時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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第5章 5

 護衛艦いずもの渡辺艦長は、スパン南基地から待機の必要なしとの連絡を受け、護衛艦まやと合流すべく北上していた。

 日本から連絡が入る。護衛艦かがが改造C-2(これは輸送機を爆撃機に改造したもの)と戦闘機F-35Bを搭載して、こちらに向かっているから、合流するまで護衛艦まやと待て、ということだった。なお、護衛艦もがみと護衛艦あぶくまも一緒にやってきてるとのこと。

 

 渡辺艦長には三木からも連絡が入っていた。

 (核兵器の開発か。リベルテはどんなに恐ろしいものか知らないんだよな。出来ると必ず使う。これはマズい。だから、できるまえに叩くつもりだ。)

 いずもは北上し、まやと合流して、マドラの港が目視できる沖に停泊し、かが、もがみ、あぶくまを待った。マドラの港にはリベルテの戦艦が迎え撃つように並んでいる。

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 日野一尉たち陸上の部隊は、すぐにマドラの街に入れる位置で待機していた。

 ロマスク帝国のアコリ少尉が「どうして攻めないのか?」と川本にしきりに尋ねたが、「さあ、分からない。日野さんに聞いてみて。」と答えるだけ。日野に聞いても、言葉が通じないから、無駄だった。

 

 川本は待機の理由を知っていた。教えなかったのは、秘密事項でも何でもない、理解させるのが大変だと思ったからだ。教えたら、どうやって日本と通信しているのだと聞いてくることは目に見えている。そんなことまで説明していたら、考えただけで気が重くなる。

 

 日野は輸送防護車の中で、哨戒ドローンから送られてくる映像を観ていた。手には撮影された街の航空写真を持っている。味方に被害者が出たことを気に病んでおり、もう被害者を出さないために、市街戦を避ける方法を探っているのだが、妙案が見つからない。

 

 まだ待機と告げるため、 ロマスク帝国のオート3輪が集まっているところに行っていた川本が帰ってきた。そして、深刻そうな顔をしている日野に声をかけた。

 「どうしたんですか、深刻な顔をして。向こうでは、まだ攻撃しないのかと言い寄られて、大変でしたよ。皆さんの士気が高すぎて。」

 「そうですか、ごくろうさま。」

 「どうしたんですか、おかしいですよ。」

 「いえ、実は・・・・部外者に行っても・・・」

 「部外者だから分かることもありますよ。それに言えば楽になる。」

 「・・・・実は、もう被害者を出したくないので、街の中で戦わない方法を探っていたが・・」とモニターの映像を指さし、「方法が見つからなくて。」と言った。

 

 「あは、そんなことですか。だったら、街に入らなければいいんです。」

 「そんな、街は広いのですよ。入らないなんて。」

 「以前、あなたが言ってたでしょう、自衛隊は接近戦は苦手だが遠い敵は叩けると。接近戦は避けて、遠い敵をたたけば、敵は逃げます。偵察ドローンで敵のいないことを確認して、街に入り、さらに遠くの敵を叩く。そうして進めば、広い街も、接近戦なしで攻略できると思いますよ。すみません。輸送防護車の安全なところにしかいない私が生意気言って。」

 「いえいえ、安全なところにいるのは私も同じです。だからこそ、部下を危険な目に会わせたくないのです。ありがとうございました。」

 そこへ、通信員が日野に耳打ち。

 日野が川本に言った。

 「明日の朝、7時に攻撃開始、リベルテ国も同時に爆撃、そう連絡が入りました。」

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 かが、もがみ、あぶくまの3隻の護衛艦が、いずも、まやの2隻の護衛艦と合流。かがとまやはさらに東進してリベルテ国の軍港トイヤへ向かう。マドラの港の戦艦と対峙しているのは、いずも、もがみ、あぶくまになる。

 

 惑星歴498年10月20日午前7時、軍港トイヤに近づいた護衛艦かがから改造Cー2、戦闘機Fー35Bが飛び立つ。日本の3か所同時攻撃が始まる。それと呼応して、スラムから武装した反政府集団とプロリ反乱軍が出ていく。

 

 飛び立った改造Cー2と戦闘機Fー35Bに向かって5機のプロペラ機が飛んできたが、改造Cー2と戦闘機Fー35Bはそれらを無視して、内陸部へ向かう。速度がけた外れに違うので、簡単に振り切られたリベルテ国の戦闘機は、2隻の護衛艦へ向かう。

 

 まやのイージス装置が作動して、近づく戦闘機にミサイルが発射される。ドカーン。

 何度も学習しているリベルテ国空軍、旋回して戦闘機が逃げる。それをミサイルが追う。ドカーン。

 

