時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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最終章 4

 (南北緯度5度の範囲の気温が50℃~60℃ですか。1時間程度の航海なら冷房の効いた船室にいれば何とかなりそうだが、1時間で通過となると・・・、それに高温に船が耐えられるかどうかも・・・。そんな経験もないから何とも言えない。安全に通過ですか、無茶な作戦を。)

 

 頭を抱えているのは、水上戦術開発指導隊司令になった渡辺であった。部下に検討させる前に、自分なりの解決方法のめどをつけておこうと思っていたのだ。渡辺には大量の機材と人員を運ぶ手段だけで、目的などは知らされてなかった。

 

 渡辺はふと思い出した。

 「ご栄転おめでとうございます。海しか能のない男がちゃんとしがみついているではないですか。」という三木からのメールであった。人を食ったようなメールを受け取ったときは、三木がどうしてメルアドを知っていたのか不思議だったが、これで三木に連絡ができると思った。

 

 かなり前のメールであるから、三木は日本にいないかもしれない。でも、インターネットは海外ともつながるようになっている。西方大陸東岸基地、アイロン港湾基地、ジュラス東港湾基地、スパン南基地、そして今建設中のスリム港湾基地とも情報の共有ができるのだ。

 (どこにいても通じるはずだ。三木ならどう答えるか尋ねてみよう。)

 

 渡辺は三木からのメールの返信で、南北緯度5度の範囲の通過方法を尋ねた。

 渡辺は、エラーになるかもと半信半疑であったが、メールは発信された。あとはその答えを待つだけである。

 

 しばらくすると、返信が届いた。

 「お祝い返しのメールかと思ったら、専門のあなたが素人の私に質問ですか。素人なりに答えましょう。」相変わらず、人を食った口調である。

 

 「今、建設中のスリム港湾、そこまでは、貨物船や客船で機材や人員を運べますね。」

 (まだ、公開していないスリム港湾基地なのに、どうして知っているのか。)と三木は思った。

 

 「高温の海上の通過に不安があるのなら、海上を止めて海中にすればいいだけです。潜水艦は物を運ぶのに適していないが、人を減らせば、物も運べる。少なければ、潜水艦の数を増やせばいいだけ。何隻あるか知りませんが。潜水艦で運ぶのは、空港をつくる人とそのための機材だけ。で、オーストラリア大陸の海岸線に空港をつくる。」

 

 (ちょっと待て、オーストラリア?どうして三木が私の知らないことを知っている?)渡辺は佐川や日野が言ってた「三木は只者ではない。」という言葉を思い出していた。

 

 「船がダメなのですから、港をつくる必要はない。空港ですよ。航空自衛隊には戦車も運べる輸送機があるはずですから、重い機材も運べる。素人考え、参考になったでしょうか?司令殿♡」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 三木の心は軽かった。渡辺からのメールの返答に少し時間を取られたが、諦めかけていた洞窟の発見が成功したからである。

 

 三木はトムに案内されて、その洞窟に来ていた。相変わらず黒いリュックを背負っている。地下に続く階段を見て、(間違いなく古の民の洞窟だ。)と思った。

 

 古の民のものと思われる未知の洞窟、秘密保持のためには、トムやトメリア王国の兵たちを洞窟の前に待機させ、三木は心細くても1人で階段を下りて行くしか仕方がなかった。

 

 階段を下りるにつれてだんだん暗くなり足元が見えなくなる。三木は足元に明かりを灯してゆっくりと降りて行く。ところが、深くなるにつれてだんだん明るくなり、階段の最下部では明かりの必要がなくなった。見覚えがあった。バーキー王国の古の民の遺跡と同じだ。明り取りの穴が天井にいくつも開いていた。立体映像投射装置のような機械、パワードスーツのようなものが入っている朽ちかけた木箱、三木は黒いリュックからタブレットを取り出し撮影する。

 

 バーキー王国の時の様に調査隊の派遣というわけにはいかないので、細部にわたり撮影する必要がある。中にあるものもバーキー王国の古の民の遺跡とほぼ同じだが、レーザー銃のような棒が見当たらない。そして、テーブルの上に置いてある宝石箱のような大きさの材質不明の箱を撮影すると、三木はその箱を開けてみた。簡単に開けることができ、なんとその中にはDVDかCDかと思われる円盤とUSBメモリと思われるものが入っていた。

 三木の持っているタブレットはDVDもCDも再生できないが、USBの端子はある。再生してみようと思ったが、撮影に多くの電力を消費していたので、途中で切れることを懸念して、持ち帰って再生することにした。箱の材質も調査するために、箱ごとリュックにしまい込んだ。

 

 (他には何もないか。バーキー王国の古の民の遺跡もここも、人骨らしきものがないし、生活の跡らしきものもない。だから、研究所か何かで、人が去った後だと思った。でも、研究所を地下につくるだろうか。古に民、不思議な民だ。)そんなことを考えながら、三木は洞窟の階段を上り外に出た。

 

 トムに「ここを立ち入り禁止にしてください。入り口に柵をつくって。」と言った。

 そして、そのための費用と調査の礼金を払って、日本大使館にもどった。

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