船している輸送船がゆっくりと軍港ジュラスに入る。
味方の船である。誰も警戒していない。
入港した輸送船から武装した上陸兵たちが上陸兵長サミーと共に下船し、停泊している軍艦に乗り込んでいく。
軍艦には戦闘要員は乗っていない。あっというまに制圧される。
サンパル皇国軍ジュラス港湾司令部が異変に気付いたのは、輸送船と軍艦が出航し始めたときだった。
輸送船と軍艦は港を出て、沖に停泊する。
輸送船の中で、伝道師たちが騒ぎ出す。しかし、騒ぐだけで何もできない。
「うるさいですね。ぶち殺しますか。」
「無視しろという命令だ。弾が惜しいそうだ、あはは。」
そして軍艦では。
「これから、どうします?」とサミー。
「陸軍が1小隊いるぞ。勝てるか?」とチャコ。
「勝てるわけないですよ。上陸兵とはレベルが違う。
このまま逃げて、どこかの島で海賊やりましょう。」
「それも選択肢。でも、考えがある。とりあえず夜まで待って。」
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夜になって、手漕ぎのボートが何隻も輸送船から出る。
静かに港に着岸し、上陸兵たちが出て、武器倉庫へ向かう。
警戒は手薄、難なく砲弾、弾丸などを盗み取る。
そして、軍艦へ荷揚げ。
何回か繰り返したら、当然見つかる。
バン、バン。
深夜に銃撃音が響く。
ボートは輸送船へもどる。
双方、人的被害は少ない。
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翌朝、港の桟橋に兵があふれている。武器倉庫もまわりに兵がいっぱい。
チャコ提督はこれを狙っていたのだ。
ドーン、ドーン。
レベルの高い陸軍も砲撃には勝てない。
ドカーン。武器倉庫の火薬が爆発する。
ドーン、ドーン。
司令部の建物が崩れ落ちる。
チャコ提督も上陸兵も海上にいるかぎり安全。被害は相手だけ。
頃合いを見計らって、軍艦と輸送船がジュラス港に接岸する。上陸兵たちが軍艦と輸送船から降りる。
生き残った陸軍の兵は街中に逃げ込んでいる。港湾司令部の建物は砲撃で破壊されている。
チャコ提督は軍艦内に自軍の司令部を設け、そこからジュラス制圧の指示を送る。投降する兵は仲間に引き入れ、逆らう兵は射殺する。着実に制圧していった。
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護衛艦あさぎり、護衛艦かがは、アイロン港の沖に停泊し、ミサイル艇はやぶさは港に接岸していた。
外務省の越智事務官が通訳を連れて、アイロン空港に降り立ち、そして、アルミ港湾にいる捕虜の聴取をするために、ミサイル艇はやぶさに乗り込んだ。
アイロン港からアルミ港までの海路は貨物船の航路で海底地形が詳しく調べられていた。とても複雑で、まるでいくつかの島が沈んだような地形をしている。
護衛艦でもよかったのだが、できるだけ船底の浅い艇をえらんだのだ。
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アルミ港湾に越智事務官と一緒に通訳がやってきた。
通訳はブラジル大使館の職員で日系人のタケルであった。
紹介で、相原一尉は通訳の顔が日本人に似ていることを納得し、ブラジルの公用語がポルトガル語であることに思いいたっていた。
10人ほどの捕虜一人ひとりを個別に呼び、越智が質問、それをタケルが通訳、捕虜の回答をタケルが通訳、それを越智が記録。相原は事務官と通訳の警護である。
捕虜の聴取の結果、兵たちの国はサンパル皇国といい、サンジー教を国教とする宗教国であることが分かった。皇国を治めているのはアロル皇帝で、メリル教皇の影響力の強い国である。首都はガントといい、アルミ港よりはるか南東に位置する都である、アルミ港の南に最も近い街があり、ジュラスと言う。その街の港は、サンパル皇国の最北の軍港になっている。そして、沈没した2隻の軍艦は、皇帝と教皇の名をつけたアロル号とメリル号だと明らかになった。
どうする日本