 マドラ港は護衛艦もがみの62口径5インチ砲の砲撃で、戦闘が始まる。護衛艦いずもは戦場から離れ軍港トイヤに近づいた位置で停泊し、指令室の渡辺艦長はモニターを観ていた。モニターには改造Cー2から送られてくる映像が映っている。

 

 草原と森しかない景色の中に白い建物がポツンと現れる。

(あれが核兵器の開発をしているところか。)そう思って観ていると、その建物が画面から消えて森だけになる。次は爆弾の落下の映像になり、白い建物に命中して爆発。映像はその爆発の様子を長く映し出している。

 

 渡辺はホッとした。核爆発のきのこ雲が現れなかったからである。

(日本でこれを観ている連中もホッとしているだろう。)そう思った。

 もし、爆弾が完成していれば核爆発がおこるはず、願っていた通り、まだ開発の途中だったと考えられる。

 

 改造Cー2はリベルテ国の2つの空港も爆撃し、航空機が使用できないようにして、かがに戻ってきた。戦闘機Fー35Bも、一度も戦闘することなく戻ってきた。 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 陸上では日本のナナヨン戦車、装甲戦闘車とロマスク帝国の自走砲の砲撃が始まる。砲撃はリベルテ国の基地や武器弾薬倉庫や戦闘車両に限られ、市街地は避けている。

 その様子を輸送防護車の中で、日野はモニターで観ている。リベルテ国の兵が攻撃されない街に逃げ込んでいるのが見える。

 

 日野は、それを見て、装甲戦闘車だけ街に侵攻して、銃眼孔から兵だけに向けて小銃射撃を指示。装甲戦闘車が街に入っていく。

 ダダダダダ。ダダダダダ。装甲戦闘車が街中の兵を倒していく様子が映る。

 

 リベルテ国の基地が壊滅し、近くの街中の敵兵も逃げてしまったことを確認すると、日野は74式戦車、自走砲、機動戦闘車に、街に入りさらに攻撃するように指示した。

 

 ドン、ドン。ドン。輸送防護車の入り口を叩く音がする。開けてみると、血相を変えたロマスク帝国のアコリ少尉が立っていた。「我々は、いつ攻撃するのだ。」

 川本は日野に「いつ攻撃するのかと言っていますよ。」と言った。

 「我々もここにいるでしょう。待ってください、と言って下さい。」

 オート3輪の兵だけでなく、コガタのトラックの隊員も待機している。といっても、残っている日本の隊員は医療団と携帯地対空誘導弾の操作隊だけであるが。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・

 

 マドラ港の戦艦は数が多く、護衛艦もがみの砲撃を受けた艦は航行不能になったが、残った戦艦が砲撃をしながら進行してくる。

 もがみとあぶくまは砲撃の射程距離外へと旋回し逃げる。速度の違いで逃げ切れるのだが、わざと速度を落として逃げる。

 

 突然、水柱をあげてリベルテ国の戦艦が沈没する。しかも、次々と。

 実は、昨夜、もがみがその海域に機雷を敷設していたのだ。

 水柱をあげて沈没する戦艦を確認すると、今度はいずもが航行した方向へ、軍港トイヤの方へ向かった。そして、待っていたいずもと合流すると、3隻の護衛艦は、さらに航行していった。

 

 軍港トイヤの海軍基地では、ゲイン少佐が戦うべきでないと主張している。

 「レアル大佐、見たでしょう。戦闘機が簡単に撃墜される。そんな艦と戦うべきでありません。」

 「でも、ゲイン、戦闘放棄は軍罰もの、我々はリベルテ国の軍人なんだ。」

 2隻の二ホンの艦を沈めるべく、港からリベルテ国の戦艦が次々と出航していく。

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 3隻の護衛艦いずも、もがみ、あぶくまが軍港トイヤの沖合に達した時、護衛艦まやがSSM装置、対艦ミサイルでリベルテ国の戦艦を攻撃していた。あぶくまが前に出て、対艦ミサイルで攻撃し始めると、まやはゆっくりと後退した。続いてもがみも攻撃し始める。

 

 軍港トイヤから出た戦艦、軍艦がほとんど沈没か航行不能になった頃、いずもの渡辺艦長に三木から連絡が入った。レーザーポイントで誘導するから陸軍の港湾基地を爆破して欲しい、海軍の基地は占領するから攻撃しないでということだった。

 

 (占領する?どうやって?)と思いながら、他の護衛艦に連絡を取り、VLS装置のあるもがみとまやが陸軍の港湾基地を攻撃することになった。 VLS装置とは誘導ミサイルの垂直発射装置のことである。

 

 もがみから誘導ミサイルが発射される。ドカーン。陸軍の港湾基地の本部の建物が爆破される。

 しばらくして、まやから発射。ドカーン。陸軍の兵舎が爆破される。

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