時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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集落がなぜ日本の領土になりたがるか明らかになる


5話

  三木はコリーの家で、コリーと向かい合って椅子に座っていた。

 「敵がいるんですね。とても敵わない敵が。」

 「・・・・・・どうしてそれを。」

 「他国の属国を望む理由は、それ以外にないと思いいたりましてね。

 ビッグベアとあなたたちが呼んだ熊もどきを、我々がやっつけたのを見たあなたは、

 我々を味方につければ、その敵に勝てると・・・違いますか。」

 「・・・・・・」

 「もう隠さないで、本当のことを、その敵のことを教えて下さいよ。」

 

 コリーの話によると、その敵が現れるまでは平和そのものであった。集落ごとに長が1人だけ、武力長なる役割もなかった。もめ事が起こることもあったが、すべて長が処理していたという。

 南にある森のさらに南側に同じ種族の集落が3つあったが、その敵のために壊滅。逃げ込んできた人たちの情報によると、殺されるか、連れ去られるかのどちらか。敵は南西の方向からやってきて、言葉は通じないという。

 戦わないとすべて奪われる。だから、武力兵を組織したとのこと。

 この集落へも敵の攻撃があったが、森のおかげで何とか守ることができた。でも、多くの武力兵の犠牲があったし、次は守り切れないだろうという。

 

 「そんなときに、我々が森の中へ入ってきたというわけですか。」

 「そう、あんなに大きな音がバリバリと聞こえたんだから、森を警戒するさ。

 でも人数が少なかったから、敵ではないかもと感じていた。

 そして、言葉が通じたときは驚いた。」

 (驚いたのはこっちもだ。)三木はそう思ったが、黙っていた。

 そして、もう一つの疑問をたずねた。

 

 「この家はあなた方が建てたのですか。」

 「そうですよ。どうしてそんなことを。」

 「いえ、あまりにもしっかりしたつくりなので。」

 「ああ、私たちと言っても、私ではないですよ。背の低い種族の人に立ててもらったんですよ。」

 「髭の長い人ですか。」

 「そうです、家だけでなく、家具も農具も武器もその人たちが・・・、私たちより上手ですから。」

 (モノづくりのプロ集団があるわけか、そちらで聞かないと無理か。)

 

 「その人たちの耳はどんなかたちですか。」

 「えっ、耳。あまり気にしないから。それに見えないし。

 そう、子供はあなたと同じ形です。でも、変なことを聞くものですね。」

 「変なことが気になるのですよ。それに。もう1つ。ずっと北のほうに大きな川がありますね。その川の岸はみんなで盛り土をしたのですか。」

 「ああ、あれ、自然にできるのでは。」

 

 (自然堤防ができるのは川が蛇行している場合、あれは、人工的な堤防だ。)

 そう思ったが、言っても無駄。次の質問をした。

 「最後に、近くに流れている小川、川岸が石垣になっているところ、

 あれも背の低い人たちがつくったわけですか。」

 「いいえ、誰も作っていません。昔からありました。」

 

 「そうですか、いろいろ、ありがとうございました。

 お礼に外にある草を刈る機械をお譲りしますよ。使い方は明日にでも説明します。油がなくなれば、使えなくなりますが、交流が始まれば手に入れることもできるでしょう。」

 「油?何ですか、それ。」

 「燃える水といった方が分かりやすいですか。燃える液体です。」

 「種を絞って、取った汁。料理に使っている?」

 「はは、それも油ですね。ではなく、地面から湧き出る燃える水。」

 「ああ、知っています。黒い水。」

 「えっ!あるんですか。」

 

 南の森をぬけ、草原を西に進むと、砂漠との境目に黒い水の池があるという、日本にとってとても重要な情報であった。

 コリーがそれを知っていたのは、森を抜けたところの草原で兎狩りをしていたからで、絶滅した集落へも立ち寄っていたという。

 

 帰り際に、「ところであなたは何者ですか?」とコリーが言ったので、

 「はい、日本人ですよ。」と答えた。

 

 ・・・・・・・・・・・・・

 

 三木は森をぬけ、待機していたヘリに乗り、護衛艦いずもにもどった。

 そして、渡辺艦長に頼んでいた港にできそうな場所について尋ねた。

 一時的につくるなら、河口が短期間にできていいが、洪水のこともあるので、少し離れた場所に、目星をつけているとのことであった。

 ただ、調査した隊員の言では、河口付近の砂が少なすぎるとのこと。大きな川の河口なのに、まるで中流みたいと首をかしげていたという。

 三木は集落で聞いた侵略者のことを話し、明日、哨戒ヘリかドローンで南西の方向を探ってみて欲しいと頼んだ。

 

 そのあと、佐川の船室へ行き、佐川と別れた後の一部始終を話した。集落への侵略者の件は予想していたのか、あまり反応はなかったが、草刈り機を譲ったことは異常に反応した。

 

 「なんてことをしたんだ。あれは陸自の備品だ。」

 「わかっていたさ。でも、大事な交渉だ。」

 「始末書を書くのは私なんだぞ。まあ、いい。お前、何者なんだ。」

 (何者かって、また、聞かれたよ。)

 

 「内調のものだって、言ったじゃないか。」

 「防衛省の防衛参事官か?」

 「そんなに偉いもんじゃあないよ。ははん、へんな勘違いをしているな。背広を着ているけど、内局の背広組ではないよ。内調違い。内閣情報調査室の内調だよ。」

 「内閣情報調査室?なんだ、それ。」

 「政府の政策決定のための調査をするところ、それ以上は言えない。」

 「スパイか。」

 「いやな言葉だな、私の一番嫌いな言葉だ。」

 「007のスパイか。」

 「古いな。そんなカッコいいものじゃない。」

 佐川は勝手に納得したのか、それ以上は追及してこなかった。

 

 ・・・・・・・・・

 

 三木は船室のベッドで思いめぐらせていた。

 (無駄なことをまだやってる。もう傍聴漏洩の危険などないはずなのに、暗号通信とは。1度決めたことは、なかなか変えられないのがお役所か。

 河口に砂が少ないって言ってたな。港の工事、大丈夫かな。

 そう言えば、砂浜のない海岸、どういうことだろう。

 3つの集落を壊滅した侵略者、殺すか連れ去るって言ってたな。連れ去る?奴隷?

 そう言えば、長が日本に奴隷がいるかと聞いていた。奴隷か・・・・。)

 三木は眠りについた。




また、謎が深まる
